家は住むだけの場所じゃない 併用住宅の可能性|住まいのヒント

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暮らし再発見マガジン のくらし by ReBITA
住まいのヒント

家は住むだけの場所じゃない
併用住宅の可能性

目 次
  1. 1併用住宅にするメリット
  2. 2事例1)カフェ×自宅
  3. 3事例2)小ビル×賃貸住宅
  4. 4事例3)住宅×アトリエ
  5. 5併用住宅は特別な選択肢ではない

家といえば、自分や家族が住むためだけの場所だと考える方も多いと思います。テレワークの増加や週休3日制、フレックスタイム制など、私たちの働き方が大きく変わりつつある今、家に対する考え方も変化しつつあります。住居機能にプラスαの要素を掛け合わせた「併用住宅」という選択肢。このプラスαには、店舗や賃貸住宅など、様々なものが組み込まれます。今回は実際の事例から、併用住宅の作り方や活用法を見ていきましょう。

併用住宅にするメリット

住むためだけに作られていた家に住居以外の機能性を持たせる併用住宅のメリットは、たくさんあります。例えば、家に収入源となる機能があれば、自身の本業とは別に「家が毎月稼いでくれる」という考え方ができます。家の一部に働く場所を設ければ、一番近い職場にもなります。家の一部をまちに開けば、思いもよらない繋がりやコミュニティが生まれることもあるでしょう。

住まい方だけでなく、働き方もこの先もっと柔軟に変化していくはずです。もので埋められた床面積や持て余している場所が、新しい時代において価値ある財産になるかもしれません。併用住宅には、家のポテンシャルを大きく向上させる可能性が秘められているのです。

店舗、事務所、アトリエ、賃貸住居、賃貸シェアなど、考えるだけでワクワクしてきませんか?リノサポがお手伝いした併用住宅の事例から、そのヒントを探っていきましょう。

事例1)カフェ×自宅

1964年に建てられた木造戸建てを購入し、カフェ兼住宅へとリノベーションした事例です。1階に店舗を構え、庭は繁忙期にはカフェ、普段はプライベート部分として活用できるように整備。2階は壁を立て切らず、リビングと寝室を上部で繋げました。

こちらは、築50年超、旧法借地権、隣地へ庇などの越境、敷地の約90%が都市計画道路、日照を守るための斜線制限にも引っかかっている、いわゆる住宅五重苦物件。

雨漏れやシロアリに喰われている箇所があるなど傷みも目立っていて、一般的には敬遠する物件でした。それにも関わらず購入を決めた理由は3つ。

①安い
②早い(抜群に立地が良く、駅からのアクセスが早い)
③うまい(噛めば噛むほど味が出そうな佇まいの外観)

人気路線である小田急線の急行停車駅・経堂から徒歩1分という、アクセスの良い立地にありながら、五重苦で価格が抑えられていました。そのため、コンサルティングなどの費用を含めても、新築した場合の約65~70%の費用で済みました。また、住宅用途だけだと持て余してしまうような大きさの敷地も、店舗併用にすればオープンテラスなどの使い方が実現できます。味のある佇まいも決め手でした。

この先、複数から収入を得ようという会社員や個人事業主が増え、自己居住不動産で稼いだり、賃貸として貸すことで収入を得たりするケースも増えてくるでしょう。自宅用途だけではない暮らしの在り方が求められる時代において、夢を叶え自己実現しながら暮らせる「家×カフェ」の併用住宅も、選択肢の1つとなり得るのではないでしょうか。

事例2)小ビル×賃貸住宅

スカイツリーのお膝元、都営浅草線本所吾妻橋駅から徒歩2分の場所にある、1984年築の鉄骨造3階建ての小ビル。自宅兼賃貸住宅に生まれ変わりました。
それまで修繕がほとんどされておらず、雨漏れ・鉄部のサビ・ガラスの割れなど、かなり傷んでいる状態でしたが、新築だと現状の床面積が確保できなくなる上、コストもかかることから、リノベーションで併用住宅にすることを選択しました。

正面玄関横にあった大きな給水タンクをなくして直接給水にしたことで、1階住戸にもバルコニーデッキを作ることができたほか、DINKSをターゲットとしていたため、オートロックや宅配ボックスも設け機能性を高めました。

さらに他物件との差別化を図るため、部屋にはDIY可能な壁面を設け、入居者自らが家に愛着を持てる仕掛けを作りました。また、鉄骨造であることを活かし、ハンモックや観葉植物などを吊るせるよう天井にフックを取り付けています。

全体としては、破れている防水層や外壁の塗装など、建物自体の修繕を必須事項としました。また、オーナーさんが初めて大家になることを考慮し、長い目で見て手がかからない、愛され続ける建物になるよう計画。建物自体はもちろん、まちの景色・雰囲気も変えることができるほか、デザイン次第でグッと惹きつける顔を作れるのも、建物を丸ごとリノベーションするメリットです。

事例3)住宅×アトリエ

築46年の木造在来工法の戸建てを、住居兼奥様の仕事場(アトリエ)にリノベーションしました。
元々はおばあさまが住んでいたこの家に新たに住むのは、孫の奥様とご主人の夫婦。2人の「家を住み継いでいきたい」という想いを受け、既存の良い部分を活かしリノベーションをしました。材料にとてもこだわり、メンテナンスも欠かさず行っていたため、家は漏水やシロアリによる腐食もなく良い状態が保たれていました。

1階に設けたオーダーメイドの花屋を営む奥様のアトリエは、大きな吹抜を作り、開放感ある空間に。花や植物が映えるよう、白を基調とした作りになっています。落ち着いた雰囲気のLDKに加え、キッチンの床下収納だった場所を利用して、秘密基地のようなワークスペースを設けました。2階には各寝室の他、子どもたちが並んで勉強できるスタディスペースもあります。

リノベーション前からあった階段の手摺り、無垢材の寄木木材の床、天井飾りなどは、場所を移して再利用。中でも、和室の壁タイルは漆喰壁に埋め込み、子どもたちの身長を図る目盛にしたほか、あらゆる場所に使われていた模様付きの型ガラスは集めて建具に活用しました。浴室のタイルやサッシ、靴箱などは、そのまま残しています。

中古物件を目にした際は、どんな部分が活かせるかを考えながら部材を見てみるのも良いのではないでしょうか。新しさと古さの両方が兼ね揃う、オンリーワンの併用住宅を作れるかもしれません。なお、耐震基準は当時から大きく変わっているため、耐震補強、耐熱改修の他、サッシを一部入れ替えるなどして、見えない部分の性能も高めました。

併用住宅は特別な選択肢ではない

併用住宅は今後、特別な人のための選択肢ではなく、多くの人にとってより身近な選択肢となるでしょう。しかし、自宅のみをリノベーションするよりも、併用住宅へのリノベーションは初期費用や時間、手間がかかります。
もし賃貸にするとしたら、家賃はいくらに設定すれば良いのか?どこで募集をかけてもらうのか?そもそも融資はしてもらえるのか?疑問は尽きません。

そこでリノベーションのプロの出番です。物件ごとに立地も築年数も異なります。これまで培った経験とプロの視点で、リノベーションを進められるよう柔軟にサポートいたします。

お宅拝見『アトリエと住まい』より

▶︎ https://nokurashi.com/ownersvoice/3033

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