『片付ける』~ものと収納と住まいの幸せな関係を考える~|暮らし発想リノベーション
雨が降るたびに暖かくなり、春一番がふいたと思ったら一気に桜が開花し、気がつけばもう4月。どんな1日でも、後から思い返して“良い1日だった”と感じられるような日々にしたいという気持ちとは裏腹に、仕事や育児・家事に追われて過ごしているという人は少なくないかもしれません。
豊かな暮らしかたを提案するリビタでは、過去に手がけた2,500件以上(2018/3/31時点)のリノベーションの事例と向き合い、見つけ出した住まいづくりのアイデアを『暮らし発想リノベーション』としてまとめ、住まいが豊かな暮らしのためにできることについて考えています。
今回は、“片付ける”をテーマに、『暮らし発想リノベーション』から、快適な暮らしかたを紹介していきます。
料理をしたあとに調理器具を仕舞う、食べ終わったあとの器を食器棚に戻す。洗濯物をたたんでクローゼットに仕舞う、子どもが出したおもちゃを片付けて回る……住まいのなかの行動を思い返すと、私たちは“片付ける”という行為を繰り返しています。ものが増えることは悪いことではなく、便利なものや美しいものは暮らしを豊かにしてくれます。しかし、それに伴って片付ける行動が増えてしまうと、時間はどれだけあっても足りません。“片付けること”について考えたとき、住まいづくりにはまだまだ考える余地がありそうです。
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手を伸ばせば届く範囲に、すべてを収める
世田谷区のM邸は、キッチンを住まいのメインに据えた大胆なプラン。広々としたワークトップに電源・LAN・照明を設けて、キッチンで料理も食事も仕事もできるようにしています。このプランの“片付ける”ポイントは、キッチン後ろの壁一面を収納棚にしたこと。手を伸ばせば届く場所に大きなオープン収納を設置することで、必要なものを一箇所に集め、どこに何があるのか一目でわかるようなっています。住まいにいる多くの時間をキッチンですごす住人にとって、ストレスなく片付けることができる収納の工夫になりました。
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家具を、間仕切りに使う
シースルーの家具を置いて、収納をしながら空間を仕切るアイデアです。一般的には壁際に置くことの多いシェルフを、部屋の中心に天井から床まで壁のように部屋の中心に置きます。部屋の中心に大きな収納スペースがあることで部屋をすっきりと片付けることができ、また、シェルフにものを収納することで、空間をゆるやかにゾーニングすることができます。
清澄白河にあるH邸は、リビングダイニングと書庫・和室の間仕切りにスタッキングシェルフを置いて、見せる収納を楽しみながら空間をゆるやかに仕切っています。書庫には壁をつくらずスタッキングシェルフで空間を囲むことで、天井から床まで本に囲まれた部屋が実現しました。
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片付けかたを、“掛けるだけ”・“置くだけ”にする
クローゼットの扉を取っ払って、仕切らないクローゼットをつくるアイデアです。『コスモ上池袋』は、寝室の壁一面にハンガーパイプを設置して、扉のない広い収納スペースをつくっています。パイプに掛けるだけ、床に置くだけの収納方法は、片付けが苦手な人でもきっと大丈夫。また、あえて雑然とした状態を見せて部屋のアクセントにするという発想で、目に付くリビングの収納棚や下足棚などを、扉のないオープン棚として見せる事例も、近年のリノベーションでは増えてきています。
”荷物は仕舞うもの”という固定概念を解放したら、収納にこだわらない別の視点から住まいを楽しめそうです。 片付けることがストレスと感じる人なら、いっそのこと全てがオープンになった収納を選んでみるのはどうでしょうか。
タンスの奥にしまい込んだものは、たとえそれが暮らしを便利にするものでも使用頻度は下がってしまうでしょう。ものを便利に使うには、スムーズに出し入れができる収納場所に仕舞っていることが大切です。ものを買うときに、自分たちの暮らしに本当に必要なものなのかどうか見極めつつ、所有したものについては、使いこなせる場所に収納する……ものと収納と住まいの幸せな関係を考えることは、豊かな暮らしかたの第一歩かもしれません。
●リビタの「暮らし発想リノベーション」とは
「暮らし発想リノベーション」は、リビタで自由設計をされた実例からアイデアを得てつくった、住まい手にとって一番嬉しい住まいを届けるリビタのリノベーションマンションシリーズです。
家族構成も、ライフスタイルも違うすべての人を意識した画一的な住まいはつくりません。2人のため、1人のため、家で仕事をする人のため、料理好きのためなど、それぞれの物件に住む人を想像し、暮らし方を想像し、その人たちにとって気持ちの良い空間、暮らしやすい空間をつくり出しています。住まい手に、「まるで自由設計で自分のためだけにつくった住まい」だと感じてもらえるようなリノベーションマンションを提供しています。