緑と光と多彩な居場所|お宅拝見

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緑と光と多彩な居場所

目 次
  1. 1朝食、身支度、着替えまで、一連の動作がスムーズな動線
  2. 2普段は寝転がって。時にはベッドにもなる。収納も兼ねた造作のソファ
  3. 3差し色のグレーが空間を引き締め、コントラストをやわらかく調和

Mさんご夫妻は、ニュージーランド人のご主人と日本人の奥さまのカップル。日本に住んで15年以上になります。自分たちに合った家に住みたいという思いから、新築からコーポラティブハウスまで、さまざまな家づくりの方法を検討し、中古マンションのリノベーションに辿り着きました。緑に囲まれた80㎡弱の中に、生活に必要な空間をゆったりと配置した住まいは、心地よいたくさんの居場所にあふれています。

緑と光と多彩な居場所

朝食、身支度、着替えまで、
一連の動作がスムーズな動線

——玄関を入ると、リビング、テラス、そして専用庭、さらにお向かいの邸宅の庭まで視線が抜けますね。森のような素晴らしい借景。都内とは思えない緑豊かな環境です。

奥さま:緑に囲まれた雰囲気が気に入ってこのマンションに決めました。専用庭があって南向きなのもいいですね。私はガーデニングが好きなので、庭か広いテラスが欲しかったんです。この環境を活かし、緑や光を室内に取り入れた空間にリノベーションしたいと思いました。広がりがあって、視線を遮らない抜けのある空間というのは最初からの希望でした。

ご主人:LDKの面積自体も広いのですが、それだけではなく、玄関からリビングを介して外の景色までつながる、視界に遮るものがないから広がりを感じるんですね。LDKと玄関の間は木製フレームのガラスの引戸を設け、閉めていても視線が抜けるようになっています。玄関の下足棚なども取っ手などの出っ張りがなく、インターフォンなどの機器もリビング側を避け、キッチン側に設置。ソファも玄関からは見えないようになっています。

緑と光と多彩な居場所
緑と光と多彩な居場所

奥さま:玄関は天井が低めで、リビングは高くなっているので、リビングに入ると一気に視界が開けます。テラス側の窓は枠などのでっぱりをつくらず、壁をふかしてフレームのように美しく設えられているし、キッチンは手元が見えないよう壁が程よい高さで立ち上がっている。自然にテラスやキッチンの出窓へと目線が導かれるように、設計が工夫されているのを感じます。

緑と光と多彩な居場所

——LDKのみならずキッチンやバスルーム、クローク、玄関、トイレなど、それぞれの場所が広くゆったりしていますね。

奥さま:一番使う空間を一番広くしたいという希望がありました。そのため個室は寝室だけで、広さも必要最小限です。その分LDKや他のスペースにゆとりができました。廊下がないのでその分も有効に使えていると思います。動線は無駄がなく、とても快適で生活がしやすいですね。回遊性があり、キッチン、ダイニング、水まわり、クロークがつながっているので、朝の身支度はもちろん、帰宅時に手洗いやうがいをして、クロークで着替えるなどの一連の動作がとてもスムーズ。キッチンのコントロールパネルに家中のスイッチが集約されているのも、使い勝手がいいです。帰宅したらすぐに、照明を調節し、床暖房、給湯、風呂などのスイッチをオンにしてから、洗面室に向かいます。とても合理的に設計されていて、使いづらさがなく、生活する上でのストレスは皆無です。

ご主人:クロークとつながる洗面室とバスルームは、ホテルのような使い心地です。バスルームはガラス張りで明るくて快適。仕上げもラグジュアリな雰囲気で気に入っています。洗面の壁に設置した、丸いミラーも使いやすいですね。

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奥さま:クロークは洋服を収納し、着替えをする場所ですが、アイロンがけができる広さがあり、家事室のようにも使っています。このクロークのような予備の場所があると、ゲストが来たときに、荷物や散らかっているものをとりあえず置いておけていいですね。

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普段は寝転がって。時にはベッドにもなる。
収納も兼ねた造作のソファ

——プランや設計などで、Mさんご夫妻がとくにこだわったところを教えてください。

奥さま:寝転がってくつろげる大きなソファスペースです。ソファはこの空間に合わせて造作してもらいました。クッション部分を外すと座面の下は収納になっていてとても便利なんですよ。お客さまが宿泊するときはベッドとしても使っています。LDKは多彩な居場所があって、いろいろな使い方ができる空間にしたいとリクエストしましたが、その通りになっていますね。ソファ以外のリビングスペースは、クッションや座布団を置くだけなので、その時々でテレビを観たりゲームをしたり、ときには床でゴロゴロしたり、いろいろなシチュエーションで楽しんでいます。この広いスペースをキープするために、床にものを置かないことが我が家のルールになりました。ルンバも使いやすく、労力をかけずにきれいな状態や快適性が保てるというプラスの連鎖を感じています。

緑と光と多彩な居場所

ご主人:一人がキッチンで料理をしているとき、もう一人がソファにいても、料理をしながら目線を合わせて会話ができますし、LDKのどこにいても全体が見渡せるのがいいですね。キッチンは二人で一緒に料理ができるように、作業スペースを広くしてもらいました。コの字型で窓に面していて、明るく日当たりがよく、とても居心地がいい空間です。

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奥さま:主人は料理が上手で、私よりもキッチンに立つ機会が多いので、主人に合わせてスケールが大きめのキッチンになっています。

——キッチンカウンターとダイニングテーブルが一体になっていて、そちらの床は石のようなタイルになっていますね。リビングはフローリングですが、これはあえて違う素材にしたんですか?

奥さま:床の素材を変えることで、ゆるやかにつながりつつも、居心地が切り替わるのではないかと思いました。これも一つの空間の中に、いろいろな居場所を感じる要素になっていますね。

ご主人:石のようなテクスチャーの黒いタイルは、ぜひ使いたいと思っていました。フローリングはチェリーウッドで、明るすぎず暗すぎない落ち着いた色合いをセレクト。これは私たちが以前住んでいたニュージーランドの家の床をイメージしました。

奥さま:ニュージーランドのウェリントンという街に住んでいたのですが、1930年代に建った一戸建てを借りていました。丘の上にあって窓から港が見下ろせて、二人ともとても気に入っていたんです。赤味のある無垢のフローリングは、経年していましたが味わいがあってとても好きでした。今思えば、その家の居心地が私たちの住まい観のベースになっているのかもしれないですね。

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差し色のグレーが空間を引き締め、
コントラストをやわらかく調和

——壁も天井も白ですが、グレーがアクセントカラーになっていますね。LDKの一角にある本棚をつくり付けた壁はペールグリーンです。色はどのように決めていったのですか?

奥さま:私たちはとにかく明るくしたかったので、白をベースにしてほしいとお願いしたのですが、設計者の猪熊さんが、差し色としてグレーを提案してくれました。扉も淡いグレーです。少しグレーを使うことで、空間が引き締まって趣が出たと感じています。手元を隠すために立ち上げたキッチンの壁もグレーですが、黒いタイルの床と白い空間を上手く調和してくれています。全部白だと、黒とのコントラストがつきすぎて浮いてしまっていたかも。空間全体が自然にすっと馴染んでいるように思います。本棚のペールグリーンもご提案いただいた色を「いいですね!」とそのまま採用しました。

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——リビタのリノサポでリノベーションをしてみて、感じたことを教えてください。

ご主人:自分たちに合った暮らしができる家が欲しくて、新築の戸建て、分譲マンション、コーポラティブハウスなども検討しましたが、中古マンションのリノベーションは私たちにとってベストな選択でした。その中でも、リビタのサービスを選んだことで、すべての工程がスムーズに進んだと思います。

奥さま:私たちの好みのテイストを理解してくれる設計者さんをご紹介いただけたことが、とてもよかったと感じています。自分で探して、設計を依頼することは難しかったと思いますね。設計者の猪熊さんからは、プランや仕上げ、造作など、私たちの想像をはるかに超えるものを提案していただきました。猪熊さんからの提案や予算内におさめるための工夫を、話し合っていくうちに自分たちが求めているものが明確になっていったと感じています。予算面についても一つひとつ丁寧に説明があり、透明性があり納得感をもちながら決断ができました。自分たちだけでリノベーションをしていたら、次は何をすればいいかと迷ってばかりだったと想像します。リビタを通し私たちをよく理解してくれるとても良い設計者さんと施工会社さんに出会うことができ、たくさんの工程がありましたが、不安を感じることなく、安心して次へ次へと進めていくことができ、とても楽しい家づくりができました。

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文:村田保子/撮影:古末拓也
取材・撮影:2017年2月
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