ペットも人もくつろげる。犬や猫と心地よく暮らす住まいづくりのヒント|住まいのヒント

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住まいのヒント

ペットも人もくつろげる。
犬や猫と心地よく暮らす住まいづくりのヒント

目 次
  1. 1ペットと快適に暮らすための5つのポイント
  2. 2ペットに寄り添ったリノベーション事例5選
  3. 3ペットと共に暮らすために、注意しておくべきこと
  4. 4毎日のくらしを豊かにする、ペットとの住まいづくり

犬や猫と過ごす時間は、日常に癒やしや喜びをもたらしてくれるものです。最近では、ペットと一緒に暮らしたいというニーズもますます高まっていて、ペットとの暮らしを念頭に置いたリノベーションの需要も増えてきました。この記事では、実際のリノベーション事例を通して、犬や猫と心地よく暮らすためのヒントを紹介していきます。

ペットと快適に暮らすための5つのポイント

犬や猫と快適に暮らすためには、単にペットのための空間をつくるだけでは不十分です。衛生面や安全面への配慮はもちろん、ペットの習性に寄り添った工夫も欠かせません。ここでは、人もペットも安心して暮らせる住まいをつくるためのポイントを、5つの視点から紹介します。

・自由に動ける動線設計でストレスを軽減

犬や猫にとって自由に動き回れない環境は、大きなストレスになります。だからこそ重要なのが、住まい全体の動線設計です。おすすめなのは行き止まりのない「回遊型」の動線を取り入れること。ペットが好きなときに好きな場所へ移動できることで、ストレスの軽減や運動不足の解消につながります。また、一般的に犬は猫よりも上下の動きが苦手なので、できるだけ段差や障害物を取り除き、移動しやすい環境を整えてあげましょう。こうしたペットのための動線が、飼い主の生活動線と自然に重なるように設計しておくと、日々のお世話も掃除もスムーズになります。

・清潔さと快適さが両立した住まいづくり

ペットと暮らすうえで欠かせないのが、衛生面への配慮です。まず大切なのは、トイレスペースをしっかりと確保すること。におい対策や掃除のしやすさに直結するため、生活空間からの距離や換気のしやすさなどを考慮して配置位置を検討しましょう。また、床や壁の素材選びも重要なポイントです。毛やひっかき傷が目立ちにくく、汚れてもサッと拭き取れる素材を選ぶことで、日々の掃除はぐっと楽になります。クッション性のある床材なら、ペットの足腰への負担も軽減できます。そして忘れてはならないのが、こまめな換気です。においがこもりにくくなるだけでなく、温度や湿度を適切に保つことは、ペットの健康維持にもつながります。

・ペットの習性に寄り添う空間のデザイン

動物には、それぞれ独自の行動習性があります。たとえば、猫は高い場所やせまい場所を好みます。キャットウォークや猫用の棚を設けてあげると、上下運動がしやすくなり、猫の本能を満たすことができるでしょう。また、柱にカバーを付けるなど、爪とぎのためのスペースを確保しておくことも効果的です。一方で、犬は広いスペースで走り回ったり、外の景色を眺めたりすることを好む傾向にあります。窓際のベンチや、くつろげるバルコニーなどがあると、日中ものびのびと過ごせるはずです。ペットの習性に寄り添い、ストレスなく過ごせる環境を整えることは、ペットと家族が良好な関係を築くための第一歩にもなります。

・安全性を確保するための工夫も大切

ペットの安全を確保することは、飼い主の大切な責任のひとつです。特に小型犬や猫の場合は、ちょっとした隙間から外に飛び出したり、落下したりしてしまうことも。窓やバルコニーなどには柵やフェンスを設置するようにしましょう。また、階段には滑り止めのマットなどを敷いておくと、上り下りの際の転倒を防げます。家具の角に緩衝材を取り付けておけば、万が一ぶつかったときにも安心です。さらに誤飲や感電といった事故を防ぐための工夫も欠かせません。ペットの届くところに小さなものを置かない、電気コードや充電ケーブルをかじられないようにカバーをつけるなど、日常的な配慮の積み重ねがペットの安全な暮らしを守ってくれます。

・屋外や半屋外でのびのび過ごせる環境を

外の空気にふれられる屋外や半屋外の空間があると、ペットはさらにのびのびと過ごせます。たとえば、バルコニーに人工芝を敷いて日向ぼっこができるようにしたり、広縁やウッドデッキをくつろぎの場所として整備したり。小型犬であれば、軽く走れるほどのスペースがあるだけでも満足度は大きく高まります。猫にとっても、風の動きや外の音を感じられる空間は、それだけでいい刺激となります。こうした空間を整える際には、室内との導線も意識してみましょう。室内と屋外がスムーズにつながっていれば、ペットの自由度も高まり、飼い主も安心して様子を見守れるはずです。また防水性のある床材やメンテナンス性の高い素材を取り入れておくと、手入れもしやすく、衛生的な環境を保ちやすくなります。

ペットに寄り添ったリノベーション事例5選

ペットと快適に暮らすための住まいづくりのポイントを理解したところで、ここからは実際のリノベーション事例をみていきましょう。犬や猫、そして人にとっても心地よい空間をつくるためにはどうすればいいのか。きっと参考になるヒントがみつかるはずです。

1:4匹の猫が自由に行き来する、ストレスフリーの回遊動線

4匹の猫とともに暮らせる広い家を求め、100㎡超のヴィンテージマンションへと住み替えたTさん。猫たちがのびのびと過ごせる環境を実現するために、行き止まりのない回遊型の間取りへと住まい全体をリノベーションしました。

猫のトイレは洗面台の下に収納。お手入れのとき以外は、扉で隠せるようになっています。猫たちは側面に設けた入り口から、自由に出入り。隠れた扉の中で落ち着いてトイレができる上に、においも外にもれにくい仕組みになっています。

住まいの真ん中にあるウォークインクローゼットには、廊下側と寝室側の2カ所に窓を設け、居室のような雰囲気に。猫たちもお気に入りの場所で、Tさんにとっても、猫と一緒にくつろげる居場所になっていると言います。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都渋谷区
居住者構成:シングル+猫4匹
専有面積:117.06㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1733

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2:キャットウォークから爪とぎ用の柱まで。猫の習性に寄り添う住まい

面積50㎡台のコンパクトな中古マンションへと住み替えたNさんご夫妻。2匹の猫が自由に行き来できる空間をつくるために、既存の1LDKの個室の壁を取り払い、ワンルームへとリノベーションしました。

Nさんご夫妻が設計当初から希望されていたのが、猫用の出入り口のあるドアとキャットウォークを設けること。「高いところを好む」という猫の習性に寄り添った住まいを実現するための工夫です。

インターフォンの位置が変更できないという理由で残すことにした柱は、麻紐を巻いて猫の爪とぎ用の飾り柱に。猫たちが気に入っていることはもちろん、内装のアクセントにもなるユニークなアイデアです。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都新宿区
居住者構成:夫婦+猫2匹
専有面積:57.33㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:2004年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1358

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3:2匹の猫の居場所をつくり、ガラスの建具で脱走も防止

40代のご夫婦と10歳の長女、猫2匹で暮らすYさん家族は、100㎡超のメゾネット物件をリノベーション。「テリトリー意識が強い」という猫たちのために、2階のワークスペースには、キャットステップ付きの猫用スペースをつくりました。

1階のLDKのディスプレイ棚の下にも、猫用トイレを置くためのスペースを確保。上下階にそれぞれ自分の居場所を持てるようになったことで、猫たちもケンカをすることがなくなったとのだとか。また猫のためのスペースには、いずれも換気扇を取り付けることで、においの問題も解決しました。

LDKのダイニングとリビングの間には、ガラスの建具を設置。視界を遮らないミニマルな空間をつくるための工夫でしたが、結果的に猫にストレスをかけずに行動を制限し、脱走を防ぐことにもつながっていると言います。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:千葉県千葉市
居住者構成:ご夫婦+子ども1人+猫2匹
専有面積:138.41㎡
間取り:3LDK
既存建物竣工年:2001年
リノベーション竣工年:2021年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/13796

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4:犬たちもベランダでのびのび。無垢の床材が印象的な2階建て

その佇まいに「一目惚れした」という築46年の中古戸建て物件をリノベーションしたMさんご夫妻。大谷石を積み上げた擁壁や立派に育った庭木が印象的な住まいに、2匹の愛犬とともに暮らしています。

リノベーションの最大のポイントは、リビングとダイニングキッチンを2階に配置した「上下逆転」のプランを採用していること。日当たりがよく、1日のほとんどの時間を過ごすという2階にはベランダも設けられ、犬たちもそこで横になってくつろいでいるそうです。

「本物の素材感が好き」というおふたりのこだわりで、床材にはナラの無垢材を採用。犬を飼っているため床が汚れることもあるそうですが、自分たちで手を入れられるのであまり気にならないとのこと。これからは室内だけではなく、庭にもこまめに手を入れながら、犬たちが走り回れる場所もつくってあげたいと語ります。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:神奈川県川崎市
居住者構成:ご夫婦+犬2匹
専有面積:93㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1969年
リノベーション竣工年:2014年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3475

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5:犬と家族がリラックスできる芝生のバルコニー

井の頭公園のほど近くに建つ、築45年の木造2階建ての戸建て住宅をリノベーションしたNさん。吹き抜けの玄関ホールや、ワンフロアまるごとのLDKを備えた広々とした住まいで、奥さまと娘さん、そして3匹の愛犬とともに暮らしています。

来客用のテーブルも置かれた1階の玄関ホールは、床材として6角形のタイルを採用。ユニークな雰囲気を生み出すとともに、夏はひんやりと冷たく、犬たちもよく気持ちよさそうに寝そべっていると言います。

そして家族の「オアシス」となっているのが、芝生の敷かれたバルコニーです。犬たちもこの芝生が大のお気に入り。Nさんたちも芝生に座ってハイキングのように食事をしたり、犬と一緒に寝転んだり、リラックスして過ごせる癒やしの空間になっています。

間取り図(before→after)

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<リノベーションデータ>
所在地:東京都武蔵野市
居住者構成:夫婦+子ども1人+犬3匹
専有面積:199.68㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1972年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/2947

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ペットと共に暮らすために、注意しておくべきこと

ペットと暮らす住まいをつくるためには、計画の段階から押さえておきたいポイントがいくつかあります。ここでは、ペットとの暮らしをより安心なものにするための注意点を、3つの視点から整理しました。

①物件がペット可かどうかを必ず確認
リノベーションの前に、まず必ず確認すべきなのが「そもそもペット可の物件なのかどうか」です。マンションの場合、管理規約でペットの飼育が禁止されているケースも少なくありません。体重制限や頭数制限、種類(犬のみ・猫のみなど)が細かく定められていることもあります。内覧時や契約前に、管理規約や使用細則をしっかり確認しておきましょう。

②ペットの行動範囲やゾーニングをシミュレーション
設計段階からペットの行動パターンを具体的に想定しておくことも大切です。自由に行き来していいのはどこからどこまでか。逆に入ってほしくないエリアはどこなのか。あらかじめゾーニングをシミュレーションしておくと安心です。トイレスペースや寝床、水飲み場などの配置も、使いやすさや衛生面をふまえて計画しておきましょう。ペットの目線にたって、「どこを通って、どこで過ごすのか」をリアルにイメージしておくことが、快適な住まいづくりの第一歩です。

③年齢や体調の変化に対応できる柔軟性を
ペットの年齢や健康状態によって、必要な環境は変わっていきます。元気なうちは簡単に乗り越えられていた段差や階段が、シニア期を迎える頃には負担になっていることも。段差を少なくする、滑りにくい床材を選ぶといった工夫をあらかじめ取り入れておくと、将来の変化にも安心して対応できます。また、体調が優れないときにケージや寝床を生活空間のそばに移せるよう、レイアウトに少し余裕を持たせておくことも効果的です。こうした柔軟な設計が、ペットと長く暮らしていくための土台になります。

毎日のくらしを豊かにする、ペットとの住まいづくり

ペットと暮らす住まいには、間取りや素材だけでなく、動線や安全性など、さまざまな工夫が求められます。自由に動き回れること。衛生的に過ごせること。動物としての習性や、将来の変化にも対応できること。そしてペットと人が「ともに心地よく暮らせること」が何よりも大切です。リノベーションなら、家族構成やペットの性格・習慣に合わせて、住まいをイチから見直すことができます。プロと一緒に計画を練りながら、“ペットと住まう空間”をかたちにしてみてください。

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