絵や植物が彩る空間、可能性がふくらむ専用庭
- 所在地:
- 東京都杉並区
- 居住者構成:
- シングル
- 専有面積:
- 37.23㎡
- 間取り:
- 1LDK
- 既存建物竣工年:
- 1979年
- リノベーション竣工年:
- 2022年
玄関を入るとすぐに約12帖のLDKが広がり、専用庭まで視界が抜ける。ウォークインクローゼットを中心に回遊できる動線上に浴室、洗面とトイレ、約3.6帖の寝室が並ぶ。L字型の専用庭の面積は約37㎡で、室内と同じくらいの広さがある。シームレスにつながる空間構成ながら、浴室手前や寝室は引き戸で仕切ることも可能で、独立した空間としても使用できる。
留学を経て起業されて6年目となる40代前半のTさんは、職場まで自転車通勤できるエリアで新居を探していました。中古のマンションを買ってフルリノベーションをするつもりでしたが、西荻窪にある広い専用庭付きのリノベーション済みマンションと出会い、理想的な立地や住まい周辺の魅力ある環境に惹かれて購入。新しい住まいでの暮らし方についてお話を聞きました。
リノベーション済みマンションで、
自分では思いつかない空間を楽しむ
――新居として購入されたリビタのリノベーション済みマンション。気に入ったところを教えてください。
Tさん この物件は入った瞬間に「いいな!」と思いましたね。見学したときにサンプルの家具が置いてあったことで、ここで暮らすイメージがリアルに湧いてきました。そして、部屋と同じくらいの広さの専用庭があることも決め手となりました。庭のある物件を探していたわけではないのですが、自然が好きなので庭の存在にはとても魅力を感じました。西荻窪というエリアも古道具店や雑貨店、焼き菓子店など、個人のオーナーが経営する個性的な店が多く、自然も豊かで、住むのにちょうどいいバランス。職場まで自転車で20分くらいという立地も、私にとって理想的でした。
――中古のマンションを購入して、自分でリノベーションをすることも考えていたのですか?
Tさん 以前住んでいた賃貸マンションも、デザインにこだわったリノベーション物件でとても気に入っていたこともあり、一般的なデザインのマンションでは満足できないと考えていました。リノベーション済みマンションもいくつか見学したのですが、デザインにこだわりを感じられるような物件は少なかったので、どちらかというと、ゼロから自分で好きなようにつくれるフルリノベーションを希望して物件を探していたのです。でも、なかなか理想的な物件に巡り会えず、いいなと思う物件はあったものの戸数の少ない自主管理の物件で、将来的な不安もあり、購入には至りませんでした。そんなときにこの物件と出会い、ここなら手を加えずそのまま住めると考えて購入を決めました。
――スケルトンにしてゼロからリノベーションをするより、完成している物件を購入したことでよかったと感じていることはありますか?
Tさん 物件探しをするなかで、もしこのまま条件に合う物件が見つからなかったら、とりあえず一般的なリノベーション済みマンションを購入して、その内装を壊して手を加えようとまで考えていました。でも、デザインが好みではないからという理由で、新しいものを壊すのは罪悪感があるし、環境配慮的にもよくないから、そのまま住める物件があれば、その選択肢はベターだと考えていました。
この物件は、私が思い描いていたイメージと比べると、ダークブラウンの木やモルタルの左官仕上げの壁など、少しダーク系の色合いで仕上げられています。自分でリノベーションをしていたら、もう少しナチュラル系の色合いを選んでいたかもしれません。そういう意味では100%自分のイメージに合っていたわけではないのですが、自分では思いつかなかったセレクトもアリだなと思えました。自分でゼロからリノベーションをすることが出来なかったのは残念ですが、実際に住んでみてからはこのインテリアがとても気に入っています。
植物や自分で描いた絵で部屋を飾り、
ゲストルームにもなる小上がりを追加
――ウォークインクローゼットを中心に、水まわりやベッドスペースが配置された回遊できる間取りになっています。暮らし心地はいかがですか?
Tさん 日々の暮らしの動線がスムーズで、効率的に動けるのでとても暮らしやすいです。朝起きてすぐにトイレや洗面にアクセスできるし、洗面室にインナー類などを収納しているので、入浴後もすぐに着替えられます。手前に浴室があり、洗面とトイレが一緒になっているのは、少し変わった配置ですが、そのおかげで洗面室も広く使えて、つくり付けの棚の収納も十分な量になっています。
――見学時にあったサンプルの家具が参考になったとのことでしたが、実際に家具を配置するときはどのように計画しましたか?
Tさん 見学時にダイニングに置いてあった丸テーブルがすごくいいなと感じていて、同じサイズの直径900mm丸テーブルを探して、チェアとセットで購入しました。あとはほとんど前の家の家具をそのまま使っています。セミダブルのベッドも寝室にぴったり収まりました。
――壁に絵が飾られていたり、植物も豊富にありますが、これも以前のお住まいにあったものですか?
Tさん 絵は自分で描いたものです。一時期、絵画教室に通っていたことがあって、その頃に描いていた絵がたくさんあり、リノベーションをしたいと思ったときに、シンプルな壁に自分で描いた絵を飾りたいとイメージしていました。気に入っているものをポイントとなるような場所に飾っています。植物は以前から育てているものがほとんどです。ハンギングをしたかったので、入居前に追加リノベで、天井にバーを付けてもらいました。まだまだ引っ掛ける場所がたくさんあるので、植物は増やしていきたいと考えています。庭に面した窓側の床が一部フロアタイルになっているので、植物の手入れや水やりをするにも便利です。
――他に入居前に追加リノベーションをした部分があれば、教えてください。
Tさん リビングの小上がりは、床に置くタイプの既製品ですが、追加リノベの際に一緒に設置してもらいました。リノベ計画の中には、留学時代の友人などが来日したときに泊まってもらえるようにゲストルームをつくりたいという希望もありました。個室をつくるのは難しかったのですが、シングルベッド程度のサイズの小上がりがあれば、寝る場所として使ってもらえます。普段はくつろぐ場所としてソファ代わりに使えて一石二鳥。よく小上がりに座って、庭を眺める時間を楽しんでいます。
家庭菜園、ウッドデッキ、サウナなど、
アイデアふくらむ約37㎡の専用庭
――フルリノベーションをしたいと計画していたときに考えていたアイデアが、この部屋にも上手く取り入れられているのですね。
Tさん 資料を集めていろいろとイメージを膨らませていたので、できるところは部分的に取り入れることで、より満足度が上がり、自分らしい空間になっていると思います。そう考えると、リノベーション済みマンションを選んでいても、意外とやりたかったことが叶っていますね。窓のあるお風呂で緑を眺めながら入浴したいという希望があったのですが、それは残念ながら叶っていません。もっともフルリノベーションをしていたとしても叶えるのは難しかったと思いますけれど。今後、お風呂の空間を理想に近づけるために、マグネットで設置できる光触媒の観葉植物を浴室の壁に飾りたいと考えています。
――玄関の横の壁が有孔ボードになっていますが、引っ掛ける収納として上手く活用されていますね。
Tさん 有孔ボードの壁も、リノベーションでやりたいと思っていたことの一つです。登山が趣味で道具類が多いので、よく使うものをここに引っ掛けて見せる収納として楽しんでいます。
――部屋と同じくらいの面積がある庭。今後の計画を教えてください。
Tさん まだ庭まで手がまわっていませんが、まず雑草を刈って、両隣の庭との間に目隠しになるようなフェンスなどをつくりたいと思っています。部屋から庭に出るときの段差を解消するために、ウッドデッキをつくったり、庭に出てお茶や食事ができるようにテーブルとチェアを置いたり、畑もやってみたいですね。広いのでいろいろなことができそう。これは完全に妄想で、管理規約に引っかかるかもしれませんが、アウトドア用のお風呂やサウナなどが楽しめたら最高ですね。緑を眺めながらお風呂に入るという希望も叶います(笑)。広い庭があることで、やってみたいアイデアがいろいろ浮かんでくるのは、この家に住んでいる醍醐味の一つだと思います。
――この家で暮らし始めてから、変化したことがありましたら教えてください。
Tさん 庭があったり、間取りが暮らしやすかったりと家の居心地がよく、気持ちよく過ごせていることも大きな変化ですが、住む街が変わったことで、日常がとても豊かになりました。近所の雑貨店の店主も登山が趣味で会話がはずみ、情報交換したりするような関係性に。個人商店が多いから、通っているうちに店主の方と顔なじみになることも多いです。ご近所にちょっとした会話ができる間柄の方がたくさんいるというのは安心感があり、世界が少し広がったようにも感じます。周囲に緑が多いことで朝早くに散歩をしたいという気持ちになって、善福寺公園までの朝散歩も習慣化しました。近所にいい銭湯があるので、広いお風呂に入りたいときは、そこでリフレッシュする時間も楽しんでいます。今まで仕事が中心で暮らしに目を向けていませんでしたが、この家に住み始めて、家の空間や周辺環境の豊かさに恵まれたことで、気持ちにも余裕が生まれ、暮らしの質を上げていきたいと思えるようになりました。