【2022年度】賢い住まいづくりとは?リノベーションで使える減税制度|住まいのヒント

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住まいのヒント

【2022年度】賢い住まいづくりとは?
リノベーションで使える減税制度

目 次
  1. 1リノベーションにも使える住宅ローン控除
  2. 2国や地方自治体別の補助金制度も要チェック
  3. 3事例1)賃貸からの住み替え購入リノベーション
  4. 4事例2)ご所有物件のリノベーション
  5. 5賢く制度を利用して理想の住まいづくりを

住まいづくりの支援制度はたくさんありますが、実際何が利用できるかは家族構成や物件の状況によって異なります。中古住宅のリノベーションをする場合においても、誰もが利用できる減税措置制度から、より良い住環境を整備するための補助金制度まで、種類はさまざま。
自分にも使える制度は何なのか、具体的な事例を交えながら活用する場合の注意点についてみていきましょう。

リノベーションにも使える住宅ローン控除

多くの人が使える減税措置制度が「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」です。住宅ローンを利用して自宅を購入した場合や、自宅の増改築、リフォームをした場合に所得税や住民税を控除(減税)できる制度です。税控除額は年末時の住宅ローン残高の0.7%で算出されます。
①~③の適用要件を確認していきましょう。

①借入金の要件
金融機関からの借り入れであり、完済まで10年以上の分割返済であることが要件です。仮に期間途中の繰り上げ返済により借入期間が10年未満*となった場合は、その年以後の適用が受けられません。
*「当初の返済月(償還月)」から数えたトータルの年数

②取得する住宅の要件
購入住宅は取得から6ヶ月以内に本人が居住していること、床面積(不動産登記簿上の面積)が50㎡以上あり、その床面積の半分以上が自己居住用であることが要件です。別荘や賃貸用住宅には適用されません。

③適用を受けようとする人の要件
適用されるのは年間の合計所得金額が2,000万円以下*の人のみです。ただし夫婦で住宅ローンを組む場合は、それぞれ2,000万円までの所得があっても利用可能となっています。また1,000万以下であれば、床面積40㎡以上50㎡未満の住宅でも適用されます。
*2022年度の改正により3,000万円から2,000万円へ引き下げ

国や地方自治体別の補助金制度も要チェック

国や自治体によってさまざまなリノベーション支援制度も実施されています。居住する地域の情報を収集し、事前に吟味しましょう。また補助金制度は国の政策や情勢により、新設されたり終了したりすることも多くあります。必ず最新情報をチェックして、適用期間や実施の有無を確認するのも大切です。そのうちの1つに、「こどもみらい住宅支援事業」という国からの補助金制度があります。

子育て世帯や若者夫婦を応援「こどもみらい住宅支援事業」
「こどもみらい住宅支援事業」とは、子育て支援と2050年カーボンニュートラルの実現の観点から生まれた事業です。子育て世帯や若者夫婦世帯による、高い省エネ性能を有する住宅の省エネ改修等に対して補助することで、負担軽減や省エネ性能を有する住宅形成を目的としています。

前提として、リフォームする住宅の所有者であることが適用条件です。さらに、こどもみらい住宅支援事業に登録した施工業者との契約のみに適用されます。
補助額は原則1戸あたり30万円が上限です。リフォームする住宅の所有者であれば誰でも利用できる制度ですが、子育て世帯や若者夫婦世帯の場合、上限額が45万〜60万円と引き上げられるのもこどもみらい住宅支援事業の特徴です。

それでは2つの事例をもとに、制度を活用する場合の注意点についてご紹介します。

事例1)賃貸からの住み替え購入リノベーション

最初にご紹介するのが、子育て世帯の住み替え購入リノベーションのケースです。30代のご夫婦とお子さまの3人家族で、お子さまが大きくなったことを機に、部屋の広い住宅の購入を検討されています。資金面ではいくらかご両親の援助を受ける予定だそうです。

この場合、活用できるのが「住宅ローン控除+こどもみらい住宅支援事業+贈与税対策」です。

〇住宅ローン控除の注意点
住宅ローン控除を利用する上で、事前に注意しておきたいことは2点です。
ひとつめは、併用住宅の可能性について。住宅ローン控除を利用するには床面積のうち自己居住用面積が50%以上でなければいけません。そのため店舗を1階につくるような併用住宅を検討する際には注意が必要です。
ふたつめに、適用を受ける場合は、年末調整の対象となる給与所得者も、初年度に限り確定申告をする必要があるので注意です。2年目以降は年末調整による適用で構いません。

さらに近年の改正にも注目しましょう。
これまで住宅ローン控除が適用される住居の対象が「既存住宅の築年数要件(耐火住宅25年以内、非耐火住宅20年以内)」とされてきましたが、改正により「昭和57年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)」へ変更されました。一方、控除率は1%から0.7%へと引き下げられています。さらに新築住宅の控除適用期間は13年ですが、今回のような中古物件リノベーションの場合は適用期間が10年です。
(適用対象:2025年12月31日までの入居者)

このように住宅ローン控除は年度ごとに大きく制度が見直される可能性もありますので、利用する前によく確認するようにしましょう。

〇贈与税対策の注意点
今回のケースのようにご両親からの住宅資金援助を受ける場合は、贈与税対策を検討する必要があります。贈与税には非課税制度が設けられており、直系尊属(祖父母・両親)からの贈与で、要件を満たせば最大1,500万円まで非課税となります。(直系尊属からの住宅資金贈与・非課税特例)

この制度を利用するにあたり、注意すべき点は3つあります。
ひとつめは、贈与を受けるタイミングです。住宅取得を目的とした資金の贈与があった場合、翌年の3月15日までに住居に入居しなければなりません。そのため贈与のタイミングは入居開始の直前に受けるのがベストでしょう。
ふたつめは併用可能な制度についてです。一般的な贈与税申告で適用される「暦年課税(基礎控除110万円)」や、住宅ローン控除とも併用ができます。
みっつめは非課税限度額について。住宅の契約締結日が消費税率10%時の場合、通常の非課税限度額は1,000万円、省エネ住宅の場合は1,500万円となります。それ以外の契約時期だと、通常が500万円、省エネが1,000万円へと限度額が異なります。

また住宅ローンの残高によって、住宅ローン控除の対象となる金額が減少してしまう場合もあるため、住宅ローンと贈与額のバランスをよく吟味し、資金繰りを検討しましょう。

〇こどもみらい住宅支援事業の注意点
前提として、こどもみらい住宅支援事業に事業者登録をしたリフォーム業者への工事依頼が必須で、申請も施工会社が代行して実施します。
対象工事としては開口部の断熱改修、外壁、屋根・天井または床の断熱改修、エコ住宅設備の設置のいずれかが必須。そのほか、子育てやバリアフリー対応改修との併用ができます。一般的には「エコ住宅設備の設置」+「子育てやバリアフリー対応改修」の申請が多くされているようです。ただし、申請する補助額の合計が5万円以下の工事では補助の対象外となってしまいます。
(適用対象:2023年3月31日までに交付申請された方)

事例2)ご所有物件のリノベーション

次にご紹介するのが、お子さまが独立した50代のご夫婦、2人暮らしのケースです。築10年以上が経過して、家族構成も変わったことを機に、間取りの変更や住宅ローンを含めた家の見直しを検討されています。

この場合に活用できるのは「住宅ローンの借り換え+リフォームローン控除」です。

〇借り換えの注意点
借り換えとは、いま住宅ローンを組んでいる金融機関から、他の金融機関に乗り換えることです。より金利の低い金融機関に借り換えることで、今後支払う額を下げられる可能性があります。ただ、金利差や残りの返済期間、残金によっては効果を得られないこともあるため注意が必要です。さらに一括返済にかかる手数料や登記されている抵当権を抹消する費用など、借り換えにかかる諸経費についても考慮する必要があります。

〇リフォームローン控除の注意点
住宅の新規購入でなくても、所得や床面積などの要件を満たせばリフォームローン控除(≒住宅ローン控除)の適用は可能です。適用要件は通常の住宅ローン控除とほぼ同条件ですが、工事費100万円以上であることが必要となります。

また「住宅特定改修特別税額控除(既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除)」という、住宅ローンの有無に関係なく利用できる特別措置もあります。バリアフリー対応や、省エネ改修として断熱性を高めるリフォームを実施した際の工事費用にあたる金額の10%を、翌年の所得税から控除できる制度*です。
原則としてリフォームローン控除との併用はできないため、控除額を比べた取捨選択をしましょう。
*対象工事に応じた控除対象限度額あり
(適用対象:2023年12月31日までの間に工事して居住された方)

賢く制度を利用して理想の住まいづくりを

今回はリノベーションに関する減税制度について着目しました。このような制度を計画的に見越して住まいづくりの判断ができれば、理想の住まい実現へ可能性が一層広がっていきますね。

ただ、あくまでこのような制度は補助的なものであり、本来の住まい選びの軸を変えてまで注視すべきではありません。さらに地方自治体別の補助金や、制度が適用されるか否かの判断や制度の改正など、お客様にとって難しい部分が多いのも住まいづくりの各支援制度における特徴です。

物件探しからリノベーションまでのサポートをするリビタのリノサポでは、コンサルタントが打ち合わせのなかで、お客様の資金計画表を作成します。より専門知識が必要な場合には税理士をご紹介するなど、お客様がより安心して住まいづくりを進められるよう多方面からサポートしています。

減税制度を賢く利用して、理想の住まいづくりをしてみてはいかがでしょうか。

 

<参考文献>
No.1216 増改築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁
住宅ローン減税等が延長されます!~令和4年入居でも控除期間13年の場合があります~|国土交通省
住宅特定改修特別税額控除(既存住宅に係る特定の改修工事)|家づくりコンサルティング
No.1219 省エネ改修工事をした場合(住宅特定改修特別税額控除)|国税庁

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