猫も人も心地よい住まいのつくり方|住まいのヒント

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暮らし再発見マガジン のくらし by ReBITA
住まいのヒント

猫も人も心地よい住まいのつくり方

目 次
  1. 1CASE1|キャットウォークと本棚を一体化した家具造作
  2. 2CASE2|洗面台の下を猫のトイレスペースとして計画
  3. 3CASE3|“行き止まりのない”キャットウォークで猫も、満足
  4. 4CASE4|猫と人間の居場所をしっかり分けて、快適に

大切な家族の一員である猫との暮らし。猫も人と同じように快適に住まうためには、猫の習性に合わせた設計や造作が欠かせません。リノベーションで取り入れやすい工夫を形にした、4つの事例をご紹介します。

CASE1|キャットウォークと本棚を一体化した家具造作

猫も人も心地よい住まいのつくり方
お宅拝見『猫と本とビール』より

1階を猫のいる本屋「Cat’ s Meow Books」、2階を自宅としてリノベーションしたY邸。本屋スペースは手前と奥に分かれていて、店員でもある4匹の猫たちは格子戸で仕切った奥のスペースにいます。

注目すべきは、販売している本が並ぶ棚とキャットウォークを一体化した造作家具。一番上は猫がぐるりと一周できるようになっていて、2階の居住スペースへと続く、猫専用の抜け穴もあります。本棚の側板に通り抜けのための穴があり、ベンチから上段までステップ状の動線が設けられています。

本棚とキャットウォークの一体化は、一般の住宅でも取り入れやすいアイデア。Y邸のような丸い穴は施工的に難しい場合がありますが、四角い穴なら比較的簡単に空けることができます。スペースや使い方、本の量に合わせて、自由に設計することも可能です。

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猫がいる奥のスペース。本棚とキャットウォークが一体化した家具を壁に造作。右上の抜け穴は2階の住居スペースにつながっている

反対側の本棚の下には、猫のトイレを収納。扉で隠れていますが、猫たちは隙間からいつでも出入り自由で、扉を開ければお手入れも楽にできます。他にも、窓から通りの様子を眺められる見晴らし台、脱走防止の鍵付きの格子戸、手前のスペースからキャットウォークを歩く猫が見えるアクリルの仕切りなど、猫と人間がストレスなく、ともに過ごすことができる工夫が盛りだくさんの事例です。

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正面の猫の奥には、猫専用のトイレを設置。扉を開ければ、お手入れも簡単
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猫の脱走防止には、視線が抜ける格子戸や框戸がベスト。外側から内側の様子が見えると、足元に猫がいることに気づかずに開けてしまうことを防げる

CASE2|洗面台の下を猫のトイレスペースとして計画

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お宅拝見『猫との暮らしとストレスフリーの回遊動線』より

築34年のヴィンテージマンションをリノベーションしたT邸は、『4匹の猫とお施主さまがストレスなく暮らせる家』がテーマ。50㎡以上あるLDKでは、猫たちも思い思いにリラックスして過ごしています。床は規約に合わせカーペットを選んでいますが、好きなデザインのラグを取り入れ、汚れを防いでいる工夫も◎。

寝室、水まわり、ウォークインクローゼットなどがあるプライベート空間は、3本の動線を回遊できるプランで、行き止まりのない空間を猫たちも悠々自適に走り回っているそうです。クローゼットなどは引戸で仕切ることもでき、猫たちに入って欲しくない時は閉めておけば、動線を調節することもできます。

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キッチンには扉付きのパントリー(正面)を設けた。写真は扉を開けているところ。ここに猫の餌を収納しておけば、留守中に荒らされることもなく安心

猫のトイレは洗面台の下に収納されています。扉付きで普段は視界に入ることもなく、中には換気扇もあり、臭いも漏れません。猫たちは側面の出入り口から入り、隠れた環境で落ち着いてトイレができます。猫と暮らす家を考えた時、猫のトイレをどこに置くかは大きな課題。リノベーションをするなら、T邸のように設計時に洗面台とセットで計画できれば理想的です。もしくは、洗面室やトイレを広めにして、トイレを置く場所を確保するのもおすすめ。水まわりが難しい場合は、換気扇が設置できる場所に、猫専用スペースを設け、トイレやベッドなどをつくるという方法も検討できます。

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洗面台の下を猫のトイレスペースに。猫は側面に開けた穴からいつでも自由に出入りできる。中には換気扇もある

CASE3|“行き止まりのない”キャットウォークで猫も、満足

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お宅拝見『50㎡台のワンルームと都会のミニマムな暮らし』より

50㎡台のコンパクトなマンションをリノベーションしたNさんご夫妻。2匹の猫と暮らすための家として、間仕切りのないワンルームの空間に仕上げました。家中を猫たちが自由に行き来することができ、広々とした開放感を感じられる空間となっています。

既存の出窓を活かして本棚を造作し、そこから段差のあるキャットウォークで、2m近くある棚の上までつながる動線をつくりました。棚の隣には市販のキャットタワーを置いて、そこから床へと降りられます。豊かな高低差と行き止まりのないキャットウォークは、猫にとっては最高のアクティビティに。猫は広い空間で走り回ることより、縦の運動が十分にできれば満足すると言われています。既製品を組み合わせて、上下の動線をつくる方法も気軽に取り入れられるアイデアです。

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玄関からみた写真。LDKと廊下を仕切る扉(正面)とトイレの扉(左)に、キャットドアを設置。猫たちも快適に使っている

N邸では、猫のトイレを人間のトイレ内に置いています。トイレは玄関側の廊下にあるため、LDKと廊下を区切る扉とトイレの扉に、キャットドアを設置しました。さらに、構造的に残ってしまう柱に、麻ひもを巻きつけて猫の爪とぎ用の飾り棚にするという工夫もあります。猫たちにとっては家全体が自分たちのテリトリー。いつも猫たちと一緒に過ごしたいNさんご夫妻にとっても、心地よい住まいとなっています。

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撤去できない柱を活かし、麻ひもを巻いて猫の爪とぎにアレンジ。猫たちのお気に入りのスポット

CASE4|猫と人間の居場所をしっかり分けて、快適に

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長いキャットウォークは、幅を広めに設定。猫たちはここでくつろいで寝てしまうほど、居心地のよい場所に

56㎡、2LDKのマンションを部分的にリノベーションして、猫2匹と暮らすTさんご夫妻。書斎を猫のための空間として兼用し、寝室や玄関側の廊下には猫たちを出さないようにしています。

猫たちが自由に過ごせる場所を設け、入って欲しくない場所をしっかり仕切る暮らし方は、人間のストレスをなくし、猫の脱走を防止するというメリットがあります。本棚とデスクがある書斎を、猫も自分たちの部屋と認識していて、今では人間のほうがお邪魔するような感覚になっているそう。猫たちはほとんど猫部屋にいて、トイレもここにあります。猫たちのベッドスペースは、デスクの下に置いたケージ。普段からケージに慣れておくことで、災害時など避難が必要な際にも猫たちのストレスを軽減できるとされています。

Tさんご夫妻が在宅中は、猫もLDKでくつろいだりして一緒に過ごします。LDKの長手の壁にはキャットステップと長いキャットウォークを設置。上下運動と高い場所を楽しめるようにしています。壁の端で行き止まりになるため、幅を広めに設定し、2匹がすれ違えるほどの余裕をもたせました。LDKと猫部屋の間の壁には、透明のポリカーボネートで室内窓を設け、圧迫感を軽減。お互いに姿が見えるので、猫とのコミュニケーションにも役立っています。

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キャットウォークへ登るためのステップも壁につくり付けた。写真は玄関側の廊下から框戸越しにLDKを見たところ。猫たちは廊下には出さないようにしている
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LDKと書斎兼猫部屋の間のドアは、Tさんご夫妻が在宅時は開放し、猫たちが自由に行き来できるようにしている。留守の時は閉じて、猫がキッチンに侵入するのを防いでいる

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ここ数年で猫の飼育数は増え続け、犬を上回り、ますます人気が高くなっています。室内で一生を過ごす猫のことを考えれば、私たちにとっても、猫にとっても、ストレスなく快適に過ごせる環境、住まいづくりの心掛けが大切です。ご家族の一員の猫それぞれの性格やくせに合わせて、ぜひ住まいづくりの参考にしてみてください。

猫との暮らしについて、さらに詳しく知りたい方はこちらのレポートをチェック。

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