【雑色エリア】
広がる味わいのまち
小さなしあわせ2倍のくらし
雑色エリアに住んでみる?
どんなに仲が良くても一から百まで同じではないから、2人暮らしの街選びは難しくて、楽しい。育ってきた環境も好き嫌いも違う2人が一緒にいるからこそ、喜びが2倍になる。そんな街がいい。空も陸もアクセスが良く、さまざまな表情を持つ雑色。住むほどに味わい広がるこの街で、2人の暮らしを描いてみよう。
「このまちのくらしを、探そう。」
そんな思いで歩いてみたら、見える景色も少し変わってくるかもしれません。
青空スタート
京急蒲田駅と京急川崎駅の間に位置し、品川や羽田へのアクセス抜群の雑色エリア。
まずは多摩川六郷橋緑地沿い、六郷土手へ。
なかなか珍しい開放感いっぱいの打ちっぱなしエリア。
始めるきっかけのなかったゴルフも、こんな場所なら気軽にチャレンジできそう。
線路の真下を、身体を屈めて通る。ここまで電車に近づくなんて、ちょっと他では味わえない。
心なしか、空が近く感じられる。
ノスタルジー漂う六郷土手駅周辺。さあ、京急本線で一駅、雑色駅へ。
食べて、歩いて、ほっとして
駅を出てすぐ、「ZOSHIKIアーケード街」のゾウのキャラクターがお出迎え。道幅はコンパクトながら、距離はたっぷり長い雑色商店街。
チェーン店が充実している一方、昔ながらの店舗も活気いっぱい。地元の生活を支え、愛されていることがよくわかる。
『肉のミゾグチ』の店頭にて、お惣菜を前につい足が止まる。
唐揚げ、メンチカツなど定番はもちろん、ここでしか味わえない名物・たこキャベツカツは必食。
お値段も大きさも、さくっとトライできるちょうど良さがうれしい。
年季の入った店構えから焼き鳥のいい匂い。これは素通りできない。
「缶ビールを買ってきて、ここで一杯やりながら食べる人もいますよ」
焼きあがるのを待ちながら、気さくな店員さんとしばしおしゃべり。
塩の効いた肉厚のタンに舌鼓を打っていると「タレも自家製でおいしいですよ」との声。
香ばしい匂いとツヤツヤの焼き色に、辛抱たまらず鶏皮をタレで追加注文。コクがあって、甘ったるくないタレは、塩派さえも魅了する大人の味だった。
空も線路もどこまでも、どこへでも行けるような景色が広がる。実際に交通の便も良いので、出張が多い人にはかなり暮らしやすいはず。
懐かしいスタイルのおでん屋さんで、出汁の香りとお母さんの優しい雰囲気にホッとする。
ムチムチの練り物に蝶ネクタイみたいな昆布、もち巾着など、思いのまま頼んでも500円ほど。これはもう、通ってしまいそう。
世界から、この街へ
時代の流れで閉店する店舗がある一方、新しいお店もどんどんできている。
今年5月にオープンした、フランス仕込みの焼き菓子と自家焙煎のコーヒーが楽しめる『Cafe Pippis』も、もとはスナックだった物件を改装したそう。
長くフランスで過ごした店長、並々ならぬこだわりでこの地を選んだのかと思いきや、
「特に思い入れはなく、妻と歩いていてたまたま見つけて。この窓の形がいいな、って」
と軽やかな答え。
メイクアドバイザーでもある奥様の知人から、雑色は便利だという噂は耳にしていたそう。
「実際、立地が良く暮らしやすいです。買い物には困らないし、保育園も多く、子育てしやすい。新しい世代がチャレンジしやすい雰囲気で、若い人も増えましたね。私たちも皆さんに良くしていただいています」
丁寧に作られたお菓子でリフレッシュしたあとは、気になる倉庫へ。
ここはヨーロッパで買い付けたヴィンテージ家具を扱うwebショップの倉庫。
インテリアに無頓着な人でも、二人暮らしとなると長く使える家具がほしくなったりするもの。
営業時間内は予約なしで見学・購入が可能だから、節目節目にチェックして、運命の出会いを待とう。
パーツは意外とリーズナブル。いきなり大きな家具はハードルが高くても、ちょっとしたリメイクならチャレンジできるかも。
◉Cafe Pippis
東京都大田区仲六郷2-18-15
◉camori
東京都大田区東六郷1−12−3
君と、ととのう毎日
タイヤ怪獣のお膝下・タイヤ公園で、童心に帰って身体を動かす。砂場に並んだタイヤの上を歩くだけでも、体幹が鍛えられそう。
「青い電車が通ったら帰ろう」
なんて、線路沿いでは、電車が時計がわり。
一汗かいたあとは、銭湯を目指して夕暮れどきの商店街を歩く。
今日はどこにしようか。徒歩圏内にいくつもの銭湯がある贅沢さを噛みしめる。
どこも特色があるけれど、『COCOFUROたかの湯』の、爆音で音楽が流れるミュージックロウリュは、曲のセレクト含めてかなり個性的。
音楽は日替わりで、自分では聴かないジャンルに触れられるのもいい。サウナの熱波に包まれながら楽曲と向き合うと、メロディや歌詞がさらに染みてくる。
飽きっぽい人でも「この曲が終わるまで……」と思えば、いつもより暑さに耐えられるかも。
一緒に「好き」が増えていく
銭湯帰り、『Cafe Pippis』の店長に「おいしいですよ」と教わったフレンチレストランのドアを叩く。
スペシャリテのローストビーフサラダを2人でシェア。お肉もマッシュルームも大盤振る舞い。
桃の瑞々しい甘みと生ハムの塩気、ゴルゴンゾーラの個性が想像以上のマリアージュ。出会わなければ知り得なかったおいしさに感動する。
野菜は三浦の契約農家から仕入れ、豚タンのパストラミや鱈子はすべてシェフが仕込んだ自家製。こだわりの食材と丁寧な仕事が一つになって、どの料理もスペシャルな味わい。
お店は2022年にオープン。なぜ雑色でお店を開いたのか聞いてみた。
「子育てしながら飲食店ができる物件を23区内で探していて、条件にヒットしたのがここだったんです。土地勘もツテもなかったのですが、誰かしらフレンチを食べたい人はいるだろう、って」
サービス担当の奥様が朗らかに笑う。
この日も、常連さんが絶え間なく訪れては、ワイングラスを傾けていた。家の近所にこんなクオリティの高いお店があったら、足繁く通うこと間違いなし。
商店街のメンチカツも、フレンチの和牛メンチも。
振り幅が大きいこの街で、好みが広がっていく感覚が楽しい。
誰かと一緒にいるから、今まで選ばなかった色にも出会う。好きな色が増えていく。
いつの間にか、しあわせが2倍になる。
そんな暮らしが、雑色にはきっとある。
◉BRASSERIE25
東京大田区西六郷2-37-5
このまちのくらし <休日・理想のスケジュール>
朝:日曜の定番は第五相模湯。朝風呂の悦びにも目覚めた今日この頃。
昼:商店街のお惣菜をテイクアウト。『竹沢商店』の牛豚もつ煮込みをビニール袋に詰めてもらうと、出張で訪れた東南アジアの夜市や屋台を思い出す。
夕方:休日出勤のパートナーと駅前で待ち合わせ。カフェでおしゃべりしたり、サウナで汗を流したり、気の向くままに。
夜:行きつけのレストランをのぞいたら、カウンターがちょうど空いたところ。新しいメニューに挑戦して、新たな味に出会うのが楽しい。
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