【2023年版】間取り変更で理想の暮らしへ
マンションリノベーションのポイントとこだわり事例
憧れの住まいづくりを実現する方法として、リノベーションで間取り変更するのも選択肢のひとつです。間取り変更はライフスタイルに合った空間を作れる反面、実際にどのような構成にするかなど、検討すべきポイントが多いのも特徴です。今回は実際の事例を参考にしながら、マンションリノベーションにおける間取り変更のポイントを見ていきましょう。
そもそもLDKとは? 間取り変更の基礎知識
間取りを表す言葉に、リビングのL、ダイニングのD、キッチンのKの頭文字を取った「LDK」があります。頭の数字は居室(寝室)数を表しており、例えば「1DK」ならば、1つの居室とダイニング・キッチンで構成された間取り、「2LDK」ならば2つの居室とリビング・ダイニング・キッチンで構成された間取りということを示しています。
<DKとLDKの違いとは>
よくある疑問にDKとLDKの違いが挙げられますが、これは大まかに言うと居間の有無の違いです。それぞれ居室数によって定義が異なり、不動産公正取引協議会連合会ではこのように規則されています。
基本的にはDKよりもLDKの方が広いという認識となりますが、居室数や各居室の面積によって総面積は異なりますので、注意して見てみましょう。
<ライフスタイルの多様化で広がる間取りの考え方>
日本における間取りの歴史についても振り返ってみましょう。戦後の日本では深刻な住宅不足から、短期間で大量の住宅を供給するため標準的な間取り設計が考えられました。はじめに食事をする空間と睡眠を取る空間を分ける必要性が唱えられ、今日における「DK(ダイニングキッチン)」のような住宅タイプが誕生します。
やがて公私の分離も重要視されてきたことで、家族団らんの場としてのリビング「L」と、個人の部屋を盛り込んだ「nLDK」という表記が生まれます。
効率的な住宅供給を目的としていたことや、人々の働き方や生活パターンが似通っていたことから、廊下を挟んで両サイドを細かく区分した田の字が主流となり、多くの住宅がこれまでそのスタイルを踏襲してきました。
しかし、近年における働き方や家族構成の変化、ライフスタイルの多様化に伴い、間取りも既存の「nLDK」に囚われない形へ変化しつつあります。自分らしいライフスタイルや趣味、こだわりを軸に住まいの形を変えていくことが、快適な暮らしへの第一歩に繋がるのです。
ケース別でみる間取り変更事例
①ウォークインクローゼットを作った間取り変更事例
住まいの収納は誰もが悩むものです。持ち物の量も違えば種類も違うため、ベストな形はライフスタイルの数だけあると言っても過言ではありません。
ウォークインクローゼットのある間取りを考える上で大切なポイントはふたつあります。
ひとつ目が、持ち物の量に合わせて収納スペースを確保することです。
持ち物の量が多かったり、同居家族数が多かったりする場合には、のびのびと使える広めのウォークインクローゼットがおすすめです。
それぞれの個室からリビングへ物を持ち出さないで済むよう、使う場所の近くには収納できるバックヤードのようなクローゼットを設置。家族だけが出入りする収納スペースは、「出しっぱなしでもOK」と肩肘張らず気ままに使えて、来客者が出入りするパブリックなスペースには物を持ち出さないよう空間を分けることで、メリハリのある暮らしが生まれます。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦+子ども1人
専有面積:96.71㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1982年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/6331
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ふたつ目のポイントは、生活動線を効率良く描けるように配置することです。
こちらの事例では55㎡という限られたスペースの中でも、見せる収納としまう収納に分けることで、LDKの開放感をキープする工夫がされています。ウォークインクローゼットにはLDKからも寝室からも出入りできるウォークスルータイプを採用しました。出入り口は目隠し壁のみで構成し、開放感を損なわないよう配慮しています。
beforeでは、キッチンとリビングダイニング、寝室が壁によって隔てられたオーソドックスな1LDKでしたが、リノベーションによって伸びやかなつくりへ。玄関には広々とした土間を設置し、見せる収納空間として活用しています。LDKと寝室は扉とウォークスルークローゼットで繋がっているため生活動線の渋滞も発生しません。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦
専有面積:55.35㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1980年
リノベーション竣工年:2016年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3084
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さらに、動線自体を短くしてしまうのもひとつのアイディアです。
家族が増えたりしたことで変化したライフスタイルに合わせて間取りを変更したいなんて時には、家事室とウォークインクローゼットを一体化させるという方法もあります。
家事室とウォークインクローゼットをまとめれば、畳んだ衣類をその場で収納することも可能に。アイロンがけができる作業台も設置すれば、衣類周りの家事動線を一箇所に集約できて時短にもなります。
2Fの納戸と洋室3つに分かれていたスペースを、家事室+ウォークインクローゼットへ変更。ルーフバルコニーとのアクセスも良く、屋外干しした洗濯物の持ち運びにも効率的です。
会社員として働かれる奥さまは、この作業台で日中は仕事をするなんてことも。家事をしながら仕事もできるハイブリッドなスペースを実現させています。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦+子ども2人
専有面積:196.41㎡
間取り:3LDK+スタジオ
既存建物竣工年:1989年
リノベーション竣工年:2020年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/668
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②ワークスペースを作る間取り変更事例
テレワークの浸透により、自宅にワークスペースを設ける人が増えています。間取りにワークスペースを盛り込む際に意識したいのが、家族とどのくらいの距離を保ちたいかというポイントです。
例えば家族と近い距離感で仕事をしたいのであれば、パブリックな空間にワークスペースを設ける方法があります。
シンクとダイニングテーブルが一体化して大きなキッチンカウンターとなっているこちらの事例。この場所が料理や食卓としてはもちろん、趣味の場として、ワークスペースとして、生活の中心的役割を果たす場となっています。
オールインワンキッチンは間取りとしても印象的です。プライベートなベッドルームをそれぞれ持ちながら、家族が集う場所をキッチンと定めたシンプルな構成です。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:Nさん+母
専有面積:70.10㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1995年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/747
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また、家族と近い距離感を保ちながらも、半個室のようにプライベート空間を確保するアイディアも。
ワークスペースにアンティークな室内窓を設けたこちらの事例。室内窓を開ければ家族と会話もできますし、作業に集中したいときには、内側のカーテンを閉めれば完全な個室のできあがりです。
2つの和室をまとめることでリビング空間として拡張させ、従来リビングダイニングだった空間をワークスペースへと変更しました。将来的には子ども部屋としても活用でき、ライフスタイルの変化にもフィットするつくりとなっています。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦+子ども1人
専有面積:67.20㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1982年
リノベーション竣工年:2015年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/3144
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個人のワークスペースとして集中できる場所がほしい方は、土間の一角を活用する方法も。
自宅でご夫婦ともに仕事をされる場合、それぞれの空間が必要になってきます。「働く」と「住む」の関係性をテーマに作り上げたこちらの事例は、オンライン会議などで声が重ならない距離感を保ちながらも、互いの気配が伝わる程度のゆるい繋がりを大切にされています。
一般的な3LDKの間取りから、斜めの壁が印象的な広々ワンルームへとリノベーションしました。ご主人のワークスペースは玄関正面に伸びるL字の土間の奥にレイアウト。壁を設置せず家具で目隠しすることで広々とした印象を保ちつつ、個人の作業スペースとして集中できる場所が持てる空間となります。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦
専有面積:62.29㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:1984年
リノベーション竣工年:2019年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/629
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③土間を作った間取り変更事例
土間とは、屋内でありながら土足で歩くように作られた空間を指します。住まいの内と外を繋ぐ中間領域としてさまざまな可能性を秘めた場所です。
コンパクトな玄関を拡張して、土間を多用途に使える空間へとリノベーションした事例がこちら。
段差や線を極力少なくシンプルなデザインにこだわることで、暮らしやすさと使い勝手を重視しました。大人だけではなく子どもも作業をしたり勉強したりできるように、土間をワークスペースとしても活用しています。
ごく一般的な面積だった玄関を拡張し、本来寝室だった空間と合わせて土間+フリースペースへ変更。フリースペースにはカーテンを設置して、シーンに応じた間仕切りもできるように。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦+子ども1人
専有面積:86.38㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1973年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1105
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自転車やバイク、キャンプなどアウトドアな趣味を持つ方にも、土間の活用はおすすめです。
自転車などを置くために、広めの土間を希望されていたこちらの事例。その場でメンテナンスもできるため、趣味にまつわるものをまとめて手入れし、そのまま収納できるというメリットもあります。
従来、玄関と洋室に分かれていた空間を一体化し、収納スペースを兼ねた土間へとリノベーションしています。土間と浴室を隔てる壁にはガラスブロックを埋め込むことで、お風呂場へ自然光が届けられます。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦
専有面積:84.53㎡
間取り:2LDK
既存建物竣工年:1985年
リノベーション竣工年:2017年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1156
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さらにワンルームを土間が囲むユニークな間取りの事例も。
植物が大好きなご夫婦の「新居はグリーンでいっぱいにしたい」という要望を形にした空間です。玄関から連続するコの字型の土間が、ぐるりとワンルームを取り囲んでいます。
土間の上に設置したハンガーパイプは、植物のハンギングにも部屋干しにもぴったりです。
当初、3LDKだった間取りを大胆にワンルームへと作り替えられています。リビングダイニングにコの字型で区切ったベッドルームがあるのみで、それをぐるりと取り囲むように土間が延びている構造となっています。
全体をゆるやかに繋いでオープンにすることで、生活スタイルの変化にも柔軟に対応できる間取りとなりました。
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<リノベーションデータ>
居住者構成:ご夫婦
専有面積:75.45㎡
間取り:ワンルーム
既存建物竣工年:2009年
リノベーション竣工年:2018年
お宅拝見記事:https://nokurashi.com/ownersvoice/1924——————
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マンションリノベーションで間取り変更するときのポイント
実例を通じて、マンションリノベーションにおける間取り変更の可能性を見てきました。理想の住まいづくりを実現するために、意識したいポイントはこの3つです。
・LDKの形で判断しなくて良い
間取り変更を前提にマンションを購入する際、それまでのLDKの形で物件を判断する必要はありません。
まずは希望する立地や最寄り駅までの距離、築年数、平米数など、後から変更できない要素に着眼し、絞り込んでいきましょう。
・暮らしの軸を作って間取りを考えてみる
間取りを考える際に大切なのが、暮らしの軸です。仕事や趣味、子育てなど、自身の暮らしの中心となっている時間や楽しみはどれでしょうか。暮らしの軸にまつわる空間や設備を膨らませ、それ以外の要素を抑えていくことで全体のバランスを取りましょう。
・住まいづくりのプロと相談する
専門家に相談しながら検討するのも手です。幅広い実績や、自身の考え方に似た実績を持つプロへ相談すると安心でしょう。
リビタのリノサポでは、専門コンサルタントが物件探しからリノベーションまでサポートします。「こんな暮らし方をしたい」や「この間取りは可能なのか」など、リノベーションに関する悩み事があれば、ぜひ一度ご相談ください。
今回は中古マンションリノベーションについて、3つのケースにおける間取り変更事例を見てきました。
働き方や家族構成、趣味など人の数だけライフスタイルがあります。これまでのnLDKに則ったスタイルに囚われず柔軟に設計できるのが、リノベーションの最大の魅力です。憧れの暮らしを実現するために、まずは理想の間取りを思い描いてみるところからはじめてみてはいかがでしょうか。