一人暮らし仕様を極めたワンルーム
- 所在地:
- 東京都江東区
- 居住者構成:
- 大人1人
- 専有面積:
- 39.5㎡
- 間取り:
- 1LDK
- 既存建物竣工年:
- 1974年
- リノベーション竣工年:
- 2012年
玄関からつながる土間が続く通路に、上が畳の寝室、下が収納となるボックス型のロフト、ドアを黒板塗料で塗装したトイレ、水まわりを配置。浴室にはリビングへ視線が抜ける窓もある。ワンルーム状につながるリビングダイングキッチンは、無垢材のフローリングで落ち着いた空間に。壁の一面だけラベンダーブルーで塗装している。天井は躯体を現しとし、ダークグレーで塗装。造作家具やキッチンはダークブラウンをベースとし、黒のアイアン金具などをポイントとして使い、全体的に落ち着いた雰囲気に仕上げている。
4年前の転勤にともない、愛知県のご実家から会社の寮に転居した30代単身のTさん。在寮期間満了にともない、中古マンションを購入し、リノベーションをすることに。スイッチひとつまで自分の好みで選び、好きなものだけに囲まれた住まいを叶え、一人暮らしを満喫中だという。
将来に縛られず、今の自分が快適な住まいをつくる
―Tさんは会社の寮を出る必要があり、転居先として住宅を購入されたわけですが、「ひとまず賃貸で」とはお考えにならなかったのですか?
Tさん:寮が新築の分譲タイプのマンションだったのですが、賃貸住宅で同じような条件の物件を探すと予算オーバーになってしまいます。東京の賃貸事情を考えると、購入したほうが負担を抑えつつ満足できる家に住めると考えていて、2年ほど前から新築やリノベーション済のマンションを見学していたんです。
―新築・リノベーション済のマンションは、どのような印象でしたか?
Tさん:新築マンションは価格が高く、設備も過剰な印象を持ちました。リノベーション済のマンションもディテールが好みではなかったりして、購入には踏み切れませんでしたね。
―中古マンションを買って、リノベーションをしようと思われたのは、その後ということですね。
Tさん:自分でリノベーションするのがいちばん満足度が高く、予算的にも身の丈に合った住まいにできるのではと考えました。でも最初は女性が一人でマンショを購入し、リノベーションをするなんてすごく大変そうで、やりたいけど無理かなという感覚もあったんです。その考えが変わったのが、リビタの「お宅見学会」に参加し、一人暮らしの女性がリノベーションをされたマンションで、施主の方のお話を聞くことができ、「これなら自分にもできそう」「やってみたい」という気持ちになりました。
―背中を押された施主の方のお話とはどのような内容ですか?
Tさん:家を買ったからと言って、ずっとここに住み続けると決めているわけではなく、結婚や出産などの転機には、賃貸に出す、売却するなどの選択肢も考えているというお話でした。
―Tさんは現在35歳。ご結婚やご出産などは当然意識されますよね。しかも転勤で東京に来られたということで、今後も異動の可能性があるのでは?
Tさん:海外も含め、転勤の可能性はあります。しかし、先のことはあまり考えていません。住まいを選択するときに結婚や出産、転勤など将来のことに縛られると、何も決められなくなってしまいますし、様々な事態に備えようとするとどうしても費用が膨らんでしまいます。私の場合は、今の自分がどのように暮らしたいかに的を絞り、完全に一人仕様でリノベーションすることにこだわりました。
無骨な雰囲気の中にも、さりげない差し色で遊び心をプラス
―将来より今に焦点を絞ったからこそ、このような快適な空間が実現したんですね。
Tさん:とくにお風呂に入るのが好きなので、広くて快適なバスルームが欲しかったのですが、単身者用の賃貸ではなかなか望めませんよね。思い切ってリノベーションしようと思った理由の半分くらいは、小さなお風呂がどうしても嫌だったからとも言えます(笑)。
―現在のお風呂は白と黒の2色を使ったタイル張りで、リビングとの間に窓があり、バルコニー越しに外の景色まで抜け、自然光がやさしく差し込む素晴らしい空間となっていますものね。
Tさん:どうしても窓が欲しかったんです。休日の昼間に太陽の光を受けながら、お風呂で読書をすることに憧れていましたから。今では夢が叶い、至福の長風呂を楽しんでいます。
―お風呂から続く洗面室の壁にも、ブルー系のモザイクタイルが使われていてポイントになっていますね。
Tさん:印象派のモネの絵画『睡蓮』のイメージです。本当はお風呂もオリジナルでつくりたかったのですが予算の関係でユニットバスにしたので、洗面室の壁にその思いをぶつけました。ブルー、ホワイト、ラベンダーのモザイクなのですが、既製品でイメージに近いものがなく、つや消しのタイルの単品を組み合わせ、オーダーしてつくってもらいました。
―下が収納、上が畳の寝室となったボックス型のロフト、玄関からリビングダイニングまで続く土間など、プランや仕上げもオリジナリティに溢れていますよね。
Tさん:設計の打ち合せには自己紹介や自分で考えたプラン図、理想のイメージを集めた写真、持っている家具やものの写真などを、ファイリングして持参しました。それを見てもらったから、希望のイメージはスムーズに伝わったと思います。ダークブラウンをベースカラーに、ラフでかっこいい空間にしたいとお伝えしました。
ボックス型のロフトは、リビタのホームページに掲載されていた実績の写真を見ていいなと思って取り入れたのですが、偶然にも私が勤務する会社の先輩のお宅だったのです。実際に遊びに行かせていただき、参考にしました。
―リノベーションのお宅を見る機会が多かったことも理想の住まいを実現された秘訣と言えるのでは?
Tさん:実際の暮らしぶりを拝見しながら、お話を聞いたりアドバイスを得られたこともよかったです。実は、ホームシアターは、先輩のお宅で見て欲しくなったアイテム。でも、マンションを買ってリノベーションした上に、プロジェクターまで付けてしまうのは、独身女性としては自己満足仕様になりすぎて「やりすぎ」ではないか…とかなり迷ったんですよね。そんなとき先輩に「それは、レストランでフルコースをオーダーして、最後のデザートを食べようかどうしようか迷うようなもの」と言われ、なんとも絶妙な例えだと、納得してしまいました(笑)。お陰で、毎日のように映画やライブ映像を楽しめる生活が実現し、思い切って付けてよかったなぁと実感しています。
―天井は躯体のコンクリートを現しとし、濃いグレーで塗装しています。壁は薄いグレーのクロス、パーツ類はアイアン金具などを選ばれていて、男性的というか武骨な印象もあります。
Tさん:真っ白な空間よりも、落ち着きのある暗めの空間のほうが好きなんです。設計者の森本さんには「女性的なかわいさはいりません!」と強調しました。キッチンも見た目以外はそれほどこだわりがないので、システムキッチンを選び予算を調整しています。
―女性だからと言って、すべての人がキッチンの細部にこだわるわけでも、明るくてかわいい空間が好きなわけでもないですからね。でも、前出の洗面室の壁をはじめ、リビングの壁の一面はラベンダーブルーで塗装されたり、ロフト上階の内側の壁には畳に合わせて京唐紙を貼ったり、さりげない遊び心が取り入れられ、リノベーションを楽しまれているなと思います。
Tさん:ラベンダーブルーの壁は、自分で塗装をしてみたかったので、ポーターズペイントの講習会に参加し、担当してもらったリビタのコンサルタントの渡部さんも手伝っていただき、DIYで塗りました。アクセントカラーとして好きな色を選ぶことができ、質感のある仕上がりとなり、とても気に入っています。
ここに住み続けてもいい、引っ越してもいい。どちらでも選ぶことができる
―最初は大変そうだと躊躇されていた中古マンションリノベですが、実際にやってみられて、どうお感じになられましたか?
Tさん:不動産購入はもっと大変なことだと想像していました。「強引な営業に押し切られたらどうしよう」とかいろいろ不安がありましたが、リビタのコンサルタントの姿勢は「一緒に探して、一緒につくっていく」という印象で、構えてしまうような変な心配は全く不要でしたね。気兼ねなく何でも話して相談でき、気持ちよくやり取りを進めることができました。
―Tさんは将来のことはあまり考えていないということでしたが、この物件は都心にあり駅からも近く、インテリアもスタイリッシュですから、賃貸に出してもニーズが高いと思います。予算的にもコンパクトにまとめられ、無理のない感覚で住宅購入を実現されていると感じました。
Tさん:そうですね。住宅ローンの返済が10年くらいで終わる予算に収めることは重視しました。将来は賃貸に出して運用しようということは全然考えていないのですが、資産性を考慮して駅からの近さにはこだわりましたね。10年経って返済が終わったら、ここに住み続けても、他のところに引っ越しても、どちらでもいいと思っています。
―ご自身にとって必要であり、今後はどのようにでも考えることができるという良い時期にリノベーションをされたと言えますね。
Tさん:年齢的に自分の好みや大切だと思うことが、しっかりと分かってきた時期だからこそ、自分にとってベストな住宅購入が出来たかなと思っています。仕事にも前向きに取り組めていて、自分に必要なものが見えてきたときなら、後悔のない選択ができるのではないでしょうか。
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