アトリエと住まい
- 所在地:
- 東京都文京区
- 居住者構成:
- 夫婦+子ども1人
- 専有面積:
- 144.64㎡
- 既存建物竣工年:
- 1969年
- リノベーション竣工年:
- 2015年
1階は玄関から続く土間を広めにつくり、吹き抜けにして奥さまのアトリエを併設。土間から小上がりになった階段ホールに面し、水まわりと半地下になったご主人のワークスペースを配置。階段ホールの先にはLDKがある。土間、階段ホール、LDKの間は引き戸で仕切れるが、オープンにすればワンルーム状となる。2階は2つに分けられる広めの子ども室、主寝室と一体となったウォークインクローゼット、アトリエの吹き抜けに面して配置された学習室などがある。
生後1歳8ヶ月の息子さんがいるOさんご夫妻。フラワーアーティストとして活躍する奥さまのアトリエを併設する新居としてリノベーションしたのは、奥さまの祖父から引き継いだ築47年の木造2階建て。花のアトリエと家族の生活空間が一体となった新しい住まいには、既存の家の古き良きディテールが効果的に活かされています。親子4代に渡り大切に継承していく、家への愛情に心が動かされる事例です。
祖父母が材料にこだわり、
腕のいい職人が丁寧につくった家
——以前この家には、奥さまのお祖母さまが住んでいたそうですね。ご夫婦の新居としてリノベーションすることにした経緯を教えてください。
奥さま:この家は47年前に祖父が建てたもので、父の実家ということになります。父が近くに家を建てて、祖母も新しい家に同居することになり、この家は1年半くらい空き家でした。両親とも話し合い、空き家にしておくのはもったいないし、有効に活用していきたいという思いが重なり、私たち夫婦がリノベーションして住み継いでいくことにしたんです。
——奥さまにとっても愛着のある家だったのですか?
奥さま:祖父が材料などにこだわり、腕のいい大工さんに頼んで丁寧につくった家で、祖父母も大切に住み続けていました。落ち着いた雰囲気があって、とても好きでした。今回のリノベーションで解体してスケルトンにしたときも、施工の方に、腐食やカビなどもなく、基礎や構造もしっかりしていると褒められました。
——Oさんご夫妻は、リビタ運営のシェアプレイス「THE SHARE」に住んでいたそうですね。リビタにリノベーションを依頼されたのは、そのときの空間がお好きだったからでしょうか?
奥さま:「THE SHARE」に出会ってリノベーションを知りました。デザイン監修をされた小野司さんとは、住んでいるときにもお話する機会がたくさんあり、仲良くしていただいていました。主人ともども小野さんのセンスがとても好きで、いつか家をつくるなら小野さんに設計してもらおうと決めていたんです。私たちの好きなテイストも分かってくれているし、お伝えした情報以上のことを理解し、想像以上のものを提案してくれました。
花のアトリエと一体となった
家族の生活空間
——リノベーションをされるにあたり、どんな空間にしたいとご希望されたのですか?
奥さま:私がお花の仕事をしているので(編集部注:オーダーメイドの花屋さん MIO flor)、家の一角にアトリエを併設することを希望しました。もともとの間取りが壁で細かく仕切られていたので、できるだけ壁を取って開放的な空間にしたいというのもありましたね。それから、できるだけ既存の家の雰囲気を残したいとお願いしました。
——そして完成したのが、玄関から続く土間を広く取って、アトリエと一体化させたプランですね。アトリエの部分は吹き抜けになっていて、自然光が降り注ぐ気持ちのいい空間です。アトリエとワンルーム状のLDKは、引き戸で仕切られていますが、開け放つと一つの大きな空間として楽しめますね。
奥さま:アトリエではアレンジメントの教室を開く予定なので玄関からつながっていたほうがいいと考えました。吹き抜けの露出した梁には、船舶用の滑車で大きなコウモリランをハンギングしています。LDKと階段ホールの間も引き戸で仕切れるようになっているのですが、気候の良い季節は全部開けて開放的に過ごすことが多いです。階段ホールの隣の半地下になった空間には主人の書斎。2階にはアトリエの吹き抜けに面して子どもの学習室もあります。必要なときは仕切れるけれど、全体がつながっていて、アトリエにいても家族の様子が伝わる間取りになっていますね。
——既存の家で使われていたものを残したり、移設して活かしたりした部分を教えてください。
奥さま:アトリエとLDKを仕切る引き戸には、既存の窓に使われていた型板ガラスを入れています。書斎のところにある手すりは、昔の階段の手すりを流用したもの。スチール製でデザインも凝っているんですよ。階段下には、無垢材の寄木張りの床を移設してアクセントにしました。夜はライトアップできるように照明も埋込んでいます。こちらも既存の廊下の床に使われていたもので、タイルカーペットの下に隠れていたんです。他にも淡いブルーの発色が珍しい浴室のタイル、玄関の下足棚、アプローチの壁の天然石、リビングから見える坪庭などをそのまま流用しています。
祖母も喜んで友達に自慢。 長く住み続け、その先にも継承したい
——何をどう残していくかは、どのように決めていったのですか?
奥さま:この家で長年暮らしていた父から意見をもらい、残す価値のあるものを選んでいきました。どう活かすかは小野さんからアイデアをもらいました。もともと私たち夫婦もアンティークなど古いものが好きなので、既存のパーツが効果的に活かされている空間がとても気に入っています。
——床や建具など新規の部分はダークブラウンが基調になっています。仕上げのテイストも、露出させた既存の柱や梁の雰囲気と合っていますね。
奥さま:床や建具の色合いは、落ち着いた和のテイストを意識しました。もともと持っていた家具も蚤の市などで購入した古いものが多かったので、それらとの相性も考えましたね。壁は少しグレーがかった白で塗装。アトリエと寝室は特別な空間なので、こだわって珪藻土の左官仕上げにしてもらいました。
——既存の部分が魅力的に活かされ、新しい部分と上手く馴染んでいますね。お祖父さま、お祖母さまの家を住み継いでいかれることになり、感じていらっしゃることはありますか?
奥さま:祖父母や両親への感謝しかありません。30代前半という年齢で理想の家をつくることができたのは、すごく幸運なことだと感じています。また、新築では決してつくることができない、味わいのある雰囲気を残せたこともすごく嬉しい。祖母は以前の家がすごく好きだったので、リノベーションをして様変わりしてしまうことを残念に思っているのではないかと感じていたのですが、完成した家を見たときにすごく喜んでくれて、友人を連れてきて自慢していました。その姿を見て本当に良かったなと感じたし、私たちもこれから長い時間をかけて、この家と付きあっていきたと改めて思いました。まだ子どもが1歳半なので気が早いかもしれないけど、できることならずっと住み続けて、子どもにこの家を引き継げたらいいなと思います。
※リビタのSHARE PLACE MAGAZINE 「シェアプレイス卒業生インタビュー」は下記よりご覧ください。
「多様な価値観の住人とつながり、独立への力をもらう」
https://note.com/shareplace/n/nbf622726f208
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