L型ステンレスキッチンと回遊動線|お宅拝見

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L型ステンレスキッチンと回遊動線

目 次
  1. 1シンクや家電が両側から使える無駄なく機能的なL型キッチン
  2. 2キッチンから水まわりへと続く、行き止まりのない回遊動線
  3. 3棚や収納の設計は想定しすぎず、使いながら自分流にアレンジ

ご夫婦と4歳の娘さんが暮らすF邸は、築33年、約66㎡の中古マンションをリノベーションした住まい。飲食店で調理の経験もある奥さまは料理が好きで、その腕はプロ級。月に1〜2回は友人たちが集まり、奥さまの料理でもてなします。業務用を参考にしたL型キッチンを中心に、水まわりへと通り抜けができ、リビングダイニングへと回遊できる動線が特徴で、4歳の娘さんや遊びに来た子どもたちも元気に走りまわっているそうです。こだわりのキッチンや家づくりについて詳しくお話を聞きました。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

シンクや家電が両側から使える
無駄なく機能的なL型キッチン

——L型の大きなキッチンを中心に、水まわりからリビングダイニングまで回遊できる行き止まりのないプランですね。キッチンは面積も広く存在感がありますが、こだわりを教えてください。

奥さま 自分が思い描く通りのキッチンをつくってみたいというのがリノベーションの最大のテーマでした。月に1〜2回は友人たちを招き、料理でもてなすのが好きなので、ゲストも一緒に料理したり作業したりできる広いキッチンがいいなと。一般的なアイランドキッチンでは足りないくらいで、業務用の厨房のようなキッチンをつくりたいと考えていました。実は飲食店の厨房で調理をしていた経験があり、業務用の厨房には機能的なメリットが多いと感じていて、いろいろと参考にしたのです。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

——具体的にはどのようなところを参考にしたのですか?

奥さま 素材はオールステンレスです。熱いものを直接置けるし、掃除もしやすい。手前につけたバーはいろいろなものを引っかけられ、作業中にもたれかかることもできます。シンクの上には重い鍋やフライパンなども置けるステンレスの吊り棚もつくり付けました。鍋などは洗った後に吊り棚に置き、乾燥させています。それから、シンクのふちに段差を付けて水切れをよくして、ダイニング側のシンクのふちを広めに設け、つくった料理を置けるようにしたのもこだわり。水栓は180度回転できる製品を選び、キッチン側とダイニング側の両方から使えるようにするなど、こうだったらいいのにという希望を一つひとつ形にしました。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

——L型のキッチンにしたのは広さが必要だったからですか?

奥さま それもありますが、L型は無駄がなく、周囲に人が集まるようなキッチンをつくるには最適だと考えました。コーナーの部分は、オーブントースターやミキサーなど毎日使う家電を置く場所にしています。オーブントースターもキッチン側とダイニング側の両側から使えて便利です。また、コーナーの下の部分は水栓の配管が入っていて、デッドスペースにすることなく有効に使えています。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

——ご主人も一緒に料理をするのですか?

ご主人 パスタ料理は得意でつくることもありますが、普段の料理はほとんど妻に任せています。ものが収まるべき場所に無駄なく収まっている様子や、両側から水栓やオーブントースターが使えるなど、デザインと使い勝手を両立し、機能美を感じるキッチンは私も気に入っています。食後に食器をシンクのふちに下げて、シンクで洗うという動作もスムーズです。また、友人が集まった時には、食後にシンクを囲んで皆で食器を洗うことも。キッチンがさらに深いコミュニケーションを生み出す場になっているように感じています。

L型ステンレスキッチンと回遊動線
L型ステンレスキッチンと回遊動線
L型ステンレスキッチンと回遊動線

キッチンから水まわりへと続く、
行き止まりのない回遊動線

——キッチンから水まわりへの回遊動線をはじめ、玄関脇の収納のロフト、リビングの小上がりなど、間取りや立体的な空間の使い方も特徴的ですね。

ご主人 LDKはできるだけ広くしたかったことと、キッチンにはこだわりがあったのですが、間取りについては、設計者のアラキ+ササキアーキテクツからの提案をもとに決めていきました。キッチンから水まわりへの回遊動線をポイントとして、梁や配管の位置なども考慮しながらキッチンやトイレの位置が決まって、自然とこの間取りが導かれた感じです。友人の子どもたちが集まることも多いのですが、かけっこができる行き止まりのない空間を楽しんでくれています。玄関側にあるロフトを設置した収納は、将来は子ども室になる予定です。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

奥さま 実際に住んでみて、この回遊動線はすごく便利だなと感じています。どちらからも出入りできるのが快適だし、たくさんの人が行き来する時にもぶつかることがありません。洗面は動線上にあり、オープンなのですが、いつも見えているからきれいにキープすることを心掛けるようになり、気持ちよく使えています。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

ご主人 小上がりは前の家に畳があって便利だったので、畳が欲しいと希望していたところ、この小上がりを提案してもらいました。娘がよくここで遊んでいます。人が集まった時も何人でも座れるので便利ですね。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

——仕上げの素材や意匠などについては、どのように選びましたか?

ご主人 日本の古道具やイギリスのヴィンテージなど、木の家具が多いので、それらをベースに相性のよいものを選んでいます。素材は木、ステンレスが中心で、色は白、グレー、黒などのモノトーン系。一番こだわったのはフローリングですね。床暖房に対応した店舗用の幅広のフローリングを選びました。素足で触れても気持ちいいし、傷がついても気にならないラフな質感が気に入っています。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

奥さま あまりピカピカのものは好きではないので、キッチンのステンレスもヘアライン仕上げを選びました。こちらも傷がついても気にならない質感です。キッチンのタイルは少し遊びたいなと思って、六角形のモザイクタイルを選びました。それでも、アクセントというよりは、木の色に馴染む赤茶色を選んで馴染ませています。

L型ステンレスキッチンと回遊動線
L型ステンレスキッチンと回遊動線

棚や収納の設計は想定しすぎず、
使いながら自分流にアレンジ

——キッチンを中心に、物の収納もしっかり考えられていると感じましたが、キッチン収納や棚などは物に合わせて設計されているのですか?

奥さま キッチンツールは基本的に、引っかける、挟む、ぶら下げる、磁石などにくっつけるといった収納で、すぐに使える見える場所に置いています。食器が好きで、旅先でも窯元などを訪ね、いつも買って帰ってきて、数がすごく多いのですが、使い方に合わせて収納する場所をつくってもらいました。日常使いのものはオープンな棚に、グラスや小皿などはリビング側から取り出せる引き出しにといった具合です。少しでも収納を増やしたかったので、食洗機は入れずに食器は手で洗うことにしました。鍋やフライパンなど大きめの調理器具が多く、調理しながら手で洗えるほうが私のスタイルに合っているので、これでよかったと思っています。シンク前のタイルは床暖房も入っているので、食器洗いのストレスもありません。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

ご主人 面積がそれほど広いわけではありませんが、玄関側や寝室にも収納がありますし、小上がりの下も全部収納で、スペースはたっぷりありますね。

——物が少ないわけではないと思いますが、整理整頓がされていて使いやすそうだなと感じます。収納の仕方などのコツはありますか?

奥さま 空いている場所を2〜3割りは残しておくと片づけやすいと思います。シンクの背面、トイレがある壁のところに木の棚を造作してもらったのですが、普段はここには何も置かず、いただいたものや、買ってきたパン、果物などを一時的に置くスペースにしています。あと、棚をつくるときにあまり細かく想定しすぎず、仕切りも最小限にして、つくり込みすぎないようにしました。決め切ってしまうと後で調整ができません。使いながらしまう場所を決めて、自分が使いやすいようにアレンジしていく収納が好みですね。

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——最後にリノベーションをしてみて、またリビタのリノサポのサービスを使ってみていかがでしたか?

ご主人 リノベーションは、予算の決め方が難しいと感じました。まだ詳しく決まっていない状態で、物件費用とリノベ費用を含めた住宅ローンの概算を決定しなくてはならないので、感覚がわからない部分も。概算を決めた後、最初にプランを提案してもらった時は予算オーバーになってしまい、細かいところを調整して予算内に収めることが必要でした。でも、玄関の下足棚などはアラキ+ササキアーキテクツにも手伝ってもらい、後からDIYでつくるなど、調整の仕方も工夫して提案してくれたので、必要なものは削ることなくリノベーションをすることができました。

L型ステンレスキッチンと回遊動線

奥さま 物件を自分たちで探しながら、リビタにも相談を進めていたので、私たちの希望を早い段階から共有できていたと思います。物件選びやローンの手続き、設計、施工と、いろいろな立場の方が関わる家づくりのプロセスで、リビタのコンサルタントが、常にフラットな立場でアドバイスや意見を積極的に提供してくれたことがよかったです。私たちが見えていない部分の細かい手続きなども丁寧に対応してくれたと感じています。コンサルタントにどんなことでも相談したり聞いたりできる環境があり、不透明な部分がなく、ストレスなども感じることなく理想的なリノベーションができました。

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文:村田保子/撮影:古末拓也
取材・撮影:2019年11月
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