箱型モジュールで、暮らしをカスタマイズ|お宅拝見

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箱型モジュールで、暮らしをカスタマイズ

目 次
  1. 1生活に合わせて空間を変える。 新しい暮らし方の視点との出会い
  2. 2工具がなくても組み立てられる 木製のモジュール
  3. 3色塗ったり、高さを変えたり、 オリジナリティが活きる暮らし

IT関連で働くNさんは、31歳のシングル女性。キャンプ、登山、トレイルランニングなど、アウトドア系の趣味もアクティブに楽しむ。そんなNさんが選んだ新居は、木製の箱型モジュールを使って、収納や間仕切りを自分自身でカスタマイズできるリノベーション済みマンション。オリジナリティあふれる暮らしについて、企画を担当したリビタの宇都宮も交え、お話を聞きました。

生活に合わせて空間を変える。
新しい暮らし方の視点との出会い

――木の箱型モジュールを使って、住み手が自分で空間をつくっていく異色のリノベーション済みマンション。最も心惹かれた理由を教えてください。

木製の箱型モジュール(以下、箱型モジュール)。自由に組み合わせて、壁や収納、家具などをつくることができる。

Nさん マンションは予め間取りや収納が決められているので、少々使いにくくても部屋に合わせていくのが当たり前だと思っていたのですが、この家は、自分の暮らしに合わせて空間をカスタマイズできるという新しい視点を与えてくれました。この物件の背景にあるそのストーリーが、私にぴったりだと思ったのです。今は一人暮らしだから、壁などはつくらずワンルーム状態で使っていますが、生活様式や気分に合わせて間仕切ったり逆に取り払ったり、空間のほうを生活にフィットする形で変えられることに惹かれました。

――リビングには、間仕切りなどはつくらず、壁側やキッチンの近くに箱型モジュールを並べて、収納として使っていますね。

Nさん 販売時は、リビングに箱型モジュールが並んでいて、空間がV字に仕切られていました。美術館みたいでかっこいいなと思い、最初はそのまま暮らそうと思っていたのですが、暮らしはじめてみると午前中の日当たりがとても気持ちいい。仕切ってしまうのはもったいないと感じ、リビングはワンルーム状態で暮らすことにしました。リビングから見える景色を存分に楽しむためにも、しばらくは、抜け感と開放感を楽しみたいと考えています。

宇都宮 箱型モジュールは、「住み手が自分自身で使いやすい組み合わせや配置を見つけ、居場所をつくっていける環境を提供する」というテーマで企画していて、Nさんのように楽しみながらすごく上手く使いこなしてくれる方に出会えてうれしいです。住み方も働き方も多様になっている時代だから、状況変化に応じて居場所を自由にアレンジし続けるこれからの生活のありかたの好例になったと考えています。

工具がなくても組み立てられる
木製のモジュール

――箱型モジュールの配置はどのように決めたのですか? また、組み立ては難しくなかったですか?

Nさん 入居前に「何個必要ですか?」と聞かれたのですが、最初は検討もつかなくて、まずは販売時に室内にあったものをそのまま全部引き取りました。100個以上あったと思います。それを全部ばらして、実際に置きながら考えていきました。パズルのように組み立てていったら、上手く落ち着いた感じです。組み立てはすごく簡単。取り扱い説明書があって、それに従って手を動かしながら組み始めたら、思ったよりもスムーズに完成しました。使った道具はインパクトドライバーのみです。

宇都宮 箱型モジュールは4枚の無垢の杉材をボルトで留めて箱型に組み立てます。インパクトドライバーがあれば早いのですが、実は工具さえも必要なく、手やコインなどでも組み立てられるのです。子どもでも組み立てられるほど単純化し、専門知識がなくてもつくることができることを大切にしています。また、間仕切りや収納以外にも、テーブルや椅子などの家具をつくることもできます。また、分解するのも簡単だから、いつでも何回でも、暮らしに合わせて空間をつくることができるのです。

――玄関側を箱型モジュールでゾーニングして、寝室と納戸として使っていらっしゃいます。ここはどのように考えていったのですか?

Nさん 玄関側は販売時に現状のようなプランの提案があったので、それをそのまま採用しました。寝室側はパンチングメタルなどを貼り、玄関から見えないようにしようかと考えていましたが、暗くなってしまうので、なるべく光を取り入れつつ区切れるように、それぞれの棚にバスケットケースを入れて、ものを収納することにしました。寝室と玄関の間に並べているバスケットには、外出するときに持っていくものを、動線に合わせて入れています。洋服を着替えたらバッグを選んで、ハンカチ、財布、マスクと、順番にバスケットから取り出して、バッグに入れて忘れ物がないようにしています。

――納戸として使っているスペースは、大きめの収納ボックスなどが並んでいますね。

Nさん アウトドアが趣味で、キャンプや登山の道具などが大量にあるので、ポリプロピレン製の収納ボックスに、ジャンルごとに分けて収納しています。サーフボードなど大きなものもあるので、趣味の道具をしまう専用のスペースをつくることができてとても助かっています。

色塗ったり、高さを変えたり、
オリジナリティが活きる暮らし

――玄関側の箱型モジュールは濃いブラウンで、リビングの一部は素材の色のままですね。Nさんがご自身で塗装をされたのですか?

Nさん 無塗装のものとクリア塗装のものが半分ずつくらいあったのですが、入居前に一度すべて分解し、半分は水性のオイルステインで塗装しました。もともと持っていた家具が濃いブラウンのものが多かったので、それに合わせて塗料の色をセレクト。友達に手伝ってもらって全部自分たちで塗装しました。クリア塗装されているものも、近いうちに好みのカラーへ変更する予定で、今後も手を加えていきたいと思います。

宇都宮 箱型モジュールは無垢の木材で、着色したりビスを打ったり加工しやすいのもポイントです。例えばスチール製のオフィス家具等と比較すると、自分で塗装ができる木材のような素材は、塗りむらなども愛着になったり、傷がついても味わいになり、より自分のものという感覚が育めるのではないかと思います。愛着の先に、箱型モジュールを通じて家自体が家族のような存在になると、過剰消費的ではない生活の豊かさが生まれると考えています。

――リビングの壁側につくった棚も、高さに変化をつけたり、柱をよけてコーナーをつくったり、Nさんのオリジナリティが活かされていますね。

Nさん 高くなっている棚には、メイク道具の入ったバスケットを入れていて、使うときはバスケットごと持ち運んでいます。棚の高さを変えたのはたまたまなのですが、使いやすいからこの状態で定着していますね。

Nさん 柱のところは、テレビを置くことにしたので背面に配線を隠せるように、あえてスペースを設けています。賃貸に住んでいた頃から、更新のたびに引っ越しをしていて、壁にカッティングシートを貼ったり、カラーボックスを塗装したりして、自分で収納をつくるなど、プチDIYをしていた経験もあったので、箱型モジュールを組み替えているといろいろアイデアが出てきて楽しかったです。

――これから手を加えたいところはありますか?

Nさん 洋服のラックを一時的に通路に設置しているのですが、これをリビングに移動したいと思っています。躯体の梁にラックを固定できそうなので、梁から向こうの壁側をウォークインクローゼットにしたいと考えています。納戸として使っているスペースに、ダイニングテーブルを置いて、リビングをもっと広く使うのもいいなとか。イメージはいろいろありますね。現在は、リモートワークは週1回なので、それほど必要ではないですが、増えてきたらリモート会議用の空間を整えたいなど、新たな希望も出てくるかも。今後どうなるか先が見えない状況ですが、このスタイルなら柔軟に変更できるから今の時代にぴったりだと考えています。

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文:村田保子/撮影:古末拓也(3枚目のみ Hayato Kurobe)
取材・撮影:2022年1月
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