小物を上手に使って、自分らしい豊かな空間をつくる|住まいのヒント

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住まいのヒント

小物を上手に使って、
自分らしい豊かな空間をつくる

目 次
  1. 1自分らしさを表現する、小物の選び方
  2. 2配置のコツを知れば、小物がもっと活きてくる
  3. 3かける・吊すを使いこなして、空間を立体的に
  4. 4まとめ

さまざまな専門家にお話を聞いて、「リノベーション」や「住まい選びのコツ」をわかりやすく身につけるための「学ぶシリーズ」。今回お話を伺ったのは、インテリアスタイリストの岩佐知布由さん。アートやアクセサリー、テキスタイルといった小物を活かして、自分らしい個性のある部屋をつくるためのコツを、丁寧に解説していただきました。

自分らしさを表現する、小物の選び方

小物はお部屋づくりの“スパイス”

お部屋づくりを料理にたとえるなら、小物はスパイスです。お部屋のベースとなる内装や家具、インテリアを頻繁に入れ替えるのは困難ですが、小物であれば季節や気分に合わせて手軽に入れ替えられます。それでいて、スパイスと同じように、小物の使い方にはその人の個性が表れるものです。

その種類と数が膨大であることも、スパイスと似ているかもしれませんね。とはいえ、難しくは考えないでください。「こうしなければならない」というルールはありません。そこで、まずは自分らしい部屋をつくるために、小物の選び方から考えていきましょう。

自分の経験や体験に根付いたものを

小物選びのポイントは、自分の暮らしや経験に根付いたものを選ぶ、ということだと思います。たとえば、イギリスに留学経験のある私の友人は、ちょっとした小物にもイギリスのエッセンスを取り入れていて、それがすごく素敵なんです。もっと身近なところで、料理が好きな人であれば、食にかかわるアイテムを小物として取り入れてみる、とか。

私の場合は、旅行中に小物を買うことが多いかもしれません。旅の思い出と結びついたモノというのは、やっぱりすごく愛着が湧きますからね。そうやって日々の暮らしや経験を振り返ってみると、自分の好みも少しずつ見えてくるはず。

見方を変えれば、こんなものも“小物”になる

ちょっと見方を変えてみると、思わぬものが小物になることもあります。たとえば、デザインユニットBIG-GAMEの展示会に行ったとき、すごく気になるかたちのキーリングに出会いました。けれど、もうキーリングは既に別のものを使っている。そのときに「あ、これはワゴンの上に置いたらかわいいかも!」とひらめいたんです。本来の用途とは少し離れて、モノそのもののかたちに注目してみると、小物づかいの幅が、グッと広がると思います。

もっと言えば、散歩中に見かけた小枝や、海で拾った小石や貝殻も、見方次第では立派な小物になるんです。自然のなかにある美しさを、ちょっとお裾分けしてもらうような感覚ですね。

植物やアートも積極的に取り入れてみよう

自然ということで言えば、植物を取り入れるのもオススメです。部屋に緑やお花があるとそれだけで雰囲気が瑞々しくなるし、季節感の演出にもつながります。ただ、部屋全体を乾いたトーンでまとめたいという場合は、植物の緑よりも、ドライフラワーや枝物の色味のほうが相性が良いと思います。好みに合わせて取り入れてみてください。

あとは、アートを飾るのもいいですね。自分や友人が描いた絵や、撮った写真を飾るだけでも、暮らしが豊かになります。もちろん、好きなアーティストの作品を購入してみるのもいいでしょう。それらをバランスよく取り入れることが、本当の意味での「おしゃれさ」なのではないかと、個人的には感じています。

配置のコツを知れば、小物がもっと活きてくる

素材や色味、質感を意識しよう

素材や色味、質感、用途によって小物をひとまとめにしておくと、整然とした印象となり、空間がスッキリ見えます。小物をグルーピングする上で、私が重宝しているのが籠やトレイです。まとめられた小物全体でひとつのチームのように感じられて、ゴチャゴチャした印象が軽減できます。

素材や色味、質感は、小物の配置の目安にもなります。たとえば、暗い色合いのものや、重い素材ものを、天井の近くに配置すると圧迫感を与えがちです。反対に、明るい色のものやガラス製のものなどは、高い棚の上などに並べておいても、それほど気にはなりません。このように小物から受ける“重さのニュアンス”を意識しておくと、居心地のいい部屋がつくりやすくなります。

“高さ”を有効活用しよう

小物の配置を考える上では、“高さ”も重要なポイントです。たとえば、棚に小物を並べるときも、トレイやお皿などを使って、それぞれの高さに違いを出すと、それだけで雰囲気がガラリと変わります。

ちょうどいいトレイやお皿がなければ、ホームセンターで売っている端材の上に小物を乗せるだけでもいいんです。厚みのある洋書などを使ってみても、おしゃれになりそうですね。安定感のあるフラットなものであれば、工夫次第で何でも“台座”として活用できます。

三角形を意識すると、リズムが生まれる

小物の配置で、もうひとつ意識したいのが“三角形”です。たとえば、3つの小物を一直線に並べるのではなく、上から見たとき三角形になるように、奥行きをズラして配置してみる。すると自然と空間にリズムが生まれます。“高さ”を出すときにも、どれが頂点となるのかを意識すると、バランスよく配置できるはずです。

ちなみにこのとき、頂点に対して左右がシンメトリーになるように配置すると、全体に安定感が生まれます。反対にアシンメトリーに配置すると、安定感はなくなりますが、代わりにこなれた印象を与えられます。このあたりは、部屋全体のバランスや好みに応じて、調整してみてください。

かける・吊すを使いこなして、空間を立体的に

小物を壁にかけるときは、目線を意識

ポストカードや写真といった小物を壁にかけるときは、まずは目線の高さを意識してみてください。一般的に、人は120~140cmくらいの高さのものに、最も目がいきやすいと言われています。この高さにアクセントとなるような小物を配置しておくと、部屋が一気に華やぐはずです。

最近は、ホームセンターなどで穴の跡が目立たない石膏ボード用のフックも簡単に手に入るようになりました。白色の壁の場合、画鋲程度の大きさの穴は、補修用のパテなどで穴埋めすれば、ほとんど跡は残りません。それでも気になる人は、マスキングテープを使ってみるといいかもしれません。

ファブリックの質感が、部屋の印象を変える

壁全体がさびしいときは、ラグやテキスタイルをかけてみるのもいいでしょう。壁紙を貼り替えるよりもずっと簡単に、部屋全体の雰囲気を変えることができます。オススメなのは、無地の布ではなく、織りや柄に特徴があったり、テクスチャーにアクセントがあるもの。ファブリックの質感が加わることで、部屋にやわらかさと温かみが生まれます。

テキスタイルを壁にかける方法はさまざまですが、賃貸物件の場合は、画鋲やピンなどで壁に大きめのクリップを固定し、それで挟んでしまうのがお手軽だと思います。壁に直接かけなくても、ラダーを立てかけ、そこにお気に入りのテキスタイルをかけておくのもいいと思います。いずれにしても、まずは小さめのもの、軽めなものから試してみてください。

天井から小物を吊して、立体感をプラス

葉が大きく広がる植物は、壁側の葉が潰れてしまうため、壁に掛けられないことがあります。そういうときは、天井から吊してしまうのもひとつの手です。壁から少し離れた位置に小物が吊るされていると、空間全体に立体感も生まれます。

ここで注意してほしいのは、やはり重さです。フックの耐荷重をしっかりとチェックしましょう。特に重いものを吊す場合は、天井の石膏ボードの裏側に、木材などの下地材が入っているかどうかも必ず確認してみてください。少しでも不安を感じたら無理はせず、別の方法を考えましょう。

まとめ

小物を上手に使うことで、お部屋に個性と彩りを加えることができます。そして今日のお話を通して改めて感じたのは、部屋というのはひとつの生き物のようなものだということ。その空間が生き生きとしたものであるためには、ときどき環境を変えてあげたり、適度に手を入れてあげる必要があります。岩佐さんご自身もそんな感覚で、日々小物を入れ替えたり、配置を工夫したりされているそう。今回ご紹介したポイントを参考に、ぜひ小物づかいを楽しんでみてください。

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