シェアプレイス「the C」卒業生インタビュー
価値観を共有する、一生ものの関係
神田エリアで、リビタが運営してきたシェア型賃貸住宅「シェアプレイス」シリーズの1つである「the C」。2015年の開業以来、約10年にわたり、多くの人々に親しまれてきました。2025年3月、建物の契約満了に伴いクローズすることになり、1つの歴史に幕を下ろしました。
節目の年となる今回、「the C」で暮らしていた4名の卒業生に集まっていただき、シェアプレイスでの暮らしや思い出を振り返ってもらいました。
メンバーの中には、「the C」に住んだ経緯から結婚したあきさんとたくさんの姿も。シェア暮らしで何を感じ、どんな関係性が育まれたのか。その後の人生にどのような影響を与えたのか。今だから語れる、リアルなシェアプレイスの魅力に迫ります。

(参加者左から)
あきさん(40代) IT系企業勤務
入居期間:2016年7月〜2018年12月
実家暮らしから会社近くの住まいを探しているときに、大型シェアハウスの存在を知り、楽しそうだからお試しで「the C」へ入居。退去後にたくさんと結婚。
たくさん(40代) 金融系企業勤務
入居期間:2016年4月~2017年1月
リビタの別のシェアプレイスに入居しており、気に入っていたが、通勤に時間がかかるため会社に近い「the C」へ転居。退去後にあきさんと結婚。
まっきーさん(40代) IT系企業勤務
入居期間:2015年4月〜2016年7月
別の少規模シェアハウスに住んでいた夫に誘われて、結婚をきっかけに「the C」の二人部屋に夫とともに入居。
しばさん(30代) 商社勤務
入居期間:2015年3月〜2016年3月
会社から徒歩通勤可能という理由で「the C」に入居。仕事が忙しく、会社と家を往復する生活だったため、変化を求めていた。
人との出会いや共同生活の楽しさへの期待
――まずは、皆さんが「the C」に入居したときのことを振り返って、入居の理由や期待していたことなどを教えてください。
たく:僕は「the C」の前にも、リビタのシェアプレイスに住んでいました。海外留学から帰国後に入居したのですが、寮生活の楽しさや仲間がいる安心感に慣れていたので、いきなり日本で一人暮らしする気になれず、シェアプレイスを選びました。家具を揃える必要がなく、水まわりなどの共用部の掃除を自分でしなくてもいいというのも、掃除が苦手な自分には大きな魅力でしたね。会社から遠くて通勤が不便だったので、別の物件を探すことにして、会社に近い「the C」へ転居しました。

しば:僕も仕事が忙しくなったタイミングで、会社の近くに住もうと考えて、徒歩通勤も可能な「the C」に入居しました。高校時代は寮暮らし、大学時代はルームシェアをしていて、人と暮らすことに慣れていて、同年代の友人ができるのではという期待もありました。家具を揃えなくていいというのは大きなメリットですよね。商社勤務で転勤が多く、海外駐在などもあるので、僕が「the C」で暮らしているのを見て、入居してきた同僚もいました。
あき:私は実家暮らしだったのですが、どこか別の場所に住みたいなと思っていたとき、シェアハウスが楽しそうだなと。一般的なシェアハウスは5人くらいで一軒家をシェアして住むイメージですが、リビタのシェアプレイスのような大型のシェアハウスもあるという話を聞いて興味をもちました。小規模なシェアハウスとリビタのシェアプレイスを両方見学して、ある程度管理がしっかりしていて、たくちゃんが言うように掃除をしてもらえる点や利便性に惹かれて入居しました。

まっきー:「the C」は2人で入居できる部屋があり、私は結婚をきっかけに夫と一緒に入居しました。夫は結婚前も、友人とシェアハウスで暮らしていて、おすすめされて入居することにしました。「the C」がオープンしてすぐに入居したから、皆同じように初対面でこれから新しい人間関係を築いていくという感じで、そこに不安はなく、これからどんな人たちと出会えるんだろうと期待が大きかったです。

仕事も遊びも全力。働き盛りの同世代が集う
――皆さん共通して、人との出会いや共同生活への期待があったのですね。入居前に感じていた不安はありましたか? また、入居前の印象とのギャップなどもあればお聞かせください。
しば:新しい出会いに期待はありましたが、約50人もいる大きなコミュニティに入っていくのは不安もありましたね。でもそこは皆同じ思いだったことが、入居後にわかって安心しました。最上階に共用ラウンジがあるのですが、初めてそこに行くときのことは皆強烈に覚えていて、怖くて1度引き返したり、1杯飲んでから行ったという人もいたり、ドキドキしたという話でよく盛り上がっていました。皆バイタリティにあふれていて、仕事が忙しくてもプライベートも充実させたいという雰囲気があり、たくさんの刺激をもらいました。

あき:私はシェアでの生活がイメージできておらず、人との生活が合わないかもしれないと思っていました。また、若い世代が多いのではと想像していて、30代の自分が馴染めるのか不安もありました。実際は同年代や年上の方も多く、神田という場所柄、仕事に打ち込んでいる大人の集まりという感じで、雰囲気はとてもよかったです。そして仕事も遊びも全力。「よく働き、よく遊ぶ」を地でいっている人が多く、そういった人たちとの暮らしは本当に楽しかったです。また、自分は人との生活に煩わしいと思うタイプではなく、大家族のように人が近くにいる暮らしが合っていることがわかりました。
まっきー:私は結婚して2人で同じ部屋で暮らすという経験が初めてだったので、そちらの不安が大きかったのですが、シェア自体については同世代の入居者が多く、楽しく過ごせました。シェアプレイスでは、会社の同僚や学生時代からの友人とはまた違う、しがらみのない関係性で知り合えるのが、最大の魅力でしたね。働き盛りの世代が集まっていたので、さまざまな業界で頑張っている同世代の姿に励まされました。

たく:集まっている人のバックグラウンドが多様だから、そこは楽しみでもあり、不安でもありましたね。最初はあまりお互いのことを知らなかったけど、だんだん関係が深まってくると、それぞれに得意分野があることがわかってきて、それを活かしてイベントを開催したりしていました。想像以上に多業種のすごい仕事をしている方と出会い、交流できたのはとても有意義でした。「the C」で出会って仕事を一緒にするようになった人もいて、そのつながりは今でも続いています。
本気のイベントから生まれる仲間との絆
――「the C」に住んでいた期間で、印象に残っているエピソードなどがあれば教えてください。
まっきー:入居した年に結婚パーティをしたのですが、「the C」の仲間が30人くらい来てくれて、女性陣が「the C」のテーマカラーの黄色のドレスを着てパフォーマンスで盛り上げてくれて、ありがたかったです。その後もハロウィンやクリスマスなど、さまざまなパーティやイベントをやりましたが、催しを通して自然に役割分担が生まれ、そこから新しいつながりや一体感が生まれて、関係性が深まっていく過程が楽しかったですね。
しば:僕もイベントは印象に残っていますね。誰かが卒業するときや入居するときにも、送別会や歓迎会をよく開いていましたし、一緒にキャンプに行ったりもしていました。特定の仲のいい人だけが集まるわけではなく、イベントをやるときは全員に声をかけて、そのときに集まりたい人が集まるっていう、自然な感じもよかった。それは普段ラウンジで集まるときも同じで、無理につきあう関係ではなく、自分の都合や気分で集まって、眠くなったらすぐに部屋へ戻れるというような、気楽な空気感が心地よかったです。

たく:自分が企画したイベントはよく覚えています。夏にワインを30種類くらい用意して皆で飲む会をやりました。お互いのバックグラウンドを知るために、何度かプレゼン大会も開きました。皆プレゼンがすごく上手くて、5分くらいで興味を引くようポイントを的確に伝えてくるんです。Q&Aコーナーも設けて、単純な自己紹介にとどまらないひとつのイベントになっていて、とても印象に残っています。知れば知るほどすごい仕事をしている人が多いし、仕事の話なども掘り下げていくと深い話になることもありました。心地よい距離感を保てる人が多く、フランクに意見を言い合える雰囲気がとても好きでした。

あき:同じくイベントです。本気で遊ぶことを体験させてもらい、私も本気で準備に向き合いました。ハロウィンでは建築の仕事をしている入居者が活躍して、エレベーター内まで本格的な飾りつけをしたり、コスチュームにもこだわったり、本気度がすごいんですよ。私は料理を担当することが多かったのですが、ハロウィンでは飾り付けに触発されて、ドクロ風のスペアリブをつくりました。卒業パーティーのときは、手巻き寿司などをグレージングテーブル(さまざまな料理を彩り豊かに盛り合わせて並べるスタイル)のように盛りつけたり、桜の花びらをグラスに浮かべてドリンクをつくったり、仕事のように夢中になってやりました。皆が喜んでくれるから、私もやりがいがあるし、新しい入居者に「the C」のカルチャーを伝える場にもなっていました。

――皆さんは、今でも定期的に会っているとのことですが、「the C」の卒業生同士でのつながりは、いろいろなところで続いているのですか?
あき:いろいろなところで、たくさんの集まりが続いています。私たち夫婦が開催する忘年会だと毎年10人くらい集まりますね。ライフステージによって子育て中で参加が難しい時期もあるから、固定メンバーではなく、入れ替わりがあり、集まれるメンバーで集まる感じです。
しば:結婚して子どもがいる人同士では、家族ぐるみ夏休みにキャンプに行ったりしています。それも決まったメンバーでというわけではなく、ゆるく行ける人が集まっている感じです。当時は10年後もつながっているとは想像してなかったですが、こんなに長く関係性が継続しているのは貴重ですよね。
あき:卒業してからの方が、つきあいが濃くなっているメンバーもいます。まっきー、私たち夫婦、それに数人の仲間で、定期的に食事会や温泉旅行なども楽しんでいます。
――学生時代の友人のようで、またそれとは違う独特の関係性ですね?
たく:一時期、寝食を共にしているので、学生時代の友人よりは近い感じがする。
まっきー:「東京の親戚」って呼んでいます。「いとこ」くらいの感じ?
あき:卒業して10年くらい経って、ライフステージも変わり、それぞれがいろいろな場所で活躍していますが、時間を経ても会えばすぐにあの頃に戻って、変わらず会話が始まるみたいな。人脈のような表面的な関係ではなく、もっと内面でつながっている感じ。シェアプレイスで過ごした時間があるから懐を見せ合えるような関係を築けた気がします。かつて語っていた夢を叶えた人もいて、時間を経た今だからこそ、関係の価値がより深まっていると感じます。
暮らしの中に、人生を変える経験がある
――たくさんとあきさんは「the C」で出会って、ご結婚されたとのことですが、シェアプレイスではパートナーとの出会いも多いのでしょうか?
あき:私達夫婦は、お互いが同居した時にできたカップルではなく、「the C」での食事会やイベントに、卒業後もたくちゃんが参加し続けていて、友達関係が続いていく中で、そこでタイミングが合って付き合うようになりました。

まっきー:他のシェアプレイスでは出会いが結構あると聞いたのですが、「the C」はそんなに多くなかったと思います。私たちが知っている範囲だと数組程度です。
たく:結婚はしていないけど、恋愛に発展したカップルはもう少し多かったと思います。僕たちの知らないところでも恋が生まれていた可能性もありますしね。
しば:2人のように卒業後に付き合うケースもあるから、これからカップルが生まれる可能性もあると思います。たくちゃんやあきを通して、入居時期が被っていない「the C」の卒業生を紹介されることも多く、今でも出会いが広がっていますから。

――「the C」で住んだ経験が、人生観や価値観、今のライフスタイルに生かされていると感じることはありますか?
まっきー:いろいろな人と出会うことができ、今もその関係性が続いていることは、私の人生の大切なパーツだと感じています。大人になってからできる友達って少ないので、大切な人たちと出会えたことに感謝しています。これまでとは違うコミュニティに入ってみたい好奇心のある方に、シェアプレイスはとてもよい環境なので、ぜひ飛び込んでほしいです。
しば:「the C」での暮らしを通して、人と話すのがすごく好きになりました。「the C」では自分のことをよく聞かれるんですよ。ずっと住む人は少ないので、「この後どうしたい?」というのが定番の会話。そこで、自分をオープンにすることの大切さを知りました。もともと同世代の友達と話すのは好きだったけど、「the C」にはいろいろな世代の人がいて、上司くらいの年齢の人もいれば、若い人もいて、年齢やバックグラウンドが違っても、話しているうちに自然と仲良くなれることも経験しました。卒業後に人との向き合い方が変わって、幅広い人と積極的にコミュニケーションを取るようになったと感じています。

たく:得たものは専門性とオープンマインドです。仕事とか勉強という意味ではなくて、仲間たちから何かに一生懸命打ち込んで、こだわりをもってやることの大切さを教えてもらったと感じています。しばも言っていましたけど、自分のことをすごく聞かれる機会が多くて、そこで日々一生懸命に何かをやっていれば、自分のことを伝えようとするし、聞くときも真剣に耳を傾ける。お互いを尊重できる人間関係は面白いと気づかせてもらいました。
あき:人生のプライオリティとして人と過ごす時間はもともと大切だと考えていたのですが、「the C」で暮らしたことで、それがより明確になりました。当たり前に人とつながって、関係を深めることを肯定してもらえたことは貴重な経験でした。今はリビタでリノベーションした住まいに暮らしていますが、夫婦ともに人を家に招くことが習慣になっていて、「the C」の仲間、会社の同僚や上司、旅先で出会った人など、多彩な人が遊びに来てくれます。
それから、私は「the C」のキッチンで毎日料理をつくっていて、イベントでも料理担当だったこともあり、皆から料理を褒めてもらうことが多くて、自分は食が好きで、料理が得意だと実感するきっかけになりました。今は仕事でも食に関わっていて、自分の好きなことに振り切って進んでいくことができたのも、皆が一緒に楽しんでくれたから。自分の価値観を仲間とシェアできたことが、自分の人生を大きく動かしてくれたと感じています。