多趣味なご夫婦の好きなものに囲まれた暮らし
- 所在地:
- 神奈川県横浜市
- 居住者構成:
- ご夫婦+子ども1人
- 専有面積:
- 79.69㎡
- 間取り:
- 2LDK
- 既存建物竣工年:
- 2003年
- リノベーション竣工年:
- 2022年
玄関を入ると斜めに切り取った広い土間があり、空間が左右に分かれる。ホールを介して右側に子ども部屋と寝室。左側にギャラリーのような通路が続く。通路にはオープンな洗面と水まわりがある。その先にLDKがあり、一角にはガラスの建具で仕切った夫のワークスペース。キッチンの奥のパントリーには妻のワークスペースもある。
6歳の長女を育てる40代前半のKさんご夫婦は、築19年の中古マンションをリビタのリノサポでフルリノベーションしました。無骨すぎないメンズライクな空間をベースに、ご夫婦それぞれのワークスペースや通路の壁につくった棚などを活用し、趣味のアイテムを飾る暮らしを楽しんでいます。多趣味なKさんご夫婦の工夫が詰まった、リノベーションについてお話を聞きました。
趣味を集めた廊下のギャラリーと
夫婦それぞれのワークスペース
――天井が高くて開放的なLDKですね。一角にはコンパクトなガラス張りのスペースがあります。こちらはワークスペースですか?
ご主人 コロナ禍以降は、週3回ほどリモートワークになったので、ワークスペースをつくることを希望しました。ここはもともと押入れだった場所で、ちょうどいい広さだったので、そのまま私のワークスペースにしてもらいました。コンパクトなのですが建具がガラスなので、開放感があり、狭く感じたことはありません。むしろ集中できる感じで気に入っています。
――キッチンの奥にパントリーがあり、そこには奥さまのワークスペースもあるのですね?
奥さま 器が好きで収集してしまうため、その収納場所としてもパントリーは優先順位が高かったです。私のワークスペースはできればという感じでお願いしたのですが、パントリーと一体化してつくれることになり、すごく嬉しかったです。趣味で絵を描く際のアトリエのような感じで使っていることが多いです。
――ご夫婦ともに自分のスペースがあって、それぞれに好きなものに囲まれた場所になっているのですね。
ご主人 二人とも趣味が多いので各々の専用スペースがつくれてよかったと思います。私のワークスペースも三面の壁を天井まで続く棚で囲んでもらい、仕事の資料とともに、小学生の頃から集めている「レゴ」や、フィギュアなどを飾って楽しんでいます。ほとんどの時間、家族三人でLDKにいることが多いですが、長女が就寝後は、夫婦がそれぞれのワークスペースにこもって、仕事をしたり趣味を楽しんだりすることもあります。
――玄関からLDKに続く廊下にも、漫画やフィギュアが並んでいてギャラリーのようですね。
ご主人 ここが夫婦共通の趣味の漫画やフィギュア、アートなどを飾るスペースになっています。すぐに取り出せて、いつも眺められる場所に漫画を収納するスペースが欲しかったので、奥行き10cmの棚を造作してもらいました。玄関の壁に掛けてある自転車は、私の趣味のひとつであるロードバイクです。そして、キャンプも家族みんなで楽しむ趣味のひとつですが、キャンプ道具はすべて玄関で荷捌きをしたり、収納をしたかったので、玄関の土間はできるだけ広くしてもらい、ここで自転車のメンテナンスなども行っています。
――土間をかなり広くとることに奥さまは抵抗なかったのでしょうか?
奥さま 土間と玄関の床が斜めに区切られているのは視覚的に広さを感じ、面白いと思いました。キャンプ道具の収納や出し入れがしやすく、土間を広く使える仕掛けの一つになっていますね。家族三人で並んで靴を脱ぎ履きできるし、出かけるときや帰宅時もスムーズでストレスフリーです。
無骨すぎないさじ加減で、
メンズライクな「大人リノベ」
――落ち着いたテイストの仕上げに、アートや雑貨、ご趣味のアイテムなどを飾り、センスを活かしたインテリアになっていますね。内装の仕上げや設備などはどのように決めていったのですか?
奥さま メンズライクで無骨さのあるテイストが好きなのですが、コンクリートの打ちっぱなしは、私たちには若すぎるという感覚でした。だから天井は躯体を現しにしますが、白く塗装して仕上げるなど、絶妙なさじ加減で大人っぽいリノベーションになっていると思います。そのあたりのテイストは、設計者の「itoma design」の勝又みづきさんが、私たちの言葉や好みのインテリアを集めた写真などから、非常にバランス良く的確に読み取ってくれました。それほど詳しく説明しなくても、「ずばりそれを求めていました!」というようなサンプルをご提案いただき、とてもスムーズに決まったと思います。
ご主人 でも、すごく細かいところではかなり悩みました。天井を現しにして白く塗装することはすぐに決まったけれど、ダクトレールを黒にするか白にするかは最後まで悩み、勝又さんからの助言もあって白にしました。壁を薄いグレーにして巾木を白にするなど、ディテールのバランスなどもこだわったところです。
――ステンレスのオープンキッチン、質感のあるタイルなども、メンズライクな「大人リノベ」という感じがします。
ご主人 私が料理好きで、キッチンは業務用の厨房のような雰囲気にしたいとイメージしていたのです。予算的に難しいラインでしたが、サイズ的にも既製品の規格では合わなかったこともあり、ステンレスで造作。天板は使いやすさも考慮してシーザーストーンという人造大理石を採用しました。吊戸棚もなしで、すっきりとオープンにしたいという希望も叶い、とても満足しています。収納もたっぷりありますし、ダイニング側も浅めの棚になっていて、マグカップやグラスを収納するのに便利です。
――LDKに飾っているアートや雑貨、植物はどのようなものですか?
奥さま LDKに飾っているのは、鈴木マサルさんというテキスタイルデザイナーの作品です。アートを飾りたかったので、あらかじめ壁にピクチャーレールをつくり付けてもらいました。棚に飾っているのは、フィンランドの木製マトリョーシカなど北欧の作家もの、日本の民藝など。フィギュアも好きなのですが、LDKには持ち込まず廊下の棚に留め、LDKにはできるだけインテリア性の高いものを選んで飾るようにしています。
ご主人 この家に引っ越してきてからは日当たりが良いので園芸が新たな趣味に加わりました。ダクトレールにはパーツを付ければ、植物を吊るせるので、どんどん増えています。
――娘さんの部屋には、可愛らしい柄の壁紙が使われていますね。
奥さま これは勝又さんに教えてもらった可愛い壁紙を揃えているサイトから、娘に好きなものを選んでもらいました。任せて大丈夫かな?と思ったのですが、ベッドのシーツやカーテンなども自分で決めて、意外とまとまった空間になっていて感心しています。
生活動線、家事効率を考えた、
オープンな洗面と機能的な脱衣室
――玄関のすぐ隣にオープンな洗面があり、脱衣室には作業台にもなるカウンターや室内干し用のパイプハンガーが設置され、家事室のようになっていますね。生活動線や家事効率なども意識されましたか?
ご主人 コロナ禍でもあり、帰宅後すぐに手を洗えるように、洗面は脱衣室の中ではなく玄関からLDKに向かう動線上につくったほうが機能的だと考えました。実際に暮らしはじめてみて、帰宅時のうがいや手洗いもスムーズです。朝の支度で忙しい時間帯に家族三人で使っても窮屈感がなく、使いやすいと感じています。
奥さま 我が家では洗濯後の下着類やタオルは基本的に乾燥機をかけて、乾燥機からそのまま脱衣室のラックに収納しています。そのために洗濯物をたたむカウンターをつくってもらいました。ここでシャツのアイロンもかけています。パイプハンガーは乾燥機にかけられない衣類用に、2列分設置してもらいました。浴室乾燥機をつけなかったので、脱衣室に吊るして除湿機をかけて乾燥させています。このパイプハンガーも利用頻度が高く、とても便利。2列分つくってよかったと感じています。共働きで忙しいこともあり、洗濯や衣類の仕分けなどを効率的にできるように、空間の使い方をイメージしながら考えていきました。
――中古物件を購入して、フルリノベーションをしてみて感じたことを教えてください。
奥さま 私たちは既製品で満足できるタイプではないから、間取りや仕上げを一つひとつ自分たちの暮らしに合わせてつくっていけるフルリノベーションという方法は、とてもフィットしていたと思います。40代に入りライフスタイルが確立してからの家づくりだったこともあり、今までの住まいで「こうだったらいいな」と感じていた経験や、友人たちの家づくりなどを見てきて、理想的な空間のデータをたくさんインプットしていたことも役立ちました。
ご主人 戸建てを新築でつくることにも憧れますが、自由すぎて大変な部分もあると思うのです。リノベーションは、ある一定の制限のなかで自由に暮らしをつくるというスタイル。それが今の自分たちにとってはベストだったと感じました。
――最後に担当コンサルタント(飯田勇人:上記写真左)も交えてお話をお聞きします。今回の家づくりについて、どんなふうに感じましたか?
飯田 設計者の「itoma design」の勝又みづきさんをご提案した段階から、これは上手くいきそうだなと感じていました。お打ち合わせでもお話が盛り上がり、楽しんでリノベーションに取り組んでいただけたと感じています。Kさまご夫妻は、ご希望が明確で曖昧なところがないので、ご決断も素早くしていただき助かりました。私だけではなく、設計者、施工者ともにとても進めやすかったのではないかと思います。
ご主人 リノベーションの設計などのプロセスは楽しかったのですが、物件購入や住宅ローンなどの手続きは分からないことだらけで、難しく感じた局面もありました。そんなときも飯田さんのサポートがあり、多くの手間と労力がかかる部分をお任せできたと感じています。プロセスの中で100項目以上あるチェックシートの確認を一緒にしたことも印象的でした。
飯田 このチェックリストは、今までリビタが経験してきた現場での抜けや漏れが起きそうなポイントを集めて作成したものです。たくさんの項目を確認していただくのは大変ですが、お客さまにとっては大きなメリットになると感じています。
ご主人 いろいろなことが同時進行するなかで、どうしても抜けや漏れが出てきますからね。見過ごしていたら後々大変になることや、施主が気づかないような細やかな配慮を感じる項目が多く、それをリストとしてしっかり確認できたことで、より安心して家づくりを進めることができました。