Rを描く木の壁で、 多彩な居場所を切り分け
- 所在地:
- 東京都多摩市
- 居住者構成:
- 夫婦
- 専有面積:
- 80.73㎡
- 間取り:
- 3LDK
- 既存建物竣工年:
- 1987年
- リノベーション竣工年:
- 2011年
玄関を入ると広い土間があり、Rを描く木の壁が訪問者を誘う。Rの壁の間口からは、オープンな収納スペース、寝室とワークスペース、さらに進むとキッチン、格子状の室内窓からダイニングがチラリと見える。さらに奥にはリビングや和室が備えられ、そのすべてが完全には仕切られておらず、ゆるやかにつながり、採光や通風、回遊性の高いプランとなっている。また、収納スペース、寝室、ワークスペースは、フレキシブルゾーンとなっており、壁はつくらず家具で空間を切り分け、将来への暮らしの変化に対応できる可変性も備えている。
おだやかな口調で、でも熱を込めて家のことを話す建築好きのご主人と、やさしい表情で包み込むように、そのお話に耳を傾ける奥さま。そんなNさんご夫妻が、リノベーションによりつくりあげた家は、緑豊かな周囲の環境が、室内にまで続いているような、心地良くやわらかな空気に包まれていました。
仕事の利便性より暮らしの満足度が大切。公園と緑、環境で決めた。
―多摩センター駅から、大きな公園を抜けて、ここまで歩いてきましたが、とても緑が多くて気持ち良い街ですね。URの物件であるこのマンションも、棟間隔がゆったりしていて、植栽が豊富で、窓から見える緑も素晴らしい。正直、多摩センターの環境の良さに驚きました!実家が近いとか、馴染みがあったエリアではなかったんですよね?
ご主人:お互いの実家はここから1時間弱の距離にある23区内と多摩地域でもともと馴染みはなかったのですが、結婚前からよく二人でこの辺りをドライブしていて、広々として雰囲気が良いのと緑が多い環境の良さが気に入って決めてしまいました。都心勤務なので、通勤は不便になりますが、毎日の生活を考えると、住まい選びは仕事の利便性より暮らしの満足度のほうを大切にしたかったので。
奥さま:ずっと車で来ていたので、物件の内見のときに初めて周辺を細かく歩いてみたのですが、周囲の公園と団地の雰囲気が一体となって溶け込んでいるのを見て「何これ、スゴイ! もう決めちゃうかもね」と話していたんです。その言葉通り脇目も振らず、すぐに決めてしまいました。
ドキドキ、ワクワクする、クリエイティブなプランを期待していた
―設計はsinatoの大野力さんですね。どの建築家に依頼するかは、どうやって決めたのですか?
ご主人:リビタから4名の建築家さんを紹介されたのですが、大野さんの手がけた店舗設計などの実績を見て、自分たちでは思い付かないクリエイティブなアイデアを提案してくれそうだと感じました。
奥さま:カフェのような家がいいね、とも話していたから、大野さんの実績に興味を持ったんです。設計の打ち合わせに実際にデザインされた店舗を利用させてもらいました。
ご主人:思い描くたくさんの要望を機械的に取り入れたり、定型化されたやり方で無難にまとまるより、私たちが気に入った周囲の環境とシンクロして、私たちだけの要望を究極的に満たすことを突き詰めて考えられたドキドキ、ワクワクするようなクリエイティブな提案を求めていました。想像を超えるような良い意味での裏切りを期待していましたね。
―そこで、大野さんから出てきたのは、曲線を描く薄い木の壁が家の中央をコの字に間仕切り、いくつもの間口や室内窓が設けられた、とてもユニークなプランだったというわけですね。
ご主人:フルスケルトンにしたのですが、残った梁や構造壁の存在感が強かったので、そこに隙間の空いた薄い曲線の壁を加えることで、いろいろな居場所を生み出し、光や風、視線の抜けをつくるという提案でした。
暮らしのシーンが次々に浮かぶ、多彩な居場所と豊かな視界
―ほぼ一発でOKだったそうですが、このプラン提案を受けたとき、どう思われましたか?
ご主人:最初に模型を見たときには「何だ、この壁は!?」と未知との出会いにビックリしましたが、プランの説明を聞いたら、もうこのカタチしかないなと思いました。環境にほれ込んでいて、それを活かしてほしいという願いがあったので、室内窓からいろいろな方向に視界が抜けて、あちこちから緑が見え、多彩なシーンが目に入ることに、はまった感じがありました。Rの壁でゆるく仕切られているのですが、全体がつながっている感じも好きでした。
奥さま:Rの壁のインパクトが大きかったですね。それぞれの居場所に、通り抜けの場所、くつろぎの場所、ひだまりの場所などコンセプトが明確で、暮らしているシーンが次々に浮かんでくるような感じでした。
―目線のポイントになる壁は、カラフルな色で塗装されていますね。リビングがブルー、水まわりがピンク、寝室がグリーンでさわやかです。
奥さま:好きな色と好みの色調を伝えて、サンプルを提案してもらい、その中からパステル調の色で統一されるように選びました。それぞれの色のおかげで、さらに居心地の豊かさが増したように感じます。
―Rの壁で空間は切り分けられていますが、完全には個室ではなく、ワンルームとも言えます。いくつかの動線が交わる、回遊性の高さも特徴的ですね。
奥さま:立体的な広がりが出せない分、多様な動線が多様な暮らしのシーンを形作ると考え、「回りたいんです!」と希望しました。どこにいてもお互いの存在が分かるし、緑を抜けてきた風が、家中を通るから気持ち良いですよ。
子供の時から建築が好き。16年後しの夢が叶った
―Rの壁や格子の室内窓が続く通路は、なんとなく外の雰囲気がして、屋外の周辺環境の続きを体験しているような感覚になります。いろいろな意味で、周辺環境を上手く取り込んだ空間になっていますね。
ご主人:そう言ってもらえると嬉しいです。緑、茶、白、黒といった周辺の街並みで使われている色を使って、街のイメージを取り込んでほしいという希望を、最初に伝えていたので、その印象が表れているのかもしれません。室内窓の格子は最初なかったのですが、デザインの遊びが欲しくて、付けてもらいました。ホワイトボードが欲しいとか、細かいディテールの希望はいくつか出しています。
―それで壁面が、白のカラーガラスになったのですね。窓の外の緑が反射してとてもきれいです。絵がたくさん描かれていますが、これはご主人が描いたのですか?
ご主人:思いついたときに絵や図やメモ書きを描いたり消したりできるのが嬉しくて、小さい子供のようによく落書きしています。現代芸術や現代建築に興味があって、絵を描くのも好きなんです。実は子どもの頃は建築家になりたかったんですよ。不動産広告や住宅雑誌の間取りを一日中見ていても飽きない子どもでした。両親が家を建てたときは中学生でしたが、自分が建てるならどういう住み方をして、そんなカタチの家が理想なのかと、間取り図や周辺の街の地図まで描いていました。その頃から自分の家を自分でつくりたいという思いがありましたね。
―リノベーションでまっさらな状態から、家づくりに取り組んで、その思いは果たせましたか?
ご主人:そうですね。16年越しの夢が叶いました(笑)。Rの壁までは想像していませんでしたが、理想の住まいを現実のカタチに出来た喜びは大きいです。
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