室内窓で住まいに光と風を届ける
リノベーション事例と取り入れ方のコツ
リノベーションでも人気の高い「室内窓」。光や風を呼び込んだり、家族との心地良い距離感を保ったり、室内窓は住まいづくりにおいて幅広い可能性をもたらします。
今回は室内窓を取り入れたリノベーション事例をみながら、室内窓のメリットや注意点、ポイントをご紹介します。
そもそも室内窓とは?
室内窓とは、部屋と部屋の間に設置する窓のことを指します。「内窓」とも呼ばれ、部屋の採光や風通しを向上させたり、家族とゆるやかにつながることが出来たり、インテリアのアクセントになったりと、リノベーションでも人気を集めています。
幅広い建材から窓枠やガラス材を選べることも室内窓のポイントのひとつ。
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<室内窓で住まいのお悩みを柔軟に解決>
窓枠は主に開閉型とFIX型の2種類が一般的です。開閉型はその名の通り、シーンに合わせて開け閉めができるタイプ。両開きや、上側を開けられる突き出し窓、下向きに開けられるランマ用窓などが挙げられ、通気を良くしたい場合や開放感を演出したい時に向いています。光を取り込んだり、ケガや落下を防止したりすることを重視するようであれば開閉不可のFIX型がおすすめです。
ガラス材の選択肢も多岐に渡ります。例えば、すりガラスを採用すれば、家族との緩やかなつながりを保ちながら、プライバシーを確保できるでしょう。色付きのガラスを使えばインテリアのアクセントにもなりますし、子ども部屋にはケガを防止するため透明なアクリル板を用いることもできます。
このようにデザインや素材などをカスタマイズして、住まいのお悩みを柔軟に解決できるのが室内窓の魅力です。
室内窓のメリット
ここでは室内窓を設けることで得られるメリットを詳しく見ていきましょう。
・部屋に光を取り込める
室内窓を設ける大きな理由のひとつに「採光」が挙げられます。例えば、窓のない部屋や狭い空間に室内窓を設置することで、自然光を取り込んだり広々と見せたりすることが可能に。住まい全体に光が行き渡ることで、心地よいつながりを演出できます。
・風通しのよい空間にできる
開閉型の室内窓なら、部屋の風通しが良くなることもメリットです。外窓のない部屋は空気がこもり、湿気やにおいが気になりがちです。室内窓を活用すれば、外窓や空調がない部屋でも隣の部屋の空気を取り込めるため、換気をする上でも室内窓は大切な役割を果たします。
またエアコンを設置できない部屋でも快適に過ごせるよう、室内窓を取り付けるというアイデアも。その際にはエアコンの風が流れる高さに合わせて窓を取り付けることで、効率的に空調を管理できるでしょう。
・空間を緩やかに繋げる
隣の部屋まで見渡せるような室内窓を設置すれば、のびやかに視界が広がり、住まい全体の空間に緩やかなつながりを持たせることも。コンパクトな住まいでも室内窓を取り込むことで、実際の面積以上の開放感を効果的に演出できます。
・家族の気配をそばに感じられる
部屋の間に室内窓を設けることで、適切な距離感を保ちながら家族の気配を感じられます。子供部屋に設置すれば、プライベートな空間を保ちながらも、互いの様子を感じられるため安心感につながります。
・インテリアのアクセントになる
窓枠やデザインを工夫すれば、室内窓は部屋のインテリアにもなります。ナチュラルな木製やアイアン製の窓枠で、インテリアに統一感を持たせることも。カラフルなガラスで室内を明るく演出したり、丸窓でおしゃれな一角を作り上げたり、家主の好みや想いを反映できるのも嬉しいポイントです。
室内窓のデメリットと注意点
機能性やデザイン性に長けた室内窓ですが、場合によってはデメリットや注意点もあります。
・断熱性や防音性が低下する可能性がある
ガラス等で空間を仕切る室内窓は、壁と比べて熱や音が伝わりやすくなります。特に開閉型は窓枠との間を完全に塞ぐのが難しいため、寝室や仕事部屋などよりプライベートな空間は注意が必要です。
開閉型と比べてFIX型であれば密閉性は高まりますので、空間の種類によって窓の種類を使い分けるのもおすすめです。
・家具の配置に制限が発生する
取り付け位置によっては、背の高い家具の配置が難しくなるケースもあります。室内窓を設置する際には、事前に家具の置き方や動線を考慮してみましょう。設計の段階で具体的にイメージを持っておくと、住み始めた後のトラブルを回避できます。
お悩み別|室内窓のある暮らしリノベーション事例
住まいのお悩みや目的に合わせて設置できる室内窓。3つのケースに分けてリノベーション事例をご紹介します。
お悩み①部屋を明るく、広く見せたい
大きな室内窓で柔らかく光を取り込んだ事例がこちら。
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「最低限の間仕切りで暮らす」をテーマにした、ワンルームの3辺を土間で囲んだ間取りの住まいです。部屋の中心にコの字型の壁でゆるやかに間仕切りする寝室をレイアウトし、その2面に室内窓を設けました。
窓材には不透明なポリカーボネートを採用し、光を柔らかく届けます。リビング側の窓は固定のFIX型、キッチン側には開閉型を設置しました。寝室にも窓があるため、室内窓を開ければキッチン〜寝室〜窓が一直線につながり、心地よい空気が流れます。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都足立区
居住者構成:夫婦
専有面積:75.45㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:2009年
リノベーション竣工年:2018年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1924
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こちらは、寝室兼アトリエとLDKを2面あるのびやかな室内窓が繋ぐ事例です。
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ドアではなく格子の室内窓でスペースを分けることで、室内に自然光を届けます。朝は居室側の窓から、午後にはLDK側から光が差し込み、明るい雰囲気を演出。料理や裁縫、仕事までが、広々とシームレスにこなせる空間づくりです。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都港区
居住者構成:母、娘
専有面積:70.10㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1995年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事: https://nokurashi.com/ownersvoice/747
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お悩み②家族の気配を感じられるようにしたい
モノトーン調の統一感あるデザインで構成された室内窓は、子どもの成長を見守る仕掛けに。LDKの一角に子供部屋を設けた事例です。
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斜めに配置した入り口は、キャッチーな面白さがありつつ、キッチンから子ども部屋の様子を見やすい気の利いたつくりに。カラフルな絵本やおもちゃを収納することを念頭に、インテリアはあえてモノトーンでまとめました。ホワイトとブラックで構成されたシンプルな空間は子供との生活をやさしく見守ります。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都大田区
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:72.82㎡
間取り:2SLDK
既存建物竣工年:1987年
リノベーション竣工年:2015年
お宅拝見記事: https://nokurashi.com/ownersvoice/3399
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こちらは子どもの成長に合わせて間取りを変更した事例です。LDKに面する寝室の壁に室内窓を設け、プライバシーを守りつつも気配を感じられるような空間へ仕上げました。
寝室には腰高窓と高窓を設け、LDKと緩やかにつながる構造へ。窓枠のブラックと有孔ボードに取り付けられたハンガーポールが統一感と抜け感を演出します。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都練馬区
居住者構成:夫婦+子ども2人
専有面積:72㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1980年
リノベーション竣工年:2020年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/330
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お悩み③こだわりの空間にのびやかなアクセントをつけたい
ワークスペースに窓からの光を引き込み、居心地の良い空間を作り上げた事例がこちら。
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玄関を入ると大判のタイル床が続き、木製フレームの室内窓で間仕切りされたアトリエがあります。窓際のデスクからは共有部にある木々を眺めることができ、まるで避暑地に滞在しているような気分へ。壁式構造のマンションだったために撤去できない壁が多いなか、可能な限り光を取り込み、一体感のあるような住まいづくりを目指しました。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都大田区
居住者構成:夫婦
専有面積:72.73㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1977年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/2434
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毎日の疲れを癒すお風呂に室内窓を設けるのも一つのアイデアです。水回りにも部屋の光を取り込み、連続性のある空間へと作り上げた事例がこちら。
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大胆にもバスルームに室内窓を設け、リビングや寝室と繋がったようなワンルーム空間を作り上げました。入浴する時には室内窓を開け、ぼんやりとした間接照明の中でお香を焚いたり音楽を流したり、自分らしいスタイルで過ごしているそうです。
一般的な間取りの常識を打ち破り、好みや生活スタイルに合わせて室内窓を組み込むと、住まいでの新しい過ごし方を発見できるかもしれません。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都港区
居住者構成:シングル
専有面積:36.66㎡
間取り:1LDK
既存建物竣工年:1983年
リノベーション竣工年:2021年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/12849
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室内窓を取り入れる上でのポイント
1.壁の構造に注意
マンションの壁の構造によっては室内窓を設置できないこともあります。例えば、柱や梁のように建物を支える役割を持つ耐力壁もそのひとつ。内部に筋交いや構造用合板が入っているため、大きな室内窓を設置するのはおすすめできません。
室内窓の設置を考える際には、まずは専門家に相談し、取り付け希望箇所に設置可能かを確認してみましょう。
2.設置する目的を明確に
室内窓を設置する際は、目的を明確にしておきましょう。「空間のつながりを持たせるため」「光を取り込むため」「通気性を高めるため」など、目的は多岐に渡り、それによって最適な窓の種類や取り付け位置が変わっていきます。漫然とした理由で設置してしまうと、効果的に空間を作り上げられない上に、使い勝手がむしろ悪くなってしまう可能性もあります。
家族で明確なコンセプトを決め、しっかりと目的・用途を定めることが、心地良い空間づくりの第一歩となります。
3.統一感を持たせる
インテリアとの統一感を持たせるのも素敵な空間に仕上げるポイントです。例えば北欧風のお部屋ならウッド調の窓枠に。インダストリアル風ならば無機質な窓枠を取り入れるなど、全体の雰囲気をまとめるよう意識してみましょう。
インテリアアクセントとしても目を惹く室内窓。せっかく設置をするならば、機能面はもちろんデザイン面も楽しみながらこだわってみましょう。
室内窓で理想の住まいづくりを
室内窓は暮らしの快適性にも、家族間のコミュニケーションにもメリットをもたらすものです。リビングや子ども部屋、仕事部屋、さらには寝室、浴室など、あらゆる間仕切りに導入できるうえに、開放感を演出します。
家族の形や生活スタイルによって、居心地の良い住まいは人それぞれ。将来的な可変性を視野に入れつつ、理想の住まいづくりを楽しんでみませんか。