形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。シェアハウス暮らしで変化したキャリア観|シェアする暮らし

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形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。
シェアハウス暮らしで変化したキャリア観

目 次
  1. 1キャリアの違和感の正体が分からずに、悶々としていた30歳前後
  2. 2建物が完成してからの“その後のデザイン”に目が向いた
  3. 3まちに誇りや愛着を持ってもらえるように、ベンチャー企業に転職
  4. 4パートナーとの新生活もはじまり、シェア暮らしが人生の分岐点に

近年、多様化するライフスタイルや働き方に合わせて、一人暮らしや実家暮らし、友人やパートナーとのシェア生活など、住まいの選択肢が広がっています。特に、都心近郊のシェアハウスは、一軒家から元企業寮をリノベーションした大型物件など規模も特徴もさまざま。
シェアハウスと聞くと、一般的には「入居の初期費用や生活費が抑えられる」などの金銭面のメリットや、入居者同士の賑やかな交流の様子が思い浮かびますが、そこで過ごした時間が人生のターニングポイントになることもあるようです。
今回は、神田駅にあるシェアハウス「the C」での暮らしを通して価値観が変わり、“建物をつくる仕事”から“まちの賑わいを生み出す仕事”にキャリアチェンジされた廣川祐子さんにお話を伺いました。
どのような出来事が、新たな世界への一歩を踏み出すきっかけとなったのでしょうか?

キャリアの違和感の正体が分からずに、悶々としていた30歳前後

-廣川さんは、ご実家が新宿区にあるんですよね。都心に家があると引っ越しのハードルが高くなりそうですが、いかがでしたか?

廣川祐子(以下、廣川):そうなんです。ずっとゼネコンの猛烈サラリーマンとして忙しく働いていたのと、実家から職場までの交通の便がよかったこともあり、住まいについて考えることが後回しになっていました。ただ、30歳という人生の節目を迎えて引っ越しを考え出したタイミングで、同僚がシェアハウスに住み始めて。

会社以外のコミュニティの話をたのしそうにする姿を見て、素直に羨ましくなったのでシェアハウスについて調べていたら「the C」を見つけました。家具家電付きで、都心へのアクセスが抜群ということもあり、入居をすんなりと決意できました。自分の知らない世界がそこにはきっとあるはずで、新たな交友関係が広がっていくことがたのしみでした。

-実際にシェア暮らしをしてみて、新しい世界への扉は開きましたか?

廣川:はい。シェアメイトとの思い出の数々が心に残っていることはもちろんですが、シェア暮らしを通して仕事に対する価値観が変わり、転職を経験しました。私はもともと建築設計の仕事をしていて、マンションやオフィス、工場など、お客様がつくりたい建物を形にすることをゴールに走り続けていたんです。

形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。シェアハウス暮らしで変化したキャリア観

廣川:ただ、シェア暮らしをする前から「ずっとこの働き方を続けていきたいのかな?」と違和感を抱くようになったり、「私じゃなくてもできる仕事なんじゃないかな」と後ろ向きになったりしていて。だからと言って、他に何かやりたいことがあるわけでもなかったので、悶々とする日々を送っていました。

建物が完成してからの“その後のデザイン”に目が向いた

-将来のビジョンに靄(もや)がかかっていたときに、どのような出来事がその先の道を照らしてくれたのでしょうか。

廣川:キャリアチェンジのきっかけになった出来事は、主に2つあります。1つ目は、シェアメイトたちと共有スペースでハロウィンパーティーを開催したこと。料理チーム・飾りつけチーム・コスプレ準備チーム等を作って、それぞれ得意そうな仲間に声かけをしました。しかし私自身は当時仕事が忙し過ぎてどのチームにも入れず、でもみんなにパーティーに参加してもらいたくて、住人への呼びかけを担当したんです。

あえてLINEなどのデジタルツールを使わずに、「同じ空間に住んでいること」を活かして、各階に手作りのポスターを貼って。さらにフロアごとの間取り図を書いて、参加希望者には自分の部屋の位置に「参加」のシールを貼ってもらうようにしたんです。

形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。シェアハウス暮らしで変化したキャリア観
廣川さん作のポスター。パーティーには約30名が参加した。

-間取り図を用いたイベント告知のポスターって、廣川さんならではの工夫ですね。

廣川:視覚的に分かりやすくすることで「あの子が行くなら、自分も行こうかな」と思ってもらえたらいいなと。別に誰にも頼まれてないし、お金も発生しないことなのに、ワクワクしながら作業に取り組みました(笑)。

同時に「もしかしたら、私がやりたいのってこういうことなのかな?」と気づき始めて。長年、建物(=ハコ)をつくることに力を尽くしてきたけれど、そのなかで営まれているイベントやコミュニティ(=コト)をつくることに興味がわいたというか。

思い返すと、大学院生の頃にパリの建築大学に留学していて、バックパックで周辺の国々をめぐっていたときにも、同じようなことを感じていたんですよね。建築はもちろん素敵だけど、それよりもヨーロッパはまちなかの公共空間の活用が進んでいるので、まちの人たちが広場でたのしそうに過ごしている様子を見て「すごくいいな」と。

-建物やまち空間のなかで、人々の交流や賑わいを生み出すためには、目に見えない仕掛けを考える必要がありそうですよね。

廣川:そうなんです。建物が完成した“その後”の活用方法を考えることもすごく大切だと思いました。「コトのデザイン」という表現は大袈裟かもしれませんが、シェア暮らしを通して素人なりの成功体験を積み重ねるうちに、自分もそういった分野に携わりたいと考えるようになったんです。

まちに誇りや愛着を持ってもらえるように、ベンチャー企業に転職

廣川:そして、キャリアチェンジのきっかけになった出来事の2つ目は、シェアメイトの言葉に感銘を受けたこと。何気ない会話のなかで、その彼が「シェアハウスって建物のことじゃないんだね、ここにいるみんなのことなんだね」と言ってくれて。学生時代から十数年も建築について考えて生きてきた私にとって、目から鱗が落ちるような言葉でした。

もちろん、オシャレな空間や快適な設備があってこそのシェア暮らしですが、「色鮮やかに記憶に残り続けるのは、建物じゃなくて人なんだ。そして、そこで起こるコトなんだ!」と実感したんです。私が知っている「the C」というシェアハウスは、その時期にたまたま一緒に住み合わせた人たちと創り上げた一期一会の空間であり、いまは当時とはまた違う生活が同じ建物の中で営まれているはずなんですよね。

形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。シェアハウス暮らしで変化したキャリア観
仕事を終えて帰宅したメンバーが、キッチンに集って談笑する様子

-ハロウィンパーティーでの気づきが、シェアメイトの言葉によって確信に変わったのですね。

廣川:そうですね。彼の言葉が自分のなかで大きなキーワードになり、7年半勤めた大きなゼネコンを退職して、社員10名の小さなまちづくり会社でエリアマネジメントの仕事に携わるようになりました。「the C」には商社や出版社勤務の人、起業家や看護師や予備校講師など、さまざまな職業の人が居て、多種多様な意見をもらうことができて、転職活動の過程でもシェアメイトには客観的なアドバイスをもらったり、相談に乗ってもらったりしていました。

-まちづくり会社では、どのようなお仕事をされていましたか?

廣川:「まちをたのしくする」「場をつくる」ような仕事です。たとえば、湾岸エリアにタワーマンションを建設したお客さま(不動産ディベロッパー)から「周辺住民の方が集まる機会をつくって、水辺の賑わいを生み出したい」というご依頼を受けたときは、地元のお祭りのプログラムの一つとして夜の屋外映画祭を実施したり。あとは、有明エリアで働いている人たちを対象に、自分たちが働いているエリアの魅力に気づいてもらうことを目的に、2階建てのロンドンバスで「夜景写真家とめぐるバスツアー」を企画したりしました。

その土地に住んでいる人たちや、働いている人たちに、まちに対する愛着や誇りを持ってもらえたらいいなと思って、マンション開発や都市開発を手掛けるデベロッパーのお客さまの相談に乗りながら、「建物という形には残らないけれど、人の心や記憶に残る仕事」に3年間取り組みました。

形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。シェアハウス暮らしで変化したキャリア観

パートナーとの新生活もはじまり、シェア暮らしが人生の分岐点に

-いまは鉄道会社で、廣川さんの地元・新宿のまちづくりに携わっていると聞きました。

廣川:最近2度目の転職をしたのですが、自分が生まれ育った場所で仕事ができることはすごく嬉しいですね。長い年月がかかる大規模な開発に携わっていて、多くの関係者がいる中で、みんなが「一緒にまちをつくっていくぞ!」という心持ちでいないと、同じゴールを目指せないだろうなと考えています。

何か提案するときは、文書だけではなく、新宿の将来を描いたイラストを添えるようにしています。些細なことかもしれないですけど、たのしそうな雰囲気とか、参加したくなる仕組みづくりやみんなで目指すゴールをビジュアルで共有するって大切だなと思うんです。規模はだいぶ変わりましたけど、自分の根底にある想いは、シェハウスのイベントで夢中になりながらポスターをつくっていた頃と変わらないですね。

形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。シェアハウス暮らしで変化したキャリア観
シェアハウスの卒業生を見送る、お別れ会の手描きポスター

-そしてプライベートでは、パートナーの方と幸せな生活を送られているんですよね。

廣川:はい。1年間シェア暮らしを満喫して、当時からお付き合いしている彼と一緒に住むために「寿退去」という形になりました(笑)。私と同じように引っ越した人や、2人で同棲するために卒業したシェアカップルがいるので、いまもみんなの家に遊びに行かせてもらっています。

あとは、私の学生時代の友人と結婚したシェアメイトのお祝いもしました。「きっとこの2人は気が合うだろうな」と感じたので紹介してみたら、相性がぴったりだったみたいで。いまではお子さんも生まれて、賑やかに暮らしているそうです。こんなふうに卒業後も、シェアハウスの共有スペースで他愛もない話をするように、仲間たちと集まってたのしい時間を過ごしています。

形あるモノづくりから、目に見えないコトづくりへ。シェアハウス暮らしで変化したキャリア観
元入居者同士の結婚パーティーを、「the C」地下1階のイベントスペース「C-Lounge」で実施。多くの卒業生が集まった。

-転職やパートナーとの新生活など、変化の連続でしたね。

廣川:いま振り返ると、1年間とは思えないような濃密な時間でしたね。「最近、家族や会社以外の人と話していないな」と思っている方には、ぜひシェア暮らしをおすすめしたいです。

フリーランスや起業家という、普段なかなか出会わないような働き方をしている人をはじめ、自分とは違う業界や職種で悩みながら頑張っている仲間との出会いは、刺激にも励みにもなるので。私と同じように、人生を改めて考え直すきっかけになるんじゃないかなと思います。

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