リビタのひととくらしとすまい #4 決め込まず、住みながらつくり続ける。戸建ての魅力が詰まったセルフリノベーション|住まいのヒント

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リビタのひととくらしとすまい
#4 決め込まず、住みながらつくり続ける。
戸建ての魅力が詰まったセルフリノベーション

目 次
  1. 1築40〜50年の庭がある戸建てを中心に、 自分たちでつくることを前提に物件を選ぶ
  2. 2子どもたちが塗装した壁はムラも味わいに。 楽しい思い出とともにつくられる住まい
  3. 3リノベーションの様子が家の外に滲み出し、近隣とのコミュニケーションが生まれる

築40〜50年の庭がある戸建てを中心に、
自分たちでつくることを前提に物件を選ぶ

飯田 ご主人は職業訓練校の指導員をされているとのことですが、建築科目を担当されていて、設計施工の知識や経験があったということですよね。自分たちでリノベーションをする前提で、中古の戸建てを購入したのですか?

月岡 今は造園や外構の指導を担当していますが、以前は建築施工を担当していました。もともと建築系の学校を卒業して、設計や施工など一通りのことはできます。

山木 私も内装施工会社で働いていた経験があり、リビタでもインテリアコーディネーターと関わる業務を担当することもあって、施工やインテリアの知識や経験は多少あるので、できるところは自分たちでやるつもりでこの家を購入しました。

飯田 リノベーション前提の戸建て物件の見極めはとても難しいと感じています。住宅性能などを考慮し始めると、条件にがんじがらめになってしまい、なかなか決まらないという状態になりがちです。この物件は条件をどのように絞り込んでいったのですか?

山木 以前はこの近くの社宅住まいで、自転車で移動中に売りに出ている戸建てを見かけて、その家に住みたいと思ったことが物件を探し始めたきっかけでした。結局その家は他の方が購入されてしまい、とても悔しくて…。そこから不動産サイトなどで真剣に探し始めました。お互い地方出身者で他の街を知らなかったということもあり、自然と同じエリアで戸建てを探そうという方向性になりましたね。

 2人とも実家が戸建てで、マンション住まいをしたことがなく、自然と戸建てに絞って探していました。自分たちである程度DIYができるから、築年数は40〜50年くらいで、自由に手を加えられる家がいいと考えていたのですが、なかなか見つからなくて1年くらい探していたと思います。

飯田 他にマストの条件はあったのですか?

山木 少しでいいから庭があることと、空間を広く取りたかったので壁が抜けることは、マストでした。候補の物件が出てきたら間取りを見ながら、壁を抜くことばかり妄想していました(笑)。

飯田 検索で条件に合う物件を選んでから、図面を見てどんなリノベができそうか判断し、よさそうなら見に行くということを繰り返していたのですね。この物件の購入の決め手はどんなポイントでしたか?

山木 一番はフィーリング。入ったときにワクワクする感覚があって、今度こそ絶対この家を買いたいと思ったんです。外観の雰囲気もよかったし、ディテールやパーツの造りも好みでした。

 前オーナーがこだわって建てた家で、一つひとつの造りが素敵で、築年数は古くてもそれが味わいになっており、リノベのしがいがありそうだと感じました。

子どもたちが塗装した壁はムラも味わいに。
楽しい思い出とともにつくられる住まい

飯田 リノベーションがスタートしてからは、どのように設計や施工を進めていったのですか?

山木 設計は2人で話し合いながら大枠を決めて、夫が図面を書いて、それをもとに微調整していきましたが、早い段階で基本的な間取りの方針は決まっていました。

飯田 予算をかけて、こだわったところはありますか?

山木 1階は庭に面したサンガーデンが特徴なので、そことつながるようにワンフロアをLDKにしてオープンなスペースにしたのが一番の希望。造作のオープンキッチンにはこだわりました。人を家に招くのが好きで、みんなで賑やかにホームパーティーができる住まいにしたかったのです。

 アカシアのフローリングはこれがいいと選んだものですが、壁は合板で予算を抑えています。

山木 合板は飽きるかも?と思っていたのですが、飽きたらまた塗ればいいという感じで、気軽に決めました。でも、意外と飽きなかったです。合板の壁はリビタで手掛けている事例を参考にしました。仕上げに木目が透けるように白を塗っているのですが、同僚たちに家族連れで来てもらって、子どもたちにも手伝ってもらったから、塗りムラがあるけどそれもまたいい。セルフリノベーションをするプロセスも楽しかったです。

壁の塗装をしている様子(山木提供)

飯田 最初から決め込みすぎず、つくりながらアレンジしたり、住み始めてからも手を加えていったりすればいいという感覚ですね。合板の仕上げもつくり込みすぎない自由さがあって、自分たちでやるからムラも愛着になり、みんなで作業するといった楽しい思い出とともに住まいがつくられているのですね。

山木 きちんと決めきって、日々整えて暮らすことができればいいのですが、私たちにはそういう住まいづくりは合っていないと思うんです。いろいろなものが混在しても、受け止められる大らかな空間が私たちらしい。入居時の2階は壁がなく、がらんとした空間だったのですが、長女が3歳のときに壁をつくって子ども部屋やワークスペースを設えました。子ども部屋は長女と一緒に壁の色を選んで、壁紙を張ったり色を塗ったりしました。

飯田 そういった自由さも、よい結果につながりそうですね。最初からきちんと完璧に美しい空間をつくりきるよさもありますが、生活の風景が溶け込んだような大らかな山木邸にもまた違った美しさがあると感じます。

リノベーションの様子が家の外に滲み出し、
近隣とのコミュニケーションが生まれる

飯田 ほとんどの施工を自分たちでやったということですが、プロに任せた部分はありますか?

月岡 水まわりを中心に、浴室、給排水管、ガスの施工は、プロに依頼しました。水漏れなどの補償、安全性の担保などはしっかりカバーして、安心して住めることを前提にプロに依頼することを決めていきました。

飯田 セルフリノベーションをする上で一番苦労したところは?

月岡 平日は仕事なので、作業できるのは金曜の夜から土日の週3日間。限られた時間で施工を進めるのは大変でした。寝袋に泊まり込みで作業していました。大勢の人に手伝ってもらったのですが、とくに解体が苦労しましたね。前オーナーのこだわりが詰め込まれていて、残せるものは残したいし、大事にされていたものは継承したい気持ちもあり、残す部分と解体する部分を慎重に見極めながらの作業だったので、時間がかかりました。

山木 11月に引き渡しで、翌年の5月に長女の妊娠がわかり、12月に出産予定だったのでそれまでには入居したいというスケジュールでした。5月以降は夫が1人で施工することになり、最後の追いこみも大変だったと思いますが、そこから2ヶ月後の7月には入居できました。

飯田 戸建ての場合、断熱や耐震、防水などの住宅性能も気になるポイントです。その辺りはどのように考えましたか?

月岡 自分たちで安心して住めると納得できるレベルを判断していきました。断熱材は、床と壁に自分たちで施工。標準規格と合わない部分は断熱材をカットするなど手間はかかりますが、自分たちで対処可能です。耐震は壁を抜いたり足したりする前提で、自分で計算しました。ブレース(※)を追加して、感覚的に大丈夫と感じる落としどころです。雨漏りはなかったのですが、屋根と壁はプロに防水塗装を依頼しました。解体後、一部にシロアリ被害が発覚して、駆除と補修は想定外でしたが、前オーナーの契約不適合責任の範囲だったので助かりました。
※鉄骨材などでつくられた補強材の一種のこと。筋交いとも呼ばれる。

飯田 築古の戸建ての場合、売り主が契約不適合責任を免責したいというケースも多いので、瑕疵保証の有無は見極めが必要ですね。これからさらに手を加えたいこと、やってみたいことはありますか? また、この家に住み始めてから変わったことがあれば教えてください。

月岡 長女の自転車置場が必要になったので、玄関の植栽のスペースを活用してつくっているところです。住み始めてからも手を加え続けていて、家が遊び道具で、家づくりが趣味になっています。それから、本業で外構の指導員になったこともあり、植物が好きになって、庭の手入れやサンガーデンに植物を飾ったりするのが楽しくなりました。

山木 解体や施工の段階からご近所さんが気にかけてくれて、住み始めてからもDIYでいろいろやっている様子に興味をもってくれた方から、和室を洋室にしたいとか、物置をつくりたいとか、相談されてお手伝いすることもあります。リノベーションがきっかけでご近所さんとのつき合いが深まり、コミュニティに自然に溶け込めたのは、予想していなかった嬉しい展開でしたね。

飯田 セルフリノベーションの様子が家の外まで滲み出して、近隣の人たちに影響を与えるというのは、新しいコミュニティへの親しみ方ですね。私は仲介の立場なので、戸建ての場合は特にしっかりとリスクをお客さまに伝える必要があり、ネガティブな側面も理解の上で購入を決断いただくことになります。戸建てリノベにはある程度の寛容さが必要という難しさがあることは事実ですが、山木邸のお話を聞いて、戸建てならではの面白さやメリット、マンションとは違った価値があることを改めて知ることができました。

サンガーデンとつながる広々としたLDKは、ホームパーティーの場としてたくさんの人が訪れます。オープンキッチンの周囲に自然と人が集まり、一緒に料理をつくったり、おしゃべりしたり、大人も子どもも楽しめる自由で大らかな空間は、山木さん家族の人柄を象徴しているようでした。
次回も、どんな社員のどんな住まいが登場するか、お楽しみに!

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