空間にもライフスタイルにも、余白を残す
- 所在地:
- 東京都目黒区
- 居住者構成:
- シングル
- 専有面積:
- 60.24㎡
- 間取り:
- 1LDK
- 既存建物竣工年:
- 1982年
- リノベーション竣工年:
- 2021年
玄関を入ると通路に沿って、右側に納戸とトイレ、左側に洗面室と浴室がある。通路の先は広いLDK。真ん中にキッチンがあり、ステージのように床が一段高くなっている。LDKの奥に引戸で仕切ることができる寝室がある。普段は引戸を開け放ち、LDKから続く抜けを楽しむこともできる。3方向に窓が配置されているため、日当たりと風通しがよく、物件がもつポテンシャルが活かされた間取りになっている。
IT系の会社に勤める31歳のTさん。住宅ローンを使えば、都心の賃貸マンションの家賃を払い続けるのと同じくらいの予算で、リノベーションができることを知り、中古マンションを購入。リビタのリノサポでフルリノベーションしました。リノベーション会社を9社まわって比較検討。自分自身と向き合い、希望するライフスタイルを徹底的に言語化することで、自分のニーズにぴったりの住まいが完成。研究熱心なTさんの家づくりについてお聞きしました。
ステージのように人が周囲に集まる。
真ん中にある一段上がったキッチン
――LDKの中央にキッチンがあって、床も一段上がっていて存在感がありますね。
Tさん 友人を家に呼んでホームパーティーをするのが好きなので、アイランド型にしてキッチンを囲み、料理しながら乾杯したり会話したりできるような場所にすることをイメージしていました。既存の間取りのキッチンの位置から大きく移動させたので、配管の関係で段差ができてしまったのですが、この位置なら一段高くなることで、特別な場所という雰囲気になってプラスにできていると思います。
――料理はよくされるのですか?
Tさん 人並みだと思いますが、料理をするのは好きだと思います。前に住んでいた家は1Kの賃貸マンションで、キッチンがとても狭く、料理をするのはとてもストレスフルだったので、キッチンは広く開放的にして、もっと料理を楽しみたいという気持ちもありました。オールステンレスなので、手入れも簡単で、ストレスなく料理ができています。
――真ん中にキッチンを配置するアイデアはどのように導いたのですか?
Tさん 設計者の「フーニオデザイン」の橋本潤さんが、リクエストに合わせて3案のプランを提案してくれました。僕がその前に想定していたのは、南向きのバルコニーに面してキッチンを配置し、北向きの玄関側に寝室をつくる間取り。案のなかにはそれに近いものもあり、どの案にするかは、今回のリノベーションのプロセスの中で一番迷ったところです。この物件は3面に窓があり、採光や通風がよいことが特徴。そのよさを最大限に活かすには、南北の抜けを遮ることなくリビング・ダイニングを配置し、キッチンも中心に置いたほうがいいと考えました。また、北側は道路に面していて、騒音もあり、日当たりもよくないので、寝室も南にもってきたほうが、快適に過ごせます。
――なるほど。3面採光という恵まれた環境をフルに楽しめる間取りになっているのですね。
Tさん 3案ともキッチンはアイランド型で、どれも良いと思ったのですが、どちらにしてもキッチンの位置は大きく変えることになるので、配管の関係で段差ができてしまう。バルコニーと平行に配置すると、玄関からLDKに続く動線にも段差ができます。床はフラットなほうが、空間が分断されることもなく、ルンバも自由に行き来できますから。メリハリをつけられるのがリノベーションのよさだと思っていて、LDKに注力し、寝室、洗面、浴室、廊下などはミニマムにと考えていました。キッチンが真ん中にあることで、ダイニングとリビングがゆるくゾーニングされるので、将来的に結婚したり誰かと住んだりしても、それぞれ好きな場所で過ごせそうです。
自分のライフスタイルを明確に言語化し、
伝えることでよいアウトプットが得られる
――昼間の居心地は、とても開放的でリラックスした雰囲気ですね。
Tさん それは狙い通りで、チルな時間・ヒュッゲな時間などはキーワードとして意識していました。昼間に窓を開けてソファで昼寝をしていると、風が抜けて屋外にいるような気分になれます。キャンプ場でうたた寝しているみたいな感じでとても気持ちいいです。でも、夜はムーディな居心地になります。LDKの天井を一部ふかして間接照明を入れてもらいました。自分でスタンドライトを3つ買い足し、照明を調整することで、いろいろな雰囲気を楽しめるようになっています。ダウンライトと併せて全部つけるパターンや、調光もできるので暗めに設定するパターンなど、照明を変えることで何通りも居心地をつくることができるのです。このアイデアはとても気に入っています。
――ものが少なくて、すっきりしていて、シンプルさが極まっていることも特徴だと思います。
Tさん 「余白のある暮らし」がコンセプトで、空間の余白を大切にしたいと考えました。ものは少なくして、なるべく隠す。廊下の収納の扉やトイレ、水まわりの扉なども、どこが扉なのかわからないようなデザインで、フラットな見た目になるようにデザインされているのです。ライフスタイルにも余白を残すということで、結婚したり子どもができたりしても、壁を設ければ個室をつくることができるように、照明やコンセント、スイッチなどもつくってあります。将来的なライフスタイルの変化にも対応できるし、住み替えするときにもリセールバリューが落ちないように、奇抜過ぎるデザインや間取りは避けるようにしました。
――コンセプトがしっかりしていて、空間的にも概念的にも具現化されているのですね。
Tさん よいインプットをしないと、よいアウトプットは返ってこないと思っています。設計者との最初の打ち合わせのときに、自分のライフスタイルやニーズをしっかり伝えるために、パワーポイントで30枚以上の資料をつくってプレゼンしたんです。真剣に自分と向き合い、どういう生活がしたいのか、したくないのか、自分のライフスタイルを言語化して、発信することを頑張りました。まな板やティッシュボックスの数まで記した持ちものリストもつくって、情報を全部お渡しして、専門家に託すというスタンスで臨みました。
ニーズを最優先にしたリノベで、
運命共同体としてプロジェクトを達成
――今回のリノベーションでは、物件探しからリビタに相談し、ワンストップのサービスを活用して進められました。リノベーション会社をリビタに決めた経緯を教えてください。
Tさん まず、新築と中古リノベーションの大きな2択がありました。新築は予算内だとコンパクトな物件になってしまうことと、キラキラした雰囲気にあまり心が踊らず、リノベーションの一つひとつ違う手づくり感に惹かれ、中古リノベをすることに決定。それから、インターネットや本などで情報収集していくと、ワンストップサービスを展開しているリノベーション会社があることが分かり、9社にコンタクトをとって相談会などに参加しました。それぞれに個性や得意分野があり、提案される内容もさまざま。リビタは最後に訪問した会社だったのですが、自分のニーズに合ったリノベーションが実現できそうだなと感じてお願いすることに決めました。
――入念にリサーチし、9社に足を運ばれたのは素晴らしいですね。
Tさん 人生でも最も大きな買い物なのに、僕のほうは知識がなく、リノベーション会社は専門家という、情報の非対称性が高い取引だと分かったので、勉強が必要だと考え、各社の特徴を顧客目線で研究し、検討しました。印象としては足し算で提案されることが多い。そうなると、僕のほうも余計なことをしないようにと守りに入り、好ましくない取引になってしまうのではと。リビタのコンサルタントの岩田さんは、物件選びの段階から僕のニーズを理解してくれて、「この物件ではTさんのご希望は叶わないのではないでしょうか?」といった感じで、マイナスのことも指摘し、自分の目線で必要なことを伝えてくれたので、信頼を置いていました。インターネットによる検索が進化し、物件探しは自分でもできるけど、物件の目利きは専門家にしてほしい。そういったニーズにしっかり応えてくれたと思います。さらに、リノベーションの仕組みに透明性があり、決まったコンサルティング費を支払えば、それ以上予算が増えることはないという明朗会計も助かりました。リノベーション費のパーセンテージによる成果報酬のような仕組みだと、ケチケチしてしまって言いたいことが言えなくなっていたかもしれません。
――リビタのリノサポのサービスを体験して感じたことを教えてください。
Tさん 岩田さんを中心に、設計者や工務店など関わる人すべてが、僕のニーズを最優先に考えて動いてくれました。すべての提案は僕の暮らし方を起点にしたもので、ニーズに沿っていない提案はしないという姿勢が徹底していたと思います。運命共同体のような関係性で、リノベーションという一つのプロジェクトを達成することができました。はじめての家づくりでしたが、物件選びから設計、施工まで後悔はほとんどなく、とても満足できる住まいになったと感じています。リノベーションのプロセスの一つひとつも楽しくて、何度でもやりたいくらい。きっと次に家をつくるときもリノベーションを選ぶと思います。