ファミリークローゼットで暮らしを快適にリノベーション事例から考える間取りのアイデア|住まいのヒント

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住まいのヒント

ファミリークローゼットで暮らしを快適に
リノベーション事例から考える間取りのアイデア

目 次
  1. 1ファミリークローゼットとは?
  2. 2ファミリークローゼットが暮らしにもたらすメリット
  3. 3ファミリークローゼットのデメリットと注意点
  4. 4目的別|ファミリークローゼットを取り入れたリノベーション事例
  5. 5ファミリークローゼットを取り入れる上でのポイント
  6. 6暮らしに寄り添うファミリークローゼットを目指して

近年リノベーション界隈でもよく耳にする「ファミリークローゼット」。子育て世帯を中心に人気なファミリークローゼットはどのようなものなのでしょうか。通常の収納スペースとの違いや形タイプといった基本情報から、取り入れるメリット・デメリット、さらにはファミリークローゼットを活用して暮らしを豊かにされたリノベーション事例までを見ていきましょう。

ファミリークローゼットとは?

ファミリークローゼットとは、その名の通り「家族のための収納スペース」のことで、ファミリークロークと呼ばれることもあります。一般的なクローゼットは各部屋に付いており、個人の荷物をそれぞれ収納することを目的としていますが、ファミリークローゼットは家族の荷物をまとめて収納することを指します。衣類だけを収納するパターンから、帽子やバッグ、小物類、日用品などまとめて収納するパターンまで幅広く決められるのが特徴のひとつ。家族みんなのバックヤードとして柔軟に使えるのが魅力です。

ファミリークローゼットには豊富なタイプや形があります。家族の構成や居住面積、荷物量によって最適なスタイルを選んでみるのが良さそうです。

(左から)I型・Ⅱ型・L型U型

<種類タイプについて>

クローゼットのタイプは主に2種類です。ひとつ目のウォークインタイプは、出入り口がひとつのクローゼットのこと。開口部がない分物を置ける面積が多いため、物置部屋としての活用がしやすく、鍵付きのドアを使用すれば中で着替えもできるなど、プライバシーの確保をしやすいのが特徴です。
ふたつ目はクローゼットを通り抜けることができるウォークスルータイプ。こちらは出入り口が2ヶ所以上あり、収納スペースのほかに通路としての役割を併せ持つため、回遊性を高める効果も期待できます。一方、ドアを2つ以上設けなければならないため、ウォークインタイプと比較して収納力は低くなる傾向にあります。

<形について>

クローゼットの形は主に4種類。片面に収納スペースがあるI型、両サイドに収納スペースがあるⅡ型、L字に収納スペースがあるL型、そして三方向に収納スペースがあるU型が挙げられます。

ファミリークローゼットが暮らしにもたらすメリット

整理整頓に役立ったり、通路として回遊性を高めたり、ファミリークローゼットの利点はさまざま。ここでは3つのポイントに絞って具体的なメリットをご紹介します。

・家事効率や生活動線での効率アップ
荷物をまとめて収納するファミリークローゼットは掃除や洗濯といった家事の効率アップに貢献します。例えばランドリールームのそばにクローゼットを設置すれば、洗濯から乾燥、収納まで一貫して片付くのが魅力です。さらに家事をこなしながら在宅で仕事をする人は、クローゼットで家事部屋と仕事部屋を繋ぐというアイデアもあります。
ウォークスルータイプなら生活動線の効率化も図れます。玄関のシューズクロークの隣にクローゼットを設置すれば、帰宅時に履物を収納し、そのままカバンや衣類をクローゼットに片付けて手ぶらの状態でリビングへ入室できます。家族で集まるスペースに不要な荷物を持ち込むことなく、さらには花粉や汚れなどもシャットアウトできて一石二鳥です。
複数の生活動線をクローゼットに備えれば、朝の忙しい時間帯の渋滞を緩和する効果も。家族や生活スタイルによっては、スムーズな日常をサポートする要素にもなりえるでしょう。

・家を綺麗に保てる
忙しい日常生活を送っていると、いつの間にか部屋やリビングに衣類が散らばってしまうことも。ファミリークローゼットなら1ヶ所に荷物を集められるため、各部屋で収納する場合よりも散らかりづらい傾向にあります。もし散らかってしまったとしても片付けが容易なのもポイントです。場所もわかりやすいため子どもにも手伝ってもらいやすく、家族全体で整理整頓を心がけられるでしょう。

・個別クローゼットより面積効率が良い
ファミリークローゼットは住まい全体の面積効率の向上も期待できます。各部屋に収納スペースを設けるようなスタイルと比べて、ファミリークローゼットは1ヶ所に荷物を収納するため、各部屋の収納スペースの縮小につながります。余ったスペースは個人の空間として有効活用できるため、プライベートな居室の居心地もアップできます。

ファミリークローゼットのデメリットと注意点

一方、ファミリークローゼットにはデメリットや注意点もあります。設置後に後悔しないよう事前にポイントを確認していきましょう。

・十分なスペースが必要
実際に収納する荷物を集めてみると、想像以上に広いスペースが必要になるものです。
例えばシューズクロークと併設して外出着やコート、バッグを中心に収納する場合は1〜2畳程度、ランドリールームと併設して衣類やタオル類を収納する場合は2畳程度、着替えスペースを兼用し衣類を収納する場合は3~4畳が必要だといわれています。
さらに動線を考慮すると、リビングダイニングなどの家族共有のスペースと同じ階に設置することが多く、クローゼットを広くしてしまうとリビングが狭くなってしまうなど、兼ね合いが難しいケースもあります。

・プライバシーが確保しづらい
家族全員分の衣類や荷物を収納するファミリークローゼットは、プライバシーを確保しづらいことがデメリットとも言えるでしょう。特に思春期を迎えた子どもにとっては負担に感じる可能性もあります。
最初は家族全員で利用するクローゼットであっても、ライフステージの変化に合わせて使い方を変えるのがおすすめです。見られたくないものの収納スペースについては、各部屋で確保できるように検討しておきましょう。

・湿気や臭い対策が必要
クローゼットは全般的に空気が滞りやすいため、湿気や臭いがこもらないよう対策が必要です。湿度の高い状態で放置すると、カビが生えて衣類や荷物がダメージを受けることもあります。
換気扇を設置したりサーキュレーターで空気を循環させたりするなど工夫をしてみましょう。調湿効果のある壁紙を使うのも効果的です。

目的別|ファミリークローゼットを取り入れたリノベーション事例

収納機能にプラスして、生活をより豊かにしてくれるのがファミリークローゼットの最大の魅力です。ここでは4つの切り口からリノベーション事例を紹介します。

目的①家事効率をアップ! すっきりとした生活動線を叶える収納

リビングを常にすっきりと保ちたい人にぴったりの間取りがこちらです。

【2020年版】コミュニケーションから考える、キッチンのつくり方
お宅拝見「美しい収納と色選びのコツ」より

効率的な動線を担うのは、玄関、洗面室、寝室の3方向につながるウォークスルークローゼット。帰宅したらクローゼットで着替え、洗面室で手洗いうがいをしてからリビングへ入るルーティーンが自然と成立します。予めクローゼットに荷物も置けるため、不要なものをリビングに持ち込まずに済むのがポイントです。

間取り図(after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都新宿区
居住者構成:夫婦+子ども2人
専有面積:95㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:2002年
リノベーション竣工年:2015年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/2569
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毎朝の慌ただしい時間帯でも、効率よく身支度できるように配置されたクローゼットのある事例も。

お宅拝見「猫との暮らしとストレスフリーの回遊動線」より
お宅拝見「猫との暮らしとストレスフリーの回遊動線」より

寝室・ウォークスルークローゼット・水回りを3本の生活動線によって、何通りにも回遊できる構造となっています。ウォークスルータイプのクローゼットは手持ちのワードローブに合わせて下着、トップス、ボトムス、ジャケット・アウター、バッグの順番で収納ができるように配置場所をアレンジ。クローゼットの中で着替えながら進めば、自然と出かける準備が整う仕組みになっています。
帰宅時は朝とは逆方向に進みながら、アウターやバッグを定位置に収納すればストレスなくおうちモードへと切り替え完了。忙しい生活に寄り添う効率的な間取りです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都渋谷区
居住者構成:シングル+猫4匹
専有面積:117.06㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1733
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目的②メリハリで室内を綺麗にキープ。玄関土間を活用した収納

屋外で使う遊具や園芸用品、濡れたしまった雨具など、室内に持ち込みたくないアイテムの収納に役立つのが玄関と土間を活用したファミリークローゼットです。

お宅拝見「多機能LDKと2回目の家づくり」より
お宅拝見「多機能LDKと2回目の家づくり」より

広々とした玄関には収納に加えて小物を置ける台、ベンチなど細かい部分までこだわったという間取り。L字型の土間となっており、効率的に空間を使えるよう工夫されています。

こちらの事例では、玄関+土間収納のほかに、大型のウォークインクローゼットを間取りの中央に設置しました。メリハリのある収納を心がけたいという要望に応え、バックヤードとしてファミリークローゼットを設置。「プライベートな空間はものを出しておいてもOK。一方、共有スペースには私物を持ち出さない」という家族の方針を汲み取った作りとなっています。

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<リノベーションデータ>
所在地:千葉県浦安市
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:96.71㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1982年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/6331
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ロフトを設置したユニークな事例も見てみましょう。

お宅拝見「L型ステンレスキッチンと回遊動線」より

LDKをなるべく広く設けたいこと、キッチンにこだわりがあることの2点を設計者に伝え、レイアウトをブラッシュアップしていきました。キッチン〜水回りの回遊動線を考慮し配置していった結果、自然と間取りが決まっていったそうです。

間取り図(before→after)

広々とした玄関+土間の収納スペースにロフトを設置。限られた空間を無駄なく活用しています。将来的にはロフトを子ども部屋として利用することも考えているそうです。現在は回遊性の高い空間でのびのびと子どもたちが駆け回り、誰にとっても快適な住まいに。現在から未来までを見据えた間取りの一例です。

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都大田区
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:66.46㎡
間取り:1LDK
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1008
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目的③アイテムを分類してきっちりと整理整頓。取り出しやすさを重視した収納

ファミリークローゼットで大切なのは、収納したいアイテムを具体的にイメージしておくことです。「限られたスペースの中でいかに分かりやすく収納するか」をモットーに、分類・整理したというファミリークローゼットのある事例がこちらです。

お宅拝見「有機と無機の心地よいリズム」より

服やカバン、帽子、アクセサリーなど収納するもののサイズと量を徹底的に調べ、ジャンルごとに分類して収納場所を定めました。さらには寝室の窓から換気できるような位置にレイアウトすることで、湿気や臭いが籠もらない工夫もしています。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都世田谷区
居住者構成:夫婦
専有面積:81.88㎡
間取り:LDK+セカンドリビング+寝室+WIC
既存建物竣工年:1986年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/2635
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目的④ギャラリーのように好きなものを飾る。あえて “魅せる”収納

こちらはワークスペースとクローゼットを併設させた事例です。アパレル関係の仕事に携わる方の住まいで「服と良い関係を築きたい」という想いから、特別な空間を作り上げました。

お宅拝見「165㎡超の空間とふたつのクローゼット」より
お宅拝見「165㎡超の空間とふたつのクローゼット」より

スキップフロアのマンションで、住まいの中心に2つのクローゼットを備えた間取りとなっています。ワークスペースには、お気に入りの洋服を並べて“魅せる”クローゼットを。その隣には、もうひとつのウォークスルークローゼットをレイアウト。寝室と水回りにもつながるウォークスルータイプで、行き止まりをなくした回遊動線にもなっています。見せる収納と隠す収納の2つのクローゼットを持つことで、好きなアイテムに囲まれる暮らしの楽しみ方も叶えます。

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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県川崎市
居住者構成:夫婦
専有面積:165.10㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1986年
リノベーション竣工年:2020年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/571
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ファミリークローゼットを取り入れる上でのポイント

1.自分の暮らし方にあう間取り・位置・動線を検討する
まずは、ファミリークローゼットの目的を明確にしておくことが大切です。収納しながら生活動線の効率化を図りたいのであれば、レイアウトする位置や形が重要となります。空間全体を俯瞰し、クローゼットの目的に合った間取りや位置、動線を検討してみましょう。

2.収納する物の量を把握する
ファミリークローゼットに収納する物の量を把握することが大切です。設置後に「入りきらなかった」や「入ったけれど、想定していた動線がうまく機能しない」ということにならないよう、具体的に収納したい荷物の量を知っておきましょう。
また衣類だけを収納するのか、それともかばんや帽子まで収納するのか、さらには季節ものや日用品を収納するのかで、必要な面積は変わってきます。荷物量と実面積を比較して、ベストな広さを検討しましょう。

3.将来的な使い方も考慮する
特に子育て世帯は注意したいポイントです。幼少期から児童期、そして青年期へ移り変わるにつれて、親と子どもの距離感は変化していきます。フレキシブルに変更できるような余地を残して、ライフステージに合わせた適切な使い方ができるように心がけてみましょう。

暮らしに寄り添うファミリークローゼットを目指して

今回はさまざまなファミリークローゼットに焦点を当ててきました。リノベーション事例から分かるように、ひとつとして同じクローゼットはありません。収納力を上げる、生活動線をよりアップさせる、さらにはギャラリーのように飾って収納する、など目的は家族によって異なります。大切なのは、ライフスタイルや要望に応じて、将来を見据えながら作っていくことです。現在と未来をじっくりと考えながら、自分らしいファミリークローゼットのある住まいを思い描いてみませんか。

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