出汁とスパイスの絶妙な組み合わせ
カツオのスパイスカレー
本記事は、BUKATSUDO “つきいちカレー部!”の講師もつとめるスパイス料理の伝道師 メタ・バラッツさんが教える、絶品スパイスカレーのレシピコラムです。読んで楽しむだけでなく、自分で作って味わえる、おいしいコラム。
風通しの良いコットンでできたシャツとサングラス。心地よい日差しの下で冷えたライオンビールをグラスに注ぎ、カレーリーフとスパイスが効いたチキンにライムを少し絞ったものをつまみにビールを飲む。
心地よい気候と丁寧で優しい接客がさらに私を酔わせてくれる。
スリランカに行ってから、バカンスならインドよりスリランカの方が良いよ。と周りに言うようになった。
それほどスリランカは魅力的なのである。
インドの南にある島、スリランカはスパイスの使い方も独特である。有名なのがスパイスやハーブをそれぞれローストしてから混ぜ合わせパウダーにして作る「ローステッド・カレーパウダー」である。熱を加えることにより香りがたち、深みのあるカレーパウダーが出来上がる。スリランカでは各家庭や店などである程度の量を作り、貯蔵しておくそうである。
スリランカに親近感が湧くのは、島国だけではなく、その調味料にもあると思う。海沿いの魚市場に行ってみると様々な魚と並んで売っているのは干した魚たち「煮干し」である。そして山積みにされたモルディブフィッシュと言われているスリランカのカツオぶしがある。それらを使って様々な料理を作っていくのでスリランカも日本も世界では珍しい「出汁」をとる料理文化があるのである。
スリランカの食文化と私が体験した素敵なスリランカ時間を掛け合わせて作ったのが今回のレシピである。
スパイス×出汁×爽やかさ
ぜひ作ってみてください。
鰹のスパイスカレー
[材料]
・鰹(一口大)…400g
・玉ねぎ(スライス)…1つ
・おろしニンニク、生姜…各小さじ1
・青唐辛子(小口切り)…1本
・トマト(ざく切り)…1個
・鰹だし…200ml
・タマリンド水…100ml
・ココナッツミルク…100ml
・塩…小さじ1.5
・ライムジュース…大さじ1
マリネ用スパイス(B)
・ターメリック…小さじ1
・レッドペッパー…小さじ1/2
ホールスパイス(C)
・マスタードシード…小さじ1/2
・カレーリーフ…15枚
ローストスパイス(A)
・コリアンダーシード…小さじ2
・カルダモン…2粒
・ブラックペッパー…小さじ1
・フェネグリリーク…小さじ1
※タマリンド水は梅干し2個で代用可能。その場合、タマリンド水100mlを水100mlに置き換えてください。
※青唐辛子はシシトウ2本で代用可能。辛さは減ります。
※ローストしたスパイスをミルサーなどで挽きます。粉状にすれば良いのですり鉢などでもできます。
※スパイス(C)のカレーリーフは各自ご用意ください。手に入らなくても作ることは可能です。
[作り方]
1.ローストスパイスの材料を乾煎りして香りがたってきたら軽く冷ましブレンダー等でパウダーにする。
2.鰹をマリネ用スパイス、塩少々、ライムジュース(半量)でマリネしておく。
3.温めたフライパンに油を加えホールスパイスを炒める、香りがたってきたら玉ねぎ、青唐辛子、カレーリーフを加え玉ねぎが透明になるまで炒める。
4.ニンニク、生姜を加え香りがたってきたら1.のローストスパイスと塩を加える。
5.トマトを加えざっと炒めたら少しずつ鰹だし、タマリンド水を加えて行く。
6.ココナッツミルクを加え一煮立ちさせたら2.でマリネしておいた鰹を加え煮込む。
7.仕上げにライムジュースを加える。
1984年、鎌倉生まれ。南インド・ニルギリの高校GSIS(Good Shephered Int’l School)を卒業し、スイス・ジュネーブのCollege du Lemanにてケンブリッジ大学のA Levelを獲得。その後、スペインに留学して経営学と料理を学び、帰国。アナン㈱にて新商品開発やネーミング・新規事業の改革等に携わりながら、北インド・グジャラート出身である父アナン・メタの元で、アーユルヴェーダを基にした料理を実践している。旬の野菜をテーマにしたカフェ「移動チャイ屋」を立ち上げ、出張料理を精力的に展開中。また、2011年震災後より宮城県女川町に仲間たちと炊き出しに赴いたのをきっかけに現地の雇用、観光資源創出に向け「女川カレーProject」を仲間と共に始める。スパイスのオンラインストア「インターネットオブスパイス」を運営。