街にドットを増やすように暮らす新たな多拠点生活リビタのリノベーションマンションシリーズ「mydot.」でかなう暮らしとは?|住まいのヒント

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住まいのヒント

街にドットを増やすように暮らす新たな多拠点生活
リビタのリノベーションマンションシリーズ
「mydot.」でかなう暮らしとは?

目 次
  1. 1コンパクトに住み、暮らしを街へ広げていく
  2. 2「一点突破」の間取りが、当たり前を変える
  3. 3都心の拠点を、多拠点のファーストドットに
  4. 4「mydot.」がかなえる、多様化する暮らし方
  5. 5のくらしおすすめ物件

「mydot.」とは、東京都心のコンパクトな住居を拠点に、街に暮らしを広げていくというコンセプトの、リビタのリノベーションマンションシリーズ。小さく住むことをポジティブにとらえ、街でできることはアウトソースし、それぞれの住まいに必要なことだけに「一点突破」した間取りで新しい暮らし方を提案しています。都心の住居を第一歩の拠点として、ドットを打ちながら、その先に見据えるのは、リモートワークや地方移住、多拠点生活などの、新時代のライフスタイル。「mydot.」シリーズを担当する一級建築士事務所knofの永澤一輝さん、菊嶋かおりさん、リビタの竹之内さやかさんに、本シリーズについて発足から今後の展望まで、詳しくお聞きしました。

左からknofの菊嶋かおりさん、永澤一輝さん、リビタの竹之内さやか。

対談の撮影は「mydot.」シリーズの第14弾「東京の台所で厨房のある暮らし@築地」で行われた。築地が間近な立地で、食をテーマとし、業務用の厨房にならい機能性抜群のステンレスのキッチンを主役とした料理好きな人のための住まい。

プロフィール

リビタ
竹之内さやか

住宅メーカーやゼネコンにて住まいづくりに携わったのち、2014年にリビタ入社。建築ディレクターとして「mydot.」などのリノベーションマンションの企画・推進を担当。プライベートでは都心と山をシームレスに行き来する暮らしを模索中。

knof
永澤一輝

1984年生まれ。岐阜県大垣市出身。大垣北高校卒業。京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業、同大学院修士課程修了。2016年一級建築士事務所knofを設立。

菊嶋かおり
1985年生まれ。山梨県北杜市高根町出身。甲府西高校卒業。京都工芸繊維大学工芸学部造形工学科卒業。カフェ・カンパニーにて飲食店設計に従事。ブルースタジオを経て、2016年一級建築士事務所knofを設立。

コンパクトに住み、暮らしを街へ広げていく

――「mydot.」シリーズはいつ頃から、どんな経緯で生まれたのですか?

竹之内さやか(以下、竹之内) プロジェクトが発足したのは2018年秋頃です。リノベーションマンションに携わっていくなかで、都心の50㎡以下のコンパクト物件の需要は高く、新たなシリーズを立ち上げることに。そこで、以前から共にお仕事をする中で面白い提案をくださっていた、knofの永澤さんと菊嶋さんにプロジェクトの立ち上げからお声がけ。案件の設計だけでなくコンセプトづくりから参加いただき、「mydot.」が誕生しました。

永澤一輝(以下、永澤) 僕たちが提案したのは、家の中だけでなく、家の外側にも暮らしを広げていく、というコンパクトだからできる視点。それぞれの物件が位置する街に注目し、小さく住むことをポジティブにとらえたいと考えました。豊富な飲食店をメインに利用するなら、大きなキッチンは必要ないし、大浴場が付いているジムに毎日通う人ならシャワーブースだけでいい。住宅機能を街へアウトソースすることで、都心に小さく住まうことに、新しい豊かさを見つけられるのではないかと。そうなると、50㎡に住むというより、街に住んでいるという感覚になってきて、狭小住宅という概念も変わってくるのではないかと思っています。

菊嶋かおり(以下、菊嶋) 「mydot.」シリーズでは、従来の価値観ではなく、未来の視点でコンパクトを再考し、新たな価値を伝えていく取り組みをしていきたいと考えています。街に暮らしを広げるという中心的なコンセプト以外にも、オフィスと住居を兼ねて多重的に住むとか、単身者やDINKSにターゲットを絞らず密度高く多人数で住むとか、都心のコンパクト物件で暮らすことを自由に考えていくことを模索しています。

――現在、「mydot.」シリーズは、第15弾まで竣工し、今後も計画が進行しています。具体的にどんな物件なのか、代表的なものを教えてください。

竹之内 都心といっても物件の立地によって、街でできることは変わってきます。まずは街をよく読み解いて、ここに住む人は家に何を求めるかということを考えていきます。たとえば、第1弾の「バスタイムを謳歌する暮らし」は、南側の眺望の良いバルコニーに面して、サンルームとガラスの引き戸で仕切った洗面室と浴室をつくり、バスタイムを充実させる暮らしをイメージしました。四谷周辺は飲食店が充実しているので、食については街で楽しむことを念頭にして、キッチンはコンパクトな仕様に。家では、とことん自分を癒すために時間を使えるといいのではと、想像を膨らませ、企画を進めていきました。

バスタイムを謳歌する暮らし@四谷
左手の大きなガラス戸の先に、自然光がたっぷり入る洗面室と浴室。格子入りのガラス戸で仕切ったサンルームも、バルコニーに面した開放的な空間。

菊嶋 もう一つ例を挙げると、「植欲を満たす癒場所」もテーマは癒しですが、こちらは植物と暮らすことに徹底的にこだわっています。すべての床を耐水性の仕上げにし、天井に植物を吊るしてハンギンググリーンを楽しめる仕掛けを盛り込みました。

植欲を満たす癒場所@三田
LDKの床は耐水性のある仕上げで、植物の手入れや水やりなどもストレスフリー。天井には植物育成用のライティングレールも備えている。

「一点突破」の間取りが、当たり前を変える

――「mydot.」シリーズの企画や設計では、どんなことを大切にしていますか?

菊嶋 私たちのキーワードは「一点突破」ですよね。たとえば、『バスタイムを謳歌する暮らし』は、浴室と洗面室に重点的に予算をかけていますし、『植欲を満たす癒場所』は、植物好きな人というターゲットに的を絞っています。小さな面積をまんべんなく満たした状態にするのではなく、特徴を一点に絞って引き出すことでその物件の価値を最大化することを目指しています。コンパクトだからこそ形にしやすく、「一点突破」な間取りを考えていくと当たり前の間取りから離れていく。必要なもの以外は割愛されていくので、それぞれに異なる価値観の住まいが生まれてくるのです。

永澤 ほとんどのことが多様化し、自分に合ったものを選べるのに、家だけがまだ画一的なのですよね。今はいろいろなことが個人でできるようになっています。昔だったらテレビがあって、家族みんなで同じ時間に同じチャンネルを観ることでコミュニケーションが取れていたけど、今はスマートフォンで一人ひとりが好きな時間に好きなコンテンツを観るようになりました。もはやテレビはリビングの中心になくてもいいわけです。であればソファはテレビに面するより、対面にしてコミュニケーションを生み出したり、テラスを眺めてリラックスできる場所にあったりするほうが心地いい住まいになる。「mydot.」シリーズは、将来的に求められている、一人ひとりの志向に合った住まいをデザインしていくことを、先駆けてやっているのではないかと感じています。

竹之内 「mydot.」シリーズは、コロナ禍前に発足したプロジェクトですが、コロナ禍になり、期せずしてリモートワークやデュアルライフがより現実的となり、私たちが「mydot.」で目指していた住まい方の輪郭がはっきりと見えてきているのを感じます。とくに、コロナ禍以降、「mydot.」シリーズもプロジェクトとして第二期に入っていると感じていて、さらに「一点突破」に振り切った物件を提供できていると感じませんか?

菊嶋 第二期は、第10弾の「サウナでととのう整活習慣@三田」からスタートしている感じがしますよね。これが、ものすごい反響をいただき、「mydot.」のプロジェクトは世の中の一歩先を進んでいて、共感してくれる層がいるという確信につながりました。100%の人に理解してもらうのは難しくても、20%くらいの人は熱くリアクションしてくれる手応えを感じています。コロナ前は、オフィスと住居を兼ねる暮らし方は、限られた人だけの特権でしたが、コロナ禍でリモートワークやデュアルライフが現実的な選択肢となり、「mydot.」シリーズで提案してきた暮らし方が、より支持される土壌ができてきたのではないでしょうか。

働く×暮らすの融合@春日&後楽園
35㎡ながら、折りたためる造作テーブル、天井のLGSとカーテンによる自在なゾーニングなどの仕掛けにより、時間帯によって職住を切り替えられる。

都心の拠点を、多拠点のファーストドットに

――「mydot.」シリーズが、これから目指す方向性について教えてください。

菊嶋 「mydot.」シリーズに若手のファンがつくといいなと思っています。社会人一年目とか、二十歳前後の若い人たちが、「毎回面白いことをやっているから、最初の家を買うならmydot.だな」と、「mydot.」を認知してくれること。物件をリリースするたびにチェックしてくれる人が増えることが目標です。

竹之内 物件を見学してくれるお客さまの中にも、「以前からmydot.を見ていました」という方も現れていて、少しずつファンが増えてきている実感もあるんですよ。家を買うことは、今も人生の一大イベントですが、そのハードルを少しでも下げ、手に入れやすいものにすることも私たちのミッション。さらに、購入してから賃貸や売却ができることも伝えていきたい。立地なども含め、資産性の高いものを目利きした上で商品化しているので、もっと軽やかに家を購入していくことが広まればいいなと思っています。

菊嶋 自分で購入した家は、賃貸で暮らす家とは意味が違ってきますからね。自分のものであれば丁寧に扱って暮らそうとするし、かっこいい家具を置きたいとか、気に入った食器を使いたいとか、住まいに対して考えることが深くなって、リテラシーは必ず上がっていきます。それは暮らしを楽しむことにつながる。自分の家をもつことの価値を、もっと若い世代に味わって欲しいですよね。

竹之内 「mydot.」シリーズのもう一つの軸であり、今後の大きな目標となっているコンセプトが、デュアルライフの拠点という視点です。「mydot.」というネーミングには、小さな「dot」つまり「点」を打ちながら街中に暮らしを広げていくという意味を込めています。都心の住まいはファーストドットであり、そこを拠点に、まずは街に暮らしを広げ、将来的には郊外や地方に次の拠点をもつ、多拠点生活を提案していきたい。ドットを増やしていくことで、暮らしが広がり豊かになっていくことを目指して、プロジェクトを進めています。そのために、まずは都心の魅力的な街を巻き込んで、小さな拠点をたくさんつくっていくことをやっています。

菊嶋さん たとえば、中古マンションのリノベーションで考えると、80㎡で7000万円より、30㎡で3000万円を選べば、残りの4000万円で軽井沢に家を買うことだって選択できます。現在、竣工している物件は、そのための安くて軽くて小回りもきく、都心の拠点だと私たちは考えているのです。

永澤 セカンドドットは次のフェーズになりますが、僕たちのなかでは、いろいろな議論をしています。セカンドドットとして、郊外に家買うというのは一例で、他にもさまざまなことが考えられると思うのです。たとえば、都心の駐車場付き物件に住めば、車で郊外まですぐに行けて、セカンドドットへのステップは軽くなる。そういうところから、発想を広げていくのがいいかなと思っています。

書斎のある読浸生活@本郷三丁目&東大前
38㎡に廊下で隔てた書斎をつくり、斜めにずらして配置した本棚で空間を切り替え。本に囲まれた書斎と生活の場のON/OFFをくっきりと分けた。

「mydot.」がかなえる、多様化する暮らし方

――将来的に、いろいろな方向性で多拠点生活を提案していく計画があるのですね?

竹之内 「mydot.」シリーズで、セカンドドットの可能性をサービスとして展開できたら理想的です。実は、そのためのいくつかの試みはすでに始まっています。「mydot.」の購入者に、リビタが全国各地で運営しているホテル「THE SHARE HOTELS」に宿泊してもらったり、都内のホテルにショートステイとして日中だけ滞在してもらったりなど、試験的に街や郊外に暮らしを広げる実践をしてもらっているのです。さらに、同じくリビタのシェアオフィスを、無料で一年間利用できるサービスもセットで提供。現状では、リビタのリソースを使って街に拠点を広げ、いろいろな場所にドットを打つ暮らしを購入者が体験するステップに入っています。

菊嶋 リビタが運営しているホテルは、それぞれのホテルが位置する街の魅力を感じられる滞在が特徴で、「mydot.」のコンセプトとも重複する部分も多いので、地域の魅力を体験してもらえる機会になるといいですね。

永澤 「mydot.」の物件としても街とのつながりを、具体的に表現していきたいと考えています。小さな一歩なのですが、計画が進行中の日本橋の物件は、リビタ運営のホテルの一つである「LYURO 東京清澄」が近く、隅田川を挟んだ立地なのです。「LYURO 東京清澄」との関係性を模索し、カーペットや木パネルのセレクトを揃えるなど、ホテルと住居をつなぐようなデザインを取り入れています。

旅の終わりに、至福の寝心地@日本橋
クイーンサイズのベッドをゆとり持って中央に配置した寝室が今回の主役。「布に包まれて眠る」建築手法と デジタルデバイスの導入で、とことん睡眠にこだわった。

――多様化する今後の暮らしの方のなかで、「mydot.」としてどんな役割を果たしていきたいと考えていますか?

竹之内 東京では、未だに開発事業者の視点でつくられた住宅を選ぶ人が大半。都心で土地を買うのは難しくても、リノベーションという手法なら、自分で住まいを考えることは十分にできるので、都心でも自分のものさしで家を選ぶ人が増えるといいなと思うのと同時に、住宅がパーソナライズ化していくことを期待しています。「mydot.」シリーズは、リノベーション済みというスタイルですが、自分に合った家を選ぶという選択肢の一つとして、住まい手のものさしをつくっていくような役割を果たしていけたらいいですね。

菊嶋 多拠点生活とかデュアルライフというと、別荘を新築で建てるとか、そういうイメージの人は多いと思います。でも、例えば長野県の松本駅近くで、30㎡・600万円のリノベ済みマンションがあれば、セカンドドットとしてリアルに買いたいと思える人も多いのでは? そういう意味で、郊外に「mydot.」シリーズの物件をつくるのもいいアイデアだと思っています。セカンドドットもマンションリノベなら、安心で安くて、気軽に購入できるみたいな意識を広げていけたら楽しそうですね。

永澤 社会構造的に考えると、まだまだ世の中は、何㎡何LDKという基準で、物件の価値が決まってしまいます。だから、僕たちは「mydot.」シリーズを通して、固定観念に縛られない暮らし方を提案し続けることで、裾野を広げ、やがては銀行の不動産に対する審査が変わったりするところまでいくといいなと思っています。

「mydot.」シリーズは、都心の50㎡以下のコンパクト物件を対象とした、リノベーションマンションですが、それぞれの立地の特性を活かした、固定観念に縛られない間取りは、その条件だから実現した唯一無二のものばかり。今までは建築家が個人に対して取り組んできた、一人ひとりに合わせたリノベーションを、街とセットにすることで、ライフスタイルも含めた商品としてより広い層に提案しています。「mydot.」に住むことの先に、見えてくる多様性のあるデュアルライル。未来への価値や可能性も含めた第一歩の拠点として、今後も目が離せないプロジェクトです。

のくらしおすすめ物件

【New】mydot.vol.17 | 旅の終わりに至福の寝心地

ニューシティハイツ日本橋

https://kurashireno01.rebita.co.jp/newcityhights_top

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文:村田保子/撮影:古末拓也
(「植欲を満たす癒場所」「書斎のある読浸生活」「働く×暮らすの融合」
「旅の終わりに至福の寝心地」の物件撮影:前川明哉)
取材・撮影:2022年4月
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