<後編>『doredo OPEN Meeting vol.2』イベントレポート|住まいのヒント

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住まいのヒント

<後編>『doredo OPEN Meeting vol.2』イベントレポート

目 次
  1. 1お金を払うという行為が変化してきた
  2. 2doredoコミュニティが日本の住まいを変える?!
  3. 3これからの住まいのビジョン

リモートワーク・副業・多拠点居住など、働き方・暮らし方の多様化が進み、住まいの在り方にも変化が求められています。今後、パーソナライズされた住まいへの要望が増えていくと予測されるなかで、不動産業界・建築業界の現在地はどこにあり、これからの住まいにはどんな希望があるのか? 2回目の『doredo OPEN Meeting』は、自分らしい住まい方のデザインとこれからの住まいのビジョンをテーマにディスカッションをしました。 ここでは、2021年5月20日に4人のゲストを迎えたトークイベントの模様を前後編でレポートします。

>>><前編>『doredo OPEN Meeting vol.2』イベントレポートはこちら

ゲスト
・Japan. asset management株式会社 代表取締役 内山博文さん
・株式会社まめくらし 代表取締役 青木純さん
・VUILD株式会社 黒部駿人さん
・株式会社リビタ 宇都宮惇さん

モデレーター
及川静香さん

お金を払うという行為が変化してきた

モデレーター及川静香(以下モデレーター):青豆ハウスは賃貸住宅ですが、住人が実家のように感じていたり、自ら青豆ハウスの暮らしを発信したりしています。青豆ハウスには、住人に主体性が生まれるような仕組みがあるのでしょうか?

青木純(以下青木):新築だと既製品観が強いですが、新築でも作っている段階から住人を募集していいわけです。分譲マンションではパースやモデルルームを作って、竣工前に販売していますよね。あれが良いかどうかは別として、賃貸住宅でも募集の段階から住人と一緒に場所作りをしてもいい。青豆ハウスは募集段階から自分たちで住人を集めて、最後に壁をカスタマイズするという一手間をかけることで、受け身ではなく当事者になってもらう仕掛けがありました。

内山博文(以下内山):分譲マンションのように、チラシやモデルルームを作って見せるというのは分かりやすさの面では良いけれど、消費者を作ることしかできません。僕はコーポラティブハウスをやってきたのだけれど、一番の課題はプレゼンテーションだけで5000万円の買い物にハンコを押してもらうこと。それが出来ないとコーポラティブハウスプロジェクトは成立しないから、一つのプロジェクトで数百人を前に何度もプレゼンをして、申し込みに来る人とはまた3時間話す……といったことを繰り返す。そこに共感が生まれるんです。
分譲も賃貸も、不動産プレイヤーはまだまだモノを売るという感覚でしか営業できていない人が多いと思います。

宇都宮惇(以下宇都宮):住宅は画一的な「住むための装置」ではなく、人それぞれの暮らしが生まれる場に変容しつつあります。でも、不動産業界のプレイヤーの意識として、完成されたモノを売ることから生活者が自分らしい暮らし方ができるように住まいを提案するという発想にシフトしないと、供給者と消費者の関係性から変わっていかないと思います。

青木:僕も業界にいた人として考えると、売る側・貸す側が良い暮らしをしていないところにも問題があると思います。だから、話していてもリアリティがない。日本のホームステージングは全くリアリティが無くて、実際の暮らしで使うの?! というモノが多い。でも、消費者はそれに憧れたりしますよね。両者の問題でもあるし、業界が消費者を教育してしまったということかもしれません。

宇都宮:供給側が、当事者として自分にとって良い暮らしを実践していないということはありますよね。自分事で考えていない提案はリアリティがかけますし、前時代的なものとして取り残されていきますね。

青木:最近おもしろいと思うのは、無印良品が家具の月額定額サービスを始めたことです。こういう発想が出てきたというのが、状況が少しずつ変わりつつあることだと思うんです。

内山:無印良品のリノベーションはすごくて、『MUJI INFILL 0』は無印良品の共感力もありお客様が待っている状態のようです。少し前だと、スケルトンから無印の家具を入れていくのは早いのではないかと思ったのですが、今や環境保全やスケルトンがキーワードになっています。様々な価値観を持っている人がいろんな尺度で集まってきている現象を見ると、住宅は単に購入する商品ではないということに生活者が気づきはじめたのだと思います。

黒部駿人(以下黒部):VUILDはEMARFというShopBot専用のプラグインを作っていて、EMARFを使えば誰でも家具のデザインや部品加工がWEB上で簡単に注文することができます。EMARFでデザインして木材の素材や厚みを設定すれば見積もりが出てくるようになっていて、その金額で問題がなければ発注依頼をし、自宅に部材が届き、自宅で組み立てて完成という流れです。

EMARFとShopBotのワークショップをやっているのですが、たとえば学者の方が参加して作ったモノは全部の脚のかたちが違うスタンディングデスクです。学者的には、足の骨の形は全部違うから、家具の脚も1本1本違う形がいいと言うんです。いわゆる建築の教育を受けていると、こういう発想のモノはなかなか作らないのですが、素人の方ほど常識を超えて理想の形を作りたいという思いが現れてくる。本当に自分の理想の形やライフスタイル・ワークスタイルを想像しながら作っているんです。

内山:VUILDさんのワークショップの一つの価値として、プロのデザイナーと対話しながらオンリーワンのモノを作れるということがあると思います。そうなると、もはや金額ではないという気がします。

青木:消費はモノに対してお金を払う行為だけれど、VUILDの事例を見ると時間や体験にお金を払っていますよね。いま、お金を払うことにもっと真剣になっていると思います。お金を払うイコール自分の生き方だったり、お金の先にいる人を応援するといった小さな投資という視点で考えはじめています。そういう思考を持った人が増えてくるのは、すごく良いことだと思います。
たとえば、使う側からしたら扱いづらい古材をあえて流通に乗せて商売をする人がいます。古材は誰かにとってゴミでも、価値を感じる人の元に届けて循環させる状況が生まれてきている。住宅の民主化には、いろんなアプローチがあると思っています。

内山:『ADDress』『HafH』など定額料金を払えば住み放題というサービスが出てきて、これはまさに住まいの自由を勝ち取るための一つの仕組みだと思います。原状回復や更新料・手数料に縛られて簡単に引っ越しできずに自由を奪っている現状の中で、彼らによって住まいが民主化・自由化した感覚がある。サブスクリプションという言葉が不動産業界に入ってくるなんて、10年前には思いもしなかったわけです。でも、実は日本の空き家状況や背景からいうと、そういうサービスは起こそうと思えば起こせる時代になっています。

僕は不動産業界にいるから、あえて残念ながらという言い方をしますが、この2つのサービスは不動産業界・建築業界ではない人たちが経営者なんです。新しい生き方・働き方の価値観を持っている人がITを駆使して、金融を活用してうまく仕組み化したものが、現代の価値観にハマった。本来は、不動産業界から起きなくてはならないものが全く違う視点・業界から生まれてきたという点で、僕たちももっと頑張らないといけないと思っています。

doredoコミュニティが日本の住まいを変える?!

――――
不確実性の高い社会の到来でライフスタイルの変化予測が立てづらいなか、住宅産業も個人的ニーズに応えようという思いから、リビタとVUILD株式会社の協働で生まれたプロダクトが『doredo』。組み立て式のdoredoを使えば、生活者の必要なタイミングで職人の手を借りることなく間取り変更ができ、住まいを変えても持っていくことが可能です。
https://note.com/doredo_note

モデレーター:視聴者から質問がきています。『青木さんに質問です。doredoを使って賃貸住宅を新たに企画するとしたらどんなことを妄想しますか?』

青木:間仕切り壁を作ることをやめますね。固定の壁を外した空間をスタンダードにして、doredoで住人のやりたいように住まいを作っていくようにすると思います。
doredoというプロダクトを見て、「壁を造作でつくらなくても素敵な空間ができる」という発想が出てきたのが面白いと思いました。今後は、使い続けることもできる一方で、誰かが作ったモノを誰かが受け継ぐといったサステイナブルなツールが必要になると思います。

内山:doredoをトレードできる仕組みを作ったらどうですか? doredoを使う人たちのコミュニティを作って、要らなくなったら次の担い手に繋げられるようにする。そうすると、消費ではなく価値の交換が生まれるようになってdoredoというプロダクトの意味がさらに出てくると思います。

宇都宮:doredoの開発段階でイメージをしていたのは、レゴブロックです。レゴブロックは、標準パーツに加えてオプションパーツがどんどん出てきて、その組み合わせをユーザーが楽しめて、つくった作品をアプリなどでアイデアシェアできる環境をつくっています。doredoは木製モジュールなので加工がしやすい為、塗装をしたり追加パーツを新たにデザインして組み合わせるなどユーザー自身がカスタマイズをし、数年使った後に定価以上の価格で個人間売買で売れるというようなコミュニティなどができると面白いと思っています。

内山:そういう仕組みを作ると消費されなくなるので、商売にならないかもしれません。ただ、ある一定数が流通することを想像しながら世界観を作っていくと、doredoを使うことが楽しくて住まいを生活者自身がつくるリテラシーが生まれて、それをきっかけに日本の住まいが変わっていけるような気がします。doredoは、一つの空間に収まるものである必要はないかと思います。

黒部:僕は最近りんご箱を調べています。側面に英字でりんごの品種が書いてある古い箱があって、聞いたら戦後にGHQに納品した時があったそうで。りんご箱は、戦前から使いまわしているんです。馬が引いて運んでいたころから形が変わっていなくて、僕は先日14箱買ったのですが、ハイエースのトランクにぴったり収まったのを見て、りんご箱って流通の最たる形だと思いました。
doredoはシンプルな箱なのですが、使った人が片面だけ赤く塗るなど暮らしの痕跡を残してそれが循環すれば、“2020年代のdoredo”とか“ヴィンテージdoredo”という世界が出てきます。doredoが、100年先に続く愛着を持てる新しい家具になると良いと思います。

これからの住まいのビジョン

モデレーター:今回は、『自分らしい住まい方のデザイン、これからの住まいのビジョン』というテーマでお話を聞いてきました。最後に、皆さんがどんなビジョンを持って住まいの民主化を進めていくか聞かせてください。

宇都宮:これからは、長期的に生活者と関係構築ができるサービスモデルをつくり、短期的な売上のみを追及する従来のビジネスモデルだけでない事業スキームや仕組みを考えることが大切だと考えています。コロナ禍においては、不動産流通は今後どのような形を取るべきか考える機会となりましたが、1つの方法論を形作るのではなく、価値変容し続ける姿勢を持たないといけないと思っています。
また、これまで不動産業界においてはお客様となる生活者をはじめ他領域のプレイヤーに対しても閉じた議論をしがちだったと感じます。住まいをはじめ暮らしの場を多様な人と一緒に創っていけるオープンプラットフォームをつくること、住まいの供給者としては自らが自分らしい暮らしの実践を楽しむことを今後のスタンスとしたいと考えています。

青木: 2020年はどちらかというとネガティブなことが多かったけれど、暮らしを見直す元年になったと思います。強制的に家で過ごす時間が増えたことで、家や街に目を向ける人が増えたはずで、その気づきを一瞬の変化で終わらせてはいけない。きちんと進化させていく必要があると思っています。
『世界幸福度ランキング』で日本がずっと下位の状況というのは、未来に対して僕たちに責任があると思います。住宅がもっと暮らしの場所として変化して暮らしのステージになっていたら、本来価値のあるものなのに価値が無いと見なされる状況を変えられると思うし、そうなると日本の未来は変わっていくのではないでしょうか\。僕は今取り組んでいる『大家の学校』や賃貸の取り組みの中で少しずつ変えていけたらいいなと思っています。

黒部:僕はVUILDに入ってShopBotに出会ってから、どんなに不器用でも簡単にものづくりができることを体感してデジタルを利用したものづくりにのめり込んでいきました。木の伐採から板材を乾燥させることから始まるものづくりの過程を経験したことで、ものを見る解像度が上がり、スーパーで手に取ったものはどんな成分で出来ているのかなど生活に関わるモノに目を向けるようになりました。
家具の制作に関しても、単純にテーブルを作るのではなく、自分に適したテーブルはどんな形だろう? 買った椅子は本当に自分のためのモノなのか? と疑問が出てきて生活を見直すきっかけになります。EMARFやShopBotなど簡単に使えるテクノロジーを上手く活用して、自分らしい暮らしを実現させていく人が増えるといいと思います。

内山:生活者の価値観を大きな意味で捉えると、コロナ禍で大きく価値観が揺らいでいて、住宅業界は今の状況をどう捉えてどう動くのか試されているのを実感しています。今日は住まいの話でしたが、実は最も変わったのは働き方です。出社をしなくなって、発展したデジタルがそれを支えていますが、その動きに住まいも合わせて変わっていかなければいけない。空間の自由が無いためにストレスを感じる人が多いなら、doredoのようなプロダクトも含めて、住まいを楽しめる仕組みを考えなければいけないと思っています。
場所の自由も求めるようになっていて、これはサブスク型の住まいが一つの解決方法になっていますが、そこまで突き抜けて自由に選択できる人はまだ多くないと思います。多拠点までいかなくても、簡単に二拠点は持てるくらいの仕組みを考えることで、みんなが場所の自由を得られる社会を作っていかなければいけないと感じています。
最後に、僕は生活者が一番ピンとくるのはお金の自由だと思っています。実は、家を買うという行為はお金に締め付けられることのほうが多くて、ローンに縛られて面白くない仕事を続けなければいけないということが起きたりします。家を買うという仕組み以外のことを考えないといけないと思っています。今後は、サブスク型も含めて、賃貸物件の可能性をどう広げていくか。もしかしたら、サブスク型と賃貸の間に可能性があるかもしれません。住まい・空間・お金の3つの自由を考える必要があると思っています。

>>><前編>『doredo OPEN Meeting vol.2』イベントレポートはこちら

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