こだわり事例から学ぶ、子育てを楽しむ住まいづくりと間取りのコツ|住まいのヒント

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住まいのヒント

こだわり事例から学ぶ、
子育てを楽しむ住まいづくりと間取りのコツ

目 次
  1. 1子育て世代の街選びと資金計画
  2. 2お悩み別でみるこだわりリノベーション事例
  3. 3子育て家族が取り入れたい間取りポイント
  4. 4家族で快適に過ごせる間取りを

子育ては楽しいけれど、やはり大変なもの。ぐんぐん成長する子どもたちにとって、家事や育児に忙しい親にとって、ぴったりの間取りとは一体どんなものなのでしょうか。
今回は子育て世代に向けた住まいづくりに注目します。街選びや資金計画といった基本的なポイントや、個性豊かなリノベーション事例をご紹介。子ども部屋の考え方からLDKのつくり方まで、子育てしやすい間取りのコツを解説していきます。

子育て世代の街選びと資金計画

これから子育て期を迎える夫婦や、子育て真っ只中の家族にとって、新たな住まいを考えるとき街選びや資産計画は将来に関わる大きな要素です。
近年ではリモートワークの普及といった働き方の多様化や、各自治体による子育て政策の拡充によって、住まいの選択肢が広がりつつあります。

<子育てしやすい街選びのポイント>

通勤時間や実家との距離、住み慣れた街。居住エリアを選択する上で、決め手となる要素は実にさまざまです。その中でも育児視点から育てやすい街を選ぶポイントを3つご紹介します。

1つ目のポイントは保育園への入りやすさ。特に共働き世帯では必須の条件でしょう。数年前に待機児童問題が浮き彫りとなって以来、多くの自治体では改善が進み、以前よりも保育園に入りやすい状況へと変化しつつあります。日々情報が更新され、自治体によってばらつきがあるため、検討中の各自治体をまずは比較してみましょう。
2つ目は行政による子育て支援の充実度です。無償のベビーシッターサービスの提供や、保育料、給食費の軽減など、自治体によって様々な支援が展開されています。家族のスタイルにフィットするサービスがあるかをチェックしてみましょう。
そして3つ目が、子どもにやさしい街づくりがなされているか、という点です。例えば安全に生活できるよう歩道・交差点が整備されているか、子どもたちの遊び場となる公園が近くにあるか、などが挙げられます。さらに小児科やスーパーなどの生活動線、文教地区といった教育環境なども子育ての観点では気にしてみると良いかもしれません。

ただし子育てしやすい街に答えはありません。これらの要素を比較検討しつつ、「この街で子育てをしたい」と思えることが最も重要です。実際に街を訪れてみたなかで、歩いて、子育てパートナーと相談してみてくださいね。

<子育てに必要な資金計画とは>

人生においてお金のかかるイベントは多くありますが、なかでも住宅購入費・子どもの教育費・老後の生活費は「人生の三大費用」と呼ばれる大きな支出です。特に子育て世帯は、住宅購入費と子どもの教育費について同時並行で検討するケースも多く、大きなお金が動くステージともいえるでしょう。
無計画に貯金をしたり闇雲に節約したりするのではなく、まずはそれぞれの費用にかかる見積もりを出し、その上で「我が家の未来年表」という形で可視化をしてみましょう。子どもの入学や卒業、住宅購入など家族のライフイベントとその時期の支出をだし、キャッシュフロー表としてまとめるのもおすすめです。
いつ・何に・どの程度かかるのかが分かれば貯蓄必要額も概算できるため、未来像のイメージがより掴めるはずです。

お悩み別でみるこだわりリノベーション事例

さてここからは、多くの子育て世帯が抱える間取りのお悩みを見ていきます。親も子どもも快適に過ごせる住まいづくりのコツをチェックしてみましょう。

①子ども部屋のつくりかた

小学校入学を機に、子ども部屋の導入を検討するご家庭も多いのではないでしょうか。従来のような独立した部屋という選択肢の他にも、実はさまざまな間取りの工夫があります。

お宅拝見「3人兄弟と60㎡台のマンション暮らし」より

例えばドアのないオープンな子ども部屋というアイディア。「リビングで子どもと過ごす時間を大切にしたい」という想いから生まれた間取りです。

扉のないスペースにはロフトや二段ベッドで上下の空間を活用。限られたスペースにデスクとベッドをレイアウトしています。オープンな子ども部屋は、空間のつながりを演出しながら、子どもたちの自立心を育めるような願いも。成長段階に合わせて間仕切りを取り付けるなど、子どものプライバシーを守ることもできる間取りです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都荒川区
居住者構成:夫婦+子ども3人
専有面積:66.9㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1997年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1410
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お宅拝見「木のぬくもりと職住一体」より

リビングの一角に兄弟の作業スペースを作るアイディアもあります。子どもたちで並んで宿題や工作ができるデスクカウンターをリビング壁面に設置。デスクの上には勉強道具を収納できる棚をしつらえたり、デスク横に子ども専用のクローゼットを作ったり、子どもたち自身で整理整頓ができるようなつくりに仕上げました。

55㎡で5人暮らしという限られたスペースをフル活用できるよう、間仕切りを減らしオープンな空間を演出。さらに用途に応じてフレキシブルに変えられるようにすることで、窮屈に感じない間取りを心がけています。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都調布市
居住者構成:夫婦+子ども3人
専有面積:55.04㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1969年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/495
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②家族が集うリビングのありかた

一家団らんの場所となるリビングは、家の中でも中心的な存在です。食事をとったり子どもたちが遊んだり、日常が描かれる空間には家主の想いが宿るもの。家族でのコミュニケーションを大切にするのならば、リビングにこだわるのも子育てしやすい間取りのポイントです。

お宅拝見「こもりベンチと未完成の楽しみ」より
お宅拝見「こもりベンチと未完成の楽しみ」より

こちらはリビングの一角に設置した「こもりベンチ」が目を惹くリノベーション事例。小上がりの上でくつろいだり、ステージのように登って遊んだり、家族で多目的に使える空間を設置しました。扉の奥と小上がりの下は収納となっており、おもちゃや季節ものをすっきりしまうことも可能です。既存を上手に活かしつつもメインのLDKを子育て仕様にしっかりと作り替えた一例となっています。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都大田区
居住者構成:夫婦+子ども2人
専有面積:78.94㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:2001年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1755
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お宅拝見「多機能LDKと2回目の家づくり」より
お宅拝見「多機能LDKと2回目の家づくり」より

ワークスペースやカーテンで仕切れるフリースペースなど、家族の居場所が一体となった広いLDKを実現した事例がこちらです。
日中のほとんどの時間をLDKで過ごすことを前提に、なるべく広く単調にならないようデザインされています。フリースペースはゲストルームとして使うことを想定し、カーテンで仕切れるように。カーテンを使わないときには壁の中へ収納できるようにもなっており、すっきりとした一体感を演出します。
一角のワークスペースは勉強をする子どもとリモートワークをする大人が並んで作業ができるような空間へ。テレビなどを隠しつつも、互いの気配は感じられる絶妙な高さの壁がポイントです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:千葉県浦安市
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:96.71㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1982年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/6331
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③家事の効率化ができる工夫

子どもとの生活は、常に家事の効率化と整理整頓との戦いとなります。近年ではパートナーと協力しながら家事をこなすスタイルが主流です。家事という観点から見た子育てしやすい間取りとして、生活動線のブラッシュアップと収納の充実が挙げられます。

お宅拝見「ラフさと洗練さ」より
お宅拝見「ラフさと洗練さ」より

こちらは家事を効率的にこなすための動線にこだわった事例です。キッチン、洗濯室、洗面室、浴室が一直線に並んだつくりとなっており、料理と同時並行で洗濯をするなどフットワーク軽く家事が進められます。また室内干しをすることが多いため、洗濯室に室内干しの空間を確保することで住空間を美しく保つ工夫も。引き戸を開ければそれぞれのスペースがワンルームのようにつながり回遊性も抜群。忙しい朝にも渋滞することがありません。
キッチンやLDKにあるつくり付けの家具も、統一感のあるフラットなデザインにこだわりました。ラフでありながら洗練された空間にも美しく映える収納です。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県川崎市
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:76.67㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1995年
リノベーション竣工年:2015年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3199

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お宅拝見「子育てとDIY」より

部屋全体の様子が見渡せるキッチンを中心に、家族の空間が広がる間取りも子育てのしやすさを考慮したアイデアです。家事と仕事をキッチンでこなしながら、家族との時間が過ごせます。
一方、棚やクローゼットなど、作りつけの収納は最低限に。ライフスタイルがどんどん変化する子どもとの生活を踏まえ、必要なときに必要な収納を自分たちの手で作っていく想いが現れています。

そして一番の特徴がDIYした珪藻土の壁材です。インテリアの観点はもちろん、子どもとの生活で傷ついたり落書きされたりしても、「また自分たちで塗り直せばいいよね」と思えるおおらかな工夫に。子どもたちの好奇心を包み込めるような、やさしい間取りとなっています。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都世田谷区
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:65.24㎡
間取り:1LDK
既存建物竣工年:1979年
リノベーション竣工年:2013年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3730
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子育て家族が取り入れたい間取りポイント

想いの詰まった子育て世帯のリノベーション事例をご紹介してきました。実際にリノベーションを検討する上で、重要となるポイントを改めておさらいしてみましょう。

・「子どもの自立心をサポート」する子ども部屋を考える
これまで子ども部屋は、一定の時期を迎えると与えられるような独立した部屋のイメージが強い空間でした。ですが、子どもの年齢や性格によって「できること」や「やりたいこと」は異なります。そのため子ども=子ども部屋と決めつけるのではなく、個性や家族の想いを反映した大胆な間取りにするのもコツといえるでしょう。
ドアのないオープンな子ども部屋やリビングの一角を子ども部屋に仕立てるなど、家族の存在感を感じられるスペースは子どもにとっても安心感があるもの。さらに子どもの成長段階に合わせて間仕切りや引き戸などでパーソナルな空間を作れるようにしたり、子どもが独立した後にも活用できるようにしたり、長い目で子ども部屋のあり方を捉えることがおすすめです。

・家族と過ごす時間を大切にするなら、可変性のあるLDKを
平日の夜や休日でも家族が集える場所を整えれば、自然と家族のコミュニケーションが豊かになります。そのためLDKには、誰にとっても居心地のよい空間であることが必要です。
時に子どもたちの遊び場になったり、パートナー同士のくつろぎの場となったり。時と場合に応じて、家事や仕事の場にもなる多目的スペースを設けるのもひとつのアイデア。必要に応じてフレキシブルに空間を繋げたり切り分けたりできるLDKはおすすめです。
それぞれが好きな時間を過ごしながら、ゆるやかに会話が続く空間を目指して、重点的に予算をかけてみても良いかもしれません。

・家事の負担軽減ができる回遊動線と収納を意識
常に時間に追われがちな子育て生活において、家事の効率化はかなり重要です。
対策として1つ目に挙げられるのが、回遊動線への意識づくりです。例えばクローゼットや洗面台などの動線を整えれば、慌ただしい朝の時間も渋滞なく過ごせます。また生活動線は子育てが終わったあとも日々の生活を快適にサポートしてくれますので、リノベーションの際はぜひ注目してみてください。
2つ目に挙げられるのが収納の考え方です。あらかじめ大型のウォークインクローゼットを設置する考え方があれば、ライフステージに合わせて収納を増設する考え方もあります。どのようなスタイルが家族にフィットするか相談してみてください。どちらにせよ、家族全員の使いやすさが最優先。気軽に出し入れできる収納は、子どもたちの自発的な整理整頓を促す効果も期待できますよ。

家族で快適に過ごせる間取りを

どんどん成長する子どもとの日々は、家族にとってかけがえのない時間。それをより心地良く快適な空間で過ごしたいと思うのは、ごく自然なことです。
ここで紹介した子育てしやすい間取りはほんの一例に過ぎません。家族の人数や生活スタイル、年代によって最適な間取りは変化していきます。現在から未来まで幅広い視点を持ちながら、まずは家族にフィットするコンセプトを思い描いてみてください。
一度間取りを決めたら変えられない、などと決めつけずに「成長したらまた変えちゃおう」と余白のある気持ちで今を楽しむのも大切なこと。みんなで作り上げたオリジナルの家は、家族にとって大事な宝物となるはずです。

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