建築好きの100㎡超えのシンプルモダンな家|お宅拝見

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建築好きの100㎡超えのシンプルモダンな家

目 次
  1. 1緑に面した大きな窓を活かした 広々としたL字型キッチン
  2. 2家具やアートを際立たせつつ 自然に馴染む白基調の仕上げ
  3. 3家づくりに関わる時間を楽しみ、 さらに建築が好きになった

11歳と7歳の娘さんをもつAさんご夫妻は、お子さまの成長とともに手狭になってきた家を住み替えるため、120㎡近くある中古マンションをフルリノベーションしました。海外に住まわれていた経験もあり、ご主人は建築やインテリア、アートなどが好きで、海外の建築雑誌なども愛読。家づくりを通して、建築がさらに好きになったといいます。打ち合わせでの建築談義も盛り上がったという、設計者の鹿内健さんも交えてお話をお聞きしました。

緑に面した大きな窓を活かした 広々としたL字型キッチン

――LDKがとても広く、リビング・タイニングは海外の住宅のようなスケール感です。とくに、ゆったりとL字型にカウンターを配したキッチンは、緑に面した大きな窓もあり、気持ちの良い空間ですね。

ご主人 北側の窓が大きく緑も見えるので、北側にキッチンを配置できたらいいのではと考えました。キッチンはカウンターを広めにして、メインのダイニングとは別に、軽く朝食や昼食に使えるカジュアルなダイニングをつくりたいという希望もあり、広々としたスペースになっています。

鹿内さん 既存の間取りのキッチンは、現在の子ども部屋の辺りにあり、キッチンを大きく移動させると、梁の位置の都合で換気扇の配管ができなくなるという問題が。しかし、私も北側の窓からの景色は、この家のポイントだと感じていて、Aさんご夫妻のこだわりが強かったキッチンを北側に配置するのは、いいアイデアだと感じていました。ダクト経路の問題は、IHコンロを採用し、レンジフードを循環型にすることで解決できることになり、現在の位置にL字型のキッチンをつくることができたのです。

奥さま 子どもたちがお手伝いをしやすいキッチンにしたいという希望もありました。友人や子どものお友だちなどを呼んで、一緒に料理などもしたいので、真ん中に作業台を置くことに。この作業台はカウンターよりも5cm低くなっています。子どもたちも作業がしやすく、ダイニングやリビングから窓への視線の抜けを遮らず、圧迫感も軽減。真ん中のカウンターの側面にはオープンなブックシェルフもあり、料理のレシピ本などを収納するのに便利です。

ご主人 キッチンは仕上げの素材、収納の取っ手などのパーツは、すごくこだわって選びました。カウンターの天板は、セラミックをベースにしたデクトンという素材です。

――キッチンのカウンター下にもたっぷりの収納があり、ダイニング側も食器をしまえるようになっています。一角にあるパントリーも充実していますね。

奥さま パントリーは2カ所あります。一つは食材ストックなどキッチンに関連するものをしまう場所で、もう一つは掃除機や掃除用具など雑多なものを入れる場所。使い分けできるのが気に入っています。他の場所についても必要な場所に、十分なサイズの収納がつくられています。洗面室には洗濯物を入れるための引き出し式のボックスもつくってもらいました。見せたくないものは目につかないようになっていて、あまり生活感が表に出ない家になっていると思います。

家具やアートを際立たせつつ 自然に馴染む白基調の仕上げ

――LDKとお子さまの2人の個室、寝室という間取りはどのように決めていったのでしょうか?

ご主人 娘2人の個室と寝室を、必要な広さでつくることは決めていました。その上でLDKはできるだけ広くしたいという方向性です。設計を進めていたのは、コロナ禍が始まった時期で、リモートワークになり、今後も見通せない緊迫した状況。最初は、ワークスペースも個室にしたいと考えていました。

鹿内さん ワークスペースは、寝室の奥やLDKの一角に、個室としてつくることも検討しました。しかし、とてもコンパクトな空間で、窓がない部屋になってしまうことは避けられません。打ち合わせを重ねた結果、寝室の一角にデスクを造りつけるのみにして、間仕切りの壁はつくらず、オープンな空間にすることにしました。

ご主人 結果的に明るく開放感のあるワークスペースになってよかったと思います。現在もリモートワークが中心ですが、仕事をする時間帯に寝室は使わないので、一人でこもって集中して作業することができます。

――白い壁・天井、薄いグレーのカーペットなど、仕上げはとてもシンプルで落ち着いた雰囲気ですね。こちらはどのように決めていったのでしょうか?

ご主人 建築やインテリアが好きで、家具やアートなど気に入ったものをセレクトしてコーディネートしていきたいと思っていました。空間はできるだけシンプルにして、家具やアートなどを際立たせながら、バランスよく馴染むような空間にしたかったのです。ベースは白の塗装で、冷たい雰囲気にならないように、床は全室にカーペットを採用。キッチンと洗面などの水まわりの床のみ磁器質タイルです。モダンだけど少し温かみのある雰囲気を目指しました。

鹿内さん Aさんは、海外生活のご経験などもあり、海外の建築雑誌なども愛読し、素材やディテールに造詣が深い。SNSなどからイメージに近い写真をプリントアウトしてファイリングもされていて、ご希望がとても明確でした。トイレのドアの取っ手をイメージに合わせて造作したり、キッチンのサブダイニングの天板はオークの突板で縁をRにして浮遊感を出したり、ディテールの見せ方にもこだわりが詰め込まれています。巾木はなしにして、空調を埋め込み式にするなど、面ができるだけフラットになるように調整していったことも、完成度の高い空間につながっていると思います。Aさんが施工中の現場を訪れ、壁の塗装やキッチンの床のサンプルを、実際の光の中で確認されていたのも印象的でした。プロの建築家と同じような視点で素材を見ているのだなと感じましたね。

家づくりに関わる時間を楽しみ、 さらに建築が好きになった

――家具はどのようなものをセレクトされたのですか?

ご主人 「USMハラー」のサイドボードは、メインの家具として使いたいと思っていました。リビングやワークスペースなどの収納としてキャビネットやサイドボードを採用しています。ダイニングテーブルも「USMハラー」で、その上に設置した照明は、「Oluce」というイタリアのブランドのもの。かなり大きなスケールなのですが、この面積だからできたチョイスだと感じています。購入する前に大きすぎるのではないかと心配だったのですが、鹿内さんが実物大の模型をつくってくれて、事前にスケール感を確認できたので安心できました。

奥さま 洗面の水栓も、実物大の模型をつくってもらいました。メンテナンスが楽で見た目もすっきりするので壁付けにしたいと希望していたのですが、実際の使い心地はどうなのか気になっていたのです。高さや壁との距離感などを確かめて、納得してから決めることができました。

――フルリノベーションを経験して、印象に残っていることやよかったと感じたことなどを教えてください。

ご主人 好きなインテリアの写真を、雑誌やインターネットで探し、カタログを見たりショールームを見学したり、リサーチを繰り返すことで、自分の好みを再確認することができました。家づくりの関わる時間は、すべてが楽しかったです。また、鹿内さんと建築や住宅について話す時間は、とても有意義で、以前に増して建築が好きになりました。

――リビタのリノサポのサービスについて、感じていることを教えてください。

ご主人 リビタのコンサルタントの山田笑子さんも、建築にとても詳しく、意図やディテールの希望などが伝わりやすいと感じました。設計や施工について、山田さんが間に入ってくれることで、リクエストがしやすいこともありがたかったです。とても静かな環境にある物件なので、施工中は配慮が必要な場面も多かったと思いますが、マンションの管理規約の把握や管理組合への対応などのサポートも的確で、スムーズに進みました。コンサルタント、設計者、施工者など、関わってくれた方がそれぞれの専門分野を活かし、ワンチーム感でリノベーションに取り組んでくれたことで、とても楽しく家づくりができたと感じています。

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文:村田保子/撮影:古末拓也
取材・撮影:2021年8月
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