土間のある家のリノベーション事例10選
メリット・デメリットから注意点まで
屋内と屋外の中間的な役割をもつ「土間」。玄関に隣接する広々とした土間は、仕事や趣味などをたのしむフレキシブルな空間として暮らしにアクセントをもたらし てくれます。今回は土間を設けたリノベーション事例を中心に、メリット・デメリットや注意点をご紹介します。
土間リノベーション5つのメリット
リノベーションでも人気の広々とした土間。マンションでも戸建てでも土間があると、次のようなメリットが生まれます。
・趣味をもっとたのしめる
お庭やベランダのない住まいでも、土間があれば趣味の時間がもっと身近に。掃除をしやすいため、土を扱うガーデニングにもおすすめです。DIYや自転車・ バイクのメンテナンスのようにガレージ代わりに活用する方も。雨の日はお子さまやペットの遊び場にするなど、そのときどきで用途を変えられることが土間のメリットです。
・来客に対応しやすい
日頃から来客が多いご家庭なら、たくさんの靴を並べられる土間があるととても便利です。日当たりの良い土間にベンチや椅子を置けば、サンルームのようなリラックススペースに。ホームパーティーのウェルカムスペースや、ご近所さんとちょっとしたおしゃべりができるスペースとしても活躍してくれそうです。
・外で使うアイテムを収納できる
アウトドア関連などのアイテムを気軽に収納できる点は、土間の大きなメリットです。自転車や ゴルフ用品、野球道具、スーツケースやベビーカーなどが汚れていてもあわてて拭く必要なし。土間にいったん置いて、時間があるときにきれいに拭けば大丈夫です。 外出時も気軽に取り出せるため、ちょっとしたストレスから解放されます。
・夏は涼しく過ごしやすい
主にコンクリート・モルタル・タイルといった素材が使われる土間。直射日光が当たらない土間なら、夏でもひんやりとした空気がただよっています。冷房費を抑えやすいため長時間過ごすワークスペースにもおすすめ。お散歩ができない炎天下は、お子さまやペットを遊ばせるプレイルームとしても活用できるでしょう。
・玄関が明るくなる
マンションのように窓がない玄関も、土間を広げることで採光アップになります。 たとえば土間と隣室の間仕切りをなくすことで、個室の窓を土間に取り込み明るくできるケースも。窓からの自然光がふり注ぐ、開放的な玄関へと生まれ変わります。
土間リノベーション2つのデメリット
上記のようにメリットの多い土間ですが、少しだけデメリットもあります。土間のリノベーションを検討する前にぜひ知っておきましょう。
・冬は寒いと感じることも
メリットで「夏は涼しい」とお伝えしましたが、冬は寒さにつながります。とくに戸建ての土間は地面や基礎に直に接しているため、より冷たさを感じやすいでしょ う。長時間過ごす予定なら、土間に暖房を設置する、土間からの冷気が室内に入ってこないように間仕切りを設けるなど、しっかりとした対策が必要です。
・居住スペースが小さくなることも
土間を広くするほど居住スペースは狭くなります。リビングや寝室といった「居住スペース」と「土間スペース」の兼ね合いを考えながらプランニングしましょう。 「土間をワークスペースにするから個室は不要」というように、ときには思い切ることも大切です。
土間を活用したおしゃれなリノベーション事例
①内と外を曖昧にする土間
玄関にダイナミックな土間を設けたリノベーション事例です。コートヤードに続く掃き出し窓に面しているため、まるでテラスのような開放感。グリーンを飾ったり、窓 辺に造作したコンクリートのベンチでひだまりを感じながら愛猫とくつろいだり。 グラフィックデザイナーの奥さまの撮影スポットとしても活躍しているのだそう。
吹き抜けの階段を上がったところにも、ちょっとした土間を設けました。やわらかなRのフレーミングがアクセント。大きな鉢植えと愛猫のお食事スペース、夏場はひんやりとしたお昼寝スペースに。内と外をつなぐ中間領域となる土間は、暮らしの幅を広げてくれそうです。
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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県川崎市
居住者構成:夫婦+猫
専有面積:104.61㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1989年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/5023
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②ワークスペースを兼ねた土間
土間にワークスペースを設けたリノベーション事例です。玄関前の短手方向いっぱいに広がる空間に、デスクと収納を造作。ふとしたときに目の前の公園の緑が視界に入り、思わず背伸びしたくなりそうです。
土間とLDKはあえて間仕切りをなくし、ワンルームのような間取りにしました。仕事中もリビングで過ごす奥さまの気配を感じることができます。床のレベルで、開放的なスペースをおだやかにゾーニング。「働く」と「住む」のボーダーラインをなくした新しい住まいのカタチです。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都江東区
居住者構成:夫婦
専有面積:62.29㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/629
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③玄関に明るさをもたらす土間
窓がなく、暗かったマンションの玄関。隣室を取り込み土間を設けることでスペー スを拡大。窓から自然光がふり注ぐ開放的な玄関に生まれ変わったリノベーション事例です。
壁際には大容量のシューズクローゼットを造作しました。土間の正面には家族みんなで使うワークスペースをレイアウトし、仕事や勉強に使える多目的なスペースとしています。普段はオープンスペースですが、集中したい時はカーテンで間仕切りできるようにもなっています。
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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県横浜市
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:86.38㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1973年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1105
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④サイクルスペースのある土間
リノベーションで設けたのは、自転車を置いてもまだゆとりのある土間。明るい自然光が注ぐ心地よい土間は、自転車や靴のメンテナンススペースに最適です。隣接するバスルームの壁の間にガラスブロックを入れ、土間の光が届くように配慮したこともポイント。天井高まで届くシューズボックスは、見せる・隠すを使い分けられるようにしました。使い勝手・居心地・インテリア性のすべてを叶えた玄関土間となっています。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都江東区
居住者構成:夫婦
専有面積:84.53㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1985年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1156
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⑤お客さまを迎えるショップとしての土間
プロダクトデザイナーのご主人と、西洋民芸のショップに勤める奥さま。広々とした土間とホールを見たとき、この空間をショップにすることがイメージできたそうです。今のところはお気に入りのテーブルとソファ、グリーンや抽象画を飾ってギャラリーのように。白い壁におふたりのセンスが際立ちます。余白のある土間スペースによって、お二人の夢がぐっと近くなりました。
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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県横浜市
居住者構成:夫婦
専有面積:136.28㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1985年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事: https://nokurashi.com/ownersvoice/1316
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⑥3辺をぐるりと囲む土間
リビングダイニングに土間を設けた個性的なリノベーション事例です。ベッドルームのみゆるやかに仕切った、ほぼワンルームのお住まい。コンクリートの土間は玄関から続いており、リビングダイニングの3辺をコの字に囲んでいます。
たっぷりとした日差しの入る窓際にはグリーンをレイアウト。上部にあるハンガーパイプは、ハンキングプランターやドライフラワーづくり、部屋干しにも大活躍。間仕切りの少ないシンプルな空間に、多様な彩りを与えてくれる土間。ライフスタイルの変化を見越したご夫婦にぴったりの住まいです。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都足立区
居住者構成:夫婦
専有面積:75.45㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:2009年
リノベーション竣工年:2018年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1924
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⑦プロローグのような土間
玄関を開けると現れるのは、奥へと続くコンクリート。ご夫婦の暮らしを予感させるプロローグのような土間となっています。無機質なスペースにサックスブルーの波打つカーテンやヴィンテージ家具がドラマティックな印象に。
カーテンを開けば、天井まで届く可動棚のシューズクローゼット。靴だけではなく雑貨や外出時に使うアイテムもたっぷりしまえる大容量なところが便利です。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都三鷹市
居住者構成:夫婦+子ども2人
専有面積:147.31㎡
間取り:3LDK+アトリエ+ロフト
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2015年
お宅拝見記事: https://nokurashi.com/ownersvoice/2038
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⑧セカンドリビングとしての土間
寝室を中心にふたつの土間がある間取り。土間のセカンドリビングを設けたリノベーション事例です。モルタルの床と斜めに張った板壁、コンクリート打ち放しの天井、スチールの格子戸など、さまざまな素材が交差するリズミカルな空間。ご主人が自転車メンテナンスやギター演奏、映画観賞、書道などたくさんの趣味をたのしめるスペースとなっています。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都世田谷区
居住者構成:夫婦
専有面積:81.88㎡
間取り:LDK+セカンドリビング+寝室+WIC
既存建物竣工年:1986年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事: https://nokurashi.com/ownersvoice/2635
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⑨フラワーアーティストのアトリエ
玄関の土間を、フラワーアーティストとして活躍する奥さまのアトリエにしたリノベーション事例です。居室を取り込むことで土間スペースを拡大。上部は吹き抜けにして、たっぷりと自然光が注ぐように。お花やグリーンがいきいきとしています。土間に隣接する引き戸を開ければLDKとつながり、開放感がアップ。
吹き抜けに面してお子さまの学習スペースを設け、作業中もお子さまの様子を感じられるようにしたこともポイントです。理想の職住一体を、土間によって軽やかに叶えています。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都文京区
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:144.64㎡
既存建物竣工年:1969年
リノベーション竣工年:2015年
お宅拝見記事: https://nokurashi.com/ownersvoice/3033
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⑩アパレルショップのような土間
アパレルショップのような土間にリノベーションした事例です。独特の風合いの墨モルタルの床と、コンクリートあらわしの壁、清潔な白い壁が美しく重なり合うスタイリッシュな空間。オープンなシューズラックとハンガーラックをレイアウトした、魅せる収納スペースとなっています。「洋服づくりが趣味」というご主人の作品展示スペースとしての役割も。
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<リノベーションデータ>
所在地:東京都渋谷区
居住者構成:夫婦
専有面積:55.35㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1980年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3084
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土間リノベーション4つの注意点
土間のある家へリノベーションする際は、次の4つに注意しましょう。
・インテリアに合った床材選び
土間に使われる床材はさまざまですが、素材によってイメージが大きく異なります。タイルはモダンですっきりとしたイメージ、コンクリートとモルタルはラフで無骨なイメージ、大理石は高級感のあるホテルライクなイメージです。ご希望のインテリアイメージに合わせて床材をセレクトしましょう。
・メンテナンスしやすい床材選び
グリーンを置いたり、汚れた自転車を乗り入れる土間は、汚れやすくなっています。「定期的に水洗いをしたい」という方は、水に強いタイルがおすすめです。デッキブラシでしっかりこすっても問題ありません。ただし目地の汚れはときどき拭いてあげる必要があります。 逆にコンクリートやモルタルは吸水性があるため、汚れがシミになることも。表面に撥水剤などを塗布すれば防ぐことはできますが、ある程度のクラックやシミ、経年変化は避けられません。汚れや経年変化を味わいとしてたのしめる方におすすめです。
・湿気対策もしっかりと
外の冷気と室内の暖気がぶつかる土間は、結露しやすい場所のひとつです。湿気・結露はカビの原因になるため、換気扇を設けたり、壁や天井に調湿効果の高い漆喰・珪藻土を採用するなどして対策しておきましょう。
・安全性とバリアフリー
濡れた靴で出入りすることが多いなら、滑りやすい素材は避けましょう。とくに小さなお子さまや高齢の方がいる場合は、滑りにくい床材をセレクトしておくと安心です。また玄関を兼ねる場合は、靴を履くときにちょっとつかまる手すりやベンチなどもあるとよいでしょう。
土間のある家で暮らしを楽しむ
ワークスペースやアトリエ、自転車のメンテナンス、音楽鑑賞…シーンに応じて用途を変えられる土間は、ライフスタイルの幅をぐっと広げ、人生をゆたかにしてくれます。そのような土間をつくるために大切なのは「どんな暮らしがしたいか」を具体的にイメージすること。
「土間のある家にリノベーションしたい」とお考えの方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。