床材選びで理想の空間を実現こだわりのリノベーション事例と素材のポイント|住まいのヒント

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住まいのヒント

床材選びで理想の空間を実現
こだわりのリノベーション事例と素材のポイント

目 次
  1. 1一般的な床材の種類
  2. 2床材に使う素材の選び方
  3. 3素材別|床材にこだわったリノベーション事例
  4. 4リノベーションで床を張り替える際のポイント
  5. 5プロに相談しながら、理想の住まいづくりを

リノベーションの魅力のひとつは、「住まいを理想の雰囲気にデザインできること」です。そして、床材は住まい全体のなかでも広い面積を占めるため、「どんな素材を選ぶかで空間の雰囲気が決まる」と言っても過言ではありません。今回は、床材の種類から選び方、床材にこだわりをもったリノベーション事例までご紹介します。 これから住まいづくりをしようと考えている方や、いま素材選びに悩んでいる方もぜひ参考にしてみてください。

一般的な床材の種類

床材は、主に以下の素材が挙げられます。

1,フローリング
最もポピュラーな床材として、木を使ったフローリングが挙げられます。フローリングは大きく分けて
・合板フローリング(複合フローリング)
・無垢フローリング
の2種類があります。それぞれの特徴や注意点をご紹介します。

・合板フローリング(複合フローリング)
複数の木材を圧縮し、接着剤で固定して作られた素材です。色やデザインも多いため、好みの雰囲気に合わせやすいのが特徴です。耐久性とコストパフォーマンスのバランスが良く遮音性や防臭効果を備えたものもある一方で、中には傷が目立ちやすいものもあります。 また、合板フローリングは表面の素材によって、以下のように名前が変わります。

…挽板
木材を切り出した板を、表面に貼って作った素材。上から2mm程度が本物の木であるため、見た目や手触りは無垢フローリングと似た質感です。

…突板
挽板よりも、表面の木材が薄い素材。上から0.3~0.5mm程度が本物の木です。天井や家具の素材としても使われるため、住まい全体の雰囲気を統一したい場合にも便利です。

…シート張り(プリント合板)
木材ではなく、化粧シートを表面に貼って作った素材。木目や石目の柄を印刷したシートを貼っているため、プリント合板と呼ばれることもあります。手触りは木材と異なりますが、柄はリアルで、豊富なバリエーションから選べます。

・無垢フローリング
1枚の木から削り出された、天然の木材を使う素材です。美しい木目やぬくもりのある質感、香りなどが楽しめます。室内の湿気を吸放出して、湿度を調整してくれるのもポイント。合板フローリングよりも耐久性に優れている反面、コストが高い傾向にあります。

2,タイル(セラミックタイル)
陶磁器やガラスなどで作られた平面的な素材で、床材として広く使われています。汚れや傷に強く防水性と耐久性に優れており、キッチンや洗面所といった水回りに使いやすい素材です。タイルは、大きく分けて3種類あります。

・タイル(磁器、陶器、せっ器)
・クッションフロア
・フロアタイル

それぞれの特徴や注意点をご紹介します。

・タイル(磁器、陶器、せっ器)
一般的にイメージされる「タイル」素材は、粘土や石などを焼いて作られているものです。磁器、陶器、せっ器などの種類があり、カラーや質感、サイズやデザインに多くのバリエーションを持っているのが魅力です。目地を適切にメンテナンスすることで、長期間使用できるでしょう。その一方で、硬くクッション性がないため、長時間立っていると足腰に負担がかかりやすく、保温性が低いものだと冷たく感じることがあります。

・クッションフロア
厚さ1.8mm~3.5mm程度の塩化ビニールで作られた素材。フローリング調やタイル調、大理石調など多彩なデザインがあり、家の雰囲気に合ったリノベーションに使いやすいでしょう。材料費や施工費が 比較的抑えやすいのも特徴。程よいクッション性のある触感は、使用場所によっては好みが分かれることも。

・フロアタイル
PVC(ポリ塩化ビニル)で作られたタイル状の素材。クッションフロア同様さまざまなデザインがありますが、凸凹も再現されているのが特徴です。特に木目柄や石目柄などは、本物に見えるほど再現度が高いものも。継ぎ目ができてしまうため、水が入らないよう耐水性の高いボンドを使うか、吸着性のあるタイプを選ぶようにしましょう。

3,カーペット
カーペットは、ナイロンやウールなどの繊維で織られた素材です(3畳未満のものは「ラグ」と呼びます)。断熱性が高く、冬場の防寒にも適しています。また、クッション性や防音性もあるため、小さなお子さんや高齢者が使う部屋にも向いています。ほこりが溜まりやすく家具の跡が残りやすいため、お手入れの手間も考慮しておきましょう。

4,その他
和室や小上がりがある住まいの場合には、畳も選択肢の一つとして挙げられます。い草や藁床などの天然素材で作られるものや、塩化ビニルや和紙で作られるものなど、さまざまな種類があります。触感や香りがよいため、寝転んだり座ったりする際に心地よさを感じることができるのが特徴です。また、断熱性や保湿性が高いことから、冬場も冷えにくい素材です。ワンポイントリノベーションに使いやすい素材ではある一方、定期的なメンテナンス(表替えや交換)も必要なので注意しましょう。

床材に使う素材の選び方

このように、床材にはさまざまな素材がありますが、マンションでのリノベーションを考える場合にはどのような床材を選べばよいのでしょうか。ここでは、3つの観点から床材の選び方をみていきます。

1,デザイン面
まず、どのような雰囲気の空間にしたいのかを想像してみましょう。空間の面積を占める床材は、質感やデザインなど、どの素材を用いるかによって、部屋の印象に大きく影響します。「温かみ」「スタイリッシュ」といった抽象的なキーワードから空間のイメージを作り上げ、相性のよい素材を検討してみるのもよいでしょう。例えば、「温かみ」であれば天然素材の無垢フローリング、「スタイリッシュ」であれば無骨さを演出する磁器タイルなどがおすすめです。

2,機能面
床材の機能面を確認することも重要です。例えば水回りには、防水性の高いタイルやクッションフロアを使う、小さなお子さんや高齢者の部屋には、クッション性や防音性のあるカーペットにするなど、用途や目的に合わせて適した素材を使用することで、生活利便性を底上げするでしょう。

3,バランス
床材単体で検討するのではなく、壁紙や窓枠、家具、カーテンなど全体のバランスを考慮することも大切です。全体を俯瞰しながら色味や質感、デザインなどの足し算・引き算をして調整してみましょう。 全体のコストバランスから選択することも重要です。

素材別|床材にこだわったリノベーション事例

ここでは、床材にこだわったマンションリノベーションの事例を素材別にご紹介します。

【フローリング・挽板】経年での味わいも楽しめるヴィンテージマンション

海外暮らしを彷彿とさせる、ヴィンテージマンションのリノベーション事例です。
壁は既存のレンガや塗装、床はオークの挽板をセレクト。コストはかかっても、時間を重ねるにつれて傷や汚れも味わいになるような、こだわりある住まいにしたかったそう。

アトリエの床は、汚れても気にならないように、当初は土間や足場板にすることも検討しましたが、リビングと同じフローリングに。結果的に、いちいち靴を履く必要がなくなり部屋ごとの移動がしやすくなったそうです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県横浜市
居住者構成:3人
専有面積:144.71㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1975年
リノベーション竣工年:2021年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/10036
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【磁器タイル】広々空間でタイルとフローリングを融合

165㎡超の広い敷地に2つのクローゼットをもたせた、アパレル関係のご夫婦の事例です。
LDK部分にはタイルとフローリングを組み合わせ、非日常的でかっこいい雰囲気かつ、リラックスできる空間を演出しています。

タイルとフローリングの見切りには、真鍮を使用。切り替えがいいアクセントにもなっています。色味や素材感、切り替えと、細部まで並々ならぬこだわりがうかがえる、スタイリッシュな住まいです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県川崎市
居住者構成:2人
専有面積:165.10㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1986年
リノベーション竣工年:2020年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/571
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【フロアタイル】「働く」と「住む」のコントラストを素材で表現

店舗のような心地よい緊張感がただよう空間を作り出した事例です。
「働く」と「住む」の関係性をテーマに、パブリックゾーンとプライベートゾーンを明暗の違いで視覚的にデザインへ落とし込んだそうです。LDKの床や壁には、モルタルや塗装などの淡いグレーを基調とすることで、無機質かつ明るい雰囲気を実現させました。

一方、通路と水まわりは照明を控えめに落ち着いた雰囲気をつくり、世界観を分けています。

予算なども考慮し、目地がなるべく目立たないフロアタイルを採用したことで、家具やプロダクトが引き立つ住まいに。フロアタイルは磁器質タイルと比べて気を遣わず、掃除も楽で気に入っているのだとか。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都江東区
居住者構成:2人
専有面積:62.29㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/629
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【カーペット】温もりある素材が家具やアートの際立つ空間をつくる

モダンでありながら温かみのある空間を目指して、床を全室カーペットにした事例です。
白い壁や天井と薄いグレーのカーペットがマッチして、落ち着いた雰囲気になっています。2人の娘さんも、裸足で歩きやすいリビングに。空間はできるだけシンプルにして、家具やアートを際立たせながら、バランスよく馴染ませるつくりになっています。

キッチンや洗面所など、水まわりの床のみ磁器質タイルを採用しています。キッチンカウンターや仕上げの素材、収納の取っ手などの細部のパーツにこだわることで、建築好きのご家族の理想の空間となりました。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都
居住者構成:4人
専有面積:119.29㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1992年
リノベーション竣工年:2020年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/7719
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【番外編・畳】異素材合わせでワンルームにたくさんの居場所を

LDKはフローリング、ラウンジはカーペット、小上がりは畳と、LDKに3つの異素材が共存した事例を番外編としてご紹介します。
素材は、過去のリノベーション事例から好みのテイストを探して検討したそう。最初にキッチンカウンターの側面はラワン、天板は樹脂モルタルにすることを決めて、それに合わせてフローリングのチークを選ばれました。

グリーンを住まい全体のアクセントカラーとして使っていくことにして、さまざま検討したなかから、ラウンジは少しくすんだモスグリーンのカーペットを選びました。

小上がりは当初、娘さんのためのスペースにと考えていたのだとか。畳があると、取り込んだ洗濯物を置いたりするのにも便利です。娘さんが大きくなったら、小上がりを夫婦の寝室に変え、空いた個室を子ども部屋にと考えているそうです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都墨田区
居住者構成:3人
専有面積:64.77㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:2003年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/7271
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リノベーションで床を張り替える際のポイント

床材に注目したリノベーション事例を見てきましたが、ここでは実際にリノベーションをするときに注意したいポイントを、3つご紹介します。

1.リノベーション部分の床下構造を確認しておく
マンションの床下構造によっては、床材に制限が加わる場合があります。床下構造は大きく分けて、「直床」と「二重床」の2つです。
「直床」は、コンクリートに直接床材を貼る構造であるため、遮音材が必須。無垢材は使えない代わりに、天井高を確保しやすい特徴があります。
「二重床」は、床下に空間を設けて遮音性能を確保するため、無垢材も使用可能です。配管の移設やメンテナンスがしやすい一方で、天井高が低くなりやすい特徴があります。
事前に設計図面などを見て、床下構造を確認しておきましょう。

2.マンションの遮音性能基準を確認しておく
多くのマンションでは、管理規約で「床材の遮音性能基準」が定められています。規約によってはフローリングが使えず、カーペットや畳のみ許可される場合も。リノベーションの前に、必ず管理規約で床材の遮音性能基準を確認しておきましょう。

3.床暖房の設置はデメリットも考慮する
床暖房は床材と一体型のユニットが多く、その場合は床材だけ・床暖房だけの交換が難しくなってしまいます。また、リノベーション時に温水式の床暖房を設置する場合は、給湯器や配管の交換も必要になるため、構造的に設置できないこともあります。床暖房を設置する際は、リノベーション会社の担当者と十分に相談しましょう。

プロに相談しながら、理想の住まいづくりを

床材は、家のイメージや住み心地に関わる、重要な要素のひとつです。日々足で触れる床材は、素材や質感にこだわることで空間の魅力をより引き出してくれるでしょう。
今回ご紹介したように、床材にはたくさんの種類があります。それぞれ特性や質感が異なり、どれを選ぶかで印象や施工費用も大きく変わります。床材選びに迷った場合は、予算管理も依頼できる住まいづくりの専門家に相談するのが安心です。せっかくの住まいづくり、悩む時間も含めて楽しんでみてくださいね。

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