毎日にゆとりをもたらす「家事楽」な間取りとは?リノベーション事例からみる家事を楽にするアイデア|住まいのヒント

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住まいのヒント

毎日にゆとりをもたらす「家事楽」な間取りとは?
リノベーション事例からみる家事を楽にするアイデア

目 次
  1. 1家事を楽にするための2つのポイント
  2. 2シーン別|家事が楽になるリノベーションのアイデア事例
  3. 3「家事が楽になるリノベーション」を考える上でのポイント
  4. 4家事効率を大切に、理想の住まいづくりを

夫婦の共働き化が進み、ライフスタイルが多様に広がるなか、家事をストレスフリーにこなせる「家事楽(かじらく)」な住まいづくりが注目を集めています。仕事に育児に忙しい家族にとって頼もしい家事楽な間取りには、いったいどのようなものがあるのでしょうか。 今回は実際のリノベーション事例を参考にしながら、家族全員が家事に取り組みやすくなるような間取りのアイデアや工夫をご紹介します。理想の住まいづくりの参考にしてみてください。

家事を楽にするための2つのポイント

料理や洗濯、掃除など、日々の家事は尽きることがありません。近年では共働きの傾向が高まっていることから、「家族で協力し、家事をいかに効率的にこなすか」が住まいづくりにおいても重要となっています。
家事の負担を減らし、ストレスなくサイクルを回すためには間取りの工夫が欠かせません。ここでは家事楽な住まいづくりに欠かせない2つのポイントを見ていきましょう。

・効率的な生活動線を確保

まず欠かせないのが生活動線の工夫です。生活動線とは、家の中を人が移動するときに通る経路全般を指します。平日朝であれば起床後に寝室から洗面室、台所、リビングへ…など、毎日の活動を線状に表したものを生活動線と呼びます。
家事楽な間取りには、生活動線の工夫が欠かせません。仮に複数の生活動線が重なり合ってしまうと、朝の身支度の時間に一定の場所が混雑してしまったり、家事中も煩雑な移動が発生してしまったりする可能性があります。そのため回遊性を持たせるなど、動線の渋滞を避けるよう工夫してみましょう。また長めの動線も避け、最低限で最短距離の動線設計をするのがおすすめです。

・使う場所と物の置き場に工夫を

住まいの各所にさまざまな収納スペースを作ったり、大型のクローゼットを設置したりすることは、物の置き場にゆとりを持たせる効果がありますが、家事負担を減らすにはもうひと工夫が必要となります。家事楽の観点で考慮したいのが、「アイテムを使う場所と、その収納はできるだけ近くに設置する」という点です。
例えば、食器棚はLDKやキッチンに、タオルや洗面用品は洗面室・脱衣室に設置する、など使う場所から収納をできる限り近付けることが大切。アクセスもしやすい上に物の定位置がしっかりと定まり、家族で共有できることから、子どもたちもお手伝いしやすくなるなど、様々なメリットがあります。間取りを考える際には、ぜひ収納スペースのサイズだけではなく、場所や収納する内容まで考えて設置してみてはいかがでしょう。

シーン別|家事が楽になるリノベーションのアイデア事例

ここでは、実際のリノベーション事例を見ながら、家事が楽になるアイデアをピックアップしていきます。日常の生活シーン「身支度」「料理」「洗濯」を切り口に、それぞれのこだわりポイントをチェックしてみましょう。

①身支度が楽になるアイデア

毎日の通勤通学やお出かけに欠かせない身支度は、楽しくもありながらTPOに合わせたアイテム選びなど悩ましい面を併せ持ちます。ここでは、インテリアや趣味のわくわく感を損なわず、機能的に収納でき、片付いた状態をキープできるようなアイデアに注目します。

・「見せる収納」と「しまう収納」で限られた空間を効率活用
限られた空間を心地良く、機能的に活用することをテーマに掲げた事例です。総面積は55㎡ながら、広々としたLDKを中心に使い勝手よくおしゃれな空間が広がっています。
収納は「見せる収納」と「しまう収納」の2種類に分けることで、それぞれの置き場所を決めています。

玄関に入ると視界に飛び込んでくるのは、広々とした土間と壁につくり付けたオープンな下駄箱、素敵な雰囲気のアウター用ラックです。この「見せる収納」は、収納場所としての機能を持ちながら、一方でディスプレイのような役割を担い、部屋の雰囲気作りにも貢献しています。

そして「しまう収納」として設置したのが、LDKと寝室につながるウォークインクローゼットです。靴や服など荷物を多く持っているため、しっかりと収納するスペースとしてウォークインクローゼットを設けました。ただ、完全に閉じてしまうのではなく、目隠しをするように一部に壁をたてることで、広々とした印象を演出しながら、スムーズな動線設計を実現しています。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都渋谷区
居住者構成:夫婦
専有面積:55.35㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1980年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3084
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・広々土間を活かした回遊動線で家族が嬉しい空間へ
元気いっぱいの子どもがいる家族や、アウトドアが趣味の人にとって悩ましいのが、外で使うアイテムの収納です。使いたいときにすぐに屋外へ持ち出せる気軽さが大切なのはもちろん、外で使ったものを部屋の中まで持ち込みたくないケースもあるでしょう。

ここで紹介するのは、広くオープンな土間を活用した事例です。玄関を入ると左手に大きな土間があり、そのままLDKにつながっています。子どもたちが走り回れるような連続性のある空間が特徴的です。

旦那さんの趣味である自転車や、子どもたちの遊び道具を土間にたっぷりと収納。壁は有孔ボードにして自由自在にフックを設置し、遊び道具や帽子などを吊せるよう工夫しています。

土間の右手は洗面室へとつながっており、そこからキッチンにも抜けられる設計に。引き戸を開け放てば、家全体を大きく回遊できる動線にもなり、家事動線がコンパクトにまとまるのもポイントです。家事楽を実現しながら、家の中をくるくると回れるため子どもたちにとって絶好の遊び場に。大人にとっても子どもにとってもフレンドリーな間取りです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都世田谷区
居住者構成:夫婦+子ども2人
専有面積:74.52㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1976年
リノベーション竣工年:2021年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/11675
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②料理時間を楽にするアイデア

食卓を囲む時間は家族にとって大切な時間です。リノベーションをするにあたり、LDKやキッチンを中心に間取りを作っていくパターンも少なくありません。家族みんなが居心地良く集えて、すっきりと使えるキッチンのアイデアを見ていきましょう。

・機能的な食器収納で子どもたちも手伝いやすく
家族みんなで料理ができる、大きなキッチンを中心とした住まいづくりの例です。料理やお酒が趣味だというご夫婦の希望で、家の中心にキッチンを置き、居心地のよい空間をつくり上げています。

ここで注目したいのが、キッチンの収納です。お茶碗や取り皿、グラスなどテーブルで使う器をしまうスペースをキッチンのダイニングテーブル側に設置。食事中にお皿が足りなくなったときも、さっとダイニング側から取り出せて非常に便利です。

さらに、家族らしさを反映した工夫がこんなところにも。お子さんが家事の手伝いをよくしてくれるという話から、キッチン収納の一番下の引き戸をお子さん専用の台座にすることにしました。

スライド式で使わないときには収納できるため、場所を取ることもありません。子どもたちのお手伝いしたい気持ちを盛り上げながら、家族の家事を応援するアイデアです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都墨田区
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:64.77㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:2003年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/7271
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・広々パントリー+カウンターで料理がより楽しく
料理が好きだというご家族が叶えたリノベーション事例です。食を中心に据え、4.5mものロングなカウンター兼ダイニングテーブルと充実したキッチン、そして奥行きのある広々としたパントリーを設置しました。
南向きのバルコニーと並行するようにダイニングテーブルを取り付け、日当たりと抜け感をアップ。家の中で最も贅沢な場所に、家族が集まる居場所を展開しています。

キッチンの作業スペースを広く取ったのもポイント。コンロ側のカウンターや食器棚兼カウンターなど、数人で立ってもぶつかり合うことなくスムーズに作業できるのもポイントです。
さらに料理好きな2人がこだわったのが、広いパントリーを作ることでした。

よく使うものはカウンターの取り出しやすい場所へ収納し、保管しておきたいものやストックをパントリーに収納するなど、使い分けています。

冷蔵庫もパントリー内に設置。電子レンジや炊飯器などの電化製品をパントリーに置くことで、キッチンの作業スペースを確保しながら、生活感を隠す効果にも。使いたいものと使う場所を一致させて的確に区分しながら、なおかつおしゃれでお気に入りの空間に。日々の料理がもっと楽しみになる間取りです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:千葉県船橋市
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:88.48㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1982年
リノベーション竣工年:2013年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3701
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③洗濯工程を楽にするアイデア

洗濯して干して畳んで、収納して…。洗濯は工程が多いことから、煩雑に感じてしまいがちな家事です。間取りを工夫することで、洗濯の負担を軽減することができます。

・生活リズムに合わせて水回りの動線を再構成
水回りの配置にこだわったというこちらの事例では、洗面と脱衣所を切り離し、廊下に洗面台を設置しました。こうすることで、帰宅後にすぐ手洗いうがいができるうえ、脱衣所の使用中も気兼ねなく洗面を使えることもメリットに。朝の支度で忙しい時間帯でも、混雑することなく家族で使えると評判です。

そして脱衣所は作業台にもなるカウンターや室内干し用のパイプハンガーを設置し、簡易的な家事室のようなつくりに。洗濯後の下着類は乾燥機をかけて、そのまま脱衣室に設置したラックへと収納しています。作業台ではシャツのアイロン掛けもできて非常に効率的です。

パイプハンガーは2列取り付けて、除湿機を使用して洋服を乾燥させています。洗濯に関連する動線をコンパクトに収めた水回りの工夫です。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県横浜市
居住者構成:夫婦+子ども1人
専有面積:79.69㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:2003年
リノベーション竣工年:2022年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/12487
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・洗面室と脱衣室を分けて、「ながら」を実現
こちらも洗面室と脱衣室を分けた事例です。脱衣室にはカウンターや室内干し用のポールを取り付け、洗濯から乾燥、畳む工程までを一ヵ所で完結できるよう設計されています。家事室として使える一方で、メイク室としても活用しているとのお話も。生活スタイルに合わせてさまざまな目的を兼ね備えた空間として利用できます。

さらに愛着を持って暮らせるように、家族らしさをひと工夫。壁紙選びは家族で意見を出し合って、空間ごとにコンセプトを決めながらセレクトしていきました。洗面室・脱衣室は霧に包まれた森のようなイメージで温かみのあるグリーンに。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都武蔵野市
居住者構成:夫婦+子ども2人
専有面積:83.09㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:1989年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/6070
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「家事が楽になるリノベーション」を考える上でのポイント

家事の負担を減らし、より理想の暮らしに近付くための住まいづくりの事例を見てきました。それぞれ個性が光る間取りではありますが、「家事楽」な視点での共通ポイントが3つあります。

1.効率化に重点を置いた動線や収納を
家事をコンパクトで楽にするためには、動線設計と収納の工夫が欠かせません。どちらも難しそうに思えるかもしれませんが、理想の形を叶えるために住まいづくりのプロに相談してみるのも手です。あまり難しく考えすぎず、まずは家族の生活スタイルや趣味などを思い浮かべながら、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

2.家族全員にとって使いやすい
「家事楽」な住まいにとって大切なのが、生活する皆にとって使いやすいという点です。人の流れがスムーズであったり、収納がわかりやすかったり、誰にとっても暮らしやすい設計を目指しましょう。
皆がストレスを感じず家事に参加できる空間をつくり上げれば、ひとりに負担が偏ることも防げます。家族全員で協力しながら暮らしていけるような間取りを見つけてみてください。

3.家族らしさを大切に、ライフスタイルに合わせて変えていける住まいを
動線や収納など、効率的な要素が重視される「家事楽」な住まいですが、もちろん忘れてはいけないのが、長く愛せる家をつくるということ。そのためには、家族らしさを大切にした家づくりがとても重要です。好きなことや趣味を間取りに反映させたり、インテリアにこだわったり、これまでも多くの方が自分らしい住まいづくりに挑戦しています。
加えて、長い視点で間取りを考えることも大切です。子どものいる家族であれば、成長段階に合わせて空間の使い方を変えていけるよう工夫してみましょう。

家事効率を大切に、理想の住まいづくりを

家事は日常生活において欠かせない要素のひとつ。負担がひとりに集中しないよう、家族みんなで協力して取り組むには、家事効率を重視した間取りが効果的です。
かつては、決められた間取りに合わせて住んでいくのが当たり前とされていました。ですが、時代の移ろいに合わせて家族の在り方や価値観も変化しています。これからの住まいづくりに大切なのは、個人の悩みや要望に合わせて間取りをつくるという考え方。今回ご紹介したアイデアや工夫を参考にしながら、ぜひ理想の住まいを実現してみてください。

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