リビタのひとのくらしとすまい#2 天井高に恵まれた物件との出会いから、植物や好きな家具を楽しめる住まいを実現|住まいのヒント

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リビタのひとのくらしとすまい

リビタのひとのくらしとすまい
#2 天井高に恵まれた物件との出会いから、
植物や好きな家具を楽しめる住まいを実現

目 次
  1. 1点検口を開けて「見つけてしまった」勾配天井の物件との出会い
  2. 2「どんな暮らし?」「どんな家具?」 ピンポイントでも軸を持っておくといい
  3. 3家事、収納、空間に逃げ道をつくり、ノイズを包み込める完璧じゃない住まい

点検口を開けて「見つけてしまった」
勾配天井の物件との出会い

飯田 この物件は6階建てのマンションの最上階にあり、勾配天井で天高に恵まれているという大きな特徴がありますね。購入する時点で、これほどの高さがあることは分かっていたのですか?

福田 既存の状態は、当然ながらこの勾配は天井の仕上げで隠れていて、一般的なマンションと同じくらいの天井高でした。仕事ではリノベ前の物件を見学するとき、必ずユニットバスの点検口を開けて、天井裏がどうなっているか確認しているのですが、この物件を見学したときも同様に確認したところ、空洞になっていたんです。通常なら見えるはずの屋根の躯体が見えなかったので、高さのある勾配天井になっていることに気づき「これは見つけてしまったな…!」と。通常の仲介業者では、このポテンシャルを活かすのはなかなか難しいだろうから、プロである自分こそがこの物件を買わなければと、気持ちは決まっていました。

飯田 私たちもユニットバスの点検口を確認しますが、一般的な仲介業者だとそこに関心をもつことなく、既存と同じような一般的な天井の仕上げのリフォームになっていたかもしれないですね。浴室の位置を大きく変更するには床下を上げて配管をする必要がありますが、天井が高いからこそ、段差を気にせずに自由に配置変更が実現できているんですね。通常は面積ばかりを気にしがちですが、体積も重要だと常々感じています。リノベーションの自由度が上がりますし、福田さん邸はまさにそれを実感できる例だと思いました。

福田 ずっとリノベーションに関わってきて、300軒以上の物件を見ているけれど、最上階でもこれだけの天井高がある物件は初めて見たので、一般的ではないかもしれませんが、購入前に点検口を開けて、天井裏や床下がどうなっているのか見ることができると、躯体の経年状態や給排水管の更新状況なども分かり、リノベーションの計画が立てやすくなるといえますね。床下の点検口は必ずあるわけではないですが、大規模修繕などで給排水管を交換するときに、つけるケースは多いと思います。

飯田 売主さまが住んでいる状態で見学するケースでは、浴室を見せてもらえないこともあります。ユニットバスの点検口も必ず確認できるわけではないですが、リビタのようなリノベーション物件を扱う会社であれば、バルコニーの壁の配管が出ているところから、ある程度は配管ルートの予測などもできます。キッチンがどこまで移動できるかといった判断にもつながりますから、物件探しの段階からそういったことを見極められるパートナーと一緒に見学できるといいと思います。

「どんな暮らし?」「どんな家具?」
ピンポイントでも軸を持っておくといい

飯田 この物件の立地は埼玉県戸田市ですが、エリアはどういった経緯で決まったのですか?

福田 予算を無理なく余裕をもって支払える範囲に抑えたかったので、都内は難しいということになり、エリアを広げていくうちに戸田市がターゲットに入ってきました。住宅ローンで払っていけたとしても、住まいを購入したことで何かを我慢しなくてはいけないという状況になるのは避けたいと思いました。都心も魅力的ではあるけれど、行きたい場所があれば休日に遊びに行けばいいし、住まなくてもいいかなと思ったんです。

飯田 なるほど。そういった割り切り方ができると、住むエリアや物件探しの可能性が広がりますね。それができるかできないか、人によってそれぞれですが、一つの選択肢として参考になります。

福田 エリアについては、事前にハザードマップで周辺環境を調べて、購入前に近くのホテルに泊まり、そこから通勤するシミュレーションもしました。電車の混み具合を体験して、このエリアなら暮らしていけそうだと確認。住んでみると最寄り駅から池袋まで電車で約10分ととても便利で、自然も豊かで気に入っています。近所にいい感じのベーカリーなどもあり、生活に欲しいものは揃っていて満足度は高いです。

飯田 物件選びの際に、絶対に譲れないポイントなどはありましたか?

福田 妻の希望で、新耐震基準の物件であることは一つの条件でした。あとはマンションの管理状況や修繕計画なども事前に調べて、安心して住めることをクリアした上で、工事費や諸経費なども含めて予算内で購入できる物件であることにもこだわりました。

飯田 福田さんが設計してフルリノベーションをされていますが、ご夫婦それぞれの個室があり、各所にしっかり収納もつくられているという機能的で整理された間取りになっていますね。一方でバルコニー側の窓辺は贅沢にインナーバルコニーをつくりメリハリの効いた空間になっていると感じます。

福田 植物を育てる室内と屋外の中間領域のような空間をつくりたいということと、浴室・洗面はボックス型に収めて天井まで仕切らず、空気がまわる住まいにしたいということを希望していました。こんな住まいにしたいという大まかなイメージはもともともっていたから、この物件を見学した時点でほぼプランはできていたと思います。個室については、結婚して一緒に暮らすことになったので、とりあえずそれぞれ自分の部屋を設けて、二人暮らしのシミュレーションとしてワンクッション置くことにしました。将来的にはどちらかを子ども部屋にするなどアレンジすることもできますからね。

飯田 リノサポのお客さまは、物件が決まってから、どんな間取りにしたいか考えるケースが多いのですが、物件探しの前の段階で、ある程度イメージをもっておくと、物件に必要な条件もより具体的に分かるから、物件探しや住まいづくりが効率的に進みますよね。

福田 あとは古い家具が合うテイストにしたいということも事前に決めていました。リビングにこういう家具を置きたいから、壁や床の素材はこれが合うという感じで逆算するように決められました。

LDKの一角に置いたガラス戸の食器棚は、日本製のアンティーク。時間をかけてイメージ通りのものを探し当てた。
住み始めてからも古い家具を探し続けており、最近マルニ木工の「ショパン」を購入。木部の塗装やファブリックの張替えを予定している。

飯田 キッチン側面のリブ板仕上げなど、まさにその方向性が表現されています。リノベーションの完成度の高さは、そういった事前のイメージが明確だったことから導かれているのかもしれませんね。

福田 「ダイニングテーブルはこんなデザインがいい」とか、ピンポイントでもいいから、なんとなくでも事前に決めておくと、リノベーションの軸がつくりやすいと思います。

飯田 「どんな暮らしがしたいですか?」と聞かれても、抽象的で困ってしまう方も多いと思うので、「この照明が好き」とかディテールから先に決めて、情報を集約していくと、その後の工程でも指針になったり、ヒントになったりするケースは多そうですね。

家事、収納、空間に逃げ道をつくり、
ノイズを包み込める完璧じゃない住まい

飯田 予定通りにいかなかったところや妥協したところはありますか?

福田 妻が施工会社に勤めていることもあり、事前にある程度見積もりも想定して、予算内で調整しながら決めていったので、それほど減額で妥協したところはないかな。個室や水まわりのドアの建具は造作を諦めて、シンプルな既製品を選んだことがちょっと残念でした。あと、洗面台も造作にしたかったけど、こちらは妻の承認がおりなかったので既製品になりました。

飯田 造作のキッチンやインナーバルコニーを仕切る造作建具など、福田さんが優先的にやりたかったところは実現して、奥さまのご意見もしっかり取り入れることでバランスが取られているのですね。

福田 妻にプレゼンする資料をつくって、こういうイメージになるってことも事前に共有しました。

飯田 福田さんほどの精度でなくても、共有するのはネット上のイメージ写真などでも良いですよね。家族間でそういったコミュニケーションが事前にしっかり取れているのは、とても大事なことだと思います。

福田 妻との共通認識という意味では、2人分の家事を分担するにあたって逃げ道を用意することを設計で意識しました。食洗機や乾燥機など家事の負担を減らす家電は優先して取り入れ、洗面室にカウンターをつくって洗濯物をたためる場所やリネン類を収納する棚なども設けて、家事を効率的にできるようにしています。

飯田 土間が広く十分な収納が設けられていて、家事動線もコンパクトにすっきりまとめられていますよね。

福田 土間を広くして、大きめの棚を設けたのも同じ理由で、一時的なものの置き場にしたり、リビングに持ち込みたくないものを置いたりできるような逃げ場となることを想定しています。空間としても逃げ道を意識していて、普段の生活では本やパソコンなどがテーブルの上に出ていたり、いろいろなものが放置されたりすることが当たり前なので、ある程度のノイズを包み込めるように完璧につくり過ぎないようにしています。たとえば、部分的に躯体を現しにしたり、配管に塗装やテープを施さずそのまま見せたり、勾配天井に木毛セメント板という素材を貼ってコンクリートのような雰囲気にするなどして、バランスを取りました。

飯田 暮らしが始まってからの生活のイメージまで見通した視点はさすがですね。福田さんの住まいづくりをそのまま真似することは難しいかもしれませんが、リノベーションをしたい人にとってたくさんのヒントが詰まっていると感じます。リノサポのお客さまにお伝えしたい貴重なエッセンスをお聞きできて、とても参考になりました。

数多くの物件と向き合いリノベーションを手掛けてきた福田さん。選んだ物件もリノベーションの計画もプロフェッショナルならではのこだわりや経験が活かされた住まいでした。次回もどんな社員のどんな住まいが登場するか、お楽しみに!

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