機能美と無機質
- 所在地:
- 東京都渋谷区
- 居住者構成:
- 夫婦
- 専有面積:
- 55.35㎡
- 間取り:
- 2LDK
- 既存建物竣工年:
- 1980年
- リノベーション竣工年:
- 2016年
玄関を入ると土間、LDKが一体となって広がる。玄関の左に水まわり。LDKの奥には寝室があり、完全な個室だが、壁の上部がガラスになっており、土間に面して大きめの窓も設けられているため、空間に連続性があり、抜けと開放感がキープされている。部分的に壁を設けて仕切ったウォークインクローゼットは、LDKと寝室の両方からアクセス可能。キッチンの奥にはコンパクトなワークスペースがある。
代々木公園のすぐ近くにある築36年の中古マンションをリノベーションしたHさんご夫妻。将来的には、ご実家近くの埼玉に移り住むことも考えているため、賃貸に出すことを意識し、資産価値という視点でエリアや物件を選び、間取りや仕上げも機能美・無機質をキーワードにシンプルにつくり上げました。家づくりを通して、ご夫婦で暮らし方の価値観をあらためて共有することができたと話すHさんご夫妻に、家づくりの過程を詳しくお聞きしました。
55㎡の空間をできるだけ効率的に。
見せる収納としまう収納を分ける
——玄関を入ると、すぐに明るくて広々としたLDKが目に入ります。個室は寝室とキッチンの奥にコンパクトなワークスペース。シンプルな間取りですね。
ご主人:窓が多くてとても日当たりがいいので、光を活かした空間にしたいと希望したんです。LDKが生活の中心になる場所なので、できるかぎり広くしてほしいとお願いしました。
奥さま:玄関からLDKが丸見えになるのが気になったのですが、天井にロールスクリーンを設置することで解決しました。玄関で宅配便などを受け取るときは、さっと下ろせば気にならないし、普段は上げておけば広く使えます。
——墨モルタルの土間も広い。LDKと一体となっていますが、奥の寝室の際まで続いていて、通り庭のような空間ですね。
ご主人:壁につくり付けたオープンな下足棚、ラックを置いて洋服をかけるなど、見せる収納のための空間としても使っています。洋服づくりが趣味なので、作品を飾れる場所が欲しかったんですよね。
奥さま:面積が55㎡強なので、空間はできるだけ効率的に使う必要がありました。靴や洋服などものが多めだと思うのですが、見せる収納としまう収納を分けることでLDKは開放感をキープしたまま、すっきりとした空間にすることができました。ウォークインクローゼットは、十分なスペースを設けたのですが、完全に閉じてしまわず、目隠しするように一部に壁を設け、LDKからも寝室からも出入りできるようになっています。
——しまう収納としては、キッチンのシンク下、キッチンの背面の窓の上に設けた吊り戸棚、洗面室のミラーキャビネットなどですね。
奥さま:収納はそれほど多くないですが、食器は出し入れしやすい場所にしまうなど、保管場所を工夫しています。キッチンのすぐ隣にオープンな棚があるのですが、ここは調理中でも出し入れしやすく便利です。
ご主人:洗面室も、シンプルなデザインにしています。ミラーキャビネットに合わせて、シンクはオールステンレスをセレクトしました。洗面室は無駄がなく清潔感があって、整然とした雰囲気に仕上がっていて好きですね。
躯体の壁に、床は一面タイル。
店舗のようなスタイリッシュな佇まい
——寝室の壁も天井まで閉じてしまわず、上部を開けてガラスにすることで、光を取り込み、目線の抜けもできるから広く感じますね。玄関側の壁は半分くらいガラスになっているから、長手方向はより抜けを感じます。
奥さま:寝室は必要最小限の面積でいいのですが明るくしたかったので、土間側は思い切って開けました。一面だけなら大きく開いても目線は気になりません。
——仕上げはコンクリートの躯体を露出させた壁・天井・梁が印象的。さらに床は大判の磁器質タイル。店舗のようなスタイリッシュな佇まいですね。
ご主人:設計者さんに「キーワードとして一番大切にしたい言葉を挙げてください」と言われ、私は「機能美」、妻は「無機質」と伝えました。コンクリートの躯体は質感が好きなので、できるだけそのまま残すようにお願いしました。断熱材が入っているところは露出できないので、新しく壁をつくって塗装風クロスで仕上げています。
床は全部モルタルにしたかったのですが、規約上難しかったので、モルタルに雰囲気の似ているタイルを選びました。目地も細めにして繊細に仕上げてもらっています。リビングだけタイルにするなどの選択肢もあったのですが、LDKで床素材が異なるのは統一感に欠けてしまうと思い、すべてタイルに統一することにしました。
——「機能美」「無機質」という方向性は、どんな理由から出てきたのですか?
ご主人:とにかくシンプルにしたかったというのがあります。実家が埼玉県で、将来的にはそちらに戻るかもしれないので、賃貸に出しやすい空間にしたかったんです。誰にでも受け入れられやすく、住む人が好きに装飾できるような。洋服に例えるとTシャツとデニムのような感じでしょうか。このエリアを目指してくる人には、コンクリートや土間などの雰囲気も魅力になることが多いだろうし、自分で好きにコーディネイトできる家は好まれると思います。
渋谷に近いエリアにこだわったのも、将来的に賃貸に出す可能性があるからということが理由の一つです。10年〜20年の長いスパンで見ても、資産価値が下がりにくい、もしくは上がっていくことが期待できるエリアや物件を選びたいと思っていました。代々木公園が近いことも魅力でしたね。周囲の建物は変化しても、代々木公園は変わらないでしょうから。ここに引っ越してきてから、どこにでも行きやすいので、アクティブになったと思います。休日は、電車など使わず歩くことが増えました。
また、その他の理由としては人を家に呼びたいということもありました。都心の便利な場所にあり、駅からも近いので、来てもらいやすいんです。終電を逃してもタクシーで帰って来ることができる気楽さもあります。とはいえ最近は、家で食べることが楽しくて、あまり外食はしなくなりました。
——オールステンレスで、とても使いやすそうなキッチンですね。
奥さま:既製品ですが、機能的で手入れもしやすくて気に入っています。LDKと一体となったオープンなキッチンだから見た目も大切だと思いステンレスのものを選びました。私は着物の販売の仕事をしているのですが、知人を中心に着付けの仕事や着付け教室もやっています。暮らすためだけではなく、仕事でも使う場所なので、生活感があまり前面に出ない空間になって良かったと思っています。
ご主人:二人とも家づくりの前後に転職したんです。妻は不動産関連の仕事から着物の仕事へ。私は会社が変わってリモートワークの割合が高くなり、家で仕事をする機会が多くなりました。コンパクトだけどワークスペースがあることで、それが可能となっています。
意見をぶつけ合った家づくりで、
これからの暮らし方を共有
——引っ越してきてから転職もされたとのことで、変化したことがたくさんあるのではないでしょうか?
ご主人:衣食住の住の部分が、自分たちの理想通りにちゃんと整ったことで、それに合うものに生活も変えていったという感じです。転職前は二人ともすごく忙しかったのですが、今は余裕のある働き方を少しずつ意識するようになりました。家づくりを通して、ものを整頓したり処分したりすることで、ものに対する価値観も変わり、場所を固定して置くものは少なくして、いつでも模様替えができるような家にしておきたいと考えるようになりました。テレビも処分し、短焦点のプロジェクターで壁に投影するスタイルに変えました。すごくコンパクトなので、スッキリした状態をキープできています。
奥さま:家づくりでは物件探しの段階から、仕事で用いるような決定分析などを活用し、自分たちにとって何が大切なのかを点数をつけて整理して決めていきました。毎週ミーティングを繰り返し、意見をぶつけ合った場面も多かったのですが、その分いいものができたと思います。夫婦でこれからの暮らし方への考えを話し合って理解していくことは大変な分とても面白かったです。
——最後に、リビタのサービスを利用してみて感じたことを教えてください。
ご主人:今回は物件探しから設計、施工まで、ワンストップでリビタにお願いしました。物件を選ぶ段階から、コンサルタントの大嶋さんの意見を参考に、検討できたことがとても良かった。建物の修繕履歴や外壁の状態、構造のことなど、私たちと異なる視点で物件を評価してくれたので、より納得感をもって物件を決めることができました。
奥さま:大嶋さんも同じ時期に中古マンションを購入してリノベーションをしたとお聞きして親近感と信頼感がもてました。設計者さんとは、一緒に街を歩いてお店などを巡りながら、好きな空間の雰囲気やテイストを共有したりもしました。物件選びから設計、施工の各プロセスで、大嶋さんや設計者さんと一緒に話し合いながら家づくりを進めた半年間は、とても楽しい時間でした。
”こんな暮らしがしたい”というお客様の頭の中の憧れをカタチにする、リノベーションワンストップサービス。専属のコンサルタントが、資金計画からローンのご相談、物件探し、設計、施工、アクター対応まで一括サポート。理想の暮らしを叶える住まいを提案、具現化しています。
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