用途地域編〜地図からまち見るシリーズ〜|住まいのヒント

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住まいのヒント

用途地域編
〜地図からまち見るシリーズ〜

目 次
  1. 1用途地域とは?
  2. 2特別用途地区
  3. 3用途地域を住まい選びのヒントに
  4. 4用途地域の調べ方
  5. 5まとめ:用途地域からまちの姿が見える

「あなたの暮らしているまちはどんなまち?」 今住んでいるまちがどのようなまちなのか、興味ありませんか。 その成り立ちや魅力をいろいろな地図を見ながらご紹介。今回は「用途地域」について、紐解いていきます。

用途地域とは?

用途地域とは都市計画法に基づき決められた地域の区分けで、土地のおおまかな利用目的を定めているものです。13種類の用途地域があり、それぞれに建築できる建物の種類(住宅・商店・工場など)、建て方(建ぺい率・容積率)の制限が決められています。

なお、開発の制限を目的に「市街化調整区域」に指定されているエリアもあり、原則的に用途地域は定められません。なお東京23区内の場合、ほとんどの土地が用途地域となっています。

13種類の用途地域は、住むところ(住居系)、商売をするところ(商業系)、工場のあるところ(工業系)の3つに分けることができます。

住居系
第一種低層住居専用地域
第二種低層住居専用地域
第一種中高層住居専用地域
第二種中高層住居専用地域
第一種住居地域
第二種住居地域
準住居地域
田園住居地域

商業系
近隣商業地域
商業地域

工業系
準工業地域
工業地域
工業専用地域

特別用途地区

特別用途地区とは、地方公共団体の条例により、用途地域に重ねて指定される地域区分のひとつです。そのエリアの特性や開発目的に応じて、用途地域で定められた制限を強化したり、逆に緩和したりすることができます。一例として、教育機関や文化施設が集まる「文教地区」、宿泊施設や観光名所が集まる「観光地区」などがあります。

用途地域を住まい選びのヒントに

用途地域による街の特徴はどのように判断すれば良いのでしょうか?
今回は、リノサポコンサルタントの飯田さんに、用途地域の内容や住まい選びのヒントをたずねてみました。

-用途地域から住まいを探すお客さんはいますか?

ほとんどいませんね…。でも用途地域にも注目してみてほしいと思っています!その街に行かなくても、おおまかな雰囲気の予想ができるからです。用途地域からエリアを決める、というマニアックな物件探しもおもしろいと思います。

用途地域は13種類あり、大まかに住宅系・商業系・工業系に分けることができます。

-それではまず、住居系地域について教えて下さい

「低層住宅専用地域」は良好な住環境を目的としたエリアで、第一種と第二種があります。基本的に戸建ての建築が可能な、いわゆる閑静な住宅街にあたるゆったりとした街並みのエリアです。住むには騒がくにぎやかな商業施設や日差しを遮るような高い建物が建つ心配がありません。

その一方、店舗等の建築を厳しく制限しているため、遊戯施設が少ない、買い物が不便という面もあります。事務所利用も不可のため、自宅で商売をしたい人は要注意です。第一種のほうがより厳しい制限内容となっています。

用途地域編〜地図からまち見るシリーズ〜
○:建てられる、△:面積・階数等の制限あり、×:建てられない

つぎに「中高層住居専用地域」について、こちらも住環境を守るためのエリアですが、低層住宅地域に比べて規制が緩やかになっています。中規模なマンションなどの高い建物も建てられるため、眺望の良い住まいを探しているならこのエリアがおすすめです。住宅地の大通り沿いはここに分類されることが多いため、騒音に注意して物件を探すと良いでしょう。

中規模な商業施設、公共施設、病院なども建築できるため、住居をメインとしつつ生活利便性のよいエリアになります。

-商業系地域について教えて下さい。

用途地域編〜地図からまち見るシリーズ〜
○:建てられる、△:面積・階数等の制限あり、×:建てられない

商業系地域は、その名の通り商業的な発展を目的としたエリアで、大規模な工場以外のほとんどの施設が建てられます。高層マンションも建てられるようになり、買い物しやすく利便性が高い地域です。

ただし住環境を重視したい方、騒々しい街が苦手な方は避けたほうがよいエリアかもしれません。特に商業地域は、ある日マンションの隣にパチンコ・性風俗店・ホテル等が建ってしまう、そんな可能性もあるので注意が必要です。

近隣商業地域は駅前の商店街、商業地域は都市部の繁華街・ビジネス街などが該当することが多いです。

-工業系地域について教えて下さい。

用途地域編〜地図からまち見るシリーズ〜
○:建てられる、△:面積・階数等の制限あり、×:建てられない

工業系地域には工場の規模ごとに3種類の地域があります。工業専用地域には住宅を建てることができません。沿岸部や空港周辺に多いエリアで利便性が高く、雇用が多いためパート・アルバイト探し等もしやすいです。一方、騒音や排気ガスが気になる人には不向きなエリアといえます。

平日の昼間は人が多くにぎやかですが、休日は静かになります。夜間は人通りが少なくなり、道が暗いこともあるため、このエリアで物件を探すなら日が暮れてからの様子を確認するのがおすすめです。

-用途地域を見れば街の雰囲気が分かるのですね

はい、用途地域を見ることでその街のおおまかな姿が分かりますし、今後どのような種類の建物ができる可能性があるのかを知ることもできます。隣接するエリアや近隣エリアの用途地域も同時に注目してみると街の構成がよく分かりますよ。

用途地域の調べ方

用途地域は公開されているため、インターネットで確認することができます。「用途地域+(市区町村名)」等で検索して、自治体が公開しているデータを探してみましょう。東京都の場合、下記URLから用途地域や特別地区ごとに色分けされた地図を見ることができます。

▶︎ 都市計画情報│東京都 都市整備局

用途地域編〜地図からまち見るシリーズ〜
港区麻布台2丁目 付近の用途地域

また、市区町村の都市計画課(名称が異なることもあります)の窓口を直接訪ねて、地図を閲覧したり購入したりできる場合があります。お住まいの自治体の役所に問い合わせてみましょう。

まとめ:用途地域からまちの姿が見える

エリアごとに定められた用途地域は、その街の雰囲気を知る目安になり、将来的にどのような種類の建物が建つ可能性があるのかを知ることができます。「住んでみたら、思っていた雰囲気と違った…」というがっかりを防止する手段として、土地勘のない場所でのエリア選びにおすすめです。

ライフスタイルや価値観に合う住まい探しのヒントに、用途地域を活用してみませんか?

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