日本の伝統工芸品や和の素材をふんだんに使い、味わいを育てていく暮らし
- 所在地:
- 東京都目黒区
- 居住者構成:
- 大人1人
- 専有面積:
- 55㎡
- 間取り:
- 1LDK
- 既存建物竣工年:
- 1972年
- リノベーション竣工年:
- 2010年
―こちらに住む前は、どのような住居にお住まいでしたか?
Kさん:12年前に購入した江東区の新築マンションで暮らしていました。間取りは2LDKで55㎡程度。賃貸に住み続け、家賃を払っているだけで何も得られないのはもったいないと思って購入したのですが、その頃はまだ中古物件をリノベーションするという方法は一般的ではなく、新築を買う方法しか選択肢が思いつきませんでした。
―家を購入しようと思ったきっかけは何ですか?
Kさん:洋服や小物などが増えて、収納が追いついていかなかったことがきっかけです。もともとファッションが好きで、洋服や小物が多かったので、新築マンションの既存の収納では足りなくなって、寝室の壁に突っ張り棒を設置して、クローゼット代わりにしていました。それなりに気に入って購入した家だったのですが、住んでいるうちに、実家が遠いことや駅の周りに店が少ないことなど不満が出てきて、「この家に住んでいていいのかな?」と思い始め、実家近くのエリアで、なんとなく物件探しを始めました。
―現在の住まいはどのように探したのですか?
Kさん:以前と同じくらいの広さの物件を希望していたので、エリアの相場から新築ではなく、中古マンションが妥当だと考えて、物件探しを始めました。そんなとき、リビタさんの一棟丸ごとリノベーション物件である「リノア多摩川」の情報を知り、参考までに見学に行き、無印良品がプロデュースしたモデルルームを見て「こういうこともできるんだ!」と感銘を受けたんです。それをきっかけに中古物件のリノベーションをすることに決めて、リビタさんに相談し、物件探しの段階からサポートしてもらいました。
―中古を買うことに対する不安はありませんでしたか?
Kさん:リビタの担当の方と一緒に10件以上内見し、いろいろな物件を比較検討して決められたので、納得して選べました。周辺環境、管理やメンテナンスの状態、共用部など、物件を見極めるポイントをいろいろ教えていただけたし、間取りの変更などについても疑問があればすぐに相談できたので、不安はなかったですね。「リノア多摩川」のモデルルームを見て、リノベーションの仕上がりのイメージが分かっていたのも、良かったと思います。
―この住まいを選んだ決め手は?
Kさん:駅から近く、周辺に病院やスーパーなど必要な施設が充実していて、環境が良いことです。駅からの帰り道に立ち寄りたい店があるから、回り道をしなくてもいい。以前は家の周辺に店が少なく、コンビニに立ち寄るために遠回りしたり、道路を渡ったりしなくてはならず、不便だったので、動線に無駄がない環境に住みたかったんです。さらに、この物件は高台にあるため見晴らしが良く、部屋の窓から富士山が見える点も気に入りました。管理人さんが常駐で、メンテナンスがしっかりしていたことも決め手ですね。
―プランのコンセプト、こだわりのポイントを教えてください。
◎暮らしに合わせたスムーズな動線
Kさん:物を収めて快適に住みたいという希望があったので、まずは収納計画が大切でした。持っている洋服や靴、バッグなどがすべて収まるウォークインクローゼットをつくり、生活の動線上にオープンな形で配置することに。いつも目につく場所に物があって、すぐに手に取れるようになっていることがポイントです。押し入れの中に入れてしまうと、結局それは使わないものになってしまうので。
ライフスタイルに合わせて、玄関からキッチンを通りリビングへ続き、リビングから寝室を通り水まわりへと続く、2本の動線があって、回遊できるようになっています。動線上に必要なものを配置しているから、朝起きて、お風呂に入って、洋服を選んで、着替えて、出かけるといった一連の動作がスムーズにできるのです。ベッドの近くに本棚をつくったのも大正解。就寝前や朝の入浴時に読書をすることが多いので、ちょっと本を手に取って、浴室やベッドへ向かうという動きにぴったりの場所で、とても便利です。
◎日本の伝統工芸品を使った壁
Kさん:無垢の床、漆喰の壁のイメージは最初からありましたが、具体的には物件が決まってから、空間がもともと持っている雰囲気を見て、昭和テイスト、日本的なもの、伝統工芸品などを使うといったアイディアが出てきました。和紙にさまざまな装飾を施した江戸からかみは、通常は襖などに使われるものですが、柄がとても美しく、ぜひ壁に使いたいと思っていた素材です。リビタから紹介してもらった設計者さんにもその希望を伝え、一緒にショールームへ行って、秋の草花をモチーフにしたものを選んで、家の中心であるリビングとキッチンの間の壁、寝室の壁に使ってもらいました。少し北欧的な雰囲気もあり、とても気に入っています。塗料の色や紙も選べるようになっていて、いろいろ組み合わせてオーダーできるので、インテリアにも使ってみると楽しいと思いますよ。さらに、寝室とリビングは格子の壁で仕切り、江戸からかみの柄がちらっと透けて見えるようになっています。格子の隙間から差す陽の光で目覚める朝は、最高に気持ちいいです。
◎デザインとしての雪見障子と長押
Kさん:ベランダ側にある大きな窓には雪見障子を設置しました。解体前の部屋にも障子があり、そこからヒントを得たものです。設計者さんと解体前の部屋の床に座って打ち合わせをしていたのですが、居心地が良く、床座りの雰囲気も残したいなということで、新しく雪見障子をオーダーでつくってもらうことに。壁の上部につけた長押も同様に、既存の部屋のイメージからアイディアが生まれました。長押があることで、白い壁面がデザインとして引き締まっているように思います。
◎古材をイメージしたキッチン
Kさん:古材を張り合わせた家具を見て、「その雰囲気がいい」と設計者さんに伝えたところ、イメージが近い素材を探してきてくれたので、キッチンと洗面台の面材として使うことになりました。本来は家具用の面材らしく、存在感があります。キッチンは人工大理石の天板、タイルの壁と合わせ、空間のアクセントとなる家具のようなイメージに仕上がりました。
―引っ越してきてから、変わったことはありますか?
Kさん:日本的なものがますます好きになり、盆栽教室に通い始めました。日本茶が好きなので鉄瓶や器なども集めています。モダンデザインは新品のときが一番良い状態ですが、伝統工芸や和のデザインは、経年変化を楽しみながら育てていくことで味わいが出る。この家に住み始めて、馴染んでいくことの豊かさを実感しています。漆喰の壁はひびが入ることもあるし、無垢の床は日に焼けて色が変わっていくでしょうが、それもまた楽しみのひとつです。
―これからやってみたいことは?
Kさん:壁が多いのでいろいろ楽しめそうだなと思っています。江戸からかみは、飽きたら他の柄に張り替えたいです。数年ごとに新しいものに変えていくのもいいですね。もっと思い切った和のデザインを取り入れてみても面白いかも。いろいろ考えるとワクワクしてきますね。
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