【池上エリア】風情に身をゆだねる、静かなまち 週末ローカルリトリートなくらし|まちとのつながり

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まちとのつながり

【池上エリア】
風情に身をゆだねる、静かなまち
週末ローカルリトリートなくらし

目 次
  1. 1静けさに会いに
  2. 2静寂と時間が降り積もる、池上本門寺へ
  3. 3胃袋にもご褒美を
  4. 4日常のリズムをつくってくれる、草花
  5. 5街の銭湯で整う夕方
  6. 6夕景を見ながらウォーキング
  7. 7このまちのくらし
  8. 8リビタおすすめ物件

池上エリアに住んでみる?
東京・蒲田の隣にありながら、どこか時間の流れがゆるやかで、静けさが日常に溶け込むまち、池上。
門前町としての歴史と地元に根ざした商店街が、訪れる人を優しく迎えてくれる。
凛とした風情と、のびやかな空気感が魅力の池上エリア。都市の喧騒から少し離れて、自分らしく暮らす人々が惹かれる、その理由を探しに行きました。

「このまちのくらしを、探そう」
そんな思いで歩いてみたら、見える景色も少し変わってくるかもしれません。
のくらしが、実際に池上エリアを歩いて見つけた「このまちのくらし」をご紹介します。

静けさに会いに

東急電鉄池上線・池上駅まで、新宿から電車で約40分。
改札を出ると、2021年に開業した駅直結型商業施設「etomo池上」が。カフェやスーパー、池上図書館、薬局にヨガスタジオまでが入り、日常にうれしい利便性が揃う。

駅を出て、商店街を抜けて少し歩くと、今日の最初の目的地「in the LIBRARY」がある。
店主は現役の編集者。およそ1000冊の本が収められたこのカフェは、まるで親しい友人の書斎にふらりと立ち寄ったような親密さがある。コーヒーの香り、棚に並ぶ本の背表紙、窓の向こうのやわらかな光。ここには、時間を急がせるものが何ひとつない。

1杯ずつ丁寧に淹れられるコーヒーを味わいながら、読みかけだったエッセイを数ページ。
街歩きの1日を始める前に、静かな余白をひとつ置くような、そんな時間。
「in the LIBRARYに置いている本は、店内で閲覧するのはもちろんのこと、貸し出しもOKです。もちろん、お好きな本を持ち込んで読書していただくのも大歓迎。本を媒介にして、人とつながり、街とつながりたいと考えています」と店主。

◉in the LIBRARY
東京都大田区池上3-32-20 #102

静寂と時間が降り積もる、池上本門寺へ

カフェを出て、本門寺通りへ。緩やかな上り道の両脇には昔ながらの和菓子屋や花屋がぽつぽつと並び、週末の昼下がりをのんびり歩くにはちょうどいい。
池上本門寺の石段に差しかかると、自然と背筋が伸びる。
96段の石段を1歩ずつのぼる間、足音以外は鳥の声と風の音。街の喧騒がすっと遠のいて、代わりに静かな気配が満ちてくる。

上までのぼりきると、そこには堂々とした大堂や五重塔。どこか京都の寺社にも似た、時間の奥行きを感じさせる風景が広がっていた。

この場所には、祈りの文化と人々の営みが折り重なった「時間」がある。
春には桜、秋には紅葉。季節ごとの表情を見せながら、ずっと変わらずここにあるという安心感が、この寺にはある。
境内の奥にはちょっとした展望スペースがあり、晴れていれば遠く多摩川の方まで見渡せる。高台に立ち、吹き抜ける風に目を細めながら、ただ風景を眺める。
この “何もしない時間” こそが、リトリートの醍醐味なのだと思う。

胃袋にもご褒美を

本門寺から石段を下り、住宅街の静かな通りを歩いて5分ほど。
その一角に、知る人ぞ知るとんかつの名店「燕楽(えんらく)」がある。

飾り気のない外観に、暖簾をくぐる人たちの足取りがなんとも穏やか。地元の常連らしき方と、遠方から足を運んできた様子のご夫婦。年齢も雰囲気もさまざまだが、みんなここでは少しだけうれしそうな顔をしているのがいい。

注文したのは、ひれかつ定食。
さくさくの衣にナイフを入れると、ふわっと湯気が立ち上る。
しっとりジューシーな肉と、丁寧に炊かれたごはん。
どこまでも真っ当で、まっすぐな味が体に沁みる。
「とんかつって、心も身体も満たされる料理だったんだ」と思う。
休日の昼に、ちゃんとお腹を満たしてくれる食事があるということは、意外と大切なことなのかもしれない。

◉とんかつ燕楽
東京都大田区池上6-1−4

池上で和菓子といえば、やっぱり葛餅。道すがら立ち寄ったのは、昭和の風情を残す佇まいの「藤乃屋」さん。店先には、手づくりの和菓子が静かに並ぶ。
選んだのは、2人前入りの葛餅。紙包みには藤色の模様があしらわれ、なんとも上品。手に取っただけで、気持ちがすっと落ち着くような美しさがある。

食べやすいように切り分けておきますね、と言いながら「なるべく冷蔵庫には入れないでくださいね。固くなってしまうので」と、店主さん。冷たい葛餅が食べたいときは、10分だけ冷やすといい、と丁寧に教えてくれた。
和菓子って、味はもちろん、包みや所作、やりとりのすべてに風情が宿るものなんだと実感。家に持ち帰ったら、丁寧にお茶を淹れて、いただこう。

◉藤乃屋
東京都大田区池上4-25-7

日常のリズムをつくってくれる、草花

駅前通り商店街の一角に、ちょっと不思議な引力をもった花屋がある。
名前は「フラワーショップニコ」。店外にはもさもさと生い茂る草花。「こんにちは」と入っていくと、店内には数本のギターが飾られているのにびっくり。
「ギターは趣味なんです。ここに飾っておくと、湿度が高くて心配されるんですけど、意外といいんです」と話すのは、店主の吉澤さん。

「面白いものを、買いやすい価格で提供したいんです。花束やブーケよりも、切花を1本だけ、のように家に飾りやすい提案をすることで、お客さんが何度も足を運んでくれるようになりました」
選んだのは、吉澤さんおすすめのスモークツリーを1本。
水に挿すだけで、部屋の空気が少し変わって、日常が潤う気がする。
また吉澤さんと話しをしに行きたいな、そんな花屋がある街って、やっぱりいいなと思う。

◉フラワーショップニコ
東京都大田区池上3-30-9

街の銭湯で整う夕方

夕暮れどき、池上から少し足をのばして「はすぬま温泉」へ。
開店を待って、近隣の常連さんがゆっくりと暖簾をくぐる。ここで週の区切りをつけるのを習慣にするなんて、最高かも。今日という1日を、大きく深呼吸して締めくくりながら考える。

◉はすぬま温泉
東京都大田区西蒲田6-16-11

夕景を見ながらウォーキング

すっかり日も落ちて、まちが夜にゆるやかに溶けていく頃。
向かったのは、多摩川の河川敷。人影もまばらなこの時間帯は、とくに好きな風景に出会える。
目の前に広がる、淡いグラデーションの空。オレンジから青へと移ろう夕焼けが、水面に静かに映り込む。

20分ほど歩いて駅前まで戻ると、そろそろ夕飯どき。
疲れた身体に欲していたのは、餃子とビール。吸い込まれるように「ほあんよん」へ。

羽付餃子をいただきながら、今日いちにち、出会った風景や人の声が、頭の中でふんわりと混ざり合っていく。「いい休日だったな」と思える瞬間って、決して特別なことが起こるわけじゃない。ただ、日常のすぐ隣にこんな静けさがあると気づけただけで、満たされていくのだと思う。
明日からまた、仕事のペースに戻る。けれどその手前で、ちいさな旅ができたことが嬉しい。

◉酒場ほあんよん
東京都大田区池上6-2-29

このまちのくらし
<休日・理想のスケジュール>

朝:起きたらベランダに出て、近くの緑を眺めながらゆっくりと深呼吸。読書の続きをするべく、「in the LIBRARY」へ 美味しいコーヒーを飲みに。

昼前:老舗のとんかつ店「燕楽」で、早めのランチ。サクサクの衣に、しっとりやわらかなお肉。ていねいに仕込まれた味に、思わず背筋が伸びる。

午後:食後は本門寺の石段をのぼり、境内をゆっくりと歩く。静けさと歴史が入り混じる空気に包まれて、心がすーっと落ち着いていく。門前通りで和菓子を買ったら、お気に入りの花屋で季節の1輪を選んで帰る。

夕方:銭湯「はすぬま温泉」で、湯につかりながら今日1日の余韻をじっくりと味わう。ふと顔を上げれば、天井のヒノキに陽が差して、まるで旅先のような気分。

夜:帰る前にもう少し、歩きたくて。多摩川まで足をのばすと、夕焼けが川面を照らしている。川の流れに耳をすませながら、静かな時間をひとりじめ。

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writing&interview_山下あい photograph_ 榊原優生 イラスト制作:モトムラアヤコ
取材・撮影:2025年5月
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