動線上に生活のパーツを散りばめて自分仕様に住む|お宅拝見

Visit your home
暮らし再発見マガジン のくらし by ReBITA
お宅拝見

動線上に生活のパーツを散りばめて自分仕様に住む

目 次
  1. 1窓辺のチークの小上がりなどひと手間かけた空間にグッときた
  2. 2パントリー、仕事部屋、クローゼットとして使う動線
  3. 3好きな家具やアートを飾ってインスピレーションがわく空間に

会社員のIさんは40代一人暮らし。コロナ禍以降ほぼリモートワークとなり、より良い住環境を求め、家を購入することに。新築や戸建ても視野に入れつつ、周辺環境や建物の雰囲気を重視して、二子玉川に建つ築44年のビンテージ感のあるリノベーション済みマンションを選びました。水まわりを中心に回遊できる裏動線がある特徴的な間取りを、自分仕様に住みこなしているIさんの暮らしについて聞きました。

窓辺のチークの小上がりなど
ひと手間かけた空間にグッときた

――3面採光で広いルーフバルコニーがあり、窓からは木々が見えて、自然豊かな環境ですね。

Iさん 街の雰囲気や環境が気に入ったこともこの物件を購入した理由の一つです。以前は中野に住んでいて、その周辺から探しはじめました。予算に合わせてエリアを広げていくうちに、この物件に巡り会ったのですが、二子玉川は想定外で、都内でこれだけ自然豊かな環境に囲まれている物件は珍しいと思いました。

――周辺環境に加えて、気に入ったところや購入の決め手になったところを教えてください。

Iさん 予算や立地などの条件が希望に合っていたこと。そして、この物件は築44年と築年数は経っていますが、建物の面構えがかっこよく、ビンテージ感があるのも決め手でした。

――築年数や中古物件であることに対して、不安などはありませんでしたか?

Iさん ビンテージの家具や昔からあるデザイン性の高いものが好きで、あまり抵抗はなかったのですが、資産価値としての懸念はありましたね。新耐震基準で建てられていないことや今後かかってくるメンテナンス費用などが気になりました。なので、新築マンションや戸建てとも比較をしながら、この物件の修繕履歴や修繕積立金などを調べてもらい、不透明な部分をなくして納得した上で購入しました。また、駅から近いこともあり、土地の資産価値は下がらないだろうというメリット部分に目を向けて、総合的なバランスで判断しました。

――見学時に初めて室内に入ったときは、どんな印象でしたか?

Iさん 広々としていて、住みやすそうな間取りだなと感じました。全体がつながっていて、窓が多くて明るいこと、窓からの眺めを遮るものがないのも印象的でしたね。全体的にフラットで、出っ張っているところや線がとても少なくて、無駄がなくすっきりしているところもいいなと思いました。梁さえもアクセントになっているような収まりの良さを感じました。窓辺に小上がりがあり、リビングの床材はオークなのですが、小上がりだけチークで樹種が使い分けられている点もポイントが高かったです。料理でも洋服でも何でもひと手間かかっているものが好きなので、この小上がりにもグッときました。

――間取りは玄関からLDKへとつながる通路に加え、寝室とLDKをつなぐ動線があり、水まわりを中心にぐるりと回遊できるようになっています。住み心地はいかがですか?

Iさん ルートが固定されない自由さがあります。例えば、寝室に向かうとき、ついでに動線上にあるものを取れるなど、効率のよい動き方ができますね。朝起きたらすべての窓を開けて掃除をするのがルーティーンなのですが、どこからでも、左右どちらまわりでもスタートできて、気分がよく作業がはかどります。全体がつながっていて始まりや終わりがない回遊動線は、便利で快適だと感じています。

パントリー、仕事部屋、
クローゼットとして使う動線

――寝室とLDKをつなぐ動線は、収納やちょっとした居場所としても使える広さがあります。この空間はどんな風に使っていますか?

Iさん キッチン側に冷蔵庫を置いてパントリーに、その隣はスタンディングデスクを置いてワークスペースとしても使っています。仕事はダイニングテーブルですることが多いのですが、ここで立ってやると気分転換になりますね。料理をしながら、キッチンとパントリーを行ったり来たりして仕事をすることも多いです。洗面室とパントリーをつなぐT字の動線も、頻繁に使います。日常生活で手を洗うことは意外と多いですから。通路を挟んだ寝室側は洋服をしまうクローゼットとして活用しています。寝室とクローゼットの間には扉がなく、寝るときに少し気になったので、ビンテージの玉すだれを吊るしてゆるく空間を分けています。

――回遊動線になっている分、収納スペースは少なめだと思いますが、置き家具や収納アイテムを活用して、とてもお上手に収納されていると感じます。収納について工夫したことなどを教えてください。

Iさん よく言われていることですが、ものの住所を決めるとか、1軍と2軍に分けて、よく使うものは手前に収納するとか、基本的なことは実践しています。家具や収納のための棚などは、頭の中で試行錯誤とシミュレーションを繰り返して、こういう棚があったらいいなというイメージを描いて、見つかるまで探し続けますね。でも、引っ越す前に本と洋服はかなり処分しました。リビングのシェルフに本が隙間なく埋まっているので、もう少し減らしたいなと思っています。

――この物件はつくり付けの収納がほとんどなく、自分でアレンジする必要がありますが、その点についてはどう感じましたか?

Iさん 自分の生活やものに合わせられる良さがあると思いました。置き家具や棚を追加することで、後からいくらでも調整できるので、ライフスタイルの変化に対応できるのもいいですね。反対に、全てつくり付けられていると、それに合わせて生活することになりますから。家具を選ぶ楽しさもあるので、自分には合っていると思います。

――キッチンの窓側に作業台にもなる棚や食器棚を追加されていますね。

Iさん この窓は掃き出し窓なので、窓が半分ほど犠牲になってしまうのですが、それでも作業スペースがもう少し欲しかったので、棚を置くことにしました。リビングには見えてもいいものを置きたいと考え、冷蔵庫やゴミ箱をパントリー側に隠して、食器棚を手前に置きました。

――オープンなキッチンの使い心地はいかがですか?

Iさん 友人が遊びに来たときなど、作業しながら会話ができるのがいいですね。吊戸棚などはないほうが、抜け感がキープされていいと感じています。

好きな家具やアートを飾って
インスピレーションがわく空間に

――家具のセレクトや壁に飾ったアートなども、この空間にとても合っていますね。セレクトのコツなどはありますか?

Iさん 家具はもともと持っていたものも多く、それをどのように配置するか、事前にパソコンでシミュレーションしました。置いてみたらサイズ感もぴったりで、空間にもしっくりと馴染むものが多くてラッキーでした。使い方を転用したものも多いです。例えば、小上がりの前に置いているローテーブルはもともとテレビ台として使っていたもの。小上がりに腰かけたときにちょうどいい高さのテーブルになりました。ここでよくコーヒーを飲んで一息入れています。梁がアクセントになっていると話しましたが、その梁に合わせて、「SEIKO」のスピーカー付き壁掛け時計を配置しました。この面は白い壁の面積が大きく、「何か飾って欲しい」と言っているような気がして、アートをいくつか購入して飾っています。自分の名前にちなんだモチーフやカラフルな色使いのものをセレクトしました。自分で雑誌を切り抜いてコラージュした作品なども額装して織り交ぜています。私の場合、家は生活の拠点でもあり職場でもあるので、安らぎだけではなく、労働意欲やインスピレーションや刺激を与えてくれる場所でもあって欲しい。気に入った家具を置いたり、絵を飾ったりすることで、そういった自分らしい空間にしていければと考えています。

――入居後に手を加えたところや、変わったことなどはありますか?

Iさん すべての窓に内窓を付けて二重サッシにしました。建物が古いので窓の断熱性能が低いことは懸案事項のひとつだったのです。寝室が道路に面していて自動車の音なども気になっていたのですが、内窓をつけることでこれらはすべて解決。音も寒さもほとんど気にならなくなりました。それから住みはじめてから、インテリアの色の趣味が変わりました。以前は青やグレーなど好きな色を選びがちでしたが、今はこの家に合うように淡い黄色やアイボリーなど暖色系を選択することが多くなりました。

――これからこの家でやってみたいことはありますか?

Iさん 広いルーフバルコニーを活かして、植物を増やしていきたいと思っています。前の家で育てていた植物は日陰に適したものが多く、この家は日当たりが良すぎて元気がなくなってしまいました。春から夏にかけて、環境に合ったものを買い足していきたいと計画中。ビオトープもやっていてメダカを育てているので、こちらも充実させていきたいです。

Iさん また、前々から猫を飼いたいという希望があります。LDKの短手方向の壁の窓上に木パネルが設えられていて、ハンギングプランツなどを引っ掛けられるようになっているのですが、ここをキャットウォークにしたいと考えているんです。ここから床に降りられるように、ステップを壁に付ける構想はすでにできているので、猫を飼ったときには、またリビタさんに追加リノベをお願いしたいと思っています。今は音楽を聴いたり読書をしたり、家でのんびり過ごす時間を満喫していますが、二子玉川は素敵なお店も多いので、街を散策してお気に入りのお店を増やしていくこともやっていきたいですね。

related SERVICE
関連のサービス
文:村田保子/撮影:古末拓也
取材・撮影:2022年12月
EVENT & NEWS
イベント&ニュース

ReBITA SERVICE
リビタのサービス

▲ 動線上に生活のパーツを散りばめて自分仕様に住む|お宅拝見