有機と無機の心地よいリズム|お宅拝見

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有機と無機の心地よいリズム

目 次
  1. 1異なる居心地と過ごし方を楽しむふたつのリビング
  2. 2暮らしにゆとりを生むための「仕掛け」
  3. 3せっかく家を持つなら、自分たちにぴったりの空間にしたい

「自分たちの暮らしに合わせて好きな空間をつくれるから」という理由で中古マンション購入を選んだOさんご夫妻。自分たちの暮らしにとって大事なものと心地のいいものを重視してリノベーションしたお住まいは、リラックスとアクティブの両方が楽しめる贅沢な空間に。グリーンが映える空間で、おふたりが住まいづくりに込めた思いについて話を聞きました。

有機と無機の心地よいリズム

異なる居心地と過ごし方を楽しむふたつのリビング

ーーO邸は、寝室を中心にふたつのリビングがあるユニークな間取りです。こうした間取りになった理由を教えてください。

ご主人:もともとの間取りは2LDKでした。リノベーションのプランを検討中に、今の寝室を囲む室内壁がコンクリート製で壊せないことがわかり、その壁を残しつつできるプランを検討してもらいました。夫婦ともに背が高いので天井高をなるべく確保したかったのですが、水回りを移動すると配管のために床が高くなる可能性があるということで、水回りの位置はそのままで、クローズド型だったキッチンをオープンキッチンにして、洗面や浴室も設備と内装を一新しました。

有機と無機の心地よいリズム
打放し、斜めに板が貼られた壁、モルタルと無機・有機・無機のリズムがあるセカンドリビング。スチールの格子戸の先は玄関

ーーふたつのリビングは、どのように使い分けているのですか?

ご主人:LDKは、リラックスして過ごせることを重視して空間づくりをしました。セカンドリビングは、自転車のメンテナンスをしたり、ギター演奏をしたり、映画を見たり、書道をしたりといった、趣味のアクティビティを楽しむための場所です。僕は、平日が仕事で忙しく、以前は家にいる時間の8割がソファの上という状態で(笑)。くつろぎたい気持ちもあるけど、もっと休日を有効活用するために、家の中にいても趣味の活動ができるような場が欲しかったです。

ーー過ごし方が異なるので、インテリアの雰囲気も異なっているのですね。

ご主人:セカンドリビングを土間にしたのは、僕のリクエストでした。斜めの板貼りの壁は、遊びに来た人みんなが絶賛してくれます。「この空間、もったいなくない?」と言う人もいますが、そうした「余白を楽しむ」ことも、家づくりのテーマのひとつでした。

有機と無機の心地よいリズム
板壁側から反対方向を見る。こちら側は、上から打放し、塗りの壁、タイル、フローリングと、違う素材でリズムが

ーー空間づくりはどのように進めたのですか?

奥さま:設計は、リビタの『リノサポ』の紹介で出会った、キャンプサイトの勝又みづきさんにお願いしました。何人かご紹介していただいた中で、デザインテイストが一番好みだったのが勝又さんでした。最初の打ち合わせには、自分たちでつくったファイルを持って行きました。

ご主人: 家づくりをするにあたり、暮らしの中で大切にしたいことをキーワードとして抽出して、マインドマップにしました。デザインテイストについても、さまざまなインテリア事例写真に、好きなポイントや好きではないポイント、自分たちならこうしたいといったコメントを書き添えたシートと一緒にファイルにしました。

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Oさんご夫妻が作成したファイル。空間づくりの大きな指針になったと言います

ーーファイルを拝見すると、キーワードだけでなく、具体的なビジュアルを例に何が良くて何が嫌なのか説明されているので、設計者さんはニュアンスが汲み取りやすそうです。

ご主人: ファイルを見た勝又さんが導いてくれたのが、『有機と無機の融合』というテーマでした。そのテーマをもとに、彩度とコントラストを抑えつつ、素材感でメリハリをつけたインテリアづくりが進みました。

奥さま: 壁や床、造作部分などの材質や色は「グリーンが映える」ということと、「時間帯や季節によって見え方が変わる」ような素材を選びました。

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暮らしにゆとりを生むための「仕掛け」

ーー家のあらゆるところにグリーンが飾られています。小物の飾り方にも、とてもセンスを感じます。

奥さま: 私はインテリアグリーンが趣味なのですが、グリーンを吊るして飾れるようにと、天井にハンガーパイプを付けてもらいました。

ご主人: 「お気に入りのものを飾れるようにしたい」というのは、当初からの希望でした。収納は必要だけど、扉付きの隠す収納ばかりになって、余裕が感じられない空間になるのは嫌でした。ダイニングのオープンラックは、よく使うキッチン家電や茶器などを置くのに重宝しています。

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天井のハンガーパイプに吊るされたグリーンが、コンクリート躯体現しの天井とマッチ

ーーアイランド型のキッチンの背面にも飾り棚が設けられていて、キッチンですが家具のようにも見えますね。

ご主人: LDK全体と馴染むように、ダイニングのカウンター収納と同じ面材で仕上げてもらいました。

奥さま: 既成のシステムキッチンも検討しましたが、「ここはこうだったらいいのに」と思うところが多くて。二人で一緒に料理ができるキッチンにしたかったこともあり、オリジナルで作ってもらいました。設備は、さまざまなメーカーから探しに探して選びました。

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木の棚、鉄の棚受け、白タイル、そしてグリーンというリズムで構成するオープンラック

ーーダイニングのカウンター収納やキッチンの引き戸収納など、隠す収納もしっかり設けられています。

奥さま: 収納したいものをあらかじめ書き出しておいて、収納する場所や収納のスタイルを検討しました。ダイニングのカウンター収納には、キッチンで使うもののほかに、書類や救急箱などをしまっています。既製品の収納ケースやファイルボックスにラベルを付けて整理しています。

ーーウォークインクローゼットの収納計画は奥様が担当なされたそうですね。こだわったのはどんなことですか?

奥さま: こだわったのは、「限られたスペースの中でいかに分かりやすく収納するか」でした。寝室の窓から換気ができるような位置に空間をレイアウトしてもらい、服や鞄、帽子、アクセサリーなど、収納するもののサイズと量を徹底的に調べて、ジャンルごとに整理して収納できるようにしました。

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奥様の綿密なプランニングのもと完成したウォークインクローゼット。使いやすそう!
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せっかく家を持つなら、自分たちにぴったりの空間にしたい

ーー空間の気持ち良さと使い勝手の良さ。おふたりが求める心地よさが詰まったお住まいですが、中古マンションリノベーションを選んだ理由は何だったのですか?

ご主人: 「自分たちの暮らしに合わせて自由な空間をつくれるから」という点が、中古を選んだ大きな理由でした。せっかく家を買うなら価値が落ちにくい家を選びたいという気持ちもありました。新築物件も見に行きました。でも、背の高い僕ら夫婦にはちょっと手狭に感じて、内装の自由度が少ないのも不満でした。

ーーリノベーションの依頼先はどのように探したのですか?

ご主人: 僕の勤め先の先輩がリノベーションに詳しくて、いくつかおすすめの会社を教えてくれました。その中のひとつが、リビタでした。ちょうどリビタの一棟まるごとリノベーション物件の見学会をしていたので、参加してみました。その時は中古リノベーションについて漠然とした知識しかなかったのですが、こんなリノベーションもできるんだと、リビタという会社への興味が高まりました。

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水回りは、他のエリアとは違う壁紙の色を使い、違った雰囲気のリズムに

ーー現在のお住まいであるマンションは、どのようにして見つけたのですか?

奥さま: リノベーションの依頼先探しと並行して自分たちでも物件探しをしていて、私が見つけました。元々住んでいたエリアが好きで同エリアの物件を探していたのですが、条件が折り合わずエリアを広げて探した結果、この物件にたどり着きました。

ご主人: 新耐震物件で条件も良かったので、これはと思い、『リノサポ』に相談して、物件内見に同行してもらいました。日当たりがいいことと、全室に窓があること、そして「天井が高くできそう」という『リノサポ』の担当コンサルタントの大嶋さんのコメントが決め手になりました。このエリアはそれまで来たことがなかったのですが、実際に来てみたらとても住みやすそうな街で、気に入りました。

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セカンドリビングとLDKを仕切る引き戸。壊せなかった壁には造作のAVシェルフを取り付けた

ーー空間づくりも、住まいの選び方も、ご自分たちの求めるものをしっかり見つめて、合理的に取り組んでいるのが印象的です。『リノサポ』をご利用になられてみて、いかがでしたか?

奥さま: リノサポ』のコンサルタントが介入してくれるメリットは、自分たちとの相性を見極めた上で設計者さんを紹介してくれるところだと思います。デザインが好みなだけでなく、話し合いもしやすい勝又さんを紹介してもらえたことは、大きなポイントでした。

ご主人: 寝室を囲む壁が壊せず室内窓が付けられないとなった時は、鏡を貼ることを提案してくれたり、ネガティブな要素もポジティブな要素に変えてしまう勝又さんとの出会いが得られたことで、満足のいく家ができました。

有機と無機の心地よいリズム
質感のあるグレーの壁はOさんご夫妻がDIYで塗装。上部にはめ込んだ鏡が空間に奥行きを演出
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文:佐藤可奈子/撮影:渋谷南人/取材協力:toolbox
取材・撮影:2017年8月
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