暮らしの快適性もあげる断熱効果を高めた住まいづくり プロに聞く、中古マンションの性能向上リノベーションとは?|住まいのヒント

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住まいのヒント

暮らしの快適性もあげる断熱効果を高めた住まいづくり
プロに聞く、中古マンションの性能向上リノベーションとは?

目 次
  1. 1中古マンションにも断熱性が求められる時代に
  2. 2断熱リノベーションのメリットとは?
  3. 3断熱リノベーションは、まだまだ発展途上にある

物価や光熱費の値上げのニュースが続くなか、住宅の断熱性に対する関心が高まっています。現在、国の方針として、2025年度までにすべての新築住宅に「省エネ基準」適合義務化、その先には中古ストックの省エネ性能の向上を目指すことが示されています。SDGsへの取り組みに対する観点もあって、今後は中古マンションにおいても性能向上リノベーションが一般的になっていくことが予想されます。
リビタでは、中古マンションのリノベーション時に高水準の断熱改修を実施し、その性能を目に見える形でお客様にお伝えするプロジェクトをスタートさせました。今回はそのプロジェクトに関わる武井あずささんと小西祐輔さんに、中古マンションの性能向上リノベーションについてお話を聞きました。

中古マンションにも断熱性が求められる時代に

――リビタが、中古マンションリノベーションで断熱性を上げる性能向上に取り組む理由を教えてください。

武井 リノベーションという手段が一般的になり、リノベーションによって、どのような住まいをつくるかが問われるフェーズになってきています。リビタでは、中古マンションの性能向上リノベーションが、お客様の住まいの価値と暮らしの質の両方を高めることにつながると考えて、これからより注力していきたいと取り組みを進めているところです。
また、これまで新築住宅や戸建てリノベーションでは、断熱性能向上への取り組みが進みつつありましたが、中古マンションの断熱性についてはほとんど着目されていませんでした。しかし、国による省エネ基準への適合義務化の方針や、リノベーション協議会による「R1住宅エコ」基準の策定などの動きもあり、今後は中古マンションにも性能向上がより求められていくと考えられます。

――現状として、中古マンションリノベーション市場での性能向上は、どの程度進んでいるのですか?

武井 国土交通省が出している2017年度の資料によると、住宅ストックのうち2016年度時点の省エネ基準を満たしているのは10%程度でした。1980年の基準策定からたびたび改定されていますが、住宅にはこれまで省エネ基準への適合義務がなかったため、中古マンションでは竣工時期はもちろんそれぞれの物件によって断熱性能が異なります。1980年以前に建てられたものは、基準自体がなかったため、断熱材がまったく使われていないということもあり、築年数の古いマンションの性能向上は、今後の課題になっていくことが予想されます。

――リノベーション協議会による「R1住宅エコ」基準は、区分所有マンションの専有部分に発行される新基準なのですね?

武井 その通りです。2022年年6月に策定されて、登録が開始されました。従来は、給排水管、電気、ガス、防水、下地などの重要なインフラ部分の品質基準に適合したリノベーション住宅を評価する「R1住宅」という基準がありました。それに省エネ指標を加えて「R1住宅エコ」基準が策定され、リノベーションをした中古マンションの性能についても「見える化」していこうという取り組みが進んでいます。

リノベーション協議会の「R1住宅エコ基準」 参照:リノベーション協議会

断熱リノベーションのメリットとは?

――断熱での性能向上リノベーションでは、どのようなメリットが期待できるのですか?

小西 簡単に言うと外気温の影響を受けにくくなるため、冬は温かく、夏は涼しいより快適な住まいになります。それに伴い、家の燃費が良くなるので、光熱費の削減にもつながります。また、窓や壁の結露が少なくなるため、カビの発生を抑え部屋を清潔に保ちます。住まいの中が寒いことは、血圧上昇や血行不良、ヒートショックなど健康リスクにもつながるとされており、それらを予防する意味でもさまざまな側面から健康へのメリットがあると考えられています。さらに、住まいの快適性という面では、防音効果も期待できます。

――中古マンションで断熱性を上げるには、どんな方法が用いられますか?

小西 マンションの専有部分において可能な断熱改修工事としては、壁や天井、床に断熱材を貼り付けるか吹付ける「内断熱」、既存の窓の内側に新たに窓を設置する「内窓設置」の二つの方法があります。玄関ドアの交換、窓のカバー工法、サッシのガラス交換などといった手法もありますが、これは共用部に該当することが多く、管理組合との協議が必要になります。

マンションの断熱工事の種類

――リビタで実際に断熱リノベーションに取り組んだ事例について教えてください。

武井 高水準の性能向上リノベーションを実施し、その効果を目に見える形でお客様へお伝えすることにも注力して取り組んだ事例をご紹介します。都内にある築47年(1975年竣工)のマンション内にある同タイプの2つの住戸を用いて、1つは、「内断熱+内窓設置」による断熱改修をした住戸、1つは改修していない住戸とし、エアコン稼働の有無で室内の温度変化の差を比較しました。時期は3月上旬です。

エアコンを稼働しない場合では、改修住戸が最大5.9℃差、未改修住戸は最大11.7℃差で、朝方の冷え込み時の差が顕著に出ました。

エアコンを稼働した場合では、エアコン設定温度(22℃)と室内の温度差で、改修住戸は最小1.5℃差、未改修住戸は最小4℃差と、とくに窓下部の温度維持に違いが見られました。

――このような数値による実績があると、性能向上リノベーションのメリットが目に見える形で伝わりますね。

武井 お客様が内見で室内に滞在する時間は、1時間程度です。その短時間で、時間帯や季節による断熱改修の効果の全てを体感することは難しいため、暮らし始めてからのメリットを目に見える形で伝えることに注力しました。性能の見える化は、海外ではすでに取り組みが進んでいて、ドイツでは新築・中古ともにすべての不動産情報に、年間のエネルギー消費量とCO2排出量などを示す証明証「エネルギーパス」の表示が義務付けられています。今回の物件でも、日本エネルギーパス協会による「エネルギーパス」によって、家の燃費を目に見える形で示しています。

断熱リノベーションは、まだまだ発展途上にある

――今回の物件では、「内断熱」「内窓設置」の断熱リノベーションをしたとのことですが、具体的にどのような工事をして、どれくらいの効果が期待できるか教えてください。

小西 「内断熱」は、厚さ30mm程度の薄くて高い断熱効果がある断熱材を、事前に外皮計算をした上で必要な箇所(床・壁・天井)へ貼り付けました。「内窓設置」は、すべての既存の窓に複層ガラスと樹脂製サッシによる高性能なインナーサッシを設置して、外気の影響を受けにくくしています。今回は、「R1住宅エコ」基準ツースターに該当するように事前に断熱計画を立てて実施したことにより、Ua値0.51 W/㎡kという数値を達成しました。(未改修時:1.34W/㎡k)
Ua値だけを見ても断熱性能が格段に上がっていることがいえます。また騒音の測定も行いましたが、窓とインナーサッシを施錠している時は一般的に表現される“図書館なみの静けさ(38dM)”となりました。

――中古マンションリノベーションでは、この事例のような断熱改修をすれば、他の物件でも同様の効果を得られるのでしょうか?

小西 中古マンションリノベーションでの断熱改修は、物件ごとに条件が異なるので、何を使うのか、どう施工するのかを個別に検討する必要があり、これが断熱リノベーションの難しいところでもあります。断熱材を厚くしてしまうと室内の面積が狭くなるというデメリットもあるため、断熱材を厚くすることが良いというわけでもありません。既存物件の状態を検証して、目指す住まいの性能に必要な断熱材や内窓を選ぶことが大切になってきます。

――中古マンションの断熱リノベーションについて、リビタでは、今後どのように進めていくことになるのでしょうか。

武井 今後も住まいの快適性という面から注力していく必要があると考えています。目指すべき性能やお客様への伝え方などはまだ模索しているところです。
リビタでは、サステイナブルで豊かな未来づくりを実践していくために、私たちが考える一歩先の当たり前を「くらしのスタンダード‐ReBITA Sustainability Standard-」としてまとめていて、提供する住まいへの価値づくりの基準として定めています。断熱リノベーションは、その中の「Energy Management」「Lifecycle cost」を具現化したものでもあります。将来的にはリビタの断熱リノベーション物件の検討や購入がきっかけとなって、お客さまにも環境問題などに対する興味をもっていただけるようになれば嬉しいです。

※省エネ基準適合住宅は、住宅ローン減税の借り入れ限度額上乗せ措置の対象となります(2023年6月現在)。
詳細は国土交通省のホームページなどでご確認ください。
https://www.mlit.go.jp/common/001490627.pdf

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