本に囲まれた暮らしを叶えるこだわり本棚が主役のリノベーション事例5選|住まいのヒント

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暮らし再発見マガジン のくらし by ReBITA
住まいのヒント

本に囲まれた暮らしを叶える
こだわり本棚が主役のリノベーション事例5選

目 次
  1. 1本棚を活かした住まいの魅力とは?
  2. 2リノベーションで本棚をつくるときのヒント
  3. 3特別な本棚があるリノベーション事例
  4. 4本棚を取り入れる上での3ステップ
  5. 5本に囲まれた暮らしで理想を叶える

本を手にしたときのわくわく感、読み終えたあとの充足感。本はそのときの記憶を保存するタイプカプセルのような存在です。特に心に残った本はただ収納するのではなく、飾るように本棚に収めれば、日々の暮らしがもっと豊かになるはず。
今回は本棚に注目したリノベーション事例をご紹介します。ライフスタイルに合わせてカスタマイズされた本棚の特徴や、空間づくりのポイントを見ていきましょう。

本棚を活かした住まいの魅力とは?

たくさんの本に囲まれて暮らしたい、図書館のような家に住みたい。これは多くの読書家が抱く夢でしょう。本棚にこだわった住まいは本好きにとっての憧れであり、住まいづくりの視点において大切なインテリア要素ともなりえます。こだわりの本棚をつくることで、住まいにはどのような魅力が生まれるのでしょうか。

・収納とインテリアの両立
大型の本棚は、書籍や雑誌、漫画などの収納場所である上に、写真アルバムや雑貨など思い出の品を飾ることもできるので、空間を演出するインテリアとしても機能します。
例えば、収納したい本の判型に合わせて棚の高さを調整すれば、図書館や本屋のようにすっきりと本を並べることができますし、広めに設計すれば書籍だけでなく多様なアイテムを飾ることだって可能です。

・空間の間仕切りとしても
本棚は配置の仕方によって、間仕切りとしての役割を兼ね備えることもできます。例えば空間をゆるやかに仕切る際には、一部だけ壁を設けるなどの方法がありますが、本棚に置き換えることで、収納およびインテリア要素をプラスしながら、さりげなくパブリックゾーンとプライベートゾーンを分けることも。材質や形にこだわったり、目を引くカラーを取り入れたりすれば、より個性を反映した素敵な空間に仕上がるでしょう。

リノベーションで本棚をつくるときのヒント

本棚のある暮らしの魅力をご紹介したところで、次に本棚をつくるときのヒントを見ていきます。ポイントは設置環境と配置場所、余白感の3点です。

①光の当たらない風通しの良い場所を
本棚を設置する場所に注意しましょう。直射日光が当たると本が色褪せ、湿度が高いとカビが生えやすくなります。光が直接当たらず、風通しの良い場所を選びましょう。北向きの部屋が、図書室や書庫には適しているかもしれません。

②あらゆる空間に本棚の可能性が
例えばデッドスペースとされがちな廊下も作り方次第で立派な書庫に変身します。テレビボードと融合させLDKの壁に本棚を設計したり、書斎やワークスペースを図書室と兼ねたりすることも可能です。リノベーション事例の数々からあらゆる可能性を秘めた本棚アイデアをインプットしてみましょう。

③詰め込みすぎず余白感を大切に
本が好きならば、空間いっぱいまで本を収納したくなるもの。ですが、壁一面に隙間なく本を詰め込んでしまうと圧迫感が生まれてしまいます。所有する本の量よりも収納量を増やし、あえて何も入っていない棚を作ったり、腰の高さ程度の本棚を造作して広々見せたり、印象をイメージしながら本棚の設計をしてみましょう。

特別な本棚があるリノベーション事例

それでは実際に本棚にこだわったリノベーション事例を5つ見ていきます。それぞれ本棚の大きさや空間づくり、配置場所など個性的な事例をピックアップしてみました。

1:絶対に譲れなかった壁一面の本棚

本棚には本以外にも、旅先で購入した雑貨などお気に入りのアイテムを飾りたいと考えていたKさん。棚の高さは図録や画集なども入る高さで統一し、文庫本から漫画単行本、図版まで同じサイズの棚に収納しています。本をはじめ雑貨屋キャンドル、ぬいぐるみなど、毎日眺めたいものを飾っています。
またテレビ台とデスクを本棚に内包した設計となっており、住まい全体の機能性が集約されています。

住まい全体がリラックスした雰囲気に包まれているのは、家具やカーテン、クッションなど愛着があるものをちりばめているため。それらを活かすために、壁や天井などのベースはシンプルな白、フローリングも白っぽいカラーをセレクトしました。
好きに包まれた素朴な空間でクッションにもたれながら漫画を読む時間が、Kさんのいちばんのリラックスタイムなのだそうです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都中野区
居住者構成:シングル
専有面積:43.71㎡
間取り:1LDK
既存建物竣工年:1977年
リノベーション竣工年:2021年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/14331
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2:LDKの中心に三角屋根の本棚を

築45年の木造2階建ての戸建てをリノベーションしたNさん夫婦。200㎡近くある面積に、吹き抜けの玄関ホールや、芝生が広がるバルコニーなど、こだわりのつまった住まいづくりに挑戦しました。中でも目を惹くのが、LDKの壁一面に広がる三角屋根の大型本棚です。

このリノベーションでは2階を広々としたリビングダイニングに作り替え、当初2つの寝室に分かれていた壁面を一面の大型本棚に変更しました。三角屋根を縁取るように設置された間接照明がさりげないアクセントになっています。

落ち着いたアトリエのような雰囲気を演出するのは、ダークブラウンのオスモカラーの合板。本棚の一角にはご主人のワークスペースも備えており、自然光が心地良く差し込みます。何も入っていない棚をあえて作ることで、余白を感じられる伸びやかな空間に。

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都武蔵野市
居住者構成:ご夫婦+子ども1人
専有面積:199.69㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1972年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/2947
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3:書斎を兼ねた家族みんなの図書室

「図書館のある家」というコンセプトのもと設計された住まいがこちら。住み替えを機に、築34年のRC造テラスハウスをフルリノベーションしたAさんご家族。昔からたくさんの本を所有していたというAさんの希望をもとに、書斎を兼ねた図書室ができました。

図書室では読書のほかに、リモートワークをする仕事部屋として、レコードやターンテーブルを飾る収納場所としての役割も持たせ、居心地の良さと機能性を両立しています。
階段から続くスペースと図書室を壁で仕切らず、本棚でゆるやかにゾーニングすることで、みんなが本を手に取りやすく設計しました。

他にも家の随所に、家族の思いが詰まったスペースが作られています。2階通路には本棚の延長のような飾り棚を据え付け、娘さんのおもちゃや家族旅行のお土産、写真など、家族の思い出の品を飾るスペースを設けました。家族の時間が家の余白を埋めていく、そんな楽しみを暮らしの中で実感しているそうです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都大田区
居住者構成:ご夫婦+子ども
専有面積:99.72㎡
間取り:4LDK
既存建物竣工年:1983年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/2413
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4:本棚&飾り棚で「魅せる廊下」へ

多趣味なご家族のこだわりを詰め込んだリノベーション事例を見ていきましょう。築19年の中古マンションをリノベーションしたKさんご夫婦は、ワークスペースや通路の壁を利用し、趣味のアイテムを飾る暮らしを楽しんでいます。

注目したいのが、玄関からLDKに続く廊下に据え付けられた本棚です。ここは夫婦共通の趣味である漫画やフィギュア、アートを飾るスペースになっています。漫画をいつでも眺められて、さっと取り出せるようにしたかったため、奥行き10㎝の棚を造作しました。

また奥様のワークスペースはキッチン奥のパントリーにあります。ここには趣味で収集している器や書籍などが収納され、絵を描く際のアトリエのような場所として使っています。

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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県横浜市
居住者構成:ご夫婦+子ども1人
専有面積:79.69㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:2003年
リノベーション竣工年:2022年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/12487
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5:本棚とワークスペースの心地よい関係

互いにデザイン関連のお仕事をされているご夫婦がリノベーションしたのは、築35年、62㎡の中古マンション。「住む」と「働く」の関係性をテーマとしたこの家は、2人とも在宅で働くというニーズに合わせて、ワークスペースも完全に切り離すのではなく、互いの気配を感じられるような設計にしています。

ワークスペースは玄関土間から続くスペースに据え付けました。デスクと同じ高さの本棚と収納棚が、窓際に据え付けられたワークスペースを取り囲んでいます。一部を空間の間仕切りとして配置することで、開放感はそのままにゾーニングの切り分けをしています。広々としていながらも、手元に集中できるような居心地の良さがポイントです。

本が収まりきらなかったため、土間とLDKの間に新たに本棚をDIYしました。ワークスペース×本棚×間仕切りという3つの要素を併せ持つ機能的なブックシェルフとなっています。合板を他の造作家具の色味に合わせたことで、違和感なく空間に馴染んでいるのもポイントです。
住みながら暮らしの形にフィットさせていく、そんな余白を感じさせる事例のひとつです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都江東区
居住者構成:ご夫婦
専有面積:62.29㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/629
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本棚を取り入れる上での3ステップ

本棚を軸に、理想の暮らしを叶えた事例の数々をご紹介しました。個性豊かなリノベーション事例を見ていく中で、より憧れの暮らしのイメージが湧いたのではないでしょうか。
最後に、リノベーションの軸として本棚を据え置く際の3つのステップを見ていきましょう。 蔵書数や物件の構造を把握することで、より具体的に想像できるようになるはずです。

①まずは蔵書数を把握してみる
一般的な判型は以下の通りです。

これを参考に、持っている本の種類と冊数を把握しておくことで、必要な棚板の数を割り出せます。今後増えていく分も見越して、余白ある設計を目指しましょう。

②床の耐荷重を知る
大量の本を1箇所に保管すると建材にダメージを与える可能性があります。建築基準法では、1㎡あたり1800Nの積載荷重が必要です。鉄筋コンクリート造では荷重が分散されるため床がたわむ可能性は低いですが、木造住宅ではそのリスクが高まるため注意が必要です。

③空間の雰囲気を損なわないデザインへ
本棚につかう素材や色味で空間の印象がガラリと変化します。
例えばLDKに設置するのであれば、壁紙や建具のテイストを本棚にそのまま落とし込むのもおすすめです。またゾーニングの役割を持たせたいのであれば、アクセントカラーを用いるのも良いでしょう。実際にこの家で生活している姿を想像しながら、長く親しめる本棚を目指してみてください。

本に囲まれた暮らしで理想を叶える

あの頃通っていた図書館、愛着のあったブックカフェ。私たちの身の回りには、本にまつわる素敵な空間がたくさんあります。そのエッセンスを住まいづくりに用いれば、憧れの暮らしに近付けるかもしれません。もし迷ったときには住まいづくりのプロに相談し、具現化していくのもおすすめです。
子どものころに読み聞かせてもらった大好きな絵本や、心の支えになってくれた小説、宝物のような詩集や画集まで。本棚はその人の過去でもあり、未来でもあります。
それらを大切に並べた、憧れの住まいを叶えてみてはいかがでしょうか。

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