リノベーションで、自分の好きに向き合う
- 所在地:
- 東京都中野区
- 居住者構成:
- シングル
- 専有面積:
- 43.71㎡
- 間取り:
- 1LDK
- 既存建物竣工年:
- 1977年
- リノベーション竣工年:
- 2021年
玄関からバルコニーまで隔てるものがないワンルーム状のLDKが広がる。玄関から見て左側にトイレ、洗面、浴室、WIC、ベッドスペースが、フラットに並び、すっきりと一面の壁のように収まっている。LDKとベッドスペースの間には扉はなく、連続した空間になっているが、必要に応じてロールスクリーンで仕切ることもできる。右の壁面にはキッチン、ワークスペースを組み込んだ造作の本棚が壁一面に設えられている。
製薬会社に勤めるKさんは、30代の一人暮らし。在宅勤務が増えて家で過ごす時間が長くなったことで、賃貸で暮らすことに疑問を感じるようになり、中古マンションを購入して、リビタのリノサポでリノベーションをすることに。壁一面の本棚や玄関からバルコニーまで続く棚板、使い勝手よく整えられたキッチン収納など、自分の好きに向き合った住まいづくりについてお話を聞きました。
自分にとって一番大事なのは、
暮らしに合った空間をつくること
――この物件を購入してリノベーションをしようと思った理由と叶えたかった暮らしをお聞かせください。
Kさん もともと広い家に住みたいという気持ちがあったのですが、コロナ禍になって家で過ごす時間が増えたときに、賃貸の暮らしに不満を感じることが多くなってきて、リノベーションで自分に合った住まいをつくることができたらいいなと本格的に考えるようになりました。漫画が好きで、とにかく本が多いので、壁一面の大きな本棚が欲しいというのが長年の夢。リノベーションならそのようなことも叶えられるのではと期待して、物件探しからワンストップでお任せできるリノベーション会社を探すにあたり、ホームページなどで情報収集することから始めました。
――ワンストップサービスのリノベーション会社はいくつか比較検討されましたか? リビタを選んだ理由やきっかけがあれば教えてください。
Kさん いくつかの会社に相談してみて、物件探しを進めてもらった会社もあったのですが、その中でリビタの岩田さんとお会いして、丁寧にヒアリングをしてもらいました。その中で自分自身の要望がうまく整理できていないことに気づき、コミュニケーションを取っていくうちに、リノベーションで何を優先するかがはっきりと見えてきたんです。
――どのような要望がうまく整理できなかったのですか?
Kさん いちばんはエリアですね。出張が多いので空港が近くてできるだけ都心がいいという希望があったのですが、物件価格が高くなり、リノベーションに予算がかけられなくなってしまうジレンマがあったので、エリアとリノベーションのどちらを優先するか、決められていないところがありました。岩田さんと話しているうちに、自分にとって一番大事なことは暮らしに合った空間をつくることだと再確認できたので、空港の近くは諦めて、通勤に便利な住み慣れたエリアに絞り込み、この物件に決めることができました。予算とエリアが条件に合っていることと、窓から桜並木が見えることが決め手でしたね。
絶対に譲れない本棚造作を優先。
その他は柔軟に予算を調整
――リノベーションではどのような意向をリクエストしましたか?
Kさん 先程お話した本棚のほかにも、旅行が好きで、旅先で気に入った雑貨などを購入することが多く、お気に入りのものたちを飾れる居場所をつくりたいと思っていました。それと料理が好きで、人を招いて振る舞うことも多いので、キッチンの作業スペースを広く取りたいという希望も。対面のキッチンもいいと思ったのですが、料理は自分でつくりたいタイプなので、作業スペースが広く取れる壁付けにしてもらいました。できればキッチンに造作の棚をつくりたかったのですが、予算調整が必要だったので、自分で市販の棚を購入することにしました。システムキッチンにおいても最初に希望したメーカーは諦めて、別のメーカーのものを選びましたが、結果的に使いやすくてデザインもシンプルで気に入っています。
――予算を調整するのは大変でしたか?
Kさん 本棚は絶対につくりたかったので、そこは譲れないと決めて、キッチンの造作棚とLDKと寝室の間に扉をつくらなかったことで、かなり調整できました。寝室は朝起きたときの気持ちよさを重視して、窓側につくってもらいました。LDKと連続した空間ですが、個室にしなかったことで光を遮るものがなく、窓側が明るくなったので、むしろ良かったと感じています。ロールスクリーンを設置して、必要なときは閉められるので不便は感じていません。
――本棚のサイズや素材などは、どのように決めたのですか?
Kさん 手元に置いておく本が入れ替わったり、増えたり減ったりもするので、細かく指定はせずに、デザインとしてきれいに収まることを優先してもらいました。希望としては、アートの展覧会を観に行くのも好きで、大判の図録や画集などもあるので、それが入る高さにして欲しいとお伝えした程度です。テレビを置く場所とデスクを棚に組み込んだデザインを提案してもらい、壁の一面にすっきりと必要な機能が収まった仕上がりになったと感じています。ワークスペースは、資料がすぐ手に取れて、冷蔵庫も近いので家で仕事をするときも快適で使いやすいです。
――キッチンの背面にある棚も、とても使いやすそうに整理されていますね。
Kさん 使いやすさを優先して、無印良品のスチールシェルフをセレクトしました。圧迫感が出ないように、棚の上部は開けて抜けをつくっています。電子レンジや炊飯器などの家電、茶碗や小皿など毎日使うものを真ん中の棚に、使用頻度の低い大皿などは上へ。食材のストックなどの重いものは一番下に置いています。いかに動作をコンパクトにするかを考えて、置く場所を検討。自分にとって使いやすい棚になりました。あと、キッチン壁のつくり付けの棚には、グラス、コーヒーや紅茶、調味料など使用頻度が高めのものを置いています。
お気に入りの家具や雑貨に囲まれて 床座りスタイルでリラックス
――玄関からバルコニーまで一直線に続く棚は、インパクトがありますね。とても可愛らしいものたちが飾られています。旅先で購入したものの居場所となっていますか?
Kさん この棚はご提案いただいたアイデアだったのですが、何を飾ろうかなと考えるのがとても楽しいです。旅先で購入した雑貨やキャンドル、ぬいぐるみなど、毎日眺めたいものを飾っています。
――全体的に白がベースで、雑貨やカーテンなどカラフルなものがアクセントになっていてインテリアが素敵にまとまっていますね。
Kさん カーテンやクッション、家具など、ほとんど前の家から使っているもので、愛着があり気に入っているものです。それらを活かすために、壁・天井などベースはシンプルな白にして、床のフローリングも白っぽいものをセレクト。リノベーションをするのであればコンクリート躯体の現しの箇所をつくりたいと思っていたので、リビング・寝室の梁や天井はそのようにして、居心地の異なる空間にしてもらいました。
――リビングにソファを置かず、クッションを使って床座りの暮らしが中心になっているのも、リラックスした雰囲気を感じさせますね。
Kさん クッションにもたれて寝転がって漫画を読む時間が、いちばんのリラックスタイムなので、ソファを置くという考えはなかったです。空間を広く使えるので、このスタイルが気に入っています。
――リビタに依頼して良かったことと、または難しかったことなどがあればお聞かせください。
Kさん 良かったことは、フルリノベーションをしたいという私のいちばんの願望に紐づく、細かな要望もうまく引き出してくれたことですね。私は自分自身が本当に叶えたいことを絞ることに苦戦していました。特に物件探しを始めた当初は、候補エリアが複数あり気になる物件をひと通り見学しながら「少し視野を広げてみていきましょう」と誘導いただいたのですが、実際に物件を一緒に見学して、その後岩田さんと落ち着いて話すことで、整理して決めていった部分が多かったです。岩田さんがとても話しやすくて、コミュニケーションが取りやすかったから、私もなんでも話せて、対話を重ねることで自分の生活を見つめ直し、本当に自分が大切にしたいものが見えてきたのだと感じています。
――――ここからは担当コンサルタント(岩田智里)も交えてお話をお聞きします。Kさんとの住まいづくりを振り返って、どのように感じていますか?
岩田 Kさんがとても素直に、ご自身が迷っていることや悩んでいることを話してくださったのですが、私がお聞きした時点で、十分に言語化されていたので、あとは実際に物件を見て精査していただければ、軸を持って進めていただけると感じていました。インテリアの好みがはっきりしていて、もともとお持ちだったアイテムも素敵なものが多く、それらを活かして合わせながら空間をつくっていくというリノベーションで実現したいイメージの共有ができたことで、設計がスムーズに進んだと思います。予算調整で削ったところはご自身の中でポジティブにとらえていただき、実際に使いやすいように工夫してお住まいになっているのを見て、とてもうれしく感じます。
――暮らし始めてから変化したことなどはありますか?
Kさん 東向きの窓側をベッドスペースにしたことで、朝早起きになりました。休みの日でも朝の日差しで目を覚まし、活動的に過ごすように。一日の生活リズムが整ったように思います。あと、友人や職場の人を家に招いて、料理を振る舞うことが増えました。キッチンに希望通りの造作棚をつくれていたら、それもまた素敵な空間になったと思いますが、つくらないことで生まれた余白を自分自身で考える醍醐味を味わうことができました。さまざまな制限があるなかで工夫をすることはリノベーションの楽しさだと感じています。