渡り廊下と並ぶ教室|お宅拝見

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渡り廊下と並ぶ教室

目 次
  1. 1趣味や好みよりコンセプトを重視し、「小学校」というテーマにこだわる
  2. 2家族のプライベートを確保しつつ、適度な距離感でつながる関係性
  3. 3一つ一つデザインの異なる把手を選び、整然としすぎない遊びのある空間に

Tさんご夫妻と大学生の長女、中学生の長男。大人4人がそれぞれ勉強や作業をするスペースを必要としていたことから、「昔の小学校のような家」というコンセプトを導き、間取りやデザインにユニークなアイデアをふんだん盛り込んだという。

渡り廊下と並ぶ教室
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趣味や好みよりコンセプトを重視し、「小学校」というテーマにこだわる

——オークのフローリングを横に並べた廊下が、玄関からバルコニーまで一直線に続いています。かすれた白いラインは、エイジング加工されたラーチ合板ですが、白いテープが貼られた体育館の床のような印象です。LDKのパーケットフローリングの床、子ども室の引戸や室内窓のアンティーク調の型ガラスも、昔の小学校のような雰囲気ですね。これらのデザインはどのような発想から、生まれたのですか?

奥さま:アメリカの体育館で使われていたアンティークの床材を見て、いいなと思っていたのです。青やオレンジなどカラフルなラインが重なっているようなものでした。実用性とコスト面から、採用は見送りましたが、この廊下のイメージはそこから来ていると思います。

ご主人:子供も大きくなりサイズ的には大人4人、全員が作業や勉強をするためのスペースが欲しいと希望していました。プランの方向としては個室が必要となり、細かく区切ることになります。そうすると学校やオフィスのような空間になるだろうというイメージはなんとなく持っていました。

——この廊下はまさに小学校の「渡り廊下」なのですね!

ご主人:「小学校のような家」にしようとコンセプトを決めたことで、そこからアイデアがどんどん出てきました。設計の打ち合せの際も、子ども室は「教室」、リビングは「講堂」、大人のワークスペースは「工作室」と呼んで盛り上がっていたし、子どもたちも一緒になって面白がってくれました。

奥さま:明確なテーマがあったから、ぶれずに最後まで一つの方向性に集約していけたと思います。お互いの好みや趣味から導いていたら、ここまで統一感のある空間にはならなかったでしょうね。

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ご主人:ワークスペースとLDKの間の棚も、学校の真四角のロッカーのイメージです。最初は木の色をそのまま見せる予定だったのですが、重くなりそうだったので白く塗装しました。デスク前の木毛セメント板の壁は、簡単に押ピンが刺せるのでメモやポストカードなどを貼る掲示板のように使っています。キッチンや洗面室のタイルは昭和っぽい雰囲気。洗面器は実験用シンクをセレクトして、理科室のような印象にしています。

渡り廊下と並ぶ教室
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——しかしながら、スタイリッシュなセンスでまとめられ、日本の小学校というよりは、アメリカの小学校のようにも感じます。

ご主人:小学校といってもベタな懐古趣味にはしたくなかったんです。和風のしっとりした感じではなく、カリフォルニアのようなカラッとした爽やかなイメージは持っていました。子ども室の壁はコンクリートの躯体を見せているのですが、息子の個室などは、なんとなくアメリカの少年の部屋という雰囲気になっていると感じています。

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家族のプライベートを確保しつつ、適度な距離感でつながる関係性

——大人の作業スペースは、腰高のパーティションで仕切られ、LDKや渡り廊下とつながるオープンな空間となっていますが、ここを個室にしなかったのはなぜですか?

ご主人:完全に区切ると狭くなるので、セミパブリックを目指しました。子ども室も、パブリックに接する面に室内窓を設け、お互いの気配が伝わるような関係性にできればと考えました。窓を設けることで採光と通風もよくなります。

——リビングダイニングからキッチン、洗面室、浴室、玄関へとつながる、回遊性のあるプランも、風通しや抜け、各空間に光を取り入れることに役立っているのではないですか?

ご主人:玄関から風がまわって、2面ある開口へと風が抜けて気持ちがいいですね。最上階の角部屋で抜けもいいし、天井も屋根の勾配なりに傾斜していて、平屋のような居心地も感じます。

渡り廊下と並ぶ教室

——渡り廊下が象徴的に一段高くなっていることも、子ども室とリビングをゆるやかに区切る仕掛けですね。引戸が開いていても、段差が緩衝帯となって、つながりながらプライベートが保たれている印象を受けます。

ご主人:子どもたちも大学生と中学生なので、プライベートは確保してあげたいと思っています。でもあまりこもってほしくはない(笑)。渡り廊下があることで適度な距離感となっているのもあるかもしれません。

奥さま:一段上がった渡り廊下は、ベンチのように腰かけることもできるし、額装した絵を飾ったりするギャラリーのような空間としても楽しんでいます。ソファの裏の空間などは、その分をなくせば部屋を広くできるし、無駄なようにも感じますが、この空間があることで広がりや開放感が出るのではと思います。あえて何も置かずに、空間の余白をキープしていきたいと思います。

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一つ一つデザインの異なる把手を選び、整然としすぎない遊びのある空間に

——構造壁で仕切られた個室は、小上がりの畳のスペースとなっていますが、こちらはどのように使っていますか?

ご主人:用務員室ですね(笑)。この和室は大人の寝室として使っています。ここだけ奥まっているので隠れ家的な居心地です。

——コンクリートの躯体の壁をそのまま見せているのもアクセントになっているし、手すりの内側を利用してさりげなく植物を飾っているのも良いアイデアですね。

ご主人:ちょっと小料理屋のような雰囲気で好きな空間となっていますね。たまにここでお酒を飲むこともあります。

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——キッチンにあるつくり付けの収納の把手は、一つ一つデザインが違いますね。

奥さま:自分たちでお店を何軒も回って好きなものを選びました。白い扉がたくさんあったので、ここはちょっとリズムを崩して遊んでみたのです。

ご主人:整然としすぎているのも好きではないので、あまり詰めて考えずに、適度にバラバラの部分があってもいいかなと思いましたね。それから、使っている素材も大らかでラフなものが多いから、汚れやキズなどが付いても味わいになっていくのが良いですね。

——最後にリビタのサービスを利用してみていかがでしたか?

ご主人:コンサルタントの森本さんや設計者さんが、「小学校のような家にしたい」という私たちのアイデアを共有してくれて、一緒になって楽しんで取り組んでくれたことが嬉しかったです。気になることや、微妙なニュアンスの希望など、思いつくままに話したことを上手く拾って、形にしてくれたと感じています。

■利用サービス:リノサポ
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