スカイツリーを見上げて、家飲みキッチン|お宅拝見

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スカイツリーを見上げて、家飲みキッチン

目 次
  1. 1家の中心にあるキッチンで、 スカイツリーを感じながら料理
  2. 2リラックス感のある小上がりは、 仕事場、子ども部屋、縁側になる
  3. 3ディテールで再現する 好きな建築へのこだわり

ともに建築学科出身で、建築やデザインが好きなTさんご夫妻。窓から見えるスカイツリーを眺めながらお酒が飲める空間をつくることを目指し、64㎡強のコンパクトな空間を、LDKと個室一つというシンプルなプランにリノベーションしました。家族みんなで料理ができる大きなキッチンを中心に、LDKと連続した畳の小上がりやラウンジなど、コンパクトな空間にたくさんの居場所が詰め込まれた家づくりについて、お話をお聞きしました。

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家の中心にあるキッチンで、 スカイツリーを感じながら料理

――窓からスカイツリーを望む、素晴らしいロケーションですね。LDK、ラウンジ、小上がりと雰囲気が異なりますが、それぞれどんなテーマで空間をつくったのですか?

ご主人 キッチンを真ん中に置くことを最初に決めました。そうすると空間がぐっと引き締まるように思います。二人ともお酒を飲むのが好きで、料理をつくるのも好き。キッチンに立つ時間も長いため、スカイツリーが見やすい場所がいいなと考えました。ラウンジはくつろぎながらお酒を飲む場所。小上がりは、娘のためのスペースとして考えました。

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――テラスにもテーブルとチェアがありますが、こちらでもお酒を楽しんでいますか?

ご主人 テラスからはスカイツリーがとてもきれいに見えるので、ときどきはここでも楽しみます。風呂あがりに涼んだり、ランタンを出してキャンプ気分を味わったり、テラスも居場所の一つとして活用しています。

奥さま ハーブや野菜栽培などガーデニングも趣味で、テラスで時間を過ごすのも好きですね。自家製の新鮮なミントを収穫して、採れたてでモヒートをつくって飲むこともあります。

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――LDKはフローリングで明るい雰囲気ですが、ラウンジの床はグリーンのカーペット、天井や壁もグレーで、とても落ち着いた雰囲気ですね。

奥さま 仕上げの素材に関しては、過去にリビタが手掛けたリノベーションの事例などから、好みのテイストを探して参考にしました。最初にキッチンカウンターを側面はラワン、天板は樹脂モルタルにすることを決めて、それに合わせてフローリングのチークを選びました。グリーンをアクセントカラーとして使っていくことにして、キッチンのタイルやラウンジのカーペットの色をセレクト。さまざまなグリーンを検討したなかから、少しくすんだモスグリーンを選びました。

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ご主人 ラウンジは夜に照明をダークにすると、雰囲気ががらりと変わります。スカイツリーの夜景もあるので、自宅でもバーにいるような気分を楽しめています。柱や梁の一部が傾斜しているのもスタイリッシュで気に入っています。これは斜線規制で建物の構造自体がこのような形になっているのですが、このちょっと変わった造りに惹かれたことも、この物件を選んだ決め手の一つです。

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リラックス感のある小上がりは、 仕事場、子ども部屋、縁側になる

――小上がりは畳で、障子の引き戸で仕切れるようになっています。こちらはとてもリラックスした居心地ですね。

ご主人 現在は在宅勤務で、小上がりで仕事をすることもあります。文机のような小さなデスクと、掘りごたつ式のベンチがあって、快適に座れるようになっています。小上がりの下は全部収納になっているのもありがたいですね。小上がりの床の高さは窓の下の高さに合わせており、窓を開ければテラスに向かって腰掛けることもできます。スカイツリーを眺める縁側のような雰囲気で、とても居心地が良くて気に入っています。この物件のもう一つの特徴は、テラス側の窓が掃き出し窓ではなく、床から少し立ち上がっていることです。この小上がりは、その特徴を上手く活かした設計になっていると思います。機能的にも、畳があると取り込んだ洗濯物を置いたりするのにとても便利。ここで洗濯物を畳みながら、スカイツリーを見る時間も好きです。

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――LDK、小上がり、ラウンジは連続していてほぼワンルーム状。個室は寝室だけというシンプルなプランになっています。このプランは、どう決めていったのですか?

奥さま 面積に限りがあるので、廊下などの無駄な場所をつくらず、LDKをできるだけ広く充実させて、効率的に空間を使えるように考えました。今は子どもが小さいので、小上がりを子どもスペースにしていますが、将来的には小上がりを寝室にして、個室を子ども部屋にする可能性も想定したプランになっています。そうなったときに、私たちの収納が不足しそうなので、個室にあるクローゼットは、玄関側からも取り出しができるようになっているのです。プランの方向性と将来の使い方などへの細やかな配慮は、設計者のアラキササキアーキテクツ(以下、A+Sa)から提案がありました。

――クローゼットを通して、玄関と個室がつながっているのですね。将来的にさまざまな使い方が考えられそうです。

奥さま いろいろな可能性を考えて、フリーにしておけるところは、つくり込みすぎないようにするというA+Saの考え方が、とてもいいなと思いました。玄関にも少しスペースがあるので、壁で間仕切って書斎をつくるのもいいかなと考えたのですが、ひとまずは自由に使える余白として、ロールスクリーンで簡易的に仕切るという案に落ち着きました。収納についても、キッチンのダイニングテーブル側に茶碗や取り皿、グラスなど、テーブルで使う器をしまうスペースをつくるというアイデアを出してもらいました。食事中にお皿が足りなくなった時など、ダイニング側から器を出すことができてとても便利に使っています。娘がお手伝いをしてくれることも多いため、キッチンには娘専用の台座も提案してくれました。これはスライド式で使わないときは収納できます。実際の暮らしのシーンや使い方までシミュレーションをした、繊細な提案はさすがだなと思いました。

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ディテールで再現する 好きな建築へのこだわり

――プランのつくり方以外に、家づくりでこだわったところはありますか?

奥さま 私は色や素材のセレクトが気になり、夫は造作のディテールやドアノブなどのパーツにこだわりが強かったので、それぞれの希望を採用してもらいました。

ご主人 私が希望したのは、とてもマニアックなところです。寝室のドアのハンドルに、吉村順三氏設計の住宅で使われていた堀商店のものを使いたいということ。それから、玄関につくったニッチの棚の奥行きの角度。これはコルビュジエ設計のロンシャンの礼拝堂の窓をイメージしました。リビングの吊戸棚を、全ネジという長いボルトのようなもので吊り下げるのもやってみたかったこと。さらに、仕上げのディテールでも、いくつかこだわりがあります。小上がりの障子のような引き戸は、和紙を太鼓張りという張り方で仕上げてもらいました。リビングと玄関の間にあるドアは、採光部の明り取りに同じ和紙を張っています。小上がりの壁の一面を仕上げず、コンクリートの躯体のまま残したのは、リノベーションっぽいテイストも欲しかったから。建築が好きなので、自分で家をつくるときは、いろいろなディテールを取り入れたかったのですが今回A+Saが細かく要望を聞いてくださり、ほとんどが叶いました。

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――スカイツリーや隅田川も近いこのエリアの住み心地はいかがですか?

ご主人 以前の住まいも同じ町内で、このエリアには馴染みがあります。都心に近い便利なエリアですが、東京を代表する下町でもあり、気楽で気取らない雰囲気が私たちは大好きです。とても住み心地はいいと思います。歴史を感じられる趣があったり、風情のある路地が残っていたり、長年住んでいても飽きない街ですね。ジョギングが趣味なので、隅田川沿いを毎朝気持ちよく走っています。

奥さま お客さまが来たときは、近隣の浅草寺やスカイツリーを案内するのですが、とても喜ばれます。この家の空間でもリラックスして過ごしてもらえれば嬉しいなと思います。

――リビタのリノサポのサービスを経験して、感じていることを教えてください。

ご主人 物件探しから、建築家選び、住宅ローン申請など、家づくりにはさまざまなプロセスがありますが、全部自分たちでやるとなると、とても時間や労力がかかります。とくに金融機関の手続きについては、リビタが間に入ってくれていることで安心感がありました。建築が好きなので、建築家に直接依頼するという方法も考えられたかもしれませんが、設計や施工以外の部分でも存分にサポートを受けられ、軽やかにリノベーションができたと感じています。

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文:村田保子/撮影:古末拓也
取材・撮影:2021年6月
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