フェイバリット・ビュー 私のくらし
#2 キャロットケーキ
気づいたら集めているもの。見かけると、ついつい手が出てしまうもの。
どんなに忙しくても、大事にしたい時間。自分らしくいるために、欠かせない瞬間。
そんな、日々を彩る「もの」やホットな「こと」がつくりだす、お気にいりの景色=favorite view。
くらしにフェイバリット・ビューをもたらす「もの」や「こと」を、のくらし編集部メンバーがご紹介します。
出会いは、シェアハウス
今回、のくらし編集部・田村がご紹介するのは「キャロットケーキ」。
たまたま出会って、なんとなく視界に入るように。
気づけば長いつきあいが続いている、そんな存在がキャロットケーキです。
きっかけは、2年ほど前、当時住んでいたシェアハウス(リビタのシェア型賃貸住宅「シェアプレイス」)のキッチンでのこと。
シェアメイトが焼いたものを食べてみたら、想像以上にスパイスが効いた大人の味で、
「かなり好み!」
と驚いたのがファーストインパクト。
当初キャロットケーキにいだいていた、「子どもに野菜を食べさせるために考案された、食育的存在」なんてイメージが覆されました。
シェアメイトの影響で新しいジャンルや初めて見る景色に触れ、刺激をたくさんもらったシェアプレイス時代。キャロットケーキとの出会いも、そのうちの一つでした。
2度目のギャップ
といっても、すぐ大好きになったわけではなくて、頭の片隅に「おいしかったな」が残っているぐらいだった、ある日。
吉祥寺エリアを散歩中、偶然入ったカフェのメニューに『キャロットケーキ』の文字を発見しました。
せっかくだし、とオーダーしたら、
「これ、全然違う!」
友人が焼いたケーキとのギャップに衝撃!それがセカンドインパクトです。
もちろんどちらもおいしくて、キャロットケーキの幅広さ、奥深さを知りました。
最初のギャップに、2度目のギャップ。もしかしたら、ギャップに弱いのかもしれません。
正解のない魅力に惹かれて
形、食感、味のバランス、スパイスの濃さ……フロスティング(キャロットケーキに添えられるクリーム)は、のせるのか、添えるのか。
違いの出るポイントが多様で、お皿が出てくるまで、一口食べるまで、どのタイプかわからない。
「キャロットケーキ」とひとことで言っても、お店によって全然違います。決まりきった正解がないから、食べるたびに発見がある。飽きっぽい人こそ、ずっと楽しめるスイーツなのではないかな。
Instagramのキャロットケーキ食べ歩きアカウントをフォローして、気になるお店は地図アプリにピン付けしたりもしています。
目がけて外出する日もあれば、用事ついでに近くのお店をチェックすることも。キャロットケーキの存在が、街を楽しむ一つの要素になっています。
ケーキ界のインディーズ
ガトーショコラ系の、しっとり、みっちり、もっちりと重い食感が好みで、個人的暫定1位はnippi cafe ginzaのキャロットケーキ。
とはいえ、毎回それを食べたいか、というと話は別。1位が出たからハイ終わり、 にはなりません。
新しいお店で、「こんなキャロットケーキもあるんだ」と発見する、あのときめきが大事なんです。
チーズケーキやチョコレートケーキに比べて、そこまでメジャーではないキャロットケーキ。
体感では、カフェに10軒行って、あるのは3軒くらい。ここ数年で増えつつあるものの、どこにでもあるわけではないからこそ、宝探し感が楽しめます。
撮影の日にうかがったのは『BREAKFAST CLUB TOKYO』。店頭にケーキが見当たらなくてドキドキしつつ、手描きイラストのメニューを発見して、ホッとしながらオーダー。
(※『BREAKFAST CLUB TOKYO』でのキャロットケーキの販売は不定期)
「あるはず!」と狙いを定めたカフェにキャロットケーキがあると、やっぱり嬉しくて。
テイクアウトは、ケーキとご対面するまで時間があるぶん、ワクワクがさらに高まります。
ふとした瞬間が、フェイバリット
熱狂的ではないけれど、ほどよい距離感でキャロットケーキとの蜜月は続いています。気まぐれな自分には、流行りすぎていないところ、お店によってスタイルが違うところがちょうど良いんでしょうね。
探しにいくより、偶然の出会いを楽しむ。追い求めるより、ふとした瞬間にめぐり合えた景色のほうが、より心に残って、お気に入りになる。この感覚は、普段の暮らしにも反映されています。
たとえば、もし引っ越すなら、好きなお店がある街ではなくて、まだ出会っていないキャロットケーキがありそうな街にするかもしれません。初めての場所に、どんな景色が待っているのかな、と考える。そのほうがワクワクしますから。