解体現場から紐解く! 解体検査のチェックポイント|住まいのヒント

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住まいのヒント

解体現場から紐解く!
解体検査のチェックポイント

目 次
  1. 1「図書館のある家」のリノベーション
  2. 2解体しなければ分からないこともある
  3. 3リアルな解体現場をチェック!
  4. 4「解体検査」で大切な3つのポイント
  5. 5まとめ

物件のリノベーションを進める時、必ず発生する作業が解体です。元々あるカーペットや壁紙を剥がすなどすることで、普段隠れている部分を見ることができます。この隠れている部分に問題がないかどうかを確認するため、解体後に「解体検査」を行います。 しかし「検査と言われても、どんなところをチェックすれば良いのかわからない」と、戸惑う方も多いのではないでしょうか。そこで、今回は実際の解体現場の事例から、解体検査のチェックポイントを紐解きます。

「図書館のある家」のリノベーション

築34年のRC造、テラスハウス形式のこちらの物件は、1階にLDK、2階に寝室・子ども部屋・客室・フリースペースを配置しています。本が好きなご主人の「収納スペースがほしい」という希望を叶えるため、フリースペースを本棚で仕切り、家族共有の図書室のような空間に仕上げました。

また、フリースペースをはじめ、納戸やクローゼットなどにも建具をつけないことで、見た目にも美しいオープン収納を実現。人の出入りや物の出し入れがスムーズで、利便性も兼ね備えています。アクセントとして、各部屋の壁には家族それぞれが選んだ色のカラークロスを採用しました。

お宅拝見「メゾネットと家族の図書室」より

▶︎ https://nokurashi.com/ownersvoice/2413

この物件の解体現場の事例から、解体検査のチェックポイントを抑えましょう。

解体しなければ分からないこともある

そもそも、物件のリノベーションにおいて、なぜ解体検査が必要なのでしょうか。

コンクリートの状況や設備配管の状況などは、解体してからでないと把握できません。新築時の図面とは異なった設備配管になっていたり、構造壁や段差があったりして、設計変更を余儀なくされることも稀にあります。このモヤモヤは、中古物件を購入する際の不安要素の1つではないでしょうか。

解体検査を行うことで、万一想定外の状況だったとしても、補修等の対応策を速やかに検討することができます。また、解体検査に立ち会い解体現場を実際に見ることで、納得してリノベーションを進めることができるため、安心感にも繋がります。

効率よくリノベーションを行うため、解体検査は非常に重要な工程なのです。

リアルな解体現場をチェック!

解体検査の重要性が見えてきたところで、いよいよ「図書館のある家」の解体現場を確認していきます。

まず、カーペットを剥がした状態のリビングから。コストを抑えるコツは、使える壁をなるべく利用すること。このリビングも、壁の下地を既存利用するためそのまま残していて、最後にビニルクロスを貼り換えました。

天井も、図面と照らし合わせて確認します。こちらの物件では、予想外の構造壁や段差、設備配管はなく、新築時の図面通りに施工されていました。また天井の高さをどのくらい上げることができるのかもわかります。

壁の構造によっては間取りを思い通りに変更できない場合があります。こちらの物件は、RC造の中でも壁がコンクリートでできている「壁式構造」のため、この壁は壊すことができません。構造壁には、雨漏りのあとや鉄筋の露出、大きなヒビ等はありませんでした。

また、床の構造も重要です。多くの床は、構造床の上に直接仕上げが施されている直床工法か、構造床の上にさらに床組みをしている二重床工法のどちらかで作られています。こちらの物件では直床工法を採用していました。なお、二重床工法は床下空間があり比較的リノベーションがしやすいとされています。

構造床はコンクリートのため、新築の施工時にボコボコとした箇所ができることがあります。この物件も部分的に構造床の高さレベルが異なる場所がありましたが、下地材の調整で対応できる程度でした。もしひどかったり気になったりする場合は、上からモルタルを流して床を平らにすることもできますが、当然工事費も上乗せされるため、優先度に合わせて検討すると良いでしょう。

新築時の施工精度によって、床や壁などが歪んでしまっていることも想定されます。構造上問題がある訳ではありませんが、水平垂直が保たれている方が工事をスムーズに進められます。こちらの物件は、床・壁・天井の水平垂直もしっかりとれていました。

さらに、設備配管の状況も確認しておきましょう。こちらの物件の場合は2011年に共用部の給排水管劣化調査を実施していて、配管内部をファイバースコープカメラで確認した資料が残っていました。資料から物件の配管内部の状況を推測すると、耐用性のある素材を使用していることから比較的良好と考えられるため、そのまま活用。住んでいる中で不具合が生じたら、メンテナンスを検討することにしました。

「解体検査」で大切な3つのポイント

「図書館のある家」の解体現場の事例を踏まえると、解体検査で大切なポイントは、大きく以下の3つにまとめられます。

POINT 1) 関係者全員が現場の状況を把握する(近隣の方との関係も含め)
POINT 2)計画されている設計図面通りに進められるか
POINT 3)工事費用の増減が発生するか

リノサポでは、リノサポコンサルタントと設計者、施工者、お客様が参加する解体検査会を実施しています。お客様自身の大切な家で、普段見ることのできない姿を体感できます。

リノサポコンサルタントは、30項目以上あるリノサポオリジナルのチェックリストを使用し、約1時間かけてじっくり丁寧に見ていきます。例えば、

・雨漏り跡がないか
・コンクリートにヒビがないか、ヒビは何ミリか
・鉄筋が露出していないか
・水平垂直がとれているか
・新築当時の図面通りに構造壁や設備配管があるか
・予定外の段差はないか
・断熱材は想定していた範囲か
・使用予定の家具家電は入る計画になっているか

など、より具体的に掘り下げて確認できるように項目を定めています。補修の必要がある場合、現地で補修方法を検討します。なお、チェックリストは日々見直されて内容が更新されるため、常に最新の基準でチェックを行うことができます。

他にも、リノサポでは中間検査や竣工検査も行っています。こちらも、リノサポコンサルタントがチェックポイントをお伝えしながらお客様と一緒に確認します。

まとめ

解体検査では、設計図面通りに進められるか、工事費の増減が発生するかを見定めながら、現場の状況を確認することが大切です。そのためには、壁・床・天井の作りや配管の状況を細かくチェックする必要があります。

実際に中古物件を購入し解体するまで、リスクとなりそうな状況があるかどうか、正確にはわからないことがほとんどです。不安を感じるかもしれませんが、リノサポは現場がよりスムーズに動けるように、そして工事に入ってからもお客様に安心して頂けるように、サポートいたします。
物件によって状況は様々ですが、ご不明な点などがあれば、まず一度ご相談下さい。私たちと一緒に、理想の住まいを作っていきましょう。

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