暮らし、仕事、趣味。すべてが調和する住まい
- マンション
- 所在地:
- 埼玉県川口市
- 居住者構成:
- 2人
- 専有面積:
- 80.22㎡㎡
- 間取り:
- 2LDK
- 既存建物竣工年:
- 2003年
- リノベーション竣工年:
- 2024年

玄関を入ると左手に約5.4帖の寝室、右手に約6.2帖の夫のワークスペース兼楽曲制作のための専用スペースがある。廊下に沿ってトイレとウォークインクローゼット。扉の奥に約25.7帖のLDKが広がる。アイランドキッチン、作業台、収納が3列に並び、キッチンパントリーの窓側には妻のデスクがある。将来的に子ども部屋などが必要になったときは、LDKの一角に個室をつくることを想定している。
川口駅近くの築19年の中古マンションをフルリノベーションしたFさん夫妻。夫はIT系企業勤務で楽曲制作が趣味、妻は料理研究家として活躍しています。暮らしの場であり、仕事をする場でもある住まいには、夫婦それぞれに求めることが多く、自分たちの希望通りに住まいづくりができるリビタのリノサポによるリノベーションを選びました。それぞれの居場所へのこだわりを中心に、Fさん夫妻の住まいづくりについてお話を聞きました。

自由につくれるリノベーションで
趣味と仕事の場を兼ねる住まいをつくる
――Fさんご夫妻は、築19年の中古マンションを購入して、リビタのリノサポでフルリノベーションをされました。フルリノベーションをすることは最初から決めていたのですか?
妻 料理家の方がリノベーションによって、自分のスタイルに合わせて自由にキッチンをつくっている事例を雑誌などでもよく見ていて、リノベーションに興味をもっていました。私が料理研究家をしているので、キッチンを中心に住まいは仕事をする場所にもなっています。夫もコロナ禍以降はほぼリモートワークであることに加え、趣味で楽曲制作をしていて、夫婦それぞれ住まいに求めることが多く、自分たちで自由につくれるフルリノベーション以外は、ほぼ選択肢にありませんでした。
夫 以前は赤羽駅から徒歩20分くらいの賃貸マンションに住んでいて、お互いの仕事や趣味を考えると、住まいに改善したい点がたくさんありました。マンションリノベーションだったら、生活圏をそれほど変えずに、課題が解決できるだろうと考えて、リノベーション会社を探して住まいづくりをすることにしたのです。
妻 新築だと都心から離れてしまう可能性が高く、実現したとしても予算的に思い通りにつくるのは難しそう。2人とも中古に抵抗はなく、マンションリノベーションが一番楽しく住まいづくりができそうだなと思いました。

――物件探しはどのように進めましたか? この物件を選んだ決め手などがあれば教えてください。
夫 以前の住まいからあまり離れたくないけど、都内は厳しい。埼玉側に1駅広げて探せば予算的にはいけそうという相場感がわかってきて、川口駅周辺に絞って探すことにしました。以前の住まいで感じていた駅から遠いという不便さを解決するために駅近であること、楽曲制作のためには他の部屋に音が漏れにくいよう角部屋がいいという希望もありました。
妻 川口は赤羽から1駅。電車なら4分ほどで東京23区にアクセスできます。駅周辺は再開発が進んでいて街に活気があり、商業施設や飲食店も多くてとても暮らしやすいエリアだと感じています。早めにエリアを絞り込んだことで、物件探しがスムーズに進んだという印象がありました。エリアも条件もかなり絞ったので、検索サイトを日々チェックし、気になる物件があればすぐに見に行くことを繰り返して、この物件と出会いました。角部屋で南西の2面に開口があり、明るくてたっぷりの自然光に恵まれているところもいいなと思いました。目の前にスーパーがあって、料理の仕事で使う食材をすぐに調達できるのも便利です。

ワークスペース兼楽曲制作の部屋と、
撮影にも使う料理研究家のキッチン
――リノベーションの設計は、どのようにリクエストされましたか?
夫 最初に私たちのライフスタイルを細かくヒアリングしてもらって、働き方や趣味、以前の住まいで課題に感じていたことをお伝えしました。玄関側に個室をつくって、1つは寝室に、もう1つは私の専用スペースにすることはすぐに決まりました。私はほぼリモートワークなのでワークスペースが必要だったのですが、趣味の楽曲制作をするスペースも兼用にしたかったので、機能として防音性のある空間にしたいという希望がありました。でも、ワークスペースとして1日の大半を過ごす場所でもあるので、居心地のよさも必要。そのバランス感をどのように考えるかが難しかったです。デザイン性を重視したい気持ちもあり、いろいろ調べて防音性のある素材のなかで自分の好きなテイストのものを選んで組み合わせていくことで、自分が求めていたイメージをつくり上げていきました。
――具体的にはどのような素材を選ばれたのですか?
夫 床はコルク、天井は木毛セメント板です。木毛セメント板のことはもともと知りませんでしたが、リノベーションの設計をお願いしたitoma design.の勝又みづきさんから提案してもらって、テイストも自分好みでいいなと思いました。壁の一面はウッドブロックで仕上げています。これは音楽スタジオで使われているのを見たことがあり、どこかに使いたいと自分から希望して実現しました。

――キッチンは奥さまの仕事場でもありますが、どのようにつくっていったのですか?
妻 料理の写真や動画を撮影することが多く、いろいろなアングルから撮れるようにアイランドキッチンにしたいというのがいちばんにありました。また、つくった料理を置いておいたり、アシスタントさんに手伝ってもらったりするために作業台は2つほしいと考えていました。これらの希望からいくつかプランを提案してもらって、現状に近いキッチン、作業台、収納が3列に並んだ案がいいと感じたので、それをベースにディテールを調整しながらつくっていきました。最初の案では、真ん中の作業台の壁が天井まであったのですが、空気がまわるように上部に抜けをつくって、箱のように側面と上部を囲ってもらいました。キッチン全体を撮影することも多いのですが、この作業台のデザインが空間のアクセントになってとても気に入っています。

――メインのキッチンは、既製品のシステムキッチンを採用したのですね?
妻 作業台と収納を造作するため、メインのキッチンは予算と機能面からLIXILのシステムキッチンを選びました。使い勝手がよく、シンプルなデザインもつくりたい空間の雰囲気に合っていると感じています。

夫婦の好みをミックスした空間で、
仕事と暮らしの快適なバランスを両立
――仕上げの素材などはどのように選んでいったのですか?
妻 夫は黒やグレーなどを使ったスタイリッシュなテイストが好きで、私は明るくて白っぽい空間が好きなのですが、勝又さんが2人の好みを上手くミックスして仕上げてくれました。LDKはキッチンを中心につくっていることもあり、私の好みが反映されていますが、扉や作業台の壁などにグレーを使って、シンプル過ぎず飽きのこない雰囲気になっていると思います。床のフローリングは私の希望でヘリンボーン貼りにしてもらいました。貼り方が何種類もあったのですが、いろいろと調べて主張が強くなりすぎず、すっきりとした印象のフレンチヘリンボーンという貼り方を選びました。

夫 自分の部屋は窓枠やスイッチプレートなどのディテールも、私の好みに合わせて黒にしてもらいました。落ち着いた居心地でとても気に入っています。LDKは私にとってリラックスできる空間です。居心地が異なるので、気分の切り替えができるのもメリットだと感じています。
――お二人とも家で仕事をすることが多いとのことですが、普段はどんなふうに過ごしていますか?
夫 平日の就業時間内は、ずっとリモートで会議をしていたりして、2人とも家にいるけれど、お互い仕事に集中していることが多いです。私の部屋には玄関に面して室内窓があるのですが、光や目線の抜けをつくるという意味でこの窓があってよかったと感じています。妻が買い物に出かけるときなど、お互いの様子がちょっと伝わることで安心感がありますね。

妻 キッチンにある収納スペースの窓側にはデスクがあるのですが、私はそこでデスクワークに集中したり、キッチンで作業に没頭したりしていることが多いです。テレビや雑誌の撮影のときは、5〜6名のスタッフが集まることもあります。そういうときでも、夫が来客を気にせず仕事ができるように、トイレは廊下側に設けて、トイレ内に手洗いも付けました。廊下に面した扉を閉めればLDKと玄関側のプライベートな空間が切り分けられるようになっています。
夫 休日も楽曲制作したり、妻も料理の試作をしたり、忙しくしていることも多いのですが、休むときは時間を決めて一緒にキッチンで料理をつくったり、ソファで映画を観たり、メリハリをつけてくつろぐようにしています。

――リビタのリノサポでリノベーションをしてみて感じたことなどを教えてください。
夫 最初の相談から引き渡しまで窓口が一貫していて、コンサルタントの飯田さんが、私たちの住まいづくりにずっと伴走してくれたことがとても心強く、安心感がありました。私たちのやりたいことを理解して、希望に合う建築家を提案してくれて、自分たちで選べる仕組みがとても魅力的でした。私たちの好みやニーズに合わせてチームを組んでくれたからこそ、オリジナリティがあり満足度の高いリノベーションができたと感じています。